生生流転




ドリーム小説
『理由?それは織姫が行くから。たつきの代わりに織姫を守ってあげるの』

『あとは、そうだなぁ。---さんと本当の友だちになるの』

『もっと仲良くなって、帰ってきたら一緒に遊ぶのさ』

だから、私は皆と一緒に行くんだ。





#1





朝、目覚めると変な感覚に彼女は襲われた。
夢の中の自分がどこかに行こうとしているのだ。
その理由を誰かに問われているのだ。

「…でも誰だ?なんとなく知ってる奴だった気がするけど…?」

それに友だちの名前も出てきた。

『織姫』

と。
彼女は中3の時からのクラスメートだ。
もう一人有沢竜貴(以下たつき)と三人でよく遊ぶ。

その織姫がどこかへ行くから自分も行くのだと言う。
そして○△□さん。
名前がよく聞き取れなかった誰かと一緒に遊ぶらしい。

「ん〜?たつきーじゃない、鈴ちゃんかな、それとも千鶴?…わかんないなぁ…」

でも名前をあげた面子とは少し自分の対応が違う気がする。
さん付けだったし。
アレコレ考えるもよくわからない。
なので彼女は考えるのを止める。

所詮は夢。
考えるだけ無駄なのだ。
あと数分もすればきっと忘れてしまうだろうに。

「さってと。学校行く仕度しよう」


ごくフツーの女子高生。
そんな彼女が見た夢が数ヵ月後に正夢となるとは今は思いもしなかった。



***



「たつきは調子どう?」

「もちばっちり!インハイ三連覇のためにまずは都大会優勝しないといけないからね」

休み時間。
とたつきが教室で話をしていた。
たつきは空手部、は剣道部に所属していた。
それぞれがインターハイに向けて頑張っているのだが…

は?私はあんたの方が心配だね」

「あ〜否定できないや」

はくすりと笑う。

「織姫とは違う意味で抜けてる面があるからね」

「織姫のあれは思考が常人とは離れているから良いんだよ」

「腕はいいのに、運がないよね」

「あー運なのかな?運と言えば運かもしれないけど」

たつきがを心配しているのには訳がある。
は有段者で過去にいくつかの大会で上位の成績を収めている。
収めてはいるが、個人優勝したことがないのだ。
団体戦ならば何度もある。
実力ならばあるはずなのに、不運としかいいようがない。
本人はへらっと笑っているが、大会終了後に顧問の教師から叱られる事もしばしばあり
自身だって傷ついているはずだ。
でも、3位入賞だってすごいとは思えるのに。
周りがに期待をかけすぎている面もあるとたつきは思った。

「とりあえず、都大会お互い頑張ろう」

「うん。そうだね」

約束。と言うわけではないが二人は互いに手を合わせ笑んだ。

「ところで、織姫は?」

「あー自分の席でぼーっとしてますな」

「まったくしょうがないな、行こうか?」

「うん」

織姫の席まで移動する。
彼女は手にしている本を読むわけでもなく天井を意味もなく眺めている。

「こらァ口あいてるぞ!いい若いモンがまた昼間からボーっとして!」

「たつき、年より臭い…」

「煩い、

「たつきちゃん、ちゃん」

たつきは織姫の向かいに座り、はそばの窓枠に軽く腰をかける。

「遅いね、一護!」

たつきは織姫に向かっていう。

「え?」

「一護のこと考えてたんでしょ?」

「ち、ちがうよ!」

織姫が否定をするも、たつきもも信じてはない。
織姫の態度を見ていればわかるから。
そんな織姫にたつきは好き勝手に言いまくる。
たつきがそこまで彼・黒崎一護のことを言えるのは幼馴染で昔から知っているからだ。
は二人のやりとりを聞きながら、その一護の隣の席に目が行く。
昨日までは空席だったそこが今朝から埋まっている。
転入生の朽木ルキアが本を読みながら座っている。

(……転入生か)

小柄な物静かな少女。
朝、自己紹介した時に同い年にしては口調が固いなぁなどと思った。
5月と言う時期にしては珍しいと思うが、親の仕事の都合ならばしょうがないだろう。
せっかく受験した高校に通えなくなるってのは痛いよなぁとはぼんやり思った。

(朽木さんか…お、目が合った?)

