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変わらぬ再会。
「また面倒なことに…」 はため息を吐いた。 「どこの仙人の仕業だよ…ったく…」 以前魔王遠呂智なるものによって2つの世界の。ある時代が融合した。 仙界からの仙人達と協力し、その魔王を倒し世界は崩壊。 自分達は元の世界に戻る事が出来た。 なのに。 また2つの時代の英雄達と顔を合わせることになった。 面倒臭い。 でなくても言いたくなるが、残念なことに英雄達には当時の記憶がなかった。 本来ならばも封じられているはずのものだったが、理由は謎だが自分だけ記憶は残っていた。 だから知っている英雄たちに、初対面の態度をとらえるのは少し寂しかった。 「生憎。今回は仙界が原因ではないぞ」 「あ、女カさん」 「かぐやから聞いてはいたが、お前は記憶が残っているのだな」 「みたいで」 仙界の女剣士に呼び止められた。 仙界の方でも今回の異変にいち早く気づき、織田信長などに協力を依頼し色々探っていたそうだ。 その結果オリュンポスの神ゼウスが作り出した世界。 ゼウスに真意を問いかける為、英雄たちは再び協力し戦うことになった。 色々小難しい事でいっぱいなのだが、は単純に食事の支度をするという普段の仕事があるので。 ここでも以前のような飯店はなくとも、とりあえず英雄たちの食事番となっていた。 「…!」 「あ。かぐやさん。久しぶり〜」 「はい。お久しぶりでございます」 元の世界に戻った後、一度だけ顔を見せに来てくれた仙女かぐや。 の記憶が残っていたことは彼女にとっても謎の一つだったようだ。 そのかぐやとも再会できた。 だが、どこか寂しそうな顔をしている。 「どうかしたの?かぐやさん」 「いえ」 「あれかな。他の人たちは俺と違って初対面な反応だからかな?」 「………」 中には初めてと言う気がしない。などと微かな記憶の断片のようなものが残っている人もいるらしい。 かぐやを迎えた事で、劉備だけは記憶が戻ったとの話も聞いた。 それでも大半は記憶が戻る事はなかった。 「皆様と昔の友として再会しとうございました…」 「かぐやさん…」 共に戦った事、その後の様子、久しぶりの再会を楽しみたかったとかぐやは言う。 「女カ様とそんな話をしました。けど、女カ様は悲観することはないとおっしゃってくださって」 絆は一度失われても、新たに絆を繋ぐ事はできるだろうと。 友の作り方を教えてもらったのだから、今度は自分からやってみればいいと。 「じゃあ、それでいいんじゃないですか?」 「そうなのですが…でも、まだ少しだけ…」 寂しさなどが湧いてしまうらしい。 あとは自分にもできるかな?と言う不安も。 「確かに記憶は消えちゃった人ばかりですが、中身は誰も変わっていないですよ。呆れるくらいに」 「…」 「あ、ほら。その代表格があそこにいますよ」 が指差した方にいたのは甲斐だ。 「まぁ、ってば」 かぐやは小さく笑う。 「流石にいきなり以前の様には行かないでしょうけど。中身変わっていないんで、女カさんの言う通り、新しい関係は築けると思いますよ」 「そうですね」 「でもまぁ、俺みたいに記憶が残っている奴もいるんで。まずは俺とお話でもしませんか?」 今の自分ならば、かぐやが話したかったと言うことは伝えられるからと。 「いいのですか?」 「勿論。茶請けも用意するから、少し待っていてくださいよ」 長い話になるだろうからとは茶と菓子の支度を始めた。 「あの頃何度もいただきましたが、やっぱりの作るお料理は美味しいです」 「それはどうも。それが俺の仕事だし、それでも褒められると嬉しいっすね」 「毎日氏康様や甲斐殿が食べる事ができて羨ましい」 「これからしばらくはいつでもお出ししますよ、かぐやさんにも」 自身が教わる事も多く。 自分達が元の世界に戻る為の戦いなどと言う大変な状況でも、少し楽しんでしまっている。 他の人にとっては初めてのことと記憶しても、にしてみれば慣れた状況だから。 「流石に月英さんみたいはまだいかないんですよね…と、最近もう一人肉まんづくりの師匠ができまして」 「まぁ」 「なんだろうな…妙に重圧を感じるんですよね」 「どなたですか?」 「えーと…」 名前を言っても良いものか悩む。 その師匠は司馬懿の奥方張春華なのだが。 切れ者だと思っていた息子の司馬師に対してぼーっとしているなどと言い切るくらいで。 笑顔でも接されてもどこか逆らえない恐怖を感じるのだ。 今彼女の名前を出せば、どこからともなくやってきて…と恐怖を感じやめた。 「?」 「いや、まぁ」 「−!!」 「なんだよ、甲斐」 甲斐が半泣き状態で駆け寄って来た。 かぐやには目もくれず、いっぺんにに話しかける。 