生生流転




ドリーム小説
一護たちが尸魂界へと入る直前。
死神側も異変に気付いた。

「西方郛外区に歪面反応!三号から八号域に警戒令!繰り返す!…」

突然の警報に多少慌てつつも、すぐに対処できるように各地への警戒を強める。
そして…

「…旅禍は瀞霊門の外側に落ちたか…」

「あちら側となると我々の出番はありませんね…」

「ああ。何せ瀞霊門の外にはジ丹坊がいる」





#9





一護の前に立ちはだかる巨人。

「…で、でかい!何だ?アイツ…あんなの人間の大きさじゃない。一体何者なんだ?」

「奴の名はジ丹坊…尸魂界全土から選び抜かれた豪傑の一人でこの四大瀞霊門正門…通称『白道門』の番人じゃ」

「番人…てことは中に入るには、あいつを倒すしかないってことですね…」

「ああ、じゃがそう容易いことではないぞ。なにしろ奴がこの任についてから三百年…
この『白道門』だけは一度たりとも破られたことはない。伝説的な強力の持ち主じゃ」

「…そんな奴とどうやって戦えば…」

「そこは知恵の見せ所じゃよ。ここはひとまず皆で作戦を練った方が良かろう。おい一護!」

夜一の考えは悉く潰されてしまう。
茶渡と織姫は一護に加勢しようと夜一の話も聞かずに走りだした。

「コラーーーー!織姫!茶渡!儂の話を聞いとらんかったのか!戻れーもーどーれー」

「黒崎が絡むとあの二人変わるよね…」

さん…」

5人の中で1番暢気なのはだろう。

(黒崎くん!待ってて…すぐに力を貸すから!)

織姫はいつでも六花の力を出せる体勢に入る。
だが、ジ丹坊は駆けて来る織姫たちを見て持っていた斧を振り払った。
すごい勢いで地面が壁と化す。

「何だよあれ…めちゃくちゃだ!」

「一撃で…岩盤がめくれ上がって…」

「壁を作った…」

壁の所為で一護の姿は見えない。
さらにジ丹坊は織姫たちに向かって言い放つ。

「お前たづ行儀が良ぐねぇな。さては田舎もんだべ?いいが?都会にはルールっでもんがあんだ。
ひどづ。外から帰ったら手え洗う。ふだづ。ゆがに落ぢだもんは食わね。みっづ。決闘する時は一人ずつ」

(…なんか微妙にずれてる気がするけど…それに田舎ものって…)

どう考えてもそっちの方が田舎ものにしか見えないのになぁとどうでもいいことをは考える。
口に出したら夜一に叩かれそうだから言わないが。

「オラの最初の相手はあのこんぺいとみでぇな頭の小僧だ。
それがすむまで、お前たづはここでおどなしくしでろ。都会でやっでぐには都会のルールさ守れねばな」

(どこら辺が都会なのかな…あ、こんなことしてちゃまずいか)

先程の足を捻った所為で素早くは動けないがは茶渡たちのほうへ向かう。

「井上…今から俺がスキを見てこの岩壁に穴をあける…その瞬間にその穴からあいつめがけて椿鬼を撃ち込んでくれ」

茶渡は小声で織姫にそう指示するが、ジ丹坊の耳に届いたようで振り向かれて一睨みされてしまう。

「何だ?まだなんかゴチャゴチャやてるだか?」

(意外と地獄耳!)

