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「んー・・・こうだか?」 「うん。そうそう。いつきちゃん上手〜」 いつきが政宗の城に遊びに来ていた。 日帰りではなく、しばらく滞在予定で。 それもいつきが願い出たものではなく、政宗から頼まれたこともあってだ。 「この指をこうして、通すと・・・・じゃん!何に見える?」 「んー?・・・・・なんだべなぁ」 それを彼女。がしるはずもなく。 いつきと二人であやとりをして遊んでいた。 「橋」 「あー!うん、言われてみればわかるべ!次!次はおらにやらせてくれ!」 政宗は現在戦に出てしまって不在。 その間城に愛しい彼女を取り残すのが不安なのか、寂しいのか。 はたまたこの隙に逃げられでもしたら?と思うのか。 いつきに自分が帰還するまで居てくれと頼まれたのだ。 普段いつきの思う「青いお侍」にしては弱気な事を言うなぁと不思議に感じるも。 いつきもが好きだったので、遠慮することなく遊びに来た。 だが別に自分が居らずともは普通に暮らせているだろうにと思う。 政宗達が不在と言っても、この城に居残る者はいるわけだし。 小十郎の姉、喜多が着いているのだから特に心配はないはずだ。 ひとまずは。女の同士で楽しく過ごしている。 「なぁ」 「ん?」 「政宗いつになったら帰ってくるだかなぁ。文とか届いたか?」 「さぁいつだろうね。っていうか、文なんか届いたことないし」 「え?そうなのか?・・・・」 の事を気にするならば、まめに文を送りつけていそうな気がしたのだが。 しかもこっちが恥かしくなるような文章で送りつけているのだろうなと・・・。 それを読んだは顔を真っ赤にして「バッカじゃないの!!?」と叫びそうで。 けど、くれたものだから、根が優しいはその文を握りつぶすなどできなくて・・・。 大事に文箱にしまっておくのではないか? たまにそれを読んで遠い戦場にいる政宗を心配して・・・・。 だが実際はそうではないらしい。これは意外だ。 「今回だけでなく?」 「そうだよ。別に戦のこと報告されてもねぇ・・・・誰某の首、討ち取ったどー!って書かれても困るし」 「そ、そんなことは誰も書かないと思うべ?」 の中で青いお侍の印象ってどんなだべか? いつきは不思議でしょうがない。 「じゃ、じゃあ。たまにはから政宗に送るってのはどうだ?」 「えー・・・・面倒くさいよ。書いてる間に帰って来たら嫌だし」 「そ、そうだか?」 なんとなく政宗が可哀相になってくる。 「って言うかね。いつきちゃん。私は戦の間は政宗の事は考えないようにしているの」 「え?なんで?」 「だって、色々心配になるもん。政宗には余計なお世話って言われちゃうかもしれないし」 いつきはブンブン首を横に振る。 (いやいやいや、!それは間違いだべ!政宗はきっと大喜びしちゃうだよ!) いつも素直な態度を政宗に見せないが、実は心底心配していました。 なんて政宗が知れば・・・。 「それに、この戦は政宗が天下を取る為に必死なことだもの。邪魔はしたくないんだ」 「・・・」 「いつきちゃんだって、政宗と約束したでしょ?いつきちゃんたちが手を汚さずにお米を作っていられるような世にするって」 その為の大事な、負けられない戦だから。 は政宗の邪魔をしたくないのだと。 (なんだ。なんだかんだ言って、は政宗のことを想っているんだ) それだけで嬉しくなる。 けど、少しでもそう思っている部分を政宗に向けてあげてもいいだろうにと思いつつ。 「ん?なんか、急に煩く・・・」 色んな声が聞こえてきた。 その中心に政宗がおり、鎧姿のまま廊下を歩いてこちらにやってくる。 「あ。政宗!」 小十郎や成実を引き連れて。 「政宗。お帰り」 がにっこり笑う。 「!!?」 「え?」 「政宗様!?」 そこから素早かった。 政宗はをあっという間に担いで奥の室に行ってしまったから。 けど、誰もそれを咎めるものはおらず、しばらく好きにさせようと自然と離れていった。 *** 「政宗。痛い」 室に連れて行かれた。 乱暴に下ろされた。 と思ったら息苦しいくらいに強く抱きしめられた。 「悪ぃ・・・加減できねぇ」 「は?」 「お前と出会う前はこんなことなかったのにな・・・・戦で長く離れると・・・無性にお前に会いたくなる」 「っ〜〜!!」 政宗の背中を強めに叩いた。 けど、ちっとも効いていない。 「早く戦のない世の中にしてぇものだな」 「は?」 「そうすりゃ、毎日お前のこと愛でていられる」 そんなこと、耳元で囁くな、阿呆! けど。 久しぶりに会ったから。 怪我もなく、無事な姿を見せてくれたから。 「それも悪くないわね」 って独り言みたいに呟いてしまった。 別に聞こえなくていいと思ったのに。しっかり政宗の耳に届いていて。 珍しく瞠目しつつ、すぐに珍しいくらい目を細めて柔らかく笑う顔があって。 ひどく照れ臭かった。 【一日一回、貴方に会いたい。】 10/05/01
19/12/27再UP
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