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生生流転
「やめねえかッ!!!!」 部屋に響く空鶴の怒声。 ゴス ドカ 彼女が落とした制裁の音、二発。 「何なんだテメーら!?カオ合わせるなりイキナリ殴り合い始めやがって!」 夜一から話を聞き終えた空鶴はあっさりと協力を認めてくれた。 ただ夜一のことは信用しているが、一護たちとは顔を合わせたばかり。 見張りの意味を込めて彼女の手下をつけるところまでは順調に進んだ。 だが、その手下が彼女の弟であり、昨夜出会った岩鷲だったので一騒動起きてしまった。 顔を見合わせるなり殴り合いの喧嘩を始めた一護と岩鷲。 誰も止められないでいた所を空鶴が拳で止めた。 単に止めようと思ったと言うより鬱陶しいと感じたに違いない。 岩鷲が言い訳を述べるが、聞く耳なし。 一護にも文句があるなら出て行けと脅しとりあえずは済んだ。 空鶴の後についていくと、とてつもなく広い部屋に案内された。 中は光がなく薄暗かったが大きい棒状の物が立っている。 「な、なんだこりゃ…」 「でかい…」 「こいつらでテメーらを瀞霊廷ん中にブチ込むのさ!空から!」 「「空ア!!?」」 「おれの名前は志波空鶴…流魂街一の花火師だぜ!」 「花火師?」 「そうだ!金彦!銀彦!上げろ!」 空鶴の声が合図で突然重々しい音がしたと思うと、床が揺れた。 「な、なんだ!?」 「床が上がってくる!?」 さらに天井も開き、一護たちは地上へとあげられた。 「どうだ!ビビッたか、ガキども!こいつが志波空鶴専用巨大花火台!!」 「花鶴大砲だ!!」 「勝手に台座に乗るんじゃねぇ!」 岩鷲は空鶴に蹴り落とされた… #12 「何だ?これ…」 一護の手にガラス状の球体がある。 「『霊珠核』だ。そいつに掌を押し当てて霊力を込めてみろ」 「?………」 一護は霊珠核を力強く掌を押し当てるがすぐに動きが止まる。 「…って“霊力を込める”ってどうやるんだ?」 「あァ!?何言ってんだ!? そんなもんこうやって鬼道撃つ時みたいに手先に力込めりゃいいだけじゃねぇか。死神なら鬼道ぐらい使えんだろ?」 空鶴の手から青白い球体の光が現れる。 「それが、此奴は先刻話した通りの俄死神でな…鬼道が全く使えぬのじゃ」 「何だと!?…ちッ、しょうがねえな・・・岩鷲!手本見せてやれ!」 「はい!…オラ!よこせ」 岩鷲が一護から霊珠核を貰おうとするが、一護はひょいと頭上にあげてしまう。 奪おうとする岩鷲、逃げる一護。 「てめぇ…やる気かコラ…」 「おォ!取れるもんなら取ってみやがれ!!テメーに教えを乞うぐらいならば死んだ方がマシだボケ!!」 ガス! ゴン! 「いい加減にしろ!!」 空鶴の鉄拳が再び二人の頭に落ちた。 「黒崎って学習能力ないねぇ」 「…かもね」 岩鷲が霊珠核に触れてから数秒後、風が舞ったと思うと彼を中心にして球体が現れた。 「これが砲弾だ!」 「砲弾…」 「いいかよく聞け。テメーらは瀞霊廷をガードしているのは周囲に張り巡らされた瀞霊壁だけだと思ってるかもしれねぇが、そいつは間違いだ。 瀞霊壁ってのは尸魂界でも希少な『殺気石』っつう霊力を遮断する鉱石でできている。だから壁に霊力で穴をあけて中に入ることはできねえ。 その上この『殺気石』ってのは厄介なことに切断面からも霊力を分解する波動を出しやがるんだ」 空鶴は殺気石のかけらだと言う小石を床に置いた。 それに向かって霊力を放つと、小石は無傷で床などが円状にえぐれた。 「瀞霊廷はその波動で空の上から土の中まで球体状に障壁が張られてるってことだ」 「そ、空から地中まで…」 「当然そんな所にただ飛んでっても霊子でできているおれたちはチリとなってオシマイだ」 「そこでコイツの出番だ!」 空鶴はドンと砲弾を叩く。 「こいつはおれの開発した“特殊硬化霊子隔壁発生装置!”お前ら全員でこの球体に霊力を込めれば、一時的に瀞霊廷の障壁を突き破るぐらいの砲弾が作れる!そいつをこの花鶴大砲で打ち上げて…一気に内部へ突入するって寸法だ!多少荒いやり方だが他に方法は無え!以上だ!何か質問はある奴!」 「え、えーっと…」 「無えなら解散!地下練武場で霊力集中の練習に入れ!金彦!銀彦連れていけ!」 「「御意!」」 突然二人は一護たちを軽々と持ちあげる。 「しっかり練習しろよ!一人でも集中乱したらその場でドカンだからな!」 「何ィ!」 早速地下練武場にて練習を始める。 「違う!違いますぞ!一護殿!」 金彦と銀彦はほとんど一護に付っきりになってしまう。 「うおお!ではなくぬああ!って感じで!」 「うぬあ!」 「違う違う!」 「わかんねーよ!