ドリーム小説
「おはようございます、殿。今日もいい天気ですね」

朝一番にあなたに会えてすごく嬉しい。
その笑顔を見ると、うきゅーって両の手握ってしまいたくなる。
向けられる笑顔にこっちも釣られて笑顔になるし。

「どうかしましたか?」

「あ、なんでもないです。幸村さん、今日のご予定は?」

私は慌てて首を横に振る。
変な奴だと思われては困るしね。
で、さり気なく今日の予定を聞いてみる。
暇なら、少しでもいいから一緒に居れたらいいなとちょっと願いを込めて。

けど、そうそう願いが叶うはずもなく・・・。

「はい。今日は三成殿と兼続殿とで少し出かける予定です」

「そうですかぁ」

ニコニコって笑う私だけど。
正直、またかよ。ってツッコミを入れたくなる。

「お気をつけてお出かけくださいね」

「はい」

幸村さんの背中に手を振るものの、その姿が見えなくなるとどっとため息が出る。
ここ最近ずっと三成さんとか兼続さんとかお友だちとばっかりなんだもんよー。
女の子を相手にするより、気の合う仲間、男同士でいるのが好きなのかもって気持ちはわかるけど・・・。

いや、別に幸村さんの行動を制限できる権限なんて私にはありませんよ?
ないですけども!

ちょっとは私の気持ちに気づいて欲しいなぁって思うわけで。

何か差し入れしても、普通に「ありがとうございます」(笑顔付き)で済んでしまう。
話をしていても、もしその中に「武田信玄」「お館様」なんて単語が入れば彼は目を輝かせて
大好きなお館様について語りだす。
兼続さんも一緒だった場合、そこにプラス上杉謙信公について熱く語る彼がいる。
二人一緒にそんな話をされてしまうと、誰も止められず。
三成さんが一緒だった場合、彼と私は諦めるしかなくて。

幸村さんにとってbPはお館様なのは仕方ない。
わかる。
わかるけども!

ちったぁ、私の話も聞いて欲しいなぁって思うわけで。

「この前、作った饅頭・・・失敗はしていないと思うんだけどなぁ・・・」

差し入れた饅頭。
おねね様に教わって作ったんだ。
おねね様に比べたらデキの悪いものなのはわかる。
けど、一生懸命に作った!三成さんには鼻で笑われたけどね。
あとでおねね様に言いつけてやったから、別にいいけどさ。

「なんも反応がないのが怖いんですけどね・・・・」

出した時はいつも通りの笑顔でお礼を言われたけど。
それ以降、これと言って特にナシ。
美味しかったです。また作ってくださいね。とか言われるのをちょっと期待したものですが。

。幸村さまにははっきり言わないと伝わらないよ〜?」

「くのちゃん!って言うか・・・くのちゃんだってそうでしょ?」

幸村さんにお仕えする忍び、くのいち。本名は内緒らしいので、くのちゃんって呼んでいるけど。
彼女も幸村さんが好き。
お互い同じ人が好きなんだけど、これと言って進展がある気配はまったくない。

「長年一緒にいるあたしの気持ちにすら気づいてくれないからねぇ」

「そ、それはそれで・・・諦めないくのちゃんがすごいね・・・・」

「まぁあたしの場合、告白できる立場でもないしね。幸村さまが幸せならば別にいいよ」

「くのちゃん・・・・」

それが本当にくのちゃんの幸せなのかな?って疑問に感じるけど。
くのちゃんの事はくのちゃんにしかわからないわけで、さっきも本人が言ったけど立場ってのがあるから
仕方ないのかもしれない。
だから、誰かと幸村さんが幸せになるのも構わないと。
くのちゃんはその「誰か」が私なならいいなって言ってくれる。
私には到底言う事も、思う事もできないことだ。

「なんかさー。幸村さんって幸せ者だよね」

「そうかにゃ?」

「そうだよ。私の事は置いといて。ずっと幸村さんのそばでくのちゃんが頑張っているんだもん。
それにまったく気づきもしないって幸村さんの神経疑うね・・・」

「おやおや言うね〜けど、がそばに居ると幸村さま楽しそうだよ?」

肩を竦めたくなる。
それは言われて嫌なことも、嬉しくないわけでもないけど。
実際、その場に居るのが私一人とは限らないわけで・・・。
三成さんや兼続さんが一緒なこともあるし。
これと言って、私が何をやっても幸村さんには伝わっていない部分の方が多いからさ。

「んー?納得いかないって顔してるぞ」

「そりゃあね。この前、幸村さんにね。三成殿は誤解されやすい方ですが、とてもお優しい方ですよ。って言われた」

「ほうほう」

「三成さんと私が喋っているのを見て、嬉しそうにされた。見込みないよね、それって」

「え、えっと・・・・」

「おかげで三成さんに哀れだな、お前も・・・って同情された。あの三成さんにだよ!」

普段ずけずけ物言う三成さんにも哀れまれるってどうなの?
兼続さんまでもにも言われたら、確実に私はへこむね。

「幸村さんってさ、あれだよ。恋愛神経がどっかでぶち切れているんだよ」

「それか図太すぎて鈍いとか?」

「そうそう」

にゃははと笑うくのちゃんに、苦笑しちゃう私だけど。
そんな鈍感野郎を私らは好きになってしまったわけだ。

「案外、私もくのちゃんも恋愛神経が麻痺してんのかも」

「それはそうでしょ〜」

「へ?認めちゃうの?」

「だって、幸村さまに恋しちゃっているから、もう麻痺してんだよ」

うわっ。くのちゃん最強。
正直、くのちゃんになら負けてもいいやって気がしちゃったよ。

でも確かにね。
グチグチ言っても、幸村さんにニッコリ微笑まれれば「はにゃーん」ってなんでも許したくなっちゃうものなんだ。
現金だよ、私は本当に。
だからくのちゃんに麻痺してると言われても、納得しちゃうわけだ。

「どうやったら正常に