ぼくとお父さんと彼女といっしょ。 




ドリーム小説
「大丈夫か?一人にさせちまうけど」

「大丈夫だって言っているだろう?だから早く仕事行けって」

布団から状態を起こしている
修兵はそのそばで心配な顔を見せている。
修兵の仕事の忙しさの所為で、しばらくよその家で世話になっていた
貴族だったその家で不自由なく過ごせていたはずだったが、は体調を崩してしまった。
精神的なものから起きた胃炎。
そうなってしまった原因を責める気持ちは修兵にはなかったが。
帰宅後、寝かせていたが一晩経ち、仕事に行かねばならなくなった修兵はを一人にしてよいものか迷っていたのだ。

「でもよぉ…」

「昨日も言った。俺、一人で留守番できるから」

「………」

前にも一人で残して後悔したことはあった。
だけど、あの時と今は状況が違う。
わかっているけど、どうしても心配になってしまうのだ。
普段病気とは無縁な子だから。

「しっかり留守番していろ。って言ったの修兵だからな」

「あ〜わかった。じゃあちゃんと薬を飲んで寝ていろよ?」

「うん」

「また隠すようなことをしたら、卯ノ花隊長に注射してもらうからな」

「し、しないって!」

これは脅し過ぎたかな?と少し苦笑してしまう修兵。

「じゃあ、行ってくる」

わしわしの頭を撫でた修兵は立ち上がる。
そのまま部屋から出ようとしたが、一旦立ち止まる。

「あ。何か食いたいものあるか?」

「食べたいもの?」

「おう。昼飯に買ってきてやるし、時間が空けば作ってやってもいいけどさ」

昨夜は修兵がお粥を作ってあげた。
普段はに任せきりだが、自分だってそこそこできるのだ。

「わざわざ戻って来なくていいよ。俺、自分でやるから」

「病気の時ぐらい遠慮するなっての。もっと甘えてもいいんだぞ」

「……甘えて…」

普段から大人びた子だから。できればもっと甘えて欲しいと思ってしまう。

「じゃあ…」

「お。なんだ?」

珍しく要望かあるのか。と修兵は口角を上げた。

姉ちゃんが作ってくれた牛乳寒天が食いたい」

「……なに?…」

俺、関係ないじゃん。
修兵はがっかりした。





【その19】





「おはようございます。副隊長」

隊長代行をしている修兵の補佐についてくれているのは
最初はどこか怯えられているよな。と若干へこんだ時もあったが、今ではのお蔭もあって割と親密になっていると思う。
うん。思いたい。

「おはよう。…あー…」

さて、どうしようかと修兵は後頭部を掻く。
悩んでいるのは出かけにから言われたことだ。

「どうかなさいましたか?副隊長」

「いや、まぁ……」

「あ。君ですか?君の具合はどうですか?なんなら今日はお休みになさった方がよかったんじゃないですか?」

は心配してくる。
が他家で預かってもらっている時にも、は随分心配してくれた。
中々目途の立たない忙しい仕事に、早く仕上げてを迎えに行けるように頑張りましょうと修兵を励ましてくれた。
他の子達とはの話をしようとも思わない。
彼女にしか、の話はしない。
義理とはいえ、親子関係だと知られた時、周りがなんて思おうが気にならなかったが、の反応だけは気になった。
結果、気にするだけ無駄った。
は、納得した。と修兵との関係に血の繋がりがない方が不思議だと言い切ったのだ。

最近たまに自分の嫁、の義母となる人なんて話題をしてしまうが、それがだったらいいなと思っている。

思っているだけで、何もできていないのだが…。

「いや。仕事は休むなと言われたからな…今帰ったらきっと怒られる」

子供に怒られるなど情けないと思うが、にだったらそう話せてしまう。

「けど、の事なんだ…」

君に何かあったんですか?」

「あった。わけじゃなくて…はぁ…」

「副隊長?」

煮え切らない自分の態度をは不思議そうに見ている。

(一応頼むだけ、頼んでみるか…ダメならダメでも納得するだろう)

急な話なのだから、無理だと思っていた方がいい。

の奴に、昼飯何食いたい。って話をしていたんだ」

できれば自分が用意してあげられればいいのだが、仕事を抜け出してまではしてほしくないと。

「自分で用意するからって」

君らしいですね」

「もうちょっと大人を頼れって言いたいんだけどな。病気じゃ仕方ないだろ?」

は口元に手を当て笑った。

君にもっと甘えてもらいたいんですね、副隊長は」

「や、その…」

修兵は軽く咳払いをする。

「それでも、が食いたいものがあるって言うから、なんだって聞けば…」

「?」

が前に作ってくれたものあったろ?牛乳寒天だっけ?あれが食いたいって…」

が二三瞬きをした。

「あ。まぁ…急な話だから無理なのはわかるんだ」

「いえ」

修兵は後頭部を掻いた。

「いや。いい。聞かなかったことにしてくれ。も忙しいからな」

「あ。副隊長…」

仕事を始めようと、自分から言いだしつつも、話を強引に切り上げてしまった。
いくらに懐いているとはいえ、流石に申し訳ないと感じた。
に呆れられようが、昼飯は適当に買って持っていくことにした。





