ドリーム小説
市に似合う花を、両手いっぱい抱えてプレゼントをするんだ。
そうずっと前に約束した俺。
色々あって中々上手くいかず、ようやく市と再会できた今、それが果たせそうだと思った。

けど、思うようには行かないってのが現状。
中々咲いてねぇんだ、これが。
市と散歩をしながら探すんだけどなんかしっくり来ない。

市はゆっくりでいいと言ってくれる。
一緒に探すと。
それに関して俺も、まぁ異存はないわけだけど・・・・。
男としてどうよ?って少し思う。
可愛い彼女にプレゼントするのに、できれば驚かせてやりたいじゃん?
一緒に探すつーのもいいもんだと思うけど。

だから相談してみた。
その辺頼れる人に。

「へ?俺様?旦那じゃないの?」

佐助さんでしょ、そこは勿論。
俺は今も変わらず幸村の屋敷に住まわせてもらっている。
勿論市も一緒に。
幸村は家族が増えて嬉しいと言ってくれたのが救いかなと思った。
結局俺は自分で考える事はできてもそれを実行するにはまだまだ力が足りない。
誰かに頼らないといけないのだ。
それに、市の為でもあるとは思っている。
もう戦わないと市は決めたけど、元々織田信長の妹であり、戦場でも市が戦っていたのを知っている人たちはいる。
幸村や佐助さんは市にそんなに警戒することもなく居てくれるけど、他の人はそうもいかないだろう。
けど、少しずつでいいから、市のことを、今の市を見てくれるようになってくれればいいなと俺は思う。
元々市は戦うのを好まない子だからさ。

「なんで幸村?あいつが女の子に関する事で役に立つと思います?」

「あははは・・・あーまぁ・・・・そうだね」

はっきり言ってクソ役にも立たないよ。
いい奴なんだけどね。
前にも恋愛話をして、真っ赤な顔をして「破廉恥でござる!」とか言われたし。
俺、ハレンチなんて言葉久しぶりに聞いたよ。
使う奴まだいるんだなーって。
あ、ここは俺のいた時代と違うか。

「市に似合いの花を探しているんだ」

「ふーん。花が咲いている場所を教えて欲しいって所?」

「まぁそれもあるけど、なんか見て回ってどれもしっくりこない」

あー。あれかな。亡くなった浅井さんが市に白百合をプレゼントしたって話しだし。
俺、どこかでその人と張り合ってんのかも。
白百合よりも市に似合うようなものを!そう身構えちゃっているのかもね。
死んだ人間には勝てないとか言うようだけど。
俺に言わせりゃ生きている人間じゃないと幸せにはしてあげられないさ。
ま、浅井さんが居てくれたから、今また市と再会できたようにも思うけどさ。
死んだ人の事を悪く言うのはよくないので、それはここまで。
市とも約束したように、俺が浅井さんとの思い出の分も市を守るんだ。

「俺様が思うにー。花と言っても色々あるでしょ?」

ねぇ、佐助さん。俺、前から思っていたんだけど。
なんで洗濯物・・・・佐助さんが畳んでいるのかな?
そう言うのってちゃんとやってくれる侍女だか、女中さんってのがいるんでしょ?
佐助さん、それ幸村の着物だよね・・・・。
本当、オカンだよね。佐助さんって。

「そうだね」

ツッコミたいのは山々だけど、これも佐助さんの仕事だと思ってあえて俺は言わない。
洗濯物を畳んでいる佐助さんのそばで胡坐を掻いて話を聞く。

「なんとなく、姫さんは・・・・桜とか梅とか、野花よりは木に咲く花の方が似合うと思う。ちょっと変わって藤とか」

「おー・・・ってどれも季節じゃねぇし」

でも、そうか。佐助さんから見て市はそう言う感じなのか。
花にこだわる必要がないのかな。
あーでも一応両手いっぱいの花と約束したわけだし。
かと言って、桜の枝をバキバキ折るわけにもいかないよなー・・・・。
約束の一つも守れないようじゃダメだな、俺。

