|
生生流転
最近何かと騒がしい。 でも、どこかでその騒ぎも一歩外れた場所から自分は眺めているような気がした。 の、だったが。 #2 「は?幽霊の存在?」 いつもの面子で昼食をとっていた。 誰が言いだしたのか微妙だったが、話題が幽霊・霊についてだった。 「あ、それってこの前始まった番組の事?」 「そうそう」 「あんま見てないから、わかんないや」 「私も興味ない」 鈴もたつきも否定的なようだ。 千鶴はやっていたら番組を見るって感じでみちるも怖いもの見たさで見ているらしい。 「織姫は?」 「私?いたら面白いかなぁとかいたら会ってみたいとか。あの番組は面白いから見ているよ」 「面白くないよ、いても…」 「は?」 自身もあまりその手の事には興味がなかった。 「霊感だってないようなものだし。見たこともないし…ホラー映画も好きじゃない」 「いやいや、ホラー映画はまた別物でしょう」 結局、どうでもいいってのが大半の意見らしい。 この中にいる者のほとんどが霊体験などしたことはないようだし。 「不思議体験ならしたよ」 「織姫…それって横綱?」 「そう!」 「不思議なのはアンタの頭の中だよ」 「違うよー」 頬を膨らます織姫に千鶴が可愛いなどと言って抱きしめる。 それをたつきがやめろと引き離す。 「不思議体験ねぇ…」 先日の夜見かけたものを思えばあれも不思議体験に入るか。 いや、立ったまま夢でも見ていたのだろうと言われてしまうのがオチだ。 その不思議体験の元ネタとなった転入生の朽木ルキアは今、教室にはいない。 意外にも気が合うのか黒崎一護と行動するところをよく見かけられる。 あれを見てしまって以来、なんだかこちらから話しかけるのに戸惑ってしまうのだ。 「……あれ」 何かが一瞬横切った。 それは目の前ではなく頭の中で。 過去に起こった出来事のような気がする。 倒れている大事なもの… 「どうした、?」 「あ、あーなんでもない」 心臓を鷲掴みされたようで、キュッと痛みが走るがへらっと笑い何事もなかった顔をした。 あれは一体なんだろう? *** 「佐助ー散歩に行くよ〜」 は愛犬佐助の散歩に出た。 佐助は柴犬のオスで4歳。 オスだけど、赤色の首輪をつけて散歩に出る。 佐助は家では二匹目の犬となる。 最初に飼った犬は秋田犬でとても大きかった。 いや、自身が小学生の頃の話しなので余計に大きく見えたのかもしれない。 名前は。 確か祖父がつけた。 大きい犬だから怖いと思ったのだが、元々頭の良い犬で躾もちゃんとされの方が遊んでもらったような感じがする。 真っ白くて抱きしめるととても温かくて大好きだった。 けれどある日事故に巻き込まれて死んでしまった。 「…そっか、あの時のか…」 は歩きながらそんな事を思った。 昼間学校でよぎった映像。 それはが死んでしまった時のことだ。 大好きで、が死んでしまってからかなり泣いて落ち込んだのに。 そんなを元気づけようと両親がまた新たに犬を飼い始めた。 それが佐助だ。 柴犬だから秋田犬のよりはとても小さい。 しかも性格がやんちゃすぎる。 それでも可愛いと思えてしまうのは親馬鹿ならぬ飼い主馬鹿なのだろうか。 佐助のおかげでを亡くしてしまった悲しみは癒えたと言ってもいい。 ただ、もう少しを可愛がってやりたかったなと今にして思った。 「おっと、ぼーっとしていると事故に遭っちゃう。前見て歩かないとね、佐助」 話しかけられた佐助の方は聞いているのかいないのか。 気にもせずに尻尾を振りながら歩いていた。 「おぅ、じゃねーか」 「ん?黒崎。それに…朽木さん?」 公園にいたクラスメート。 本当に仲が良いのだなと二人を見て思った。 これは織姫やばいぞと。 「こんにちは、えと…さん」 優しく微笑する彼女にも笑い返す。 「犬の散歩?」 「そ。毎日の日課ですからねぇ。黒崎は何してたの?朽木さんと公園デートっすか。やるぅ」 「ば、馬鹿そんなんじゃねーよ!」 顔を赤くして否定する一護。 彼だけを見るとうそ臭いとか思えてしまう。 だが、ルキアからは笑顔できっぱり否定された。 「そんな事まったくありませんのよ?黒崎君とはここで偶然会っただけですから」 「そ、そうなんだ…」 「そうなのです、おほほほ」 「…くそルキアめ…」 ボソリと呟く一護だがの耳には入らなかった。 「なに?黒崎」 「なんでもねーよ」 「ふーん。じゃ私は行くからさ。また明日ね、二人とも」 「おぅ」 二人に別れを告げ歩き出す。 ルキアは丁寧に手まで振ってくれた。 「偶然って思えないよねぇ」 くすりと笑うと、急に佐助が足を止めてしまう。 「佐助?」 そして滅多に唸り声を上げることない佐助が、身体を屈めて前方に向かって何かを警戒している。 