生生流転




ドリーム小説
#18 昼過ぎ・懺罪宮



「・・・・・・・・・・・・」

久しぶりに見た部下の顔は少し痩せていた。

藍染が死んだと聞いて、雨乾堂で寝ていられず飛び出した浮竹。
向かった先は懺罪宮。
大罪とかで牢へと入れられてしまった部下朽木ルキアがいる所。
彼女がここに居ることをあえてあの少女には言わなかった。
連れてくるわけにもいかないし。
ココへ来たのには、部下の様子を見に来たわけではない。
彼女の兄である六番隊隊長・朽木白哉の霊圧を感じたから。
それと知らない霊圧も。

いつの間にか牢から出ていたルキアに、死覇装を着ているから死神だろう青年。
それと、血まみれになって倒れている体格の良い青年の姿があった。
斬魄刀を解放している白哉を止めに入った。

そして直後に現れたオレンジ頭の死覇装の青年。
その青年の姿に目を見張った。

似ている。
大事な片腕だった男に。

思わず、白哉に誰だと問うてしまうが、彼の答えは素っ気無い。

『無関係だ』

と。
ルキアと喋っている姿や今、自分が匿っている旅禍の少女のことを考えると彼が仲間の一人なのだろう。

白哉と打ち合いをするが、そこに懐かしい顔の女性が割って入り、彼を連れて行った。
そして残された浮竹たち。

「・・・・逃げられちまったな・・・・」

白哉はそのまま反転し行ってしまう。

「あ!おい!どこ行くんだ、白哉!!こっちのこいつらどうするんだ!?お前が始末しに来たんだろうが!!」

「興味が失せた。後は好きにしろ」

白哉の後姿を見ながら浮竹は頭を掻いた。

「やれやれ・・・相変わらず勝手な奴だよ・・・・」

「・・・は・・・・あ・・・」

「ル・・・ルキアさんっ・・・!?」

白哉が去ったことでルキアの緊張の糸が切れたらしく、彼女がその場に倒れこんだ。

「・・・無理も無いか・・・・」

浮竹は一呼吸する。

「・・・・さてと・・・それじゃあ呼んでみるか・・・・おーーーーい!仙太郎!清音!!出てきてくれーーーっ!」

浮竹が呼ぶとすぐに二つの影が、彼の前に降り立った。

「「お呼びでありますか、隊長!!」」

薄々感づいてはいた。
いつも一緒にある霊圧の存在に、わかってはいるが浮竹は仙太郎たちに尋ねてしまう。

「やっぱりついてきてたのか・・・いつから居た?」

「“ふうっ・・・やれやれ物騒だな・・・”からであります、隊長!!!」

はっきりと答える仙太郎だが、浮竹は呆れてしまう。

「要するに最初からか・・・危ないからついてくるなと言ったろう・・・・」

「申し訳ありません!!自分は隊長を尊敬しております故!こっそりついて来ずにはいられませんでした!!」

「ああっ!ずるいぞ小椿!!」

ビシッと敬礼する仙太郎に清音も負けずに言う。

「隊長っ!自分もであります!!自分の方が隊長を大好・・・いやっ尊敬してるであります!!」

「あアン!?俺様の方が、より尊敬してるに決まってんだろうが!!やんのか、このハナクソ女!!」

「どういたしまして!!」

何故にこの二人はいつもこうなのだろうか?
尊敬してくれるのは嬉しいのだが。
だからと言って仲が悪いわけではないようだし、気付けばいつも一緒にいる二人だし。

「・・・まあいい・・・清音は四番隊に連絡を。致命重傷者一名だ。
 大至急上級救助班を出して貰ってくれ。仙太郎は朽木を・・・もう一度牢へ入れてやってくれ・・・・」

「・・・はい」

仙太郎がルキアのそばによる。
その際に一緒に居た死神の青年と少し揉めたようだが、清音とともに浮竹の命令を遂行するために離れていく。

残された青年が浮竹におどおどしながらも尋ねようとする。

「・・・あ・・・あの・・・」

「“なぜ僕たちを助けるのか”か?」

「!・・・あ・・・・・・はい・・・」

「助けるとも。藍染をやった犯人がわからない以上。異分子である君たちが犯人の情報を持っている可能性が高い。
 調査もなしに殺さないさ。それに何より−−−−」

浮竹は青年の方に顔を少しだけ向ける。

「たとえ手段は悪くとも君らは、俺の部下を牢から救い出そうとしてくれた。そんな奴らを見殺しになんかできるもんか」



それからしばらくして、ルキアは再び牢へ。
重傷者だった青年は四番隊へ運ばれ、一緒に居た青年が四番隊所属だったので、四番隊隊長卯ノ花へ一筆添えることにした。
簡単にだが。
それを仙太郎へ持たせ彼のことを任せ、自分は雨乾堂へと戻ることにした。