「真面目に考えることもないんじゃないの?姫さんとゆっくり探すって決めたんだろ?」

「そうだけどさ。びっくりさせたいじゃん」

「気持ちはわかるけどねぇ。んじゃこれはどうだ!姫さん自体が花のようだよ。なんてのは」

「うわっ。佐助さんすげー!すげー恥かしいこと平気で言えるな!」

「あのね。真面目に考えてやってんだよ?こっちは」

「そんな風にかすがちゃん口説いているんだろ!!」

思わず佐助さんに指差してしまう。
佐助さんは珍しく動揺した。顔赤いし、珍しい、本当珍しいもん見た。
かすがちゃんは佐助さんと同郷っていうのかな?同じ出なんだと。
今は上杉謙信に仕えているんだ。佐助さんと敵同士だねって話をしたことあったけど。
佐助さんは特に気にした様子もなく、会えばちょっかいを出しているらしい。
たまにかすがちゃんに睨みつけられている佐助を見るけど、佐助さん、本当飄々としているし。

「な、何言ってんだ。のためを思って言ってやってんだよ?俺様」

「なんか経験談からって気がしたから」

「さぁどうだろうね」

あ、いつもの佐助さんだ。面白くないな。
って言うか、そうか・・・・かすがちゃんに聞くのもいいかもしれない。

「佐助さん。かすがちゃんと連絡取れる?」

「なんでかすが?」

「かすがちゃんにも相談してみようかなーと思って。ほら、謙信公も面白いことしていそうだし」

いや、別に俺は面白いことを前提でしているわけじゃないのだけどね。
なんかあの人の周り、バラの花が咲き乱れているとか噂を聞いたことがある。
それに、一般女の子の意見ってのを聞いてみたいとも思うわけだ。
佐助さんは乗り気でないのか、後頭部を掻いている。

「佐助さん?」

「やめといた方がいいよー。他の女の子に頼るなんてさ」

「頼るっていうか、意見を聞きたいだけで」

「姫さんに知られたとき、そう言える?」

「へ?」

佐助さんは「俺様知ーらない」とそっぽを向いた。
なんだか背筋がゾッとした。
恐る恐る後ろを振り返れば、市が居た。
市だけじゃない、幸村も一緒だ。

「や、やぁ。二人共どうしたの?」

「かすがちゃん・・・・って誰?・・・・・どんな関係?」

「へ?かすがちゃんは佐助さんのお友だちで・・・・別に俺は関係って言うほどでも・・・・」

「花は市と一緒にって約束したのに・・・・他の子を誘うなんて・・・・」

「ちょ!違う、そうじゃなくて!ってなんで幸村も恨めしそうな顔をして見てんだよ!!」

市を怒らせたらしい俺。
けど、幸村も一緒になって拗ねているようだ。

「それがし。役立たずと思われていたとは・・・・」

「あのなぁ」

「佐助と楽しそうでいいな・・・・」

「本当。市と居るより楽しそう・・・・」

「なんでだよ!つーか、佐助さんにヤキモチ妬くわけ!?」

何を言っても今の二人には無駄のようで。
普段ソリが合わなさそうなのに。ここぞとばかりに共闘しやがって。

「花といえば、お市殿。花の形をした砂糖菓子をご存知か?それが美味しい店を知っております」

「市、見てみたいです」

「では参りましょうか」

幸村の癖に何してくれてんだ!!

「うぉい!」

「お前は佐助と楽しくやっていればいいんだ」

「そう。市は幸村殿と楽しくやるから」

二人はそろって俺に背中を向けてしまう。

「なんでこうなるんだよー!」

市の為に花をプレゼントしたくて。
驚かせてあげたいと思っただけなのに!
俺の方が、驚く状況になってどうするんだよーー!!

「あーあー・・・・本当バカだよね・・・・でも俺様知ーらない」

「佐助さん!!」

佐助さんは畳んだ洗濯物を持って行ってしまう。
俺だけ、部屋に取り残された。
空しいね、今の俺。すげーカッコ悪いや。





でもまぁ、慌てふためくを見て、笑っている幸村と市が居たのは言うまでもない。
それから数日後、は市に花を送った。

「ガキの頃ばーさんに教わって作ったのを思い出した」

はい。と市に渡されたそれは、野山に咲いているものではなく作られたもの。

「折り紙で作った花。当分これで我慢してよ、今の俺はこれで精一杯」

「ありがとう、。市、大事にする・・・・これならずっと枯れないね」

子供だましのようなものだとは思ったようだが、市が笑ってくれたから少しホッとした。

「約束は守る。いつか市に両手いっぱいの花をプレゼントするから」

「うん、市・・・楽しみにしているね」

きっとその時は、今以上の市の笑顔を見られるに違いない。





【?!と吃驚する君が見たい。 】









19/12/31再UP