ドリーム小説
双子のに対する警戒心は食事で緩和された。
もこれで泣かしたことはチャラになるのではないかとちょっと安堵する。
双子が修兵たちに話せばそれまでなのだが。
元々実家なのに馴染めない光景と空気に、は早々と寮へ帰ろうとしていたのだが。

「「ーばんごはんもつくってー」」

とせがまれてしまった。
昼食を作ったのは仕方なくとたまたまだ。
一応修兵に双子の面倒を見ろと言われてしまったから。
だから、夕方修兵たちが帰宅したら理由をつけて寮へ…と思っていたのだが。

「夕飯はお母さんが作るんだろ?別に俺じゃなくても」

「昨日、おかーさんがのほうがじょうずだっていったー」

「いったー」

「別にそんなことはないって」

「おとーさんもたべたいっていってたー」

作れ、作れと両側から言われてしまい、困ってしまう。
ただ、それもいいかなぁと少し絆されている自分がいた。





【はしゃぎ回る】





食べたものの後片付けし、一息つく。
双子は居間でなにやら絵を描いて遊んでいる。

(そういや、冷蔵庫の中空にしちゃったなぁ)

帰りにが買い物して帰ってくるのだろう。
ならば自分が余計な真似をする必要もない。
このまま時間が過ぎるのを待つだけだ。
だけど、そうなると夕食の時間が遅くなる。
それともだけ少し早めに帰宅できるのだろうか?
今までどうしていたのかを知らないので、行動に移せない。

「おい」

今引き出せる情報源は双子だけだ。
はちょっと来いと手招きする。

「「なにー?」」

別に両方来なくてもいいんだけど、と思いながらも双子に普段はどうしているのかを訊ねた。

「はぎとなこ。いつもは保育所ってところにいるの」

「んで、おかーさんが迎えに来てくれるのをまってるの」

最近の死神社会も変わったものだなぁとしみじみ思う。
女性死神、働く女性に優しいってところだろうか。
それでも、が大変なのは変わりないだろう。
子ども産んでからの方が忙しいのではないだろうか?
そんな時に自分が入寮してしまったのは、負担を駆けさせてしまったような気がする。

「……二人で留守番できるか?」

「「なんでー?」」

「買い物行ってくる」

は出かけると自分の部屋に一旦引っ込んだ。
財布を取りに行ったようだ。

「今日ぐらいはいいよなぁ」

元々そんなに金遣いは荒くないので、ある程度財布に金は入っている。
夕食代ぐらいはあるだろう。
昨日もに迷惑をかけただろうと思ったから、今日ぐらい楽させてあげたい。
階段をゆっくりと下りるが、意外なくらいに一階は静かだった。
双子は大人しく留守番してくれるという事だろうか?
本当は連れて行くのが一番なのだが、ちまちましたのを連れて歩くのが面倒臭い。
普段から一人での買い物に慣れているので、余計な荷物は欲しくないのだ。

「じゃあ、俺、少し出かけるけど…あれ?」

居間を覘くが双子はいない。
それどころか。

「「、早く、はやーくー!!」」

「……なんで?」

双子はすでに出かける準備万端です!と玄関でを待っていた。

「はぎもいくー」

「なこもいくー」

留守番していろと強く言えば、双子は泣くかもしれない。
いや、泣くだろうな。
さっき少し強く言っただけでこの双子は泣いた。
子どもに泣かれるのは嫌だ。
自分の株が下がる。

(って…俺、最低だな)

さっきから自分の保身のことしか考えていない。
昼飯を作ったのも修兵の耳に余計なことを入らせないためだ。

(なんか、こう…もっと純粋にやれんものかな…)

自分で自分に呆れた。

「うろちょろするなよ?いう事聞かなかったら置いていくぞ」

「「はーい!!」」

返事だけはしっかりしているものだ。



***



実家を出ていたからといって、家は劇的に変わっていたものの町並みにそう変化はない。
だから、買い物するにもいつも行っていた場所でいいだろう。

「夕飯。何にするかな」

がつくるのー?」

双子は手を繋ぎの前を歩いている。
撫子がくるりと振り返るので、しっかり前を向いて歩けと注意する。
こういう時、自分が双子と手を繋げばいいのだが、生憎そこまでする気がなかった。