「たまによー俺が思うんだが。割と精神弱ぇよな、は」

見舞いだと恋次が顔を出した。

「恋次達に比べたら弱いとは思うよ?俺、まだガキだもん」

「そうかぁ?大人も子供も関係ないと思うけどな、ここじゃ」

「?」

「ま。お前は割と治安のいい場所で過ごしたって話だしな。俺と比べたら困るか」

恋次は悪かった。との頭を撫でた。

「恋次と比べたらって?」

「ん?言ってなかったか?俺も元々流魂街の出身なんだ。まぁ、今時珍しくもねぇ話だけどよ」

瀞霊廷内に住めるのは貴族と死神になった者達。その家族ぐらいだろう。
大半はその外、流魂街での生活となる。

「恋次もって事は、ルキア姉ちゃんも?」

「あぁ。檜佐木先輩だってそうだし、大体の奴はそうだ。でもって、数字が小さいほど治安がいいんだ。俺は悪い方だったからな」

「ふーん…」

「聞かせるほどの話でもないけどな。ただ、なんかお前が心配になる」

でも、子供だから仕方ないか。とも恋次は言う。

「………死神になりたいんだろ?」

「うん。勉強とか始めたいとは思うよ」

「お前には沢山見本になる先輩がいるからいいよな。しかも身近にいるんだからさ、それが」

修兵の事だろう。

「俺が学院に入学した当時には、先輩すでに6回生の筆頭だったからな」

「修兵からそんな話聞いたことないよ。すごい事なんだろ?それって」

「おう。生徒の中じゃトップだ。俺だって、特待クラスに入ったけど、在学中に護廷隊への入隊が決まっていたんぜ、先輩は」

夢かわからないけど、幼い修兵を見たことがあった。
あの頃の修兵は転ぶだけですぐ泣いてしまう泣き虫だった。
けど、きっと修兵にとって何か変わる出来事でもあったのだと思う。
死神を目指すくらいだから。

「どんどん利用しろよ、。勿体ないぜ」

「恋次…」

恋次にしては真面目な話だなと思った。

「あ。そうだ。俺、しばらくいねえからさ」

「え?」

「現世にちょっくら任務で行くことになってさ。俺だけじゃねぇ、ルキアも日番谷隊長に乱菊さんも」

他にも数人と一緒に現世に行くそうだ。

「もしかしたら、先輩もそのうち呼ばれるかもしれねぇな」

「………なんか大変な事でもあったのか?」

恋次だけでなく、日番谷や乱菊までも。隊長クラスがそう簡単に現世に行くことになるなど、大変な事が起きていそうだ。

「ま。詳しい事は言えねぇけどな。大丈夫だって、お前が危険な目に遭うこともねぇし」

「でも、恋次は」

「任務だからな。常に危険とは隣り合わせだろ。死神ってのはそんなものだぞ」

「わかった」

しばらく恋次に会えないのは寂しい。
でも、現世の人々を守るのも死神の仕事なんだと教えてもらった。
自分は死神になれるだろうか?
弱いままだとなれないなと感じた。





「ただいまー。しっかり養生していたか?

昼間は残念ながら修兵は帰る事ができなかった。
隊長、副隊長、上位席官が数名現世に行くことになったので、色々忙しくなったのだ。
九番隊からは誰も行かないとはいえ、今回の事でまた戦いが起きそうだと予想されたのだ。
自分で用意するとは言っていたが、手の空いた者でもいないかと思ったとき、恋次が見舞いに行くついでに。との昼飯を用意してくれるという。
だから、ここは遠慮なく頼んだ。

「お帰り、修兵」

部屋に入って来た修兵を見てが笑顔を向けた。
顔色は良くなっている。
明日にでも通常通りになりそうな気がするくらい。

「昼飯、食ったか?阿散井に頼んだんだが」

「うん。食べたよ。あ、薬もちゃんと飲んだからな」

だから注射は嫌だとは言う。

「それとだな…あの、牛乳寒天なんだが…」

「あとで食おう!修兵!」

「は?」

が目を輝かせている。

姉ちゃんに頼んでくれたんだろ?さっき姉ちゃんが持ってきてくれたんだ」

「…いや…」

修兵が帰宅する少し前に、が訪ねてきてくれたそうだ。
そして牛乳寒天を作ったから食べてと置いて帰ったと。

「姉ちゃん。修兵から話を聞いて昼休みに作ったんだって。すごいよな、本当」

あの話は断ったというか、に申し訳ないと思ったからあれ以上はしなかったのに。
自分の昼休憩を潰してまでの為に用意してくれたのか。
本当に優しい人だと思う。
そして、午後はそんな素振りも見せないで仕事をしていたその姿に愛おしさが芽生えてしまう。

(単純だな、俺は…)

修兵は息を吐く。

「そうか。じゃあしっかり味わって食えよ」

「うん!」

「あと、お礼をしなくちゃな。に」

「ご飯、一緒に食べたい。今度は俺が姉ちゃんにご馳走するんだ」

「そうか」

「あ。修兵も一緒に作ろう。姉ちゃんびっくりするぞ」

修兵だって料理ができないわけではないのだから。

「それに関しては考えておくな」

でも、を誘って食事をするのは悪くないだろう。
自宅に招くのもいいし、外食するのもいいし。
いや、の様子では自宅に招きたいのだろう。
それは修兵も反対する理由はないので、多分、そうなるだろうな。








久々に本編再開です。でもって、少しだけパパの恋心が加速した感じです。
恋次達が現世に行くのは、破面との事ですよ。
13/10/06