これでは動く事ができないと焦りがでるが、壁の向こうから一護の声がする。

「おーい。チャドー井上ー」

「黒崎くん!大丈夫!?ケガない!?」

「おーピンピンしてらー」

「ちょ、ちょっとまっててね!今から…」

「あーそのことだけどな、井上。オマエとチャド。そこでじっとしててくんねーか?」

「え…な!何言ってるの黒崎くん!そんなの」

「いーからいーから!心配しねーでまっててくれって!」

そこに石田が駆け込み間に入る。

「いいや!断る!」

「石田くん」

「時間が限られているんだ。ここは君一人でなく全員で事に当たり速やかに先に進むべきだ」

「…いたのか石田」

「さっきからいただろ!!こんな時にまでいちいちカンに触る言い方するなっ!」

「ギャーギャーうるせーなあ・・・・」

茶渡が岩盤向こうの一護に向かって訊ねる。

「…やれるのか」

「多分な」

軽く首を摩りながら答える一護。
だがその答えは石田には気に入らないのだろう。
壁を叩いて抗議している。

「多分って何だ!!多分ってわかっているのか!!」

「あーもー心配するなっての」

「心配しないでいられるか!」

「いいこと教えてやるよ。当初の予定じゃ俺は10日フルに使って死神の力を取り戻すことになってた。
だけど実際それは5日で片付いた。それじゃあとの5日間、俺は一体何をしていたのか?」

「な…何をしていたんだ?」

「戦ってたんだよ。5日間昼も夜もブット通しであのゲタ帽子と一対一でな!」

「そ、そうか!そこで戦闘の極意を教わっていたんだな」

「いーや」

「え?」

「あの人は何も教えちゃくれなかったさ。けど…スタミナと度胸だけは…嫌でもついたぜ!」

そう言って一護は斬魂刀・残月を背から下ろしジ丹坊の前に進みでた。

「…夜一さーん。いいんですか?」

めくれ上がった岩盤の所為で一護の姿は見えない。
どんな様子かはわからない。

「…仕方ないじゃろうな…」

「ですよねぇ…はぁ…」

何もできないならばと、はその場に座り込んでしまう。
少しだけだが捻った足首が痛い。
その隣にが身体をこすりつけるかのように座る。

(まずいなぁ…癖になってるから…)

部活中に何度かやってしまっている。
何もこんな時にと自分の不甲斐なさを悔やむ。
数回足を摩る。

(あとで織姫に治してもらおうかな…あれって捻挫も治るのかな…)

などと考えていたのだが一護とジ丹坊の戦闘が始まったせいで辺りに小石などが振ってきた。

「わ、やば…」

風圧も酷い。
一体何をしているのだ。
は座っていては岩盤の餌食になりそうだったので立ち上がる。
そうしているうちに今度は大小関係なく石が落ちてくる。
一護との間にあった大きな岩盤もがらりと崩れた。

「…黒崎が立ってるぞ!」

「黒崎くん!」

「終わりか?」

「まだだ!まだオラの技は終わりじゃねえど!」

「二本目の斧!」

ジ丹坊は力と気合を込めて斧を一斉に一護に向かって振り下ろした。
だが

「悪りぃ潰すぜ、その斧」

その瞬間何が起こったのかわからなかった。
ジ丹坊の斧は潰れ、石に岩、土煙が舞う。
織姫は咄嗟に六花の盾を発動させ、が盾となりそれらを防ぐ。
土煙が消えたと思ったら、後ろにジ丹坊が倒れこんでいるのが目にはいった。

「な…なんだ」

「黒崎の奴いま何やった?…あのデカイ奴が吹っ飛んだぞ」

「あぶねえあぶねぇ!オラとすだことが…」

ジ丹坊は腰を上げる。
今の状態について来れてないないのか、自分は吹っ飛んでいないと言いもう一度斧を受けろと戦闘を再開させようとする。
だが、手にしていた斧はすべて壊れてしまっている。
それを見た瞬間に子どものように泣き始めた。
身体がでかい分辺りに響く声もすごかった。
戦いの上で仕方ないことだとは思っても、一護の方が悪い気がして謝り慰めてしまう。
それに感動したジ丹坊は態度を一変させて門を通ることを許可してくれた。

