3年魏組張遼先生




ドリーム小説
「やばいって!また宿題やり忘れてた〜」

は朝起きた早々に慌てて辞書を開く。
先日の張遼との授業で最後に出された宿題をやるのをすっかり忘れていたのだ。

「えー時間的にはあと一時間?朝食食べてる暇ないや〜」

は紙にわかるだけの単語、訳を書いてみる。
張遼から出されたのはこれ。


   大風起兮雲飛揚
   威加海内兮帰故郷
   安得猛士兮守四方


「えーと、えーと…大きな風が起こって…雲が飛んで揚がる?これは(兮)はなんて読んで意味はなにさ!」

ペラペラと分厚い漢語辞典をめくる。
【兮】を調べるだけも時間がかかる。

「…け、けい?ケイって読むんだ…でも助詞?」

助詞の説明を読む。

「訓読で読まないが、余韻の区間や句末に置いて語調を整える…でも意味わからん。
ってことは、兮は大風起と雲飛揚の語調を整えるもの…でも意味的に変わらないような気がする」

は短時間で調べるものだから、中身がはっきり頭に入らない。
最初で躓き時間だけは過ぎていく。

「わかんにゃーーい!2行目は最初はまったくわからんな、威加?海の内で故郷に帰るかな…降参だ」

これはもう一日猶予を貰うか、注意を貰うのを覚悟しよう。

「朝餉の準備ができてますが」

女官の声が聞こえる。

「はーい、食べます〜」

とりあえず、朝は食わねば!とは餐室へと向ったのだった。





「それで?」

「兮が助詞と言うのはわかりました」

張遼の今日の授業の始まりだ。
まず最初に宿題の答え合わせをしているのだ。

「どこまでわかりました?」

「大風起こった…ぐらいかな?」

「はぁ、最初だけですね。でも兮の意味がわかったのは良しとしましょう。よくわかりましたね」

「じゃーん、これでーす」

バンとは漢語辞典を出す。

「ほぅ」

「私ってば運良く漢語辞典を持ってました。意味ばっちりです」

「でもあまり使ってないようですな」

言われて少々ばつが悪い。

「そ、そうですね。あまり使わなかったですよ。こっち着て初めてですし、向こうでも大して使いませんでしたし」

辞典を持っていただけ奇跡に近い。

「これからは、それをちゃんと使って勉学に励んでくださいね。私も宿題の出すのが楽しみですよ」

「そ、それはね〜」

「では、答えあわせと行きましょうか。この歌は大風の歌と言う劉邦が歌ったものなのですよ」

「劉邦って漢の一番最初のお偉いさんでしたっけ」

「漢の高祖ですよ。読みとしては大風吹き起こり 雲高く舞い上がる…」

答え合わせにかなりの時間が費やされた。
真面目な張遼だから、適当と言うことがないのだ。
今日の授業はいつも以上に疲れただった。

途中休憩を挟み、さぁ続きを…と言う訳にはいかなかった。

殿、何を考え込んでいるのですか?」

「え?あーなんて言うか…」

が問題を解かずにいたため張遼が注意する。

「全然進んでませんね」

「あはは、ちょっと気になることができて」

「気になることですか?なんですか、それは」

「あのですね」

は真剣な眼差しで張遼を見る。
張遼も何をそんなに真剣なのか少し気になるようだ。

「私はなんて呼べばいいでしょうか」

「は?」

「だーかーらー、遼さんは私の先生なのだから、やっぱり授業中は張遼先生って呼んだ方がいいのかなって」

くだらない…。
そんな事が張遼の脳裏を過ぎる。
だが、は真剣に考え込んでいる。

「張先生、遼先生、文遠先生?あ、でも師匠の方がいいのかな?ややや、師匠だと堅苦しいから先生がいいかな。遼さんどれがいいですか?」

殿…そんな事は考えなくても勉強はできるでしょう」

「いや重要ですよ。やっぱり教えていただく以上遼さんは私の先生なのですから」

「なら普通でいいですから、今はこの問題を」

張遼はにちゃんと勉強してもらいたいのだが、すでにの集中力が切れており全然駄目のようだ。
また違うことを口走った。

「普通、先生と生徒って言うと萌えるシチュエーションなんですよね」

「は?萌え?しちゅ?」

「家庭教師とその生徒って二人っきりの空間で密着したりして、親にばれるかばれないかの際どい感じ?生徒の方は先生にその恋心を隠しつつも、気になって気になって勉強どころじゃなくてぇ」

殿、何を言ってるのですか」

「あーやっぱり、あれか先生は女性で妖艶な美女か清楚な女性で生徒はちょっとすれた男子か純情少年の方が萌えるかな?そうだなぁ…やっぱ憧れの女性に密着されて教えてもらうと気持ちぐらぐらでやばいっしょ?」