「今日はの作ったコロッケ食べたいな」

実家に帰るのをどうしようかとごねていた前日。
桃色の髪の少女がふと目に浮かんだ。
家族と過ごす時間を優先してくれたやちる。
今夜辺り家に来るような感じがした。

「コロッケにするかな…」

そんなにたくさんの材料を用意するわけでもないし、にしてみると手軽な一品だ。
残りの献立も以前からの習慣でポンポン頭に浮かんでくる。

「コロッケメインにすれば、そんなに他のおかずは用意しなくていいよなー」

指折り数えて、夕食の献立決定だ。
しばらく歩いて到着するスーパー。
双子もよく、というかも利用している店だったようで双子が喜んで店に駆け込んでいった。
カートにカゴを乗せ、は迷うことなく野菜などをカゴに入れていく。
余計なものは買わない、それがの買い物。
時間的にもそんなにかからない。迷うことがないから。10分もかからないだろう、きっと。
だが、今日は双子が一緒だった。
双子はお菓子を一つ手にしてはカゴに入れようとして、に阻止されている。

「買わねぇって言ってるだろ」

「「えー!」」

「そういうのは親に買ってもらえ」

「「えー!!」」

双子に非難されようとも、知らんとはどんどん進んでいく。

「1個!1個でいいからかってー!」

「二人で1個か?なら買ってやるけど」

「「………」」

双子は顔を見合わせる。
どうしようと悩み始めたのだ。

「はぎはチョコのがいい」

「なこはイチゴのがいい」

双子でも好みは多少違いがあるようだ。それとも男女の差だろうか?

「ケンカすんなよ。揉め事起こしたら買わないから」

結構は意地悪だと双子は思った。
これが母だった、仕方ないと買ってくれるのに。
だけどここで二人がケンカでも始めたら、はお菓子を買ってくれない。
2つがダメでも1つなら買ってもらえる。
ケンカをすれば0になる。
でも、お互い食べたいものが違う。さあどうしよう。

「「………」」

「どちらかを選ぶんじゃなくてさ、二人で食べるならこれってもの選べばいいと思うけどな」

双子は菓子売り場に向かって走り出した。
はくつくつ笑ってその後姿を見送った。
残りのものをさっさと選んでしまおうとも進めた。

「…問題は何人来るかだよな…やちるだけならたいして問題にもならないんだけど…」

檜佐木家は突然の客が多い。
自分がいた時はそうだった。だが、今はどうだろう?
それなりに遠慮とかしているのだろうか?
イヅルは遠慮していそうだが、恋次や乱菊は変わらないような気がする。