「…気ィつげろや一護…お前えが何のためにこの門をくぐるのか知んねえがこん中は強ええ連中ばっかだぞ!」

「わかってるさ」

「…………そうか…イヤわがっでんならいいだ…ほれ、今門開げるからのいでろ。腰抜がすなよ〜〜一気にいぐど〜〜」

ジ丹坊から少し距離をとる。
彼ですら大きく見える門を、力を込めて持ちあげる。
重々しい音とジ丹坊の声で門は開いた。

「おおおおおおっ!」

「す、すげぇ・・・」

「こんなのが持ち上がっちゃうなんて…」

「…私らどうやってここ通るつもりだったのかね…」

ちゃん…」

織姫は苦笑してしまう。
門を持ち上げたジ丹坊は急にピクリとも動かなくなった。
不審に思った一護は正面に回る。

「おい、どうした?何止まってんだ?何かあったのか?」

「ああ………あああああ」

「誰だ?」

門の向こう側に細い男性が立っている。
一護と同じ死神の格好をしているが更にもう一枚白いのを羽織っている。

「三番隊隊長…市丸ギン…」

「あァこらあかん」

市丸が一言発した後にジ丹坊の左腕が突然裂け、血が吹き出た。
突然の痛みに左腕を下ろし片膝着くが、門だけは閉じさせないと踏ん張っている。

「…あかんなぁ…門番は門開けるためにいてんのとちゃうやろ…」

(迂闊じゃった…まさか、あんな奴がここまで出て来ようとは…
幾ら此奴等が強くなったとはいえ隊長クラスの強さは想像を絶する!
今、彼奴と戦うことだけは…その最悪の筋書きだけは避けねばならん!!)

「オラは負けたんだ…負けた門番が門を開けるのはあだり前のこどだべ!」

「何を言うてんねや?」

市丸はゆっくりと近づいてくる。

「負けた門番は門なんか開けへんよ。門番が“負ける”ゆうのは…」

薄っすら笑っている市丸の表情に殺気が籠もる。

「“死ぬ”ゆう意味やぞ」

刀を抜いた市丸に一護が飛び出し残月を振り下ろす。
だが市丸は簡単にそれを受け流す。

「一護!」

「何てことしやがんだ、この野郎!」

(それはこっちの台詞じゃー!)

一護は残月を市丸に向ける。

「後から出てきてちょっかい出すんじゃねぇ!このキツネ野郎!武器も持たねー奴に平気で斬りかかるクソ野郎は俺が斬る!」

口をギュッと結び市丸を睨みつける一護。

「ふっ。おもろい子やな。ボクが怖ないんか?」

「ふん、ぜんぜんっ!」

「コラ!止せ一護!ここはひとまず退くのじゃ」

(…一護?そうかこいつ…)

「キミが黒崎一護か」

「!知ってんのか…俺のこと」

「なんや、やっぱりそうかァ」

市丸は一護に背を向けて歩きだす。

「あ…」

ジ丹坊の後ろにいた所為であまり二人のやりとりが見えなかっただが
市丸の後ろ姿を見てある事に気付いた。

「あ!おい!どこ行くんだよ」

「ほんなら尚更…ここ通すわけにはいかんなぁ」

「何する気だよ、そんなに離れて?その脇差でも投げるのか?」

「脇差やない。これがボクの斬魄刀や」

素早く市丸が斬魄刀を構えると急に風が吹き始める。

「射殺せ『神鑓』」

その言葉に斬魄刀の刃が一護目がけて伸びてきた。
咄嗟に一護は残月で受け止めるが勢いが強くそのまま後ろにジ丹坊と共に吹き飛んでしまう。

「黒崎!」

「黒崎くん!」

茶渡と織姫は一護に駆け寄る。

「あ!」

「しまった門が!」

石田とは降りてくる門を眺めてしまう。

「バイバーイv」

市丸はニコニコと手を振っている。

「…あの羽織…って」

さん?」

は閉じてしまった門をジッと見つめた。








05/11/11
12/03/20再UP