「やだ、どうしたの?ほら行くよ」 猫?とは思うのだが猫にしては尋常ではない。 しかもリードを引っ張るが佐助は動かない。 唸るだけでなく今度は吠え出した。 「ちょっとどうしちゃったのよ。何もいないよ?」 佐助はこの先に進みたくないらしい。 こんなの初めてだ。 いつもの散歩コースだから障害になるようなものはないとわかっているのに。 「………」 いや、初めてではない。 何故だがそんな気がした。 妙な胸騒ぎ。 「わかった、佐助あっちに行こう」 それかこのまま家に戻った方がいいかもしれない。 は佐助を抱き上げようとした。 その時。 「キャン!」 目の前で愛犬が吹っ飛んだ。 「さ、佐助!?」 何もなかったのに。 何もいないはずなのに。 佐助は宙を舞い地面に叩きつけられた。 そして前足から血が流れている。 「な、なによ。いきなり…ぐっ」 今度はの身体に痛みが走った。 わき腹に何かがかすめたような。 片膝をついて辺りを見るが何もいない。 「佐助…早く逃げないと…」 は傷ついた佐助の元へ急いで駆け寄り抱きかかえる。 「…っは!」 背中にずしりと重いものが当たった。 いや殴られたに近い。 そのままは蹲ってしまう。 「…はっ…なに…」 意識が遠のきそうになるが必死で堪える。 今ここで倒れたら間違いなくヤバイ。 本能でそう感じる。 「な、なに…なんだか、可笑しい…」 顔をあげた時にある一部分だけが歪んで見えた。 「…近づいてくる」 逃げなくてはと思うも痛みで身体が動かない。 殺気まで唸り声をあげていた佐助はの腕の中で小刻みに震えている。 「佐助。少し我慢してね、すぐ獣医さんのとこに連れて行くから…あぁ!」 ぶわっと殺気のようなものがに向かってきた。 駄目だ!そう思った瞬間小さな爆発が目の前で起きた。 「破道の四! 白雷!」 「……く、朽木さん?」 見知った小柄な少女が自分の前に立つ。 しかし先ほど会った時とは態度は全く違う。 「もう大丈夫だぞ、」 「…あ、う、うん…」 「行ったぞ、一護!」 何がなんだかわからない。 だが歪んで見えた部分が少し遠のいた。 いや飛ばされたように見えた。 と同時に影のようなものが見えた。 「黒い…人?」 「見えるのか?」 「え?あ、わかんない………あ、佐助!」 腕の中から聞こえた小さな鳴き声に急に焦りだす。 「見せてみろ。私が治療してやる」 返答する間もなく佐助を腕から引き離された。 そしてルキアがかざした手から光のようなものが見えたと思ったら佐助の足の傷が塞がっていく。 何事もなかったように佐助は跳ねて尻尾を振っている。 「佐助ぇ良かった〜、ありがと!朽木さん。すごいね、超能力かなにか?」 「あ、いや…それは」 「朽木さんってどこか周りと違うと思ったらそんな一面があったのね」 これは納得だとは何度も頷いた。 「この前さ、朽木さんが空を飛んでるの見たんだよね、あーなんかすっきりした」 「は?私が空を?」 ルキアは眉を顰めた。 は先日見たものの話をするとルキアの表情が見る見るうちに変わっていく。 「あ、あのな。」 ルキアが何か言おうと思ったとき、目の前にまたも歪みが現れた。 「!?」 「一護!何をしておる」 『うるせーわかってる!』 声が聞こえた。 どこから? そして直後に一陣の風が吹き歪みはなくなった。 「……」 『の奴、大丈夫か?』 「あぁ、少し怪我をしているようだが、私が後で治療するから平気だろう」 彼女は誰と話しているのだろうか? そう言えば何度か彼女は一護と叫んでいた。 だが、には違うものが湧き上がる。 『大丈夫か?すまない、間に合わなくて』 いつかの記憶。 『自分の身を挺して主人を護る。良い犬だな』 そんな犬の主人でキミは幸せ者だ。 の中で男性の声がこだました。 「…私…前にも同じ事があった……」 それは大好きだったが事故でなくなった日。 「事故じゃない、あれは…との…」 と散歩中、何かに襲われた。 突然の事で怖くて。 何もできなくて。 ただ目の前には大好きだったが血を流して倒れていた。 そして自分も駄目だと思った時に誰かに助けられた。 「さん?」 の目からは涙が零れていた。 何故、あんな出来事を事故だと思ったのだろうか? まったく違うじゃないか。 「…」 「そのと言うのは大きな白い犬か?」 「うん…前に飼っていた子」 「そうか。良い犬だな、そなたの事を先ほど助けてくれたぞ」 「え?」 ルキアの話だとの前に現れた一陣の風はだったと言う。 またもはに助けられたらしい。 「…ありがと…」 溢れる涙を拭いながらは空を見上げた。 ワンコの名前、趣味は私の趣味ですw
05/10/23
12/03/20再UP
|