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生生流転
#22 処刑直前 ルキアノ処刑が行われるという、双極の丘。 は処刑を阻止すべく浮竹たちとともに双極に向かっていた。 死神たちの走る速度には叶わないのでの背に乗って向かった。 前方に双極が見えてきた。 青白い光の柱が立ったと思うと、炎へと姿を変えた。 「浮竹さん、あれ!」 「あぁ、急ごう!」 お願い、まだ。 まだ、やらないで! 少しずつ近づいてはいるが、その分、炎が大きくなっていく。 「なに、あれ…火の鳥…」 上空に大きな鳥がいる。 斬魄刀百万本に値する破壊力を持つと言われる矛…。 双極の矛の真の姿にして極形の最終執行者。 彼が罪人を貫くことで極形は終わる…。 動き出した。 羽根を羽ばたかせ前へと進む。 その先にはルキアの姿があった。 「朽木さんっ!」 ダメだ。 間に合わない。 そう思ったが、炎の鳥は急に止まる。 よくわからないが、まだ間に合う。 そして、奴が再び動き始めた時に、たどり着けた。 浮竹は持っていた宝具の一部を上空へ放つ。 それは炎の鳥の首へと巻きつき地面に突き刺さる。 「な…何だありゃ!?」 「う…浮竹隊長!?清音も…!」 処刑執行に立ち会っていた各隊の隊長、副隊長たちが浮竹たちの姿を目にする。 「よう、この色男。随分待たせてくれるじゃないの」 浮竹の側に京楽がひらりと舞い立ち、地面に突き刺さった棒に手をつける。 彼の背後には当然のように副隊長の伊勢七緒もいた。 「京楽隊長!!!」 突然の浮竹の行動。 京楽の離反。 その場にいる者は驚愕する。 「すまん。解放に手間取った。だが…これでいける!!」 宝具を前に立てかける。 「止めろ!!奴等…双極を破壊する気だ!!」 だが、浮竹と京楽はすぐに斬魄刀を抜刀し、宝具へと霊圧を打ち付けた。 宝具から流れた二人の霊圧によって双極の炎が飛び散りもとの姿であった矛が滅却する。 その勢いはすごく、その場にいるものたちは吹き飛ばされないように踏ん張る。 は上空にいるルキア以外に黒崎一護の姿を見つけ思わず笑みが零れる。 「無事だ………黒崎!」 「ん?なんだ?…!」 一護は何が起こったのか戸惑うが、下から呼ばれた声に笑みを浮かべる。 ほんの数日なのに、再会できた仲間。 話には聞いてはいたが、その姿を見れて安堵する。 「それなら、こっちは」 一護は身を翻して双極の磔架の上に立つ。 「な…何をする気だ一護!?」 一護は斬魄刀を振り回し勢いをつける。 「壊すんだよ、この…処刑台を!」 「な!よ…止せ!!いいか!聞くのだ一護!!この双極の磔架は…」 「いいから黙って見てろ」 斬魄刀残月を磔架に突き立てる一護。 すると、衝撃が来たかと思うと、砂煙があがる。 色々なものが辺りを舞っている。 が見た時には、すでに磔架は壊され、一護の手にルキアが助け出されていた。 その様子にここにいる全ての者が驚いていた。 「良かった…」 一つの目的、いや最大の目的は達成された。 「ぐぁ!」 「なんだ、お前は!」 乱入者が現れる。 その者によって数名のものが倒される。 「来たか恋次!」 「ルキア!」 死覇装に赤い髪の青年。 傷だらけのようで包帯があちこち巻かれている。 一護は彼とは知り合いのようだ。そしてルキアとも。 「良かった!生きておったのだな恋次!」 「来ると思っていたぜ」 「あったりめーだぜ。俺が来ないで誰がルキアを助けるよ」 「ふっ…よっ」 「ん?」 一護は抱えていたルキアをひょいと持ち上げる。 「あ!?」 