「「ー!これにするー!!」

二人で悩み選んだものを双子は持ってきた。
なんかのスナック菓子だ。無難な所だろう。

「あいよ。カゴに入れな」

の許しを得られたとカゴに菓子を放り込んだ。

「おっ。若いパパさん発見〜」

背後からいかにもからかっていますという声が聞こえてくる。

「誰がパパだ、恋次」

振り返り相手を睨みつける。恋次がニヤニヤしながら立っている。

「「レンちゃんだー」」

とは対照的に双子は恋次の登場に喜びはしゃいでいる。

「よっ。元気だったか?兄ちゃんと買い物してたのか」

「「うん!」」

双子の頭をそれぞれ撫でる恋次。
恋次の性格からすれば、子どもに好かれやすいとは思う。
可笑しな言い方だが、自分に比べればよほど付き合いは濃いだろう。

「恋次は何してんの?ま、買い物だとはわかるけどさ」

「いや、お前の姿見つけたら入っただけ」

「し・ご・と・はっ!?」

日中からふらふらしているなとに言われてしまう。

「別にいいだろう。ちゃんとやる事はやってるっての。それにしてもパパさん姿が似合ってんぞー?」

「買い物しているだけで、パパとか言われてもな…」

「なんかさ。昔を思い出すな。先輩とチビのお前が一緒にいる時みたいな」

そうかぁ?とは嫌そうな顔をする。
自分は双子よりはしっかりしていたと思うのだが。

「それにしてもさー。お前を引き取った時、先輩が親父?ってのにも驚いたけどよ。
さらに双子の父親にまでなったのにはもっと驚いたけどなー。綺麗な嫁さんもらうしー」

それ順番が逆だろうとツッコミたくなる。
綺麗な嫁さんもらって、双子の父親になったと。

「そういう阿散井さんはいまだに独身ですか?早く可愛いお嫁さん貰ったらどうですか?」

「な、なんだよー」

学生時代の淡い初恋はその後実ったんですか?と穿り返す。
恋次は真っ赤になってうるさいとの頭を叩いた。

「恋次の方がいい父親になるんじゃないのって話。あの修兵が父親やってんだからさ」

「お前がいたからだろ」

結構最低な息子だろうなと思う。

「……あのさ、恋次。俺さ…」

「あ?」

「「ー。本も買ってー」」

一緒に読むからと双子はいつの間にか子ども向けの雑誌を1冊手にとっていた。

「お、お前ら…」

しっかりとの袴を掴んでいる。両側から。

「「買ってー」」

双子の「買って攻撃」には顔を背けている。
聞こえない振りのつもりのようだ。
恋次は珍しいものを見て可笑しくてしょうがない。

「恋次…俺はこんなじゃなかったぞ」

「そうだなー。お前は我慢する頑固者だったよなー」

「「ー」」

双子はなおも袴を引っ張り続ける。

「うるさい。買わない」

「「えー!!」」

「なんだよ、そんなの修兵に頼めばいいじゃないか。俺にじゃなくて」

「「今ほしいのー」」

頼むから一緒に話すな。

「嬉しいんだろ?真萩たちは兄ちゃんと一緒だからさ」

「………」

「俺。兄って言われるほどのことしてない…」

双子は懐いてきたが、が思う根本的な部分が強く根付いている。
だから、素直に喜べないのだ。
恋次はの額に拳を軽く当てた。

「いつでも話ぐらい聞いてやるけどよ。そういう話は多分、先輩とすべきだろ?」

「…わかってる」

俯く。どこか悔しそうな顔をしている。

「変わってねーなー、は。あの頃とちっとも変わってねぇな」

「成長してないってことか?」

「ちげーよ。上手く言えないけどよ、お前らしいなって思うんだよ、俺はさ」

よく「可愛いなあ、は」などとからかわれたが、恋次から見ればやはりそこは変わらないようだ。
人前じゃなかったら昔みたいに頭を撫でていたかもしれない。

「「、レンちゃんにいじめられたのー?」」

双子がキョトンと見上げている。

「苛めてないぞ。可愛がっていたんだ」

「はぎもかわいがってー」

「なこもー!」

二人して恋次に何を要求しているのだろうか。
恋次は別に気にもせずにいいぞーと双子の頭をわしわし撫でた。

「可愛がってもらったついでに、本は恋次に買ってもらえ。俺は買わない」

ガキ扱いされているのはよほど気に入らなかったのが、はさっさとレジへと向かってしまった。

「「レンちゃん」」

ジッと小動物が見上げてくる。
に買ってもらえなかったとしょんぼり落ち込んでいるかのように。
そういう目には弱いんだと恋次は後頭部を掻く。

「しょうがねぇな。買ってやるよ」

「「わーい!!」」

落ち込んでいた顔はどこに行ったのか。
双子は恋次の手を引きレジへと向かうのだった。








のんびり買い物と行かず、結構厳しい息子。まぁ、私自身もさくさく買い物する方なのでw
恋次はまだ独り者か…。
08/05/05UP
12/07/16再UP