仙太郎と清音がついて来たので、一緒にいたはずであった彼女のことが気にかかった。

君。ちゃんと大人しくしていたか?」

中からの返事は無い。

「まさか・・・」

中へ入ると誰の姿も無い。
一緒に居たまで。

「・・・・君まで・・・・どうして誰も俺の言うこと聞いてくれないんだ?・・・・はぁ・・・」

勝手なことはしないと約束したじゃないか。
それに旅禍であるが一人でうろうろすれば勘の良い者、隊長クラスの者にでも見つかったらマズイ。
藍染が殺されてしまい、疑いは旅禍へと向けられているのだから。

「こうしてはいられんな」

浮竹は再び雨乾堂を出る。
彼女の霊圧を探りながら。



***



浮竹が心配しているなど知らずにはうろうろしていた。
と一緒だとまず怪しまれるので、には斬魄刀のような日本刀へと姿を変え腰に差した。
にとっては自分の霊力を自在に操れると言うのは都合が良かった。
とりあえず、一般の死神の振りはできている。

(斬魄刀に名前があるとか・・・・聞かれたらなんて答えようかな〜)

(ゾロの雪走とか和同一文字とか鬼徹とか格好いいかな〜)

おどおどしていれば怪しまれるから堂々とかまえている。
浮竹を探すつもりだったが、自分の現在地がイマイチ掴めず、仕方ないので情報収集することにした。

現時点で仕入れた情報は旅禍の進入によって戦時特例とやらが発動されているらしい。
そのために平隊員たちも斬魄刀を差しているらしい。
一護たちがあちこちで暴れているからなのかと思っている。
六番隊の副隊長がやられたと言うのも聞いた。

「・・・でもここどこよ?」

忙しなく隊員たちが動いている。
どこかの建物。
次はどこに行こうかとが辺りを見回していると背後から声をかけられた。

「おい、お前何してる」

「は、はい!?」

ビシッと背筋を伸ばして振り返ると少し目つきの悪い男がいる。
顔に傷がある。

(うわ、どうしよう〜なんか怖そうな人だよ・・・・)

の顔をジッと見ている顔なんか睨まれているようで怖い。
が旅禍であるということに気付いたのだろうか?
隊長クラスともなれば簡単にばれそうなものだが。
この人も上クラスなのだろうか?

「お前、どこの隊だ?」

「は、はい・・・・じゅ、十三番隊・・・・です。今期から入隊した新人で・・・・道に迷ってしまって・・・・」

ダメか、こんなベタな言い訳。

「そっか。そりゃ大変だな。どこへ行くつもりだったんだ?教えてやるよ」

(見かけによらず、いい人!ヤバイ、そんないい人を騙すなんて、私にはできない・・・・・)

「どうした?」

「あ、いえ・・・・その・・・・!?」

男の顔をチラッと窺いつつも目は泳いでしまう。
そんな時にの目に入ったもの。
他の隊員たちはしていないものを腕に巻いてる。

「・・・・腕・・・・」

「あ?」

は思わず口元を手で押さえる。

(久しぶりのヒット!ヤバイ、ヤバイ落ち着け私!)

男は他の死神たちと違って死覇装に袖がついていなかった。
むき出しの腕。
その腕にの頬が緩んでしまう。

(無駄についていない、筋肉!上腕二等筋、上腕三等筋が私の理想〜肘から手首までもいい感じ!)