なぜにこんな話になるのか張遼はついていけない。
普通に勉強さえしてくれればいいのに…。
でもこうなるともう止めれない。
本気で怒らない限り…

「ね、ね、遼さん的には教えてもらうならどっち?タイプで言うと甄姫姉さんか蜀の月英さんかな」

「馬鹿なこと言ってないでさっさと始めて下さいよ、殿」

「絵になるよね、萌えを求めるなら、甄姫姉さんがカテキョで生徒はうー、蜀の姜維君がいいよね。あの人純情って感じだし?きっと姉さんに接近されたらメロリーンってなるって、マジで」

ここに姜維がいたらきっとものすごく真っ赤になって反論するんだ。
なんてことが張遼は思わず鼻で笑ってしまう。
わかりやすいなぁ、軍師なのに…と。

「月英さんはあの諸葛亮の奥さんでしょ?だったら尊敬する上司の奥さんに迫られたりしたら〜姜維君の心の葛藤がすごいだろうね」

殿、そろそろ」

「あーでも私的には甄姫姉さんタイプにメロリンvの姜維君の方がいいなぁ。どこがわからないの?お姉さんが優しく教えてあ・げ・るvとか言われちゃって〜問題一つ解けたら、いい子ね、お姉さんがご褒美あげるわ〜なんてさぁ」

おいおい、全国の家庭教師に失礼だよと心で突っ込みをいれたくなる。

「まぁ、最終的には生徒の逆襲?抑えきれなくなった姜維君に甄姫姉さんは!バーンっと!!」

カランコロン…

「う?」

「なんですか?」

は椅子から立ち上がって一人盛り上がっていた所で徐晃が呆けた顔してたっていた。

「おや徐晃殿」

「徐晃さん、どしたの?」

「バーンとなんでござるか?」

手にした竹簡を落としてしまっている。
辺りにころころ転がっている。

「え?バーンとですか?そりゃあもう、女教師と生徒のいけない課外授業の始まり〜
教師と生徒の禁断の世界へいらっしゃーいvな展開ですよ。嫌だな徐晃さんってば、続きが知りたいだなんて」

「アホですか、殿は」

隣で張遼がこめかみを抑えている。
でもは一人で萌えだとか言ってキャーキャー騒いでいる。
しかし徐晃はふるふると拳を震わせている。

「徐晃殿、どうなされました?」

少し様子が変な徐晃に張遼が声をかける。

「じょ、徐晃殿!?」

徐晃は目に涙をためて震えているではないか、何故に?と張遼は引いてしまう。
もこれには驚く。

「え、なんで?徐晃さん?」

「…でござる…」

「「は?」」

「甄姫殿はそんなふしだらな女性ではないでござるよぉぉぉーーーー」

とか言いながら徐晃は走り去った。

「じょ、徐晃殿…」

「へぇ、徐晃さんってば甄姫姉さんにね…へぇ」

は面白いことを知ったとニヤッと笑う。
しかし、

コツン

「痛っ」

張遼がの頭を軽く殴る。

「なんですか、遼さん」

「はぁ、暴走するのは止めてそろそろ問題に取り掛かって欲しいのですけどね」

机の上には真っ白な問題用紙が残されている。

「あははは」

「まったく、しょうがない人ですね。これは宿題にしますよ」

「えー!」

「知りませんよ、遊んでいた罰です」

「遼さんのいけずぅ」

「…増やしますよ?」

「や、やります。はい」

せかせかと問題を解きだす
そんなに張遼は溜息を吐くのであった。

「で、さ遼さん」

「なんですか?」

「遼さん的には教師と生徒の恋ってどうなのかな?」

「…答える気にもなれませんな」

「ぶー」

さてさて、さん的にはどうなのでしょうね?
本気ですか?冗談ですか?



+++おまけ+++


「いざ、尋常に勝負!!」

「え、あ、ちょっと待って下さいよ〜」

「禁断の世界なんぞにいかせないでござるよぉ!!その前に拙者を倒してからにするでござる!!」

「えー?何の事ですかぁ〜?」

蜀との戦で徐晃が姜維を目の敵にして一騎打ちを申し込む姿が度々見られたそうだ。
可哀そうなのは裏で自分がネタにされていた事を知らない姜維であろう…。







まぁ、なんて阿呆な展開ですかねw
あ、あと。
大風起兮雲飛揚 威加海内兮帰故郷 安得猛士兮守四方

これはですね、劉邦の句ですね。読みは
『大風吹き起こり 雲高く舞い上がる 威武を四海に示して 故郷に帰る 
 この上は 勇猛の士を得て 四方の守りをいざ固めん』だそうですよ。

宿敵項羽を倒して7年、63歳の時のものだそうです〜ま、あまり話には関係なのですがね。
03/09/09
13/04/09再UP