ドリーム小説
修兵とに素直に隠してきたことをぶちまけた
おかげで、すっきりしたのか寮に帰ると言い出すこともなく、普通に実家で過ごしていた。
修兵たちが仕事の間、普通に真萩と撫子の面倒を見ながら家事をして。
そうしているうちに、今までの空白が嘘みたいだと思えるくらいになった。
でも、あと数日で寮に戻らねばならない。





【いつの間にかベットの中に】





「「、あそべー!」」

「のわっ!」

足元に抱きつかれて思わず膝がカクンとなった。

「お前ら、危ないだろ?洗濯物を干してからだ」

ペシンと頭を軽く叩かれた。
でも痛くないので、真萩と撫子はえへへと笑う。
最近が優しい。
来たばかりと違って、かまってくれる。
無駄に面倒臭いとか、関わりたくないなどの視線を投げつけてこない。

「なこ、てつだうー!」

ぴょこぴょこ跳ねる撫子。

「それは嬉しいけど、届かないだろ?物干し竿に」

だっこしてーそうすればとどくー」

「二倍の重労働になるから嫌だ」

優しいといえば優しいが、ダメなものはダメと線引きはされるが。

「「、はやくあそんでー」」

「さっき洗濯物干してからって言ったばかりだろうが」

人の話を聴け、そして理解しろ。と二人の額を軽く叩いた。
が洗濯物を干し終えると、終わったと言わんばかりに二人はまとわりついてくる。

「あのなぁ…なんで、お前ら保育所行かねぇんだよ」

「だっているもん」

「ねー」

母の作るご飯も美味しくて好きだが、の作ってくれるご飯も美味しいのだ。

「餌付けしすぎたな」

ご飯だけでなくはお菓子も作ってくれるから余計にだ。

「きょうも何かつくってー」

「なこもいっしょにつくるー!」

「お前らと一緒に作るんじゃ簡単で危なくないものだよなー」

料理をするには一人でする方が手際も良くて好むのだが、菓子作りに関しては
誰かと一緒に作ることを好んでいる
だから自然とそう考えてしまうのかもしれない。

「じゃあ…プリンでも作るか?」

それに生クリームとかフルーツでも好きにトッピングすればいいだろう。

「つくる!それでね、なこ………」

珍しく頬を染めて指を絡めてもじもじしている。

「あ?」

「冬獅郎お兄ちゃんにあげたいの」

「ほう。冬獅郎に…あいつプリンなんて食うのか。真萩は?誰かあげたい奴でもいるのか?」

「別にいなーい…あ、おとーさんとおかーさんにあげる!」

この辺双子でも男女の差という奴だろうか。
が落ち着いたことで、先日日番谷が珍しく檜佐木家にやってきた。
彼は彼なりにを心配してくれたらしい。
だが日番谷らしく、たまたま通っただけだと土産に団子を持ってやってきた。
その時、初めて日番谷と対面した撫子はお子様ながらに日番谷に惚れたようだ。
とりあえず、プリンを作るというのは決定のようだ。



