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うん、だと思った〜 でもやるからには頑張るから! 【見慣れた道】 「おい!ぼさっとすんなよ!」 「はい!」 「行ったぞ!構えろ!」 斬魄刀の柄を軽く握る。 呼吸を整え向かってきた虚の頭めがけて斬魄刀を振り下ろした。 「・・・・・」 学院の時は力がなきゃ自分より大きな虚相手は倒せないと思った。 だが今は違う。 余計な力は使わず流れに逆らわず己の斬魄刀を信じる。 の一刀が見事虚の頭を裂いた。 そしてそのまま虚は光となって消えた。 「・・・・ふぅ」 刃を鞘に収め、また一呼吸する。 「よっしゃ。やったじゃねーか」 の肩を少し乱暴にだが叩く赤髪の男。 「はい!恋次さんたちがいてくれたからです」 「まぁ虚のスキを作ったのは俺らだしな。でも段々現場なれしてきれるじゃねーか、」 「あは、そうですかね?」 「少しは自信持ってもいいぞ」 「はい」 は学院卒業後、入隊試験をクリアして護廷十三隊の十一番隊へと入隊した。 鬼道の成績は低かったが戦闘能力の面を買われてのことだ。 だとすると他の隊だったら無理なのかと多少へこみはしたが、それでもこの十一番隊は 護廷十三隊最強の戦闘集団と言われている。 そんな所に入れた己の腕に自信を持つべきだと考えた。 今、一緒に虚討伐に来ていた赤髪の男がの所属する班の班長で阿散井恋次という。 席官であるこの男の指導を受けながら毎日を過ごしている。 口は悪いが気さくでさっぱりした性格の恋次を見ると修兵を思い出す。 死神になったのだ、修兵にそれを知らせたいとは思ったのだが、 なんとなくそれができないでいる。 名前を教えてくれとは言われたが、失礼な態度をとった自分だ。 一人前になってからだと決めた。 (いつになるかわからないけどねぇ・・・・) 最強戦闘集団と言われるだけあって、隊員の大半が男。 しかもどこのチンピラだと思えるガラの悪いこと。 恋次の班が比較的まともで良かった。 「おい、どうした?帰るぞ」 「はい!すいません」 慌てて恋次の後を追うだった。 「あーレンレンお帰り〜」 「・・・・草鹿副隊長・・・ただいま戻りました」 十三隊の中で最小副隊長の草鹿やちるがパタパタと駆けてきた。 この副隊長、隊員たちのあだ名を好き勝手につける。 「あのね、剣ちゃんが、新しい任務頼みたいって」 「俺個人っすか?俺の班っすか?」 「多分、レンレンの班かな〜?」 「多分ってなんすか・・・・・わかりました。行くぞ、」 「は?どこにですか?」 「隊長のところだ。直接聞いた方が早い」 「・・・・・・んなの恋次さんだけで十分ですよ」 「お前が一緒の方が隊長の機嫌いいし」 恋次の班にを配属させてから、やけに虚退治の任務が増えた。 隊長である更木剣八は弱い奴には興味がない。 強い奴、素質のある奴は結構彼のお気に入りになる。 恋次もその一人のようだが、新入りの中ではがそうらしい。 戦って、戦って経験を積み更に強くさせようってことらしいが。 果たして本当にそれを考えているかは疑問である。 二人で剣八のもとを訪れると、やはりと言うか虚退治の話で行って来いってことだった。 「帰ってきたばっかですよねー」 再び出発することに。 「まぁな・・・文句言ってもしょうがねーぞ、」 「ボーナスとか出ませんかね〜給料に合わないですよ」 「んなの俺も同じだっての」 「恋次さんは私より沢山もらってるじゃないですかー新入りの給料なんて雀の涙ですからね」 「誰もが通る道だ。頑張って乗り越えろ」 そんな会話を二人はしているが、他の隊員も同じ事を思う。 恋次の班ってだけで元々多い虚退治。 最近はの入隊でそれが更に増えた。 強くなるのはいいが、流石にこっちの体が持たないと思うが。 「これが終わったら、恋次さん。奢ってください」 「なんで俺にたかるんだよ」 「私より給料多いし・・・」 「だったら隊長に頼め」 「そんなのできたら、とっくにたかってます」 「お前、すげーな。隊長にたかる気だったのかよ」 「できたらの話ですよ」 「まぁ考えといてやるよ。お前頑張ってるしな」 「やった!」 とか思いながらもこいつ食いそうだと思ったので一角あたりに飲みに連れて行ってもらおう。 その時に済ましてしまえと恋次は思った。 「じゃあ行くぞ、お前ら」 「はい!」 地獄蝶を連れて彼らは再び現世に向かった。 これがの十一番隊での日常だ。 *** 「えー!うちって九番隊と仲悪いんですか!?」 恋次に鯛焼きを奢ってもらった。 本当は昼が夕飯を奢ってもらいかったのだが、彼が先手を打って休憩時間に鯛焼きを持ってきた。 「別に仲が悪いってわけじゃねーよ。九番隊にも知り合いはいるし。 単に隊長の考え方だろうな。ここは戦うの好きな連中ばっかだろ?