もっとわかりやすく説明しろ!」 一護とは少し離れた場所でたちは練習をしていた。 「………黒崎の苦手分野って感じだよね」 「うん…大丈夫かな?黒崎くん」 「なんとかしないと行けないんだからなんとかするでしょ。ここで何日も足止めされるわけにはいかんでしょうし」 「ちゃん…」 尸魂界へ来る前の夜一レッスンのおかげかは大して苦労なく霊珠核に霊力を込めることができた。 何度も練習する事により安定し、より強度なものが出来上がる。 数時間後、己の状態を金彦と銀彦に見せる。 「織姫殿!おぉ!中々スジが良いですぞ!」 「石田殿!おお!えらく細いが形にはなってますな!」 「なんかこの細さは性格的なものが原因ですな!」 「チャド殿!お…おおっやや不安定ながらこれはパワフル!」 「殿!おぉ!完璧ですな〜」 「一護殿!」 4人は合格点をもらえるが、一護だけはやはりと言うか中々霊力を込めることができない。 「これはひどい!何ですかな、これは!?見るにたえませんな!」 「いや、まったく!才能が無いとしか思えません!ひどい、ひどすぎる!」 一護は霊珠核を銀彦に向けて投げる。 「銀の字ィ!」 「わかんねぇっつてんだろ!もっとこーコツっぽいのとか教えろよ!」 日も暮れて大分経つ。 もう外は暗く月が出ているだろう。 時間だけは過ぎていくのに、一護だけ中々先に進めないでいた。 「はぁ…はぁ…」 出入り口が開いて岩鷲の手下の一人が中に声をかける。 「アニキ…一応メシの用意できたけど…」 「おーいオメーら!晩飯の用意できたってよー食ってこいよ!どーせ腹減ってんだろ!?」 「…そう言えば…」 「流魂街じゃメシ出なかっただろ?あそこの連中は霊力使えねぇからな、ハラ減らねぇんだ!」 「…あ、いや…」 「……俺はいい。先食っててくれ。コレができたら俺も行くから」 「じゃ、じゃあ先にご馳走になろうかな」 「うん、わかった」 「ん」 はスタスタと練武場から出て行く。 「どこで食べればいいの?」 「あ、あっちっす」 は手下君の後について行く。 「わ〜美味しそうじゃん」 は御膳棚の上に置かれた食事を見て喜んだ。 織姫たちもやってきて4人で静かにだが食べ始める。 織姫が何か気にしているなぁとは思った。 「ご馳走様でした」 「ん」 「はぁお腹いっぱい〜」 箸を置いて正座していた足をは崩した。 石田が織姫の皿を見てあまり減っていない事に気付く。 「あれ、井上さん。随分余っているけどもういいのかい?」 「う…うん!もうあたしおなかいっぱ…」 ぐぅ…ぐぅぅ〜 織姫の腹の音が豪快に鳴る。 織姫は腹を殴って誤魔化すが。 「ほ、ほら…おなか…いっぱ…大丈夫…だよ…」 織姫の行動に石田と茶渡はぎょっとするがは呆れ息を吐いた。 「だ、大丈夫だよ…そこまでして止めなくても聞かなかった事にするから…」 「ほ…ほんとはね…黒崎くんに持ってってあげようと思ったの…」 「そうか…黒崎の奴まだ…」 時計の針はすでに深夜一時を越えている。 一護のことが全員心配になる。 「はぁ…でもダメだよ、織姫」 「ちゃん」 「それはあんたの分の食事。ちゃんと食べなきゃ。黒崎の分だって別にあるでしょうが」 「そ、そうだけど…」 「昨日からあんたが1番霊力使っているんだから、食べてちゃんと補充しないといざって時力出せないよ」 「……うん」 「できたら食べに来るって言ってたでしょ、黒崎は」 「うん…」 織姫はに言われて残りも食べてしまおうかと思った時。突然家がずしりと揺れた。 「な、なんだ?」 揺れは更に大きくなる。 「黒崎くんだ…」 「行ってみよう!」 練武場へ駆けつけるとすさまじい霊圧が溢れていた。 岩鷲も誰もが中に入る事ができない。 その中心には一護がいる。 同じように駆けつけた空鶴が岩鷲から話を聞いて扉を開ける。 「バカ野郎!!何してんだ、てめえ!!さっさと霊力固めやがれ!」 空鶴の一声で強大な霊圧は凝縮されてようやく霊力を込めることができた。 「で、できた!」 綺麗な球体・砲弾が見事にできている。 「や、やったね!黒崎くん!」 「オォ!」 ピシ。 「バ、バカ野郎!急に集中を解くんじゃねぇ!!」 「え?」 気を抜いたせいで見事に霊力が爆ぜた。 たちは茶渡のおかげで巻き込まれずに済んだが中心にいた一護は倒れこんでいる。 でも空鶴に足蹴にされていても意識がちゃんとあるので大丈夫だろう。 一護も砲弾を作ることができた。 これで瀞霊廷に乗り込むことができる。 夜が明ける。 それが合図となり、打ち上げられた。 さぁ、突入だ。 05/11/12
12/03/20再UP
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