お父さんといっしょ。




ドリーム小説
【其ノ四】





「この前はごめんね、

「はぁ?なに、突然」

檜佐木家にやちるが縁側から顔を覗かせた。
と言うより、すでにちょこりと座り込んでいる。
はおはぎをぱくりと頬張っていた。

「あーいいな!あたしも食べたーい。どうしたの?」

「俺の質問答えてないぞ、やちる」

でも、まぁいいかとは台所へと姿を消す。
少ししてお皿に乗せたおはぎ3つを持って戻り、やちるの前に置いた。
気が利く子でお茶もちゃんと一緒にだ。

「俺がさっき作った。味見してよ、やちる」

「もちろんだよ」

おはぎはつぶ餡、きな粉、胡麻の三種だ。
やちるがどれから食べようか少し迷いながらもつぶ餡のおはぎにかぶりついた。

「おいしい〜」

にこ〜っと顔をほころばせるやちるには満足する。

「そっか。なら良かった。今夜恋次が来るって言うからさ」

「レンレンもここ来るの?」

「うん、イヅルとよく来る。でもあの二人が来るのはいつも夜だけどな」

それで夕食を食べていくのだ。
修兵は来るなと言うが、二人はいつも何かしら手土産を持ってくるので強く追い返せない。

「いいなぁ。あたしものご飯食べたい〜」

「今度言ってくれれば、やちるの分も作るぞ」

「本当!?わーい!あ、でも剣ちゃんといつも一緒にご飯食べるから」

「ふーん。そりゃあ家族と一緒の方がいいよな」

「今度、剣ちゃんに会わせてあげるね!剣ちゃんもに会いたいって言ってくれたし」

やちるは剣ちゃんとやらにのことをよく話すらしい。
深く考えていないはなんとなく頷いた。
やちるはおはぎを全て食べ終えた後に、この家にやってきた理由を思い出す。

「そうだよ!この前はごめんね」

「だから、何が」

「おうち汚しちゃったから。修ちゃんに怒られなかった?」

「あぁ、あれか……別に怒られなかったから、気にするな」

ちょっと小さな喧嘩はしたが、あんなのはたいした数にも入らない。

「それでね。に会わせたい人がいるの!」

「剣ちゃんって人?」

やちるは首を横に振る。

「ううん。シロちゃん」

そう言えば前にそんな人物の名前を聞いた覚えがある。

「おはぎ、まだあるなら持って行こうよ。シロちゃんにあげるの!」

「あー別にいいけどな…沢山あるし」

修兵はそんなに甘いものを食べない。
主に恋次が沢山食べるので多めに作ったのだ。
イヅルは普通って程度だし。
はおはぎを丁寧に小さめの重箱に詰める。

「なぁ、夕飯までには帰れるよな?」

「大丈夫だよ。帰りは修ちゃんと帰ればいいじゃん」

「は?」

やちるの案内で行った先は、十番隊隊舎。

「やちる……ここ……シロちゃんって?」

死神なんだと呆然と隊舎を見上げてしまう。
そうだよな、ここ瀞霊廷は死神たちが住まう町。
やちるも死神。
単純に考えればシロちゃんだって死神だろう。

「さ!行くよ」

「行くって…俺が勝手に入っちゃ」

やちるはの手を引いてどんどん中へ進む。
自分たちを見るほかの死神たちの姿には顔を背けたくなる。
修兵に迷惑をかけるのが一番嫌なのだ。
身なりはしっかりしているが、死覇装を着ていないだけで変に目立つ。