「おい、一護っ!!何をする気だ貴様!!」 「待てよ、コラ…てめぇまさか…」 三人のやり取りを見ていたにも一護が何をしようとしているのかがわかった。 「ちょっと…黒崎?」 「受け取れっ!!」 一護は恋次に向かってルキアを投げた。 ボールを投げたかのように。 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「!行って!」 が命じるとが瞬時に動いた。 「馬鹿野郎ーー!!」 恋次はルキアをしっかりと受け止めるが勢いが治まらず後ろに吹き飛ぶ。 だが、途中でが身体で二人を更に受け止める。 「…ば…莫迦者!!一護、貴様ァ!!」 「落としたらどうすんだこの野郎!!」 むくりと身体を起こし罵声を放つ二人には安堵する。 「よ、良かった…黒崎ぃ〜」 ルキアは背後にいる大きな獣の姿に一瞬驚くがすぐさまそれがだと気づいたようだ。 「お前は…の…ありがとう」 の鼻先をルキアは軽く撫でた。 そしてすぐに一護が恋次に命じる。 「連れてけ!!!」 「な」 「ボーっとしてんな!!さっさと連れてけよ!!てめーの仕事だ!死んでも放すなよ!!」 恋次はルキアを抱え無言で走り始めた。 「れ…恋次!!」 立て続けに起こる不測の事態に驚く死神たち。 「あ…阿散井…」 「何を呆けておるのだ、うつけ共!!追え!!副隊長全員でだ!!」 副隊長三人が動いた。 は大きな身体で唸り声をあげ彼らの前方に立ちふさがる。 そして、一護も瞬時に移動し、あっという間に副隊長三人を倒してしまう。 「見えてるって言ったろ。朽木白哉!」 副隊長たちが倒されたとの同時に白哉も動いていたようで、一護と斬魄刀を交える。 鍔迫り合い状態になりながらも、一護は目線を白哉に向けたままに言った。 「ありがとな、。ここは危険だ。お前はのところに戻れ」 は離れる。 そしてそれが合図となり二人とも霊圧を解放し戦闘を開始した。 がの元に戻った時、清音は数歩前に出る。 「姉さん!!」 倒れている副隊長の中に彼女の姉がいた。 清音は心配になり駆け寄ろうとする。 「待て清音コラ!朽木隊長が戦ってんだぞ、ホイホイ近づくと巻き込まれちま…う」 仙太郎が清音を引きとめようとするが、一瞬にして彼の身体が宙に舞った。 の目には何が起きたかわからなかったが、清音のすぐそばには隊長が一人いた。 「待て砕蜂!!」 浮竹は部下に手を出さないように止めに入る。 だが、浮竹の動きは一本の杖で封じられてしまう。 「動くな」 今までずっと黙って見ていた、一番隊隊長でもあり護廷十三隊総隊長の山本元柳斎重国だ。 「元柳斎殿…!」 「罪人を連れて逃げたのは副隊長。斬って挿げ替えれば替えは利く。 そこにいる旅禍の娘も同様…後でゆるりと捕らえよう…じゃが儂が許せんのはおぬしらじゃ」 旅禍の娘と細い目でチラリと見られた時、不安や後悔、色々なものがの中を巡った。 自分はともかく、浮竹が… 「おぬしらは隊長として、してはならん事をした。それがどういう事かわからんおぬしらじゃなかろう…」 重い空気が流れる。 浮竹の表情に焦りが見える。 だが、それを打ち破ったのは京楽だった。 「よォし仕方ない!!」 ポンと浮竹の肩を掴む。 「それじゃ、いっちょ逃げるとしようか浮竹ェ!!!」 「な!」 「へ?」 京楽は浮竹を掴んだまま、更に右手での腰を抱き上げて瞬歩で駆け出す。 七緒ももそれを追った。 「…春水…」 薄っすらと開いた山本の目。 重い空気が一層ざわつき始めた。 「待ってくれ、京楽!まだ俺の部下が!」 の目には双極の丘から落ちているようにしか見えない。 