|
どちらかと言えば、仲は良い方だと思う。 僕と。 年が近いってのと、妹がいたらこんな感じかな?って思えるわけで。 ちょっと大げさに言うならば、彼女の事をあまり女性として意識たことはないし。 あ、ごめん。 でも、本当にそうなのだから仕方ない。 それに、だって僕の事を意識するってことないと思うからさ。 だって、僕の周りには格好良いと断言できる人たちがいるのだからさ。 【はじまり】 「姜維〜姜維、姜維〜おーい、キョンちゃん〜どこですかぁ〜」 沢山の書物、竹簡、書簡などが埋まっている部屋の入り口でが姜維を呼ぶ。 呼ばれた主は、奥のほうからムスッとした顔を出す。 だが、薄暗いのでにはそれがわからない。 「何か用かな?。ふざけた名前で呼ばないで欲しいのだけど?それに、一度呼べばわかるから連呼しないでくれる?」 「えーだって、どこにいるかわからないからさぁ」 「まったく…で、用事は何?丞相から呼び出しがあったとか?」 でも、姜維がここで作業していることは孔明は知っているので、よほどのことがない限り呼び出すことはないだろう。 今、姜維がしている作業は孔明に頼まれた事だし。 とりあえず、姜維は読んでいた書物を閉じて、部屋の入り口へと向かう。 少し太陽の光に眩しく感じ、一瞬目を瞑ってしまう。 「大丈夫?ここ暗いもんね」 が顔を覗かせるも姜維は大丈夫だと笑う。 「で、用事はなに?丞相なんだって?」 「ううん、孔明先生の用事じゃないよ」 「は?じゃあ何?」 「もうすぐお昼だから呼びに来たんだよ。お腹空いたでしょう?食べに行こうよ」 「あ、もうそんな時間かぁ…そうだね、食べようか」 「姜維は呼びに来ないと、ずっと続けてそうだもんねぇ」 「そうかな?」 扉を閉めて並んで歩き出す二人。 「そうだよ〜いつも私が呼びにきているでしょうが」 「そうだっけ?」 夢中になれることはいいことだと、は隣で笑う。 でも、ご飯はちゃんと食べようねとも続ける。 「そうだね。ご面倒おかけします」 「あはは〜大したことは私はしてないからね」 「で、は何が食べたいの?」 「ん〜なんでもいいんだよねぇ。でも、少し暑くなってきたからさっぱりした物がいいなぁ」 二人は何を食べようかと話す。 なんてことのない日常。 二人が一緒にいるのはなんとなく当たり前になっている。 は普段は城でぶらぶらしている。 そこそこ勉強はしているようだが、基本的に自分の好きなように過ごしている。 劉備に拾われ、関羽に可愛がられて、張飛とふざけている。 それが最初の頃。 けど、最近は趙雲が教育係で、馬超がをからかって、姜維がそばで笑っている。 そんな感じ。 異性の中で一番気のあう友だち。 それがと姜維。 いつまでも仲良く過ごせればいいと、二人は思う。 昼も済ませた後、二人でのんびり茶など啜っていた。 今、二人がいる場所は兵士たちが使用する食堂と言えばいいのだろうか。 ほとんどの者が食べ終えたようでここには二人しかいない。 もっと関羽たちそこそこ上の者は基本的に自分の執務室などで済ませる。 だが、姜維は結構ここに気楽に食べにきている。 姜維自身は孔明の弟子とは言え、まだまだ見習いと感じているのであろう。 「姜維の午後のお仕事は、また書庫?」 「え?…そう、だね。まだ途中だし。は?」 「さぁ?私はお仕事なんてないし」 「そうだね。みんなの邪魔にならないようにね」 「はいはい」 「…あ、馬超殿だ」 馬超がどこかへ向かっているようで歩いている。 彼の隣には綺麗な女性が。 「馬超の恋人?」 「さぁ?この前いた人と違うから、僕にはわからないね」 「ふーん…馬超はあーやって色々な人連れてるけど、趙雲は見かけないね」 「そうだね。趙雲殿は女官さんたちに囲まれてることはあるけど、特定の人って見ないかも」 「関平君はさ、玄徳様の奥様付きの女官さんと恋仲だってね」 「そうらしいね。結構気が合うからとかなんとか言ってた」 「馬岱君はさ、馬超と違ってお付き合いしている人は一人だよね」 「…あのね、今の人が馬超殿の彼女かなんてわからないだろう?」 「えーだって、いっつも一緒にいる人違うよ?」 「それ本人に聞いてみれば?絶対、小突かれるから」 「そうかなぁ」 「なんで疑うかな」 「でも、姜維は全然だね」 「は?」 「そう言う浮いた話って聞かないからさ」 「別にいいだろう。僕も言わせて貰うけど、だってそういう話聞かないよ」 と言って茶を飲み干す。 そろそろ午後の仕事に取り掛からねば。 「わ、私はいいの!」 「へぇ」 「なんか興味なさ気だね」 「うん、興味ないし」 姜維は人様の恋愛に興味がない。 と言うより、今、自身のことにもだ。 恋愛ごとより、正直勉強していたいってのが本音。 「興味ないって…姜維、好きな人っていないの?」 「はいるの?」 「わ、私のことはいいの!」 「あ、いるんだ」 「だから、姜維は?」 顔を真っ赤にする。 姜維は少し考える。 「…姜維?」 「いないね」 「そ、そうなんだ」 「じゃあ、僕は行くね」 「うん。頑張ってね」 姜維は食べ終えた食器を片付け行ってしまう。 残されたは、少し面白く無さそうに頬杖をつく。 「いないって、あっさり言った…なんか面白くなーい」 しかも、自分に好きな人がいてもそれすらも興味がないようで。 