「待て、ちょっと待て!!何言ってんのかわかんねぇよ!!」 「だって、だって〜」 「あと、かぐやさんがびっくりしているだろうが」 「へ?」 に中身は変わっていない代表格と言われている甲斐。 甲斐はそれを知らないのだが、かぐやは今の甲斐になんと反応していいのか困惑している。 甲斐は甲斐で、が女性とお茶をしている所に割り込んだ状況に少し焦った。 「あ、あら〜ごめんなさいね、邪魔しちゃって」 「まったくだな」 「あんたが言うな!」 それでもが甲斐を邪険に扱わず、茶を出すので甲斐は遠慮なくいただいた。 「何がどうしたって?銀屏ちゃんがどうとか」 「そ、それがね…」 恥ずかしいのか言えないことなのか、甲斐はかぐやの方をチラチラ見て言いださない。 「わたくし、席を外しましょうか?」 「大丈夫だって。多分笑い話だから。安定のやらかした話だろうから」 かぐやさんも知っているでしょ?とは言う。 「し、失礼ね!あんたは…もう…」 話すけど。と甲斐が話し出すと。 案の定、は。 「あ〜甲斐は銀屏ちゃんに比べたら穢れているもんな…」 と目をそらした。 「違うわよ!あの子が純粋過ぎるのよ!!普通思う?モテ力磨きなさいって言って腕力を磨くのって!」 「銀屏ちゃんだからじゃね?」 「…そうなのよ…あの子見た目もいいし、器量もいい。なのに無自覚なのよ…あの怪力は流石に私でも出せないってのに…」 何気ない会話からだった。 甲斐は銀屏の怪力を人づてに聞いたので本人に確かめた。 熊姫と呼ばれてしまう自分より、よっぽどの怪力の持ち主なのだ彼女は。 なのに、本人は非力で甲斐のように腕力を磨きたいと言っていたので。 「腕力じゃなくて、モテ力を磨きなさい!」 と助言をしたのだが。 彼女のモテ力は異性にモテるものではなく、重いものを沢山持てる力だった。 そして助言通り?に持て力を磨いた銀屏は一層強くなった。 甲斐のようになれる!と喜んでいる銀屏を前に、あんたの勘違いよ。とは言えずに甲斐は 「剛腕二人組!」 と銀屏を喜ばせたそうだ。 「あの子、どこに向かっているのかしら…」 「父親や兄貴達の為にって所だろうな」 「家族で一番の怪力はあの子なのにね…」 目をキラキラ輝かせて話す銀屏を前にすると、誰も何も言えなくなるようだ。 「筋肉、筋肉って毎日言っているし」 「それじゃあ典韋さんやケ艾さんなんて滅茶苦茶好みなんだろうな、銀屏ちゃんは」 「かもしれないわね」 イケメンが多くいるのに、銀屏の興味は筋肉だ。 年頃の少女としてはそれでよいのか?と少し思ってしまう。 「ま…そんな浮いた話が出れば、周りが黙っていないよな。あそこんちは」 「そうね」 関羽を筆頭に関平、関索、関興と家族が出てくるだろう。 「「まぁいいか」」 と甲斐がそろってそんな事を言うと、今まで黙って聞いていたかぐやから笑いが漏れた。 「あ、すみません」 「いや、いいって」 「中身は変わっていないとおっしゃっるも、変わっていませんね」 「マジかぁ…多分毒されてんだよ、周りに」 勘弁してくれと。は頭をかいた。 「そう言えば、あんたはこの子と何してたの?」 「普通に内緒の話を」 「え…な、内緒の?」 「そう。どっかの熊姫がこれから再開発するだろう必殺熊殺しの事とか…あ、案外銀屏ちゃんが開発するかもな…」 自分の事を言われたのだと思い、甲斐がを非難する。 「またそれ言う!!大体かぐちんも言われて困るでしょうが!!…あれ?」 「甲斐、殿…」 「なんか今、するっと出ちゃったけど…」 「ほら、何も変わっていないし。前にも俺言いましたよ。今は忘れていても、心のどっかで引っかかっているって」 「そう、ですね…」 かぐやは嬉しいのかうっすら目に涙を浮かべるも、慌ててそれを拭った。 「ちょっと、席を外しますね」 かぐやは笑顔でその場を離れて行った。 「……悪い奴〜あんな綺麗な子を泣かせて」 「馬鹿。泣かせたのはお前だよ、甲斐」 「あたし!?」 「かぐやさんは嬉しかったんだよ、甲斐が何も変わっていないから」 「………」 「言われても意味わかんねぇよな」 今はまだこの先がわからない。 一度は仲間だったけど、今は敵対してしまっている人もいる。 「お兄ちゃん!」 と懐いてくれたあの子も。 オリュンポスだとか、アースガルズだとか神様は本当好き勝手してくれる。 味方だと思っていた人も敵だったようだし。 わからない事だらけでも。 の周りにいる人達は多分それに敗けずいつも通りなのだろう。 それにかぐやではないが、また再会できたことを嬉しく思うこともあるのだ。 「?」 「甲斐はそのまんまが一番だよ」 「な、なに言ってんの!?急に!!」 「言葉の通りだ」 顔を赤くした甲斐には笑うのだった。 19/12/31再UP |