ジッと見ていたからなのか、彼女は顔をあげてに笑いかけた。
見すぎて気持ち悪がられたかなと思いながらも笑い返す。

(友だちになれるといいな…あ)

今朝見た夢の一部が浮かんだ。


『あとは、そうだなぁ。---さんと本当の友だちになるの』


友だち。
今日彼女が転校してきた事とは関係ないとは思うが
なんとなく“友だち”って言葉に引っかかった。

(今日新しい友だちができると言う予知夢って言ったら面白いかな)

無理やりすぎるが納得できるなどと考えていたら、たつきたちの会話にいつの間にか入っていた小島に話しかけられた。

さん、どうかした?」

「え?あーううん。なんでもないよ…ってなんか急に賑やかになったね」

「あぁ、一護が来たから」

遅刻してきた一護に転入生である朽木ルキアを紹介し終えた所らしい。
とりあえず、仲良くなれれば良いかと単純に思った。



***



日曜日、はたつきと共に織姫の家にいた。
両親のいない織姫は親戚の援助を受けてアパートで一人暮らしをしている。

「あ、私もう帰るわ」

「なに?なんか用事あんの?

三人で夕食を食べ終えてからテレビを見ながら他愛のない話をしていたのだが。

「急ぎでもないけどね、明日早いんだ、私」

ちゃん、剣道部の朝練?」

「まぁ、そんなとこ。と言うわけでまた明日ー」

は立ち上がり、靴に履き替える。

「おーまた明日ね」

ちゃん気をつけてね」

「うん、私は平気。と言うより気をつけるのは織姫でしょうが、最近怪我が多いでしょ」

手に足に、日に日に織姫は傷が増えている。
鈍臭いの一言で済ますには多すぎると思う。
それでも織姫は平気だと笑う。

織姫のアパートを出てまっすぐ自宅に向かう
そんなに離れているわけじゃないから、変に危機感など持ってはいない。

「あー今夜は三日月だぁ…」

月がある所為で星が目立たないが、夜空を見上げるのは好きだ。
三日月よりは満月の方が好みなのだが…
いや、月の好みってなんだ?と自分で自分に突っ込みをいれるが突然、何かが横切ったのが目に入る。

「は?…なに?…」

我が目を疑った。
転入生の朽木ルキアが宙に浮いている。

「…ん馬鹿な…」

そして凄いスピードで行ってしまった。

「…私、頭可笑しいのかな?…」

なんか見てはいけないものを見た気がする。
少し怖くなっては走り出した。



***



「本当だってば!!ホントに部屋に横綱が来てテッポウで壁に穴あけたの!!」

翌日の教室で織姫が言い出したことに誰もが唖然とした。

「まーーたアンタはそういうコトを…」

「おりひめぇ…」

「イヤ…まあ、あたしはヒメそういうヤンチャな脳みそも好きだけどさ…」

「……」

織姫の話を信じられないという感じだろう。
もいつもならば皆と同じような反応をしてしまう所だが黙っている。

「ホントだって!ね!たつきちゃん!」

「あ…う…うん」

織姫だけの言うことならば彼女が見た夢で済むのだがもう一人目撃者がいる事の方が衝撃である。

「うぇ〜たつきまでそんなこと言うのォー!?」

「昨日私が帰ったあとでしょ?」

「そう。すごかったんだよー!バーンって」

「ふーん」

「なに?どうしたの

「ううん、別に」

は笑う。

「いやぁ、あと少し遅くまでいたら私もそれを目撃していたのかなぁと思って」

「確かに。3人も目撃者がいたら信じちゃうかもね〜」

「えー本当なんだよ〜」

織姫はどうかは知らないがたつき自身は半信半疑と言う感じだ。
は机に頬杖をつきチラリと転入生を見る。

(あれと関係あるとか言わないよねぇ…)

言ったところでこっちの話のほうが信じてもらえなさそうだ。
何かの見間違えってことにしておこう。




 15歳。
これが始まり。









浮竹さん夢。お初でした。
05/10/17
12/03/20再UP