「つまんないったら、つまんなーい」 *** 「だそうですよ、馬超殿」 「なんだ、それは。俺ってそんなに軽い奴に見られてるわけ?」 書庫で作業を開始していた姜維のもとへ馬超と趙雲が来た。 ちょっとした話のネタ程度で、さっきと話したことを言ってみたのだ。 でも馬超は否定もせず笑っているので、きっとは小突かれはしないだろう。 「否定、しないんですね」 趙雲が隣で呆れている。 「あ?別にこいつらが見たって女と付き合ってるわけじゃないしな」 「そうでしょうが…」 「そういうアンタはどうなんだよ?囲まれてる割には特定の奴いないってよ」 「私のことはいいのですよ。囲まれてるわけでもありませんし。ぼちぼちです」 「へぇーぼちぼちかよ」 この二人何しに来たのか、姜維は二人のやり取りを作業を続けながら聞いているだけだった。 だが、そんな姜維の態度に二人は逆にからかいたくなる。 「お前ね、なに一人だけすましてんだよ」 馬超は姜維の頭を乱暴に掻く。 「わ!やめてくださいよ、馬超殿。別にすましてませんよ」 「そうかぁ?興味ありませんって面してよ〜お前にだって気になる女の一人や二人いるだろう?」 「いませんよ!」 「いないのか?」 「いません!」 馬超におもちゃと言うか子どものようにあしらわれて姜維はムキになって反論する。 趙雲は意外だなぁと言う表情をする。 「さっき、にも聞かれましたが、いないものはしょうがないでしょうに」 「姜維、嘘ついたらしょうちしねぇぞ」 「馬超殿、姜維は恥ずかしいから隠そうとしてるのではありませんか?」 「お、そうだよなぁ。好きな女の名前なんて言えねぇか、お前は」 くしゃくしゃと馬超は更に姜維の髪を掻き乱す。 「もう!本当にいないですってば!いいじゃないですか、興味なくたって」 好きな人なんていないし、興味ないしいいじゃないかと姜維は思っている。 いずれはってことはあるだろうに。 別に今はいいじゃないか、放っておいてくれと思う。 そんな姜維の表情に趙雲は気づいて苦笑する。 「なんだ、私はてっきり殿の事を好いていると思っていたよ」 「はぁ!?」 普段からも高い声の姜維の声が一段と高くなった。 「何を言うのですか!趙雲殿まで」 「そうだよな、お前ら仲いいし、いいじゃん、似合いだぜ」 「ば、馬超殿まで!本当に僕は今好きな人なんていませよ!それにのことを女性として意識なんてしたことないですよ!」 「うわぁ、お前、それは酷いぞ」 「姜維、それは殿に失礼だぞ」 「えっと、だから…どちらかと言えば妹みたいだとか、その程度ですよ」 「妹ね」 さっきと打って変って姜維の顔は赤い。 好き嫌い関係なしに、恋愛ごとでからかわれたらそうなってしまうのは仕方ない。 馬超と趙雲は顔を見合わせてニヤニヤしている。 「な、なんですか、もう〜」 「あ、近くにいすぎて気づかないとか?」 「そうですね。いつも一緒でしたし」 「や、止めてくださいよ。気づくも何も、本当に僕は」 「姜維、ちゃんと見てみ?って結構可愛いぜ?」 「そうだぞ。お前が思っているより殿は女らしいよ。それに若い兵士たちの間では結構人気がある」 「…だから、僕は」 「いいか!に男ができてから泣いても知らねぇぞ〜そうならない為に教えてやったんだぜ?」 「余計なお世話ですってば!そんなにがいいなら、お二人が付き合えばいいじゃないですか!」 「私たちが?」 「へぇ、お前それでいいわけ?」 「何度も言わせないでくださいってば!」 「ムキになるな、姜維」 ポンポンと姜維の頭を軽く叩く趙雲。 この人たちから見れば自分はまだまだ子どもなのかとがっくり肩を落としてしまう。 「けど、俺の好みは年上の女性だからはちょっと幼すぎるな。あ〜残念だ」 馬超はバシバシと姜維の背を叩く。 「痛いですよ、馬超殿」 「私も殿は妹みたいと言うか、父親になった気分になるなぁ、娘が出来たらこんな感じかなって。」 「出たな、親馬鹿面が」 「あ、酷いですね。馬超殿。ですが、よく関羽殿とそう話してしまうのですよ」 趙雲は否定もせずに笑っている。 「ま、わからないでもないけどな。よく考えてみ?ちったぁ変わるかもよ」 二人は言いたいことだけ言って去ってしまう。 残された姜維は乱れた髪を整え、作業を再開させる。 させるが… 「もう…二人とも好き勝手言ってくれますね」 中身など全然頭に入らない。 「別にいいじゃないですかぁ…本当の事だし」 ね。 のことかぁ… 「友だちですよ、ただの…」 いつも一緒にいる気の合う友だち。 ずっとこのままでいれればいいなぁって思うわけで。 ずっと? ……… ずっと、このまま友だちで… に恋人でも出来れば、きっとそばにいるのは僕じゃなくなるから。 「別に、に恋人ができても、僕らは友だちだよ…多分」 カーッと頬に熱が帯びたのがわかった。 少し鼻の奥がツーンとして、泣きそうになった。 なんで? だって、友だちだろう? 馬超殿と趙雲殿はふざけて言ったんだ。 いつもみたいに、僕を子ども扱いして。 ただそれだけだろう? なのに、今、胸の中がモヤモヤして気持ち悪い… なんだ、これ? アンケで陸遜or姜維?みたいなものをしてみたら、姜維だったので書いたお題連載でした。
04/05/05
12/05/12再UP
|