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3年魏組張遼先生
「今日もよろしくお願いましまーす」 「はい、こちらこそ」 城のある一室では魏将・張文遠とが互いに頭を下げていた。 「では、今日は昨日の続きですよ、殿」 「読みですね…くぅ…苦手なんだよなぁ」 「苦手じゃなくなるように学ぶのですよ。さぁ読める所まで読んでみてください」 「はーい」 は椅子に座り、書物を開く。 それを声に出して読み始める。 「この日の午後、項梁は儀式を行った。あらためて勅使召平を…庁舎に迎え」 は元々この国の、この世界の人間ではない。 ある日突然、戦場に現れた。 彼女を拾ったのは夏侯惇で、保護を受け、城で生活をしている。 曹操も、夏侯惇もそれはそれはを実の娘、妹のように可愛がっていた。 は曹操らのお蔭でここでの生活に早くになれ、今は自分の庭のように過ごしている。 だが、遊んでばかりはいけないと、曹操がに勉学を進めた。 最低限の学力はつけろと言うのだ。 多分、のいた世界でなら、は普通の学力なのだが、言葉は話せてもこの世界の読み書きができなかった。 なので、毎日決められた時間に勉強せよと言われた。 自習をするにも、読み書きができないので、教師をつけた。 曹操の部下で優れた者は数多くいる。 誰にの教師役を任命しようかと、曹操が考えた結果。 それが張遼に下った。 「え…私が…ですか?」 「うむ。張遼になら安心してを任せられる」 「はぁ…」 「お前自身も良い経験になるだろう。ま、頼むぞ」 曹操自らに頼まれてしまったのであれば断れない。 当初は夏侯惇になついでいるので、彼がいいのでは?とも思ったが。 思った以上に夏侯惇は執務が忙しいのだ。 まぁ、最初は苦労したのだが、今ではすっかり張遼先生が板についているのだ。 「…色とりどりの…はた…はた、はたはた…」 「殿、はたではなく【旗・しるしばた】ですぞ。 その次はスズハタ・旃(きぬばた)・旄(けばた)・旌(とりけばた)と読むのですよ」 「なんか難しいですよ〜意味的には全部、旗な気がするのですけど?」 「ははは、間違ってはいませんな。では、少しその説明をしましょうか」 こんな感じで張遼先生の授業は進むのだ。 時間的に2時間程度だろうか? 間に少し休憩を入れる。 長い時は3時間もかかるときはある。 それはの集中力しだいで変わるのだが。 「では、今日はこの辺で終了いたしましょうか」 「は〜終わった〜字を覚えるのってこんなに難しかったかな…」 は姿勢を楽にする。 張遼は笑いながら教材を片付ける。 「明日もいつもと同じ時間に行いますからね、殿」 「はーい」 「では、最後にこれを」 「なんですか?」 「先日ずるをした罰です」 「あ、あの時のはもう済んだことじゃないですか!」 は抗議するも、張遼は笑いながら一枚の用紙を渡す。 何か書かれている。 「よ…読めないのですけど…」 「まだ教えてませんからね。予習ですよ。そうですね…明後日までに読めるようにいておいてくださいね」 「えー無理ですよ!」 「やるだけやってみてくださいね。あ、夏侯惇殿にやらせるのは駄目ですからね」 「ぐ、わかってますよ」 は頬を膨らませながらその紙とにらめっこしている。 先日夏休みの宿題の一部を夏侯惇に変わってもらったのだ。 後で簡単にばれてしまったのだが、夏侯惇は山のような書類に囲まれてしまったし、は新たに作成された張遼お手製問題集を解かされたのだ。 「そんなに難しくないと思いますよ。そうですね、わからない字は人に聞くぐらいはいいですよ」 「一番の目的は殿が自分で調べると言うことですからね」 「むぅ〜」 「間違ってもいいのですよ。自分でやること!いいですね」 「はーい」 「では、お疲れ様でした」 「ありがとうございました」 張遼は始まりの時と同じように一礼して部屋を出て行った。 彼はこの後は自分の執務をこなすのだ。 いったい、いつの時間に問題集なんぞ作っているのやら? はと言うと、出された宿題とにらめっこ状態だ。 「えーと…お、おおかぜ?たいふう…かな…おこる」 容姿には短めに3行の文が載っているのだが、最初ですでに躓いてしまう。 当然だが、平仮名と言うのはないのだから。 大風起兮雲飛揚 威加海内兮帰故郷 安得猛士兮守四方 「大きな風が起こって雲が飛ぶ?あ、でも揚って字があるなぁ」 ぶちぶち文句を言ってしまう。 「読めない字をどうやって調べるちゅーねん!この時代辞書ってあるのかな…お」 ふとは思った。 自分の荷物に辞書があった気がする。 そう、都合よく、あの日は古典の授業があって普段なら使いもしない分厚い漢語辞典を持っていた。 は急いで自室へ戻って数少ないあの世界からの持ち物を出す。 バックの中にはノートに筆記用具、教科書が数冊に 「あった〜漢語林!んもう〜すっかり忘れてた。ラッキー♪これで宿題できるじゃん!」 はとりあえず打開策が見つかったので上機嫌で宿題を放り出して遊びに行くのだった。 …ってさん、宿題しなくて良いのですか? 張遼先生との授業は毎日こんな感じで行われているのです。 先生役が似合うと思うんですがw
あ。遼さんが出した宿題は漢詩です。
03/09/03
13/04/08再UP
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