「お、おい、どうした?具合でも悪いのか?」

(尺骨にちょーと筋肉ついてるけど橈骨が逆にいい感じだよ〜肩にはあんま筋肉ついてないし〜)

でも見てると変な人と思われるのでは顔を手で覆ってしまう。
それには男も驚く。

「な、なんだよ?お前やっぱ具合悪いんじゃないのか?」

顔を覗きこまれる
指の隙間から見えた男の顔と聞こえる声。さらに腕。

「あーダメかも・・・」

はその場に座り込んでしまう。

「お、おい」

(声も好きかも・・・)

男はこれでは埒が明かないと突然を抱き上げる。

「ひゃあ!」

「悪ぃ。なんかお前具合悪そうだし、四番隊連れて行ってやるから」

「い、いいです!私、どこも悪くないですから!」

「どこがだよ。熱あるんだろ?顔真っ赤だぜ」

「そ、それは・・・」

あなたを見てなんて言えないだろう。
でもこのまま四番隊とやらへ連れていかれても、診察されれば一発でばれてしまう。
色んなことが。

どうしよう。
先ほど十三番隊と答えてしまったから旅禍だとばれてしまった場合浮竹たちに迷惑がかかってしまったら・・・
は抜け出そうとジタバタ暴れる。

「お、おい。暴れるなって」

君!」

「浮竹隊長?」

突然現れた浮竹の姿に男は驚いた。

「檜佐木君。彼女が何かしたのか?」

「い、いえ。具合が悪そうだったので四番隊へ連れて行こうかと思っただけですので」

「そうか。ありがとう。でも彼女は俺が連れて行くからいいよ。君も忙しいだろう」

「あ、はい」

男・檜佐木はを静かに下ろした。
は顔を真っ赤にしながらも檜佐木に頭を下げる。

「ご、ご迷惑おかけしました。あ、あとありがとうございました」

「いいって。それじゃあ失礼します、浮竹隊長」

浮竹に一礼して檜佐木は踵を返した。
その際チラリとを見て。

「・・・・・」

君」

檜佐木の後姿に手を振りながら浮竹がに問う。

「は、はい!」

「君は俺との約束忘れたのかい?」

檜佐木の姿がなくなったので手を下ろすが浮竹の顔は笑顔から一転して不機嫌そうだ。

「わ、忘れていません!」

「だけど、大人しくしていなかったじゃないかー」

「そ、それは・・・・あの後、仙太郎さんたちを見送って一人で考えていたのですが」

浮竹を上目で見る
その顔はいまだに赤い。

「なんとなく私も浮竹さんの後を追おうと思って出たのですが・・・・」

「うん」

「迷子になりました」

「・・・・・迷子?」

「迷子です。なので情報収集しておこうかなと」

「それで檜佐木君と?」

「檜佐木・・・さん?にはそこで声をかけられて応対していたのですが・・・・」

君、顔が真っ赤だなぁ・・・・・檜佐木君みたいのが好みなのか?」

確かに檜佐木は人望厚いし、隊長である東仙にも忠実だし。
女性隊員たちにも人気はあるようだが・・・
なんとなく面白くない気がする。

「えーいえ!その!ち、違います!あ、でも違わないような・・・う、腕が」

「腕?」

「腕が格好いい人だと思ったので・・・・」

何を馬鹿なことを言ったのだろうか、自分は。
阿呆らしいと浮竹は思うだろうし。
今の自分がおかれた状況を見て何を考えているのだろうかと厭きられてしまうだろう。

・・・なのだが。
浮竹は自分の袖を捲くりジッと見る。

「う、浮竹さん?」

「あ、いや・・・・なんでもない、なんでも・・・・」

浮竹は慌てて捲くった袖を戻す。

「えっと・・・わざわざ探させてしまってすみませんでした」

は浮竹と向かいあって頭を深々と下げる。

「もういいよ。こうして見つけられたし、何も問題を起こしていないようだしな」

「い、一応」

「その刀は?」

「あ。です。私の能力はちょっとばかし便利なんですよ〜に姿を変えてもらいました」

「あぁそうだったな。昨日の大きなには驚かされた」

「う、うぅ重ね重ねすみません」

浮竹はくすりと笑み、の背中を軽く押した。

「さて、雨乾堂に戻るとするか。俺も君に聞きたいことが少しあってな」

それに誰かにまた見られたら不味いだろう。

「はい」

そう。
あのオレンジ頭の青年のことなど・・・・








シリアス展開をぶち壊す私の趣味の世界。しょうもないな、マジでw
06/01/14
12/03/21再UP