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生生流転
#17 雨乾堂・二日目朝。 が目を覚ますと、隣の布団で浮竹が寝ていた。 (うわっ、普通に近いんですけど…って私いつの間に寝てた?) しっかり掛け布団に包まって目が覚めた。 隣で普通に寝息をたてている浮竹を見ると、自分は本当にこの人から見たら子どもなんだと思った。 (そう言えば、浮竹さんって年いくつくらいかな?見た目は20代後半…30代前半なんだけど) 詳しいことは知らないが、一護から聞いた話。 見た目は同世代のルキアでさえ、自分たちより数倍は長く生きているらしい。 見た目だけのことを考えると、それは少し羨ましい気もするが 人より長く生き続けるってのがどんな気分なのだろうか? それは気にしないものなのだろうか? (一般の死神は多分人間とはあまり接触しないんだろうなぁ) 自分たちが関わりすぎたのだろう。 (ってそんな事は考えてもわからないからいいや) は起きて早々と着替える。 洗顔も済ませて、朝食は恐らく清音たちが運んでくるからそれまで待てばよい。 浮竹も昨夜は遅くまで仕事をしていたようだし、このままにしておこう。 布団を片付けて部屋を見回すとの姿が見えない。 どこかと思って外に顔を出すと、入口で気持ち良さそうに寝そべっていた。 (入口ぐらいなら大丈夫だよね) は静かに部屋を出る。 「おはよ、〜」 飼い主の姿には尻尾を元気よく振る。 「って昔から思ったけど、朝何時に目を覚ましてるのよ…は、あはは。こら飛びつくな」 は大きいから飛びつかれて思わずそのまま腰をつけてしまう。 昔からずっと思っていた。 犬の睡眠時間は人間の倍ある。 日中も寝ていることが多い。 でも、は朝早くから父と散歩に出かけている。 父が目を覚ます頃から座って待っていると言うのだ。 「昼寝しているから、大丈夫なのかな?」 そこへ二つの足音が。 ヤバイと思ったのだが、姿を見て安堵する。 仙太郎と清音だ。 朝早くからご苦労なことだ。 「お前、何やってんだ?」 「お、おはようございます。浮竹さんならまだ寝てますよ」 「ほ、本当にここで寝たんだ……」 少し清音の顔が引きつっているように見えた。 「は、はぁ。ぐっすり寝てしまいました」 としては苦笑しかでない。 「隊長が寝てるなら、お前メシどうするよ?」 「……どうしましょうか」 先に食べておくべきかな? それとも待ったほうがいいかな? は考える。 「あの、浮竹さんが起きるまで待ってますから…その間、と散歩したいのですが」 「散歩?でも隊長にここから出るなって言われたろ?」 「別に逃げようとは思いませんよ、約束しましたから。ただ、運動不足になりそうで…」 部活をやっていた頃はこれでもかって言うくらい身体を動かしていた。 毎日走りこみをしていたし。 まだ二日ばかりだが、動かないでじっとしているのは正直しんどい。 「ここの周りくらいはダメですかね」 「雨乾堂の周りねぇ…」 池の中心に建てられた雨乾堂。 清音は周りを見渡すが、ちょっと散歩ができるような感じはしない。 「無理じゃないかな、道ないし」 「で、ですよね……あ〜身体がなまる〜」 それでなくとも、ここで食っちゃ寝していれば太りそうで怖い。 「しょうがない。私と一緒なら隊舎の方につれて行ってあげる」 清音が言い出すと仙太郎が驚く。 「お、おい!清音、勝手なこと言うな!」 「大丈夫よ〜隊長はうちの隊士たちなら問題ないって言ってたでしょ?それに彼女の姿もう見られているし」 「え!そ、そうなんですか!?」 「うん。でも大丈夫!十三番隊の隊士は誰一人として隊長を裏切る真似はしないから!」 そこまで言い切る清音がすごいと思った。 「じゃ、じゃあお願いして良いですか?」 「いいわよ」 「良かったね、。久しぶりの散歩だよ〜」 「じゃあ、行こうか」 「お、おい清音〜」 「あんたは朝食の準備。すぐ持ってこられるようにね」 「お、おぅ」 三人と一匹は雨乾堂から離れて行った。 「ほ、本当に平気なんですね…」 十三番隊の隊舎のある辺りはなんとも不思議な感じがした。 瀞霊廷突入前に見た瀞霊壁の向こう側は普通に町だった。 だけど、ここはちょっとした森? 日本家屋のような建物がいくつか見える。 あれが隊員たちのいる隊舎なのだろう。 でも所々に植えられた木々によって道を選べば誰にも会わずに歩いていける。 「…………」 「どうしたの?」 「あ、えーと…ここが朽木さんのいた所なんだなぁって」 「うん、そうだよ」 「………あ、あの!清音さん」 「なに?」 「浮竹さんは…私なんかを匿って大丈夫でしょうか?」 浮竹は自分のことなど気にするなと言った。 言ったが、いいのだろうか?本当に甘えてしまって。 いくら隊長と雖も、これは他の死神たちへの裏切り行為にはならないだろうか? 清音は一瞬返答に詰まる。 それは彼女も同じ事を考えていたから。 でも、浮竹が大丈夫と言ったのならば、最初からこの人について行こうと決めているから。 「大丈夫!隊長と私が朽木さんを牢から出してあげるから!」 「は、はい。よろしくお願いします」 そうなると一番楽なのだろうなと思いながらは笑うのだった。 昼。 