ドリーム小説

「おはよう。幸村君」

「おはよう、

朝の鍛錬を終えているから、すっきりした顔つきの幸村。
彼が寝坊する姿などあるようで、意外にないので驚きだ。
御膳が置かれて、すでに朝餉の準備は整っている。
自分に用意された席に座るも、ぽつんと空いた席に目が向かう。

「佐助さんは?」

「あぁ佐助なら早くに偵察に出た。お館様の命令でな」

「そっか・・・・大変だな・・・・」

任務ならば仕方ないと思うが、いつもの場所に佐助が居ないのは寂しいものだ。





佐助が偵察に出るとすぐに戻ってくる事はまずない。
奥州や、越後、関東周辺、関西、瀬戸内、果ては九州。
命じられればどこにでも向かう優秀な忍。
信玄や幸村が彼を心から信頼しているのはわかる。
わかるけど、ちょっと寂しい。

「たっだいま〜」

そうして久しぶりに会えたのは一月後だった。

「佐助さん!」

「どう?ちゃん。俺様が居ない間、旦那はちゃんとしてた?買い食いばかりしてたんじゃないだろうねぇ」

「佐助!子ども扱いするな!!」

とは言いつつ、真っ赤な顔で反論する幸村を見て佐助は笑う。
二人の様子を見て、もつられて笑ってしまう。
寂しいなと思う気持ちはふわりと消えた。

「あ。これお土産〜途中で見つけたんだよ、ちゃんにどうぞ」

と掌に小さな鈴のついた根付をくれた。

「可愛い。ありがとう、佐助さん」

「どういたしまして」

ニコニコ笑う佐助に、こっちまでニコニコしてしまう。
佐助は不思議な空気を纏う人だ。
忍として冷静、冷酷な一面もあると言うが、なんでもない日常では人のいいお兄さんにしか見えない。
そして場を明るくしてくれる安心感がある。
だから惹かれるのかもしれない。
佐助を見ていて・・・。





「おはよう。幸村君、佐助さん」

「おはよう、

ちゃん。おはようさん」

今日は朝から3人一緒だ。
いつまでそれが続くかわからない。
戦になれば2人は出てしまうし、任務があればまた佐助も行ってしまう。
でも、今日は3人一緒だから嬉しい。

「あれ?なんか機嫌いいね?なにかあった」

「え?あ、うん。ちょっと」

嬉しさのあまり顔がにやついていたのだろうか?恥かしい。

「なにがあったのだ?」

幸村が聞いてくるも、恥ずかしいから教えない。
内緒と小さく笑うだけだ。
なんだ、それはと。幸村が少しだけむくれる。
そしてむくれる幸村を佐助が宥める。
これがいつもの光景だ。
当たり前なのが、すごく嬉しい。





それからしばらくは変わらない生活だったが、また佐助は偵察任務に出てしまった。
今度は越後までだという。
また寂しくなるなと思うが、行かないでと言えるような偉い立場ではない。
せめて出発前に会えればいいのだが、生憎自分が寝ている間に佐助は出立してしまう。

「今度はどれくらいかかるかな?佐助さんが帰ってくるのに」

「ん?そんなに時間はかからぬと思うぞ」

「え?なんで?」

「今回は越後の上杉殿にお館様の書翰を届けに行っただけだからな」

「そうなんだ・・・・」

じゃあ待つ時間が少なくなるんだ。嬉しいな。

「よくそれがしを子ども扱いするが、も似たようなものだな」

「はい?」

「佐助のことでコロコロ表情を変えるからな」

まさか幸村に言われると思わなかった。

「や、えと・・・・」

「早く帰ってくるといいな。佐助」

幸村が笑う。
彼はからかうことをしないから、純粋にそう思ってくれているのだろう。
だからは「うん」と笑顔で頷いた。

「また三人でご飯食べたいな」

「すぐそうなる。今しばらくの信望だ」

「うん」

だから、早く帰ってきて欲しい。
ほんのちょっとした時間かもしれないが、幸村と、佐助と、自分の3人での食事は楽しいのだ。

待っているからね、佐助さん。





【一日一回、食事を一緒にしよう。】









10/07/07
19/12/27再UP