「いたーシーロちゃーん」

角を曲がった所で小さな少年と大人の女性が目に入る。
シロちゃんと言われた少年はギロりとやちるを睨みつける。

「誰が、シロちゃんだよ、草鹿……」

「あのね、友だち連れてきたの!シロちゃんともきっと仲良くなれるよ」

「あーん?」

「可愛い子じゃなーい。やちるってば可愛い彼氏ゲットしたのね」

はシロちゃんに挨拶をと思ったのだが、突然顔を両手で捕まれた。
そして目の前には綺麗なお姉さんのお顔が。

は彼氏じゃないよー友だちだよー」

「あら、そう?だって、少年」

「い、いえ、別に…それより離して欲しいのですが…」

「松本」

「ごめんね〜」

カラカラと笑う女性。
豪快での周りにはいないタイプの女性だ。

「ここじゃなんですから、中へ案内したらどうですか、隊長」

「しょうがねーな」

「あのね、が作ったおはぎあるんだよ!美味しいよ!」

ほらと言われて、やちるにまたも引っ張られる
しかし、彼の脳裏には先ほどの女性の言葉が回っている。

(隊長!?隊長って言ったぞ!)

やちるが副隊長っていうだけでも驚いたのに、シロちゃんは隊長だと言う。
が案内されたのは隊長室。
テーブルに重箱を置いて蓋を開けると女性の声が部屋に響く。

「美味しそう〜ね、隊長。美味しそうですよ〜」

「松本、煩い」

「あのね、おいしそうじゃなくて、おいしいの!さっきあたし3つも食べたよ」

ニコニコ笑顔のやちる。
緊張気味の
そんなにやちるが簡単に二人を紹介した。

「シロちゃんと菊ちゃん」

「………その紹介の仕方止めろ」

シロちゃんの眉間に深い皺が掘られる。
正確には十番隊隊長、日番谷冬獅郎。副隊長松本乱菊。

「でね、こっちが!修ちゃんの親戚なんだって」

「しゅうちゃん?」

「あ、えっと、檜佐木です」

はぺこりと二人に向かって頭を下げる。
挨拶もできない子だと思われたくない。
自分の所為で修兵が悪く言われるのが嫌だ。

「あー修兵の。へぇアイツそんなこと一言も言ってなかったのに」

「修ちゃんと一緒に暮らしているんだよね」

「う、うん」

「檜佐木のね」

「本当は修兵の隠し子だったりして〜」

乱菊の一言にドキっとした。
別に隠し子ではないが、彼の養子だと言う事を隠しているから。

「馬鹿か、松本。そいつの前で言うようなことじゃねーだろ」

「あ、そうでした。ごめんね君」

「い、いえ。いいです」

の作ったおはぎを食べながら楽しく話をした。
と言ってももっぱら喋っているのは乱菊とやちるで日番谷とは聞いているだけだった。

「あ、いっけない。やちる、女性死神協会の会議の時間よ」

「えーまだと遊ぶ」

「ダメよ。さ、行きましょうね〜」

乱菊はやちるの手を引いて部屋から出て行く。
に手を振り。

「……えっと……」

嫌がるやちるを物とせずに出て行く乱菊はすごいなぁと思いながらも、現状に戻ると緊張が増した。

「………」

今、日番谷と二人じゃないか。
どうすればいいんだ!?

「お前さ」

「は、はい!」

「……そんなに硬くなるなよ」

「だ、だってさ、隊長さんだし…修兵に迷惑かけたくないし」

お茶をぐいっと飲む日番谷。
その目はどこか呆れている。

「別に檜佐木にどうこう文句言う事なんかねーよ」

「本当?」

「本当。別に俺の部下じゃねーし」

面倒臭そうに肘をついて答える日番谷。
たちはソファに座っていたが、彼だけは少し離れた自分の椅子に座っていた。

「そんなのはどーでもいい。お前、腹減るんだな」

「へ?」

「普通に飯食うんだな」

「う、うん。食べるよ。ソレが何?」

「……何って気付いてないのか?」

「何に?」

日番谷は驚くもにはまったく意味が通じていない。

(なんだ、檜佐木の奴はなにも説明していないのか?それとも誰も疑問に思わないのか?)