***



「それで、お兄ちゃんと一緒にプリンを作ったの?良かったわね」

夕方になり両親が帰宅してきた。
夕食時、真萩と撫子は今日一日あったことを嬉しそうに修兵とに話している。
この所が夕食の用意をしてくれているのでは楽ができている。

、おかーさんよりおかしつくるのじょうずだよ」

「あら。痛いところ突かれちゃった」

は苦笑する。

「お前ら、変なこというな」

は舌打する。

「でも、本当のことじゃない。昔から君に料理では敵わないもの」

「認めるなって…姉ちゃんが作ったのも美味いじゃん御節なんて俺作らなかったし」

珍しく昔のことを口にする

「修兵がさー。お前も見習えよーなんて言ってきてさ。あの頃の俺の正月は御節よりお年玉獲得に忙しかったんだよ」

「そうだったな。素直な可愛いお子様演じて色んな隊長からお年玉貰ってな」

人をダシに使ったと修兵は笑った。

「毎年かなり儲けたな。ってかさ、今でもシロさんから俺、お年玉貰うんだけど」

「あの人はお前のこと友だちって言っているわりに子どもみたいに可愛がるよな」

「それでシロさんに嫉妬するんだ、修兵は。あー恥かしい奴」

「そんな事をいうお前が恥かしいんだよ」

父子のやり取りを真萩と撫子はキョトンな顔で聞き、はくすくすと笑っている。

「なんで、はおかーさんのことねえちゃんって言うの?」

おかーさんはおかーさんだよねと真萩が聞いてくる。

「それは…」

は目ざといなと舌打ちする。修兵はなんて答えるんだ?とニヤニヤ笑っている。

「お母さんは、俺にとって、お姉さんでもあるんだよ。昔から可愛がってもらったからな」

「ふーん」

真萩はそれで納得したのかわからないがそれ以上は聞いてこなかった。
修兵とそれぞれを一瞥すると二人とも笑っていた。
なんだかこそばゆいものがあるが、これで良かったのかもしれない。



後片付けはがするといい、居間で修兵となんとなく一緒にいる
真萩と撫子はにくっついている。

「昔はさー」

唐突にが口を開いた。

「あん?どうした」

新聞を読んでいた修兵は目線を新聞に向けたまま聞き返す。

姉ちゃんがさ、バレンタインにチョコあげるのにあれこれ頑張ってる時があってさ」

渡したくても勇気がないとか、食べてもらえるか、受け取ってもらえるか心配とか言っていた。

「姉ちゃんにそんな不安な顔をさせるバカがどこのどいつだって思ったんだよな」

「……初耳だな、それ」

からチョコを無記名でもらったことはある修兵。
翌年はと一緒になってくれた。
にそんな男がいたのかと修兵は少し面白くない。

「なんだよ、その顔。わかってないわけ?」

「あ?」

「そのバカって修兵のことだよ。やっぱりバカだよなー」

息子から呆れた眼差しを向けられて修兵は返答に詰まる。

「ま。そのバカが修兵だって知ったのはもっと後だったけど。笑えるよなー」

なにせ、自分の母親になってもらいたいと思った人が好いていたのは父親だったんだから。
あれこれ画策していた頃を思うと本当可笑しくてしょうがない。

「俺さ、そろそろ寮に戻るよ。新学期の準備もあるし」

「そ、そうか」

「次は連休にでも帰ってくるよ」

「…おう」

こんな他愛のないやりとりがくすぐったいし、そうできなく勝手に疎外感を持っていた5年を思うと
本当自分がガキでどうしようもないと思った。

(帰る前に、シロさんに会っていくか)

浮竹にも心配かけただろうからちゃんと話そうと思って。



「それでね!それでね!がね!」

真萩と撫子は本当にのことを嬉しそうに話す。
は今までそれがなかったのが不思議なくらいだと思えた。
修兵から、が思い悩んでいたことを聞いた。
修兵にしか言わなかったのは、のことを気遣ったのだろうと。
は自分が勝手にそう思っていただけだと言っていたそうだが、違う。
自分たちもを放っておきすぎたのだ。あの子は一人で何でもできる子だからと。
自由にさせたというと聞こえはいいが、もう少し見てあげるべきだったのだ。
でも、もう心配はいらないだろう。
の顔を見れば、口にする言葉を聞けば。
それにも嬉しかった。
夕食の時の真萩の素朴な疑問を

「お母さんは、俺にとって、お姉さんでもあるんだよ。昔から可愛がってもらったからな」

と言ってくれたから。

「おかーさんきいてる!?」

「はいはい、聞いているわよ。二人ともお兄ちゃんが大好きなのね」

「「うん!!」」

帰ってきた当初は「悪い奴」などと一方的に決め付けていたようだが。

「じゃあ、教えてあげる。二人の名前はね、お兄ちゃんがつけてくれたのよ」

「「?」」

「真萩と撫子って名前。お兄ちゃんが考えてつけてくれたのよ」

ぽわんと真萩と撫子の頬が赤くなる。
今まで一度も会ったことがないと思っていた兄が、自分たちの名前をつけてくれた。
今よりももう少しの背が低かったころだ。
修兵と結婚してどのくらい経っただろうか、双子を出産した。
寝ている双子を見ていたが言ったのだ。