「………お腹空いた…」 「隊長ずっと寝っぱなしだな」 「昨夜も遅くまで仕事していましたよ?」 「もう〜ご自分の身体をもうちょっと労わって欲しいなぁ」 浮竹が起きてこない。 しょうがないので、清音たちと一緒に朝食兼昼食を食べた。 仕事はしていた浮竹だが、現在療養中とのことだった。 隊長たちが集まる隊首会と言う会議が2度ほど行われたが、浮竹は欠席したとのこと。 と言うより、清音たちは隊首会があったことさえ知らなかった。 いや、一度目の隊首隊は放送で通達があったから知ってはいたが。 「にしても、お前の力つーのは不思議なものだな」 「そ、そうですか?」 「なんか俺らとはやっぱ違うな」 浮竹が寝ている間、は外で霊力をさらに自在に操るべく、一人で練習していたのだ。 一人と言っても、その間仙太郎が見張っていたのだが。 「私に力を使うことを教えてくれた人が言うには、この力は自分の魂の底から引き出されたものだって」 「へぇ」 「私は三回も虚に襲われました」 どうやら、それはその力、高い霊圧を狙ってのものらしいのだが。 「さ、三回!?」 「珍しいですかね、それって」 「珍しいつーか、ありえねーだろ」 「そうですか?でも実際そうだったわけだし、三回目の時は自分との力で倒しました」 2度目の時は一護とルキアに救われた。 「最初の頃は……さんに…」 「え?聞こえないよ?」 「あ!なんでもないです!と、とにくかく。この力で朽木さんを助ける手伝いができたらいいなって思うわけですよ」 それに元々、自分が尸魂界へ行く理由は織姫を守るためだ。 ここにいる以上、それは果たされないのだが。 のんびりここで食事しているってのもどうかと思うのだが。 昼食を終えて雨乾堂に戻った時、浮竹の大きな声がした。 「何ィ!?藍染が殺された!?」 その声に驚いてか、清音たちとは違う装飾の男が中から飛び出してきた。 「いつ!?誰に!?どうして!?」 浮竹の勢いは止まらない、男は後ずさりしてしまう。 「ほ…本日未明!!犯人及び動機は不明ですっ!!」 「くそ〜〜〜俺が寝てる間にそんなことに………許せん!」 そんな様子を少し離れた場所から見ていたたち。 「清音さん、藍染さんって?」 「ご、五番隊の隊長よ………でも、そんな…」 男が浮竹の側から去って行った。 浮竹は踵を返して部屋の中へ戻っていく。 それから、数分もしないうちに彼は出てきた。 死覇装に白の羽織を着て。 「た、隊長!」 駆け寄る仙太郎に清音。 「少し出てくる。後を頼むな」 「それなら、自分たちもお供します!」 「危ないからついてくるな、俺一人でいい」 浮竹は歩き出す。 の横を通り抜けていく。 「う、浮竹さん!」 「君も。中で大人しくしていてくれ」 そう告げて浮竹は一人で行ってしまう。 中にいろと言われたので仕方なくは中へ戻る。 仙太郎と清音も一緒に。 だが、二人は落ち着かない様子だ。 あまりの落ち着きのなさに、が二人に向かって言った。 「あ、あの〜。私のことなら気にしなくていいですよ?浮竹さんの所に行きたいんですよね?」 「そ、それは…」 浮竹に言われた以上、それはできないと二人の顔はそう言っている。 でも。 「…身体は正直ですね、お二人とも」 は苦笑する。 身体は入口の方を向いている。 「いってらっしゃいです。お二人とも浮竹さんが心配なんですよね」 「ちゃん…」 「私はここで大人しくしていますから」 「わ、悪ぃな」 にっこりと笑むに仙太郎たちは、少し心配はあるものの、自分の行動を止められない。 仙太郎たちは雨乾堂を飛び出して行った。 「……浮竹さん、好かれているなぁ〜」 くすくすと笑いながらも、一人になって静かな部屋の中で急に寂しさが湧き上がる。 賑やかな人たちばかりだから… でも、その分冷静に考えることができた。 五番隊の隊長が殺された。 犯人及び動機は不明。 犯人と言われて、怨恨がどうのと言うのはにはわからない。 その殺された隊長ってのは知らないし。 知っているのは浮竹と市丸だけ。 だとすると、仲間の誰かとその隊長が戦ったのだろうか? 無理だ。 の力が他の仲間たちとどのくらい差があるのかわからない。 わからないけど、夜一に言われた事を思えば、簡単に隊長とやりあうような真似をしないだろう。 少しだけだか、浮竹が自分より遥かに上の力を持つ人だと言うのは昨日わかった。 だが、もし。 もし隊長クラスと同等に戦うことができると言うならば、それは一護くらいだろう。 でも、彼の霊圧を昨日の夕方感じた時に、浮竹は何も言わなかった。 藍染が殺されたの昨夜未明。 時間的にはあの時ではない。 「わかんないよ…違うよね、そんなの…」 人を斬る。 覚悟はしてきたつもりだ。 戦闘になればそうなるだろうと。 きっと仲間たちは戦っているはずだ。 ここでのんびり守られている自分とは違って。 「何しに来たのよ、私は………織姫…黒崎…」 皆大丈夫か? 改めて不安に狩られる。 だから。 「浮竹さん、捜そう…」 彼がどこへ向かったのは知らないが、ここでじっとしていられない。 藍染を殺した犯人などの情報がもっと欲しい。 仲間たちがしたことなのか、どうなのか。 は雨乾堂を出た。 06/01/06
12/03/21再UP
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