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武田軍ってさぁ…余所から見てまぁ暑苦しい軍団とか思われちゃったりするわけ。 暑苦しいと言うか、熱苦しいって言葉がぴったりだとは思うけどね。 ほら、うちの大将と旦那。 あぁ、甲斐の虎武田信玄公が大将で、旦那が真田幸村。 甲斐の若虎とも言われて、俺の上司でもあるわけ。 その二人が毎日阿呆…じゃなくて熱く拳を交わしまくっているんだよ。 それが暑苦しいに繋がるんだけどね。 まぁ暑苦しい理由はほかにもあるんだ。 「おぉ。よければ我らと団子でもどうですか!」 「いやいや、それがしたちと西瓜でもどうですか?そこの川で冷やしておりました!」 あれだよ、あれ。 いい大人たちがさ、一人の子に夢中なんだよ。 うちにはさ、大将の娘姫だっているし、暑苦しいと言われても、男臭いわけでもないんだよ。 大将の奥方様方も美人ぞろいだし。 けど、今、うちで人気なのはあの子。 「みなさん、ありがとうございます。けど、食べてばかりだと私太っちゃいますよ」 いい歳したおっさん達がだらしなーく頬を緩ませ呼び止めているのは、ちゃんって言う女の子。 ちょっと色々わけありなんだけど、その辺おっさん達は気にしちゃいない。 今も一生懸命にちゃんの気を引こうとしているんだからさ。 「いやいや、そなたはそんなに気にするほどでもないぞ」 「そうそう、もっと食べてもいいくらいだ」 「もう〜けど、スイカだったらご馳走になってもいいですか?今日は暑いですし」 おぉと喜ぶ面々に断られて落ち込む面々。 一方が断られてしまうってのはしょうがないけど、でもちゃんはそれだけじゃなくてさ。 「みなさんで食べましょうね」 そうそう。 彼女はみんな仲良く。な子だから。 自分の所為で争いが起こらないようにしているんだよね。 「あ。幸村君も食べる?スイカ冷たくて美味しいよ」 おー今度は真田の旦那の登場か。 人気のちゃんは旦那のお気に入りでもあるんだよね。 普段は旦那の屋敷に居るんだけどさ、ちゃんは。 「いいのか?それがしも」 旦那も嬉しそうな顔をしちゃって。 ちゃんに微笑まれると、一瞬思考停止しちゃうみたいだけどね。 「。そ、そのな。あとで、町に行かぬか?」 おぉ。旦那珍しく自分から動いたようだね。 周囲の目が光って怖いけどさ。 「町?」 「うむ。先日…そなたが欲しがっていた、巾着がな」 話を聞いてちゃんの興味は旦那の方に向いたみたいだ。 西瓜を食べた後に早速でかけようなんて話になっているし。 鈍い旦那なりに頑張っているよなぁ。 ま、あれだけおっさん連中(一部おっさんじゃない方もいるけど)がちゃんの気を引こうとしているからね。 旦那も動かないとダメって思ったのだろうけど。 そもそも。おっさん達には奥方がいらっしゃるわけで。 若い子に色めきだっているようなことが奥方達にばれたら煩いことになってしまうけど。 そこはほら。 どの人も、ちゃんをうちの息子の、孫の嫁に!って思っているみたい。 無粋な言い方をしちゃうとさ。 ちゃんは大将のお気に入りでもあるから、彼女が居てくれれば大将にも一目置かれるってものさ。 けどまぁ…嫁が彼女ならば嬉しいってのもあるのだろうけど。 「楽しみだね、幸村君」 「そうだな。が喜んでくれると、そ、それがしも嬉しいぞ」 今の状況。ちょっとだけ旦那に分があるのかな? まあ、一緒に居る時間とかを考えれば当たり前のような気もするけど。 「いよっ!幸村〜」 「け、慶次殿!?」 あらまぁ、お客さんが来たようだ。 前田の風来坊じゃないか。 たまにふらっとやって来ては、旦那の屋敷に数日滞在していくんだよね。 「慶次さん。お久しぶりです」 「も元気か?」 わしわしとちゃんの頭を撫でる風来坊。 人懐っこさで言えば、あの人の方が旦那より上かもね。 あと、女性の扱いもさ。 「これからどっか行く所だったのか?」 「うん。幸村君と町に」 「着いたばかりだけど、俺も一緒に行ってもいいか?」 「も、もちろんでござるよ」 あーららら。口角が引きつっているよ、旦那。 折角頑張ったのに、二人きりじゃなくなったんだもんね。 まぁこれも運なんだろうけどさ。 「あぁ。そうだ。これ土産」 ちゃんの手に風来坊は可愛い簪を乗せた。 「わぁ。いいんですか?ありがとうございます」 「に似合うと思ったんだよ」 風来坊はやるねぇ、本当。 さらりと贈り物だなんてさ。 旦那と差が広がりまくりだよ? ほらほら、あんなこと言われて、ちゃんの顔も真っ赤だよ。 「よっし。行くか」 風来坊が歩き出し、ちゃんも着いて行く。 「幸村〜置いて行くぞー」 「ま、待ってくだされ。お二人とも!」 旦那が慌てて追いかけて行く。 しばらくまた騒がしくなりそうだね。本当。 旦那が心配だから、俺も行くとしますか。 うん、旦那が心配だからだよ? あくまでね。 【あくまで傍観者として確立中。】 10/10/11
19/12/27再UP
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