「………」

「日番谷隊長?」

「あ、いや、別になんでもねーけど…変な奴」

「えぇ!なんで、何、突然!?そっちが聞いてきたことを普通に答えただけじゃん」

は日番谷に詰め寄る。
会って間もないがコロコロと表情がよく変わる奴だなと日番谷は思った。
檜佐木修兵の親戚の子だと言うが、どうにも彼とは結びつかない。
親戚ってだけじゃしょうがないかとは思うが。

「わかったから、煩い」

「理由教えろよ」

さっきまで敬語だったのが急に壁がなくなった。

「そのうち自分で気づくだろ」

「なんだよ、そのうちって。ずるいぞ、シロちゃん」

「あー?誰がシロちゃんだ!」

「あ、ごめん。やちるがいつも言ってたからさ」

「草鹿のやつ……」

へらっとは笑うが、思い出したように重箱を片付け始めた。

「どうした?」

「俺、帰らなきゃ。夕飯の仕度があるから。今晩恋次たち来るし」

「ふーん。お前がやってんだ」

「そうだよ。俺が全部やってる」

「そりゃすげーな」

「シロちゃんも来る?」

「行かねー」

「でも、今度うちに遊びに来いよ。昼間は俺一人だし」

「考えておく」

それだけもには十分な答えらしい。
さて、帰ろうと思いながらもは足を止める。

「どうした?」

「…俺、帰り道わかんない…やちるに引っ張られてココに来たから」

「阿呆」

しょうがないと日番谷が途中まで送ることにした。
まぁ一般人がここに来るのは滅多にないことだ。
途中で誰かに難癖つけられても困るだろうし。

「………」

「な、なに?」

ジーッと横から日番谷の視線を感じた。

「なんでもねーよ」

「?」

隣に並んで思った。
見た目の年頃は変わらないように見えたが、背丈はのほうがあると。

、お前…好き嫌いあるか?」

「好き嫌い?別にないよ」

「そうか。じゃあ何が好きなんだ?」

「えーっとね。魚かな?焼き魚とか好き」

調理も簡単だし〜とは言う。
日番谷は魚を明日から主食にしようと思ったとか。

「あ、ここでいいよ。ここからはわかるから」

「そっか。じゃあ気をつけろよ」

「うん。シロちゃ…ん。じゃなくて、日番谷隊長、暇な時でいいからウチ来いよな」

「考えておく……じゃあな」

「おぅ!」

が駆け出すと、思わず日番谷は呼び止める。

!」

「あ?なに?」

「その…冬獅郎っていいぞ」

「……シロちゃんはダメなのか?」

「ダメだ」

「わかった。じゃあな冬獅郎!」






「それで?」

「それで帰りに姉ちゃんに会って、餡蜜ご馳走になった」

「だから?」

「だから、飯作る時間なくなった」

ちゃぶ台の上にはおはぎが。
それを前にして修兵が顔を引きつらせている。
恋次は美味いと言っておはぎを食べている。

「ごめん!もっと早く帰るつもりだったんだよ」

「……俺はさすがにコレじゃ腹は膨れねーぞ」

「出前で我慢してください」

……」

「あ、檜佐木先輩。出前でもいいじゃないですか、僕は丼物好きですよ」

おはぎだけを食べるよりは良いとイヅルは思う。

「それに…はい、僕からのお土産です。串揚げ、これを一緒に食べましょう」

「イヅル、ありがとな」

「いいえ。たまには君を休ませてあげないとね。いつもご馳走になっているし」

「イヅルはいい奴だなぁ」

「吉良、それじゃあ俺が毎日コイツをこき使っているみたいじゃないか」

「主婦のようなことさせているじゃないですか」

「そ、それは…」

「檜佐木先輩は君がいなきゃ、今頃野たれ死んでいますよ」

「…吉良、相変わらずキツイ…」

君は何食べる?僕らで勝手に決めてしまおう」

ちょっとばかりへこむ修兵を他所にイヅルと二人で定食屋のメニューを見る
先輩のおごりだから、高めの物にしてしまおうと二人で勝手に注文しているのだった。


翌日、たまたま通りかかったと日番谷が団子をもって遊びに来てくれた。

最近は色んな人と出会って楽しい事ばかりなだった。








イヅルいじめっこw
05/12/22UP
12/06/03再UP