君。なにかいい名前あるかな?」

「名前?…んー…」

思えば、この頃のは表情があまり変わることがなかった気がする。

「修兵さんも色々考えているみたいだけど、中々思いつかないみたいで」

はりきっていると言ってもいいくらいだったが、これだと言うのが思いつかなかったようだ。

「……はぎとぼたん…あ、やっぱ萩と撫子」

別に興味ないというような顔をしていただったがポツリ呟いた。

「え?萩?」

の問い返しには顔を上げる。

「あの、えっと…秋の七草ってあるじゃん?」

萩と撫子はその中の二つだ。ちょうど双子は秋に生まれた。

「春の七草は体にいいものって奴らしいけど。秋の七草は、ほら、眺めて楽しむものだっていうし、二人の成長、見て楽しめばいいじゃん」

君、なんかすごい」

「そ、そんなことないよ!だ、だって…」

は首を振り慌てる。

「修兵さんに相談してみましょうね」

はニコリと笑った。
修兵と相談した結果、女の子は撫子。男の子は萩の美称から真萩と名付けた。

「って言ってね。お兄ちゃんがつけてくれたのよ」

知らなかった。自分たちのことを嫌々に思っていたようだったから。
二人は顔を見合わせてニッコリ笑った。



***



その晩、が寝ていると妙に暑苦しさを感じた。

「んあぁ…なんだ?」

気づけば、真萩と撫子がの布団に入り込み両側にぴったりくっついて寝ていた。

「お、お前ら…なんだよ」

かと言って、ぐっすり寝ているところを無理矢理起こせるわけもなく。
寝返りもうてない状態でこのまま一晩過ごす羽目になった。

「そんなに懐かれるとは、俺も思わなかったけどさ」

苦笑しつつ子ども特有の甘ったるい匂いにどこか安心感を持ちながら、も再び眠りについた。



「お父さんは少し寂しいぞー」

子どもたちの様子を修兵とが覗きこんでいた。
修兵の様子に少し呆れてしまう

「真萩と撫子もお父さん離れ早いかもしれませんね」

「うんにゃ。はまだ親離れしていないぞ」

「もう。そんな事を言うから君はあなたに悪態つくんですよ」

「あれは照れ隠しだ。今回のことで、がいかにお父さんが大好きだと言う事を再認識したからな」

なんの再認識だ。が起きていたら真っ向から反論しそうなものだが。
というより、子離れができないような気がする。

「じゃあ、代わりに奥さんが離れないように気をつけてくださいね」

珍しくはツンと拗ね修兵を置いてさっさと自室に行ってしまった。

「お、おい。待てって。奥さんも俺は大事だぞ!」

慌てて修兵は追いかけていった。



朝になってもべったりの真萩と撫子には少々うんざりする。
懐かれたことに関しては別に問題ないのだが、帰ってきた当初との温度差が激しい。

君がまた寮に戻っちゃうから寂しいのよ」

朝食を食べるの両脇に陣取っている真萩と撫子。
ちなみに修兵はまだ寝ている。今日は非番のようだ。

「別に…今まで居なかったんだからさ…」

「お兄ちゃんって存在に味占めちゃったのよ」

はくすくす笑う。

「それとね、教えてあげたのよ。名前のことを」

「名前?」

なんで?とは首を傾げる。

「忘れちゃった?この子たちの名前は君が考えてくれたじゃない」

「………」

「嬉しかったのよ、二人とも」

名前?考えた?の中では5年前の記憶は遙か彼方に追いやられていたようだ。
何しろ、この頃は学院に入学、入寮が決定しており、早く離れたいと思っていたときだ。

(名前、名前…あっ)

思い出した。
出産直後のを見舞った時に、どんなのがいいかと聴かれた時だ。

「二人の成長を見て楽しもうって言ってくれたのよね」

「…そんなことも言ったかな…はは」

言えない。ここに言えない秘密ができた。

(おはぎ食いてぇ…とか思ってたんだよな、あの時は)

それで名前は?と聴かれて、生まれてきたのが双子だったので「おはぎ」と「牡丹餅」で
「はぎ」と「ぼたん」でいいんじゃね?とか思ったのだ。
あの頃は本当捻くれていた。
だが流石にまずいと思って「萩」と「撫子」秋だったし。
などとなんとか理由を考えたものだ。

(やべー…言えねぇなー…ま、誰も知らないことだから黙っておこう)

その方が平和なのだから。








親バカすぎて涙が出るなwまぁ、みんな仲良くなってよかっただろうに。
08/05/21UP
12/07/16再UP