あまりの怖さに悲鳴もでない。 でも浮竹と京楽は気にもならないのか会話を続けている。 「落ち着け。あんな処で山じぃと戦ってみろ、それこそ皆巻き込まれて死んじまう。 二人なら大丈夫さ。感じないか?ここへもう一人ボクらの味方近づいているのを…」 「…うん?…」 「しっかり踏ん張れ、もうすぐ地面だ!」 「う」 段々と地面が近づいてきての表情がだんだんと歪む。 「う、うわ、うわ」 キュっと目を瞑る。 踏ん張れと京楽に言われても、今の自分はどこをどう踏ん張ればいいのだ? 京楽が地面に足をつけた。 どれほどの衝撃が来るのだろうかと思ったのだが、にはさほど衝撃が感じなかった。 京楽は浮竹の肩から手を離すと、そのまま両腕でを抱きかかえる。 「まだまだ逃げないとねぇ」 「え?」 さっきまでは下から風を受けていたのに今度は横から風を受ける。 京楽はを抱えながら走っている。 それもすごく早く。 時間にしてみればそんなに一瞬なのだろうが、には随分長く感じた。 「……結構離れたねぇ」 あちこちに瓦礫が氾濫している場所で二人は足を止めた。 「あぁ。ここまで来れば他に危害も及ばないだろう…それより京楽」 「ん〜なんだい?」 「君を放せ」 強張った顔をしている。 「あ〜そうだったね、ごめんね、ちゃん」 を優しく下ろす京楽。 は恥ずかしさなどもあり照れ笑いをしてしまう。 「いえ、あの…ははは」 「大丈夫か?君」 「あ、えっと。なんか……色々怖かったですが、大丈夫です」 怖いという言葉に浮竹は京楽をじとりと睨みつける。 「ボクなんにもしてないよ?」 も怖いと言うのは下に落ちたことや、すごいスピードでの移動のことだったのだが。 「七緒ちゃんビ〜〜り〜〜v」 七緒とが一緒に到着した。 浮竹と京楽は息一つ切らしてはいないが、七緒は肩で息をしていた。 これが隊長と副隊長の差であろうか? 七緒は胸元を押さえながら息を整える。 「た…隊長たちが迅過ぎるんです…あ」 何も感じなかった。 いつの間にか、山本が瓦礫に腰掛けているではないか。 「…流石…お早いお着きで」 「…昔から逃げる悪餓鬼に撒かれたことはないんじゃよ。来い童共。もう拳骨では済まさんぞ」 山本は立ち上がり一歩ずつ近づいてくる。 立ち上がった時に彼から発せられた霊圧が炎のように感じて、はその強さに怖くなり浮竹の陰に隠れる。 「君」 浮竹の声だけが、それらを取り払うかのように感じる。 だが、七緒が何かしようと懐に手を入れた瞬間に、山本が七緒を睨みつける。 単純に睨まれたはずなのに、七緒は息をするのも困難となり震え、ついには座り込んでしまう。 「大丈夫だ、七緒ちゃん」 京楽が間に割って入り七緒に何か告げてそして、彼女を抱えて姿を消した。 「君。ここは危ない」 浮竹は目線を山本に向けている。 は俯いてはいるが、小さく頷く。 「はい…七緒…さん?のところに行ってます……」 「すまん、一人で行かせてしまうことになるが」 「私にはがいますから……だから大丈夫です」 「ああ、そうだな……」 「浮竹さんも無茶しないでくださいね……こうなってしまったのは私の所為ですから…」 は浮竹の羽織をキュッと掴む。 「いや、俺も……俺が思うままに行動したまでだ…さぁ早く」 浮竹は一度もの顔を見ないまま。 も一度も振り返らずにその場を離れた。 この話が浮竹さん夢にしようと決定したのが、双極部分とVS山爺でしたな。
06/02/19
12/05/05再UP
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