でも九番隊は隊長さんが 戦いを好まない性格だっていうしな・・・・ま、隊長とか関係なく四番隊とも合わないよな〜」 「あれはウチが悪いですよー怪我したら治してくれる四番隊さんたちに対して失礼ですもん」 「まぁな。いつも世話になってるのにな」 「・・・そっかぁ・・・九番隊かぁ・・・」 最近の自分は随分十一番隊にもなれた。 乱暴者な隊員の扱いにもなれたし。 段々染まっているなぁ、この隊に・・・と思えてくるくらいだ。 まぁ別に恋次みたいな人もいるし、一角や弓親にも可愛がってもらっているから嫌いじゃないし。 でも、段々遠ざかっているのだな、修兵からはと苦笑してしまう。 「どうした?あ、九番隊に移動したいとか?」 「べ、別にそんなこと思ってませんよ・・・・ただ」 「ただ、なんだよ」 「十一番隊ってだけで九番隊の人に嫌われたら嫌だなぁって・・・・」 しゅんと項垂れる。 それを見た恋次は。 (あー檜佐木先輩のことかぁ?) と思ったが口にしなかった。 変わりにの背中を力強く叩く。 「い、痛いです!恋次さん」 「悪りぃ。でも気にするなよ。そんな理由で嫌われるわけねーだろ?お前自信は別にそんな評判悪くねーし」 「そう・・・ですか?」 「そうだ。それに四番隊の連中とも仲いいじゃん、は」 「・・・・はい。友だちいますし」 「だから大丈夫だって」 恋次の言葉にの顔は晴れる。 なんで俺がこんなことしているのだろうかと恋次は少し頭が痛くなるから。 それと言うのも修兵の所為だと思う。 は知らないのだが、恋次はよく修兵とつるむことが多い。 飲みに行くし、会えば話もするし。 修兵は学院時代の先輩だ。 実習で世話になってからの付き合いだ。 それでも向こうはその時すでに六回生だったから、死神になってからの方が濃い付き合いだ。 その修兵が最近気にしているのがだ。 死神なりたての彼女と恋次が一緒にいたのを修兵が見ていたようで、彼女が去った後に捕まった。 「阿散井!」 襟首をぐいっと捉まれた。 思わず後ろにのけぞってしまうが見上げたら修兵が怖い顔をして自分を睨んでいるではないか。 「ひ、檜佐木・・・先輩?な、なんすか?」 「今の」 「は?」 「今、お前といた奴。お前のとこの奴か?」 「・・・・あーっすか?そーっすよ。今期入隊で結構筋がいいんすよ、んで俺の班に組み込まれたっす」 「・・・・・」 恋次は少し呆けた様子の修兵から逃げ出し、襟を整える。 「がどうかしたんすか?」 「あ、いや・・・・って言うのか」 「はぁ?知ってるから聞いたんじゃないっすか?」 「顔は知ってる。でも名前は知らねぇ」 「あーなんだ、先輩、に一目惚れって奴っすか?・・・がっ!痛ぇ!」 修兵に頭を殴られた。 「違げぇよ・・・・そんなんじゃねーよ」 修兵にしてはその時の顔が珍しく寂しそうだったのを覚えている。 「俺のこと、彼女に言うなよ」 「は?」 「言ったらぶっ飛ばすからな、阿散井」 「・・・・・・なんで?」 理由は教えてくれなかったが、に修兵の話はしてはいけないようだ。 言ったらぶっ飛ばされるから。 (・・・・・の割りには先輩の方からよく色々聞いてくるよな・・・) 「恋次さん?」 「あ、なんでもねーよ。これ食い終わったら仕事するぞ」 「はーい!」 鯛焼きをパクッと食べてから立ち上がる。 そして恋次の後に続いていった。 (最近、同じものばっか見るな・・・・) 恋次と。 修兵が見かける時は必ず二人一緒ってのが多い。 修兵は頭を掻く。 彼女の名字は恋次から聞いた。 でも名前は意地になって恋次からではなく彼女の口から聞きたいと思った。 いつになったら顔を見せてくれるのかなと思う。 (俺・・・嫌われてるんかなぁ・・・・) 自分で考えて落ち込む。 でも。 「恋次さーん!」 なんて嬉しそうに後輩に駆け寄る彼女の声を聞くとなんかムカツクから。 そろそろぶっ壊しに行こうかな。 そんな風に思う。 『先輩、に一目惚れって奴っすか?』 違うと思うのだが。 思うのだが、気にしている自分がいるから。 違うとも言えないのかもしれない。 どうでも良いことならば、この数年彼女のことなんか忘れているだろうに。 忘れるどころか気にしている。 完全に好きって奴じゃないのか? 彼女が九番隊ではなく十一番隊に入隊したのをしってがっかりしたわけだし。 「・・・・やっぱ最初に名前聞いておけば良かった・・・・」 わかっていたら学院卒業ぐらいからチェックして隊長に言って彼女を九番隊に入隊・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おいおいおい」 どうやら、本当にはまったらしい。 これで彼女に嫌われていたら最悪だな。 「彼女と俺ってどんな関係なんだろうな・・・・くそ」 やっぱりもう止めだ。 彼女の名前、聞いてやる。 05/11/11UP
11/11/13再UP
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