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ほんの少しの距離なのに。
【手紙】
興覇君とさよならしてから、もう数ヶ月。
凌統君と最後に会ってからを考えると半年経つかな?
ねぇ、凌統君。
もう春だよ。
私たちが最初に出会った、桜が綺麗に咲いていたあの季節なんだよ。
今もここから桜が綺麗に咲いているのが見えます。
今、あなたはどうしているのかな?
元気でやっていますか?
えーと、孫権様の下で毎日頑張ってるのかな。
前に話してくれた呂蒙さんから沢山難しいことを学んでいたり。
お兄さんみたいな子義さんに愚痴ったりしてるのかな。
周瑜さんに周泰さん、あと陸遜さんにお姫様とかとも楽しく過ごしていますか?
興覇君とは……喧嘩ばかりなのかな?
それとも、私と会わないように、興覇君にも同じようにしてるのかな…
興覇君、とってもいい人だよ?
うん、凌統君から見ればあの人は親の仇なんだよね。
私、簡単に言っちゃったね。
悩み過ぎないように頑張って…って。
凌統君はきっと、いっぱい、いーーっぱい悩んだんだよね。
私なんかに言われるまでもなく。
私はね、親も健在だし。
世の中が物騒だと言われても、のんびりした町で暮らしているから。
戦とか、その中で起きる出来事なんてわからないんだ。
小説とかテレビとかの話で。
私のいる世界でもね、遠い国で内乱とかテロとか起きるよ。
ニュース見て、怖いなって思うし。
でも思うだけで。
そんなのが私の身の回りで起こるはずが無いってどこかで思ってるんだね。
だから、凌統君の話を聞いても、軽く答えていたんだね。
あ!別に聞き流していたとかじゃないからね。
ただ、私は馬鹿だなとは思う。
ごめんね、凌統君。
謝ることしかできないや、私。
話は変わるけどね。
春から大学生になりました!
あ、いきなりで意味わからないか。
三月で高校は卒業したんだよ。
いつの間にって思うでしょ?
あはは、ピアノもね、受験の間は控えようと思ってたけど、気分転換で結局弾いてました。
そのおかげで凌統君と出会えたんだけどね。
それに、自分の部屋で勉強するよりも、ここで勉強していた方がすごく捗るんだよ。
だからこの間から地元の大学に通っています。
いつも遊んでいたようにしか見えない?
かもしれないかな。
推薦で私のいける範囲の大学選んだんだもん。
本当は地元の大学じゃなくて、県外の大学にしようかなとも思ったんだよ。
でも……
ずるいかな?
凌統君を理由にしちゃうようで。
なんか……なんかね。
家を出たら、凌統君にはもう会えないような気がして。
だから、地元に残りました。
大学生になって少しは大人になったかな?
凌統君との年の差は埋まらないけど、大人として凌統君に少しでも近づけたらいいなって思う。
なんか凌統君には笑われそう、お前には無理だって。
高校の時とは違って、少し時間に余裕ができました。
あー忙しい時は忙しいし、今はまだ慣れないことも多くて焦ったりすることもあるけど。
でも、ピアノは弾きに来てるよ。
凌統君に聞いてもらえたらいいなと思って。
凌統君の好きなパッヘルベルのカノン。
結構上達したんだよ。
前より他の曲も弾けるようになったし。
あ、なんか受験勉強をちゃんとしていたのかって思われそうだね。
やる時はちゃんとやってましたからね。
その辺ちゃんとわかってよね。
桜が満開の時期に凌統君に出会えたよね。
今年は無理かな。
そうなったのは自分が蒔いた種のせいなんだけど。
興覇君から首飾り受け取った?
凌統君から私へのプレゼントだって聞いて嬉しかったよ。
守り石ってのがついていて、私のことを守ってくれるようにって思ってくれたんだね。
でも、興覇君に頼んで凌統君にって…
怒る?
つき返されたって思うよね。
ちゃんと理由はあるんだよ。
凌統君ってなんとなく脆い部分があるでしょ?
だから、その石が凌統君を守ってくれたらいいなって思ったんだ。
私のためにって思ってくれたけど、私は平気!
怪我も病気もなく大きく育ったの、運は悪くない方だと思うし。
私は大丈夫だから。
石が凌統君を守ってくれると私は思ってるから。
また、いつか元気な姿見せて欲しいな。
何年でも待つよ。
凌統君に会いたいから。
ピアノ弾きながら待ってるから。
だから……
またね、凌統君。
06/01/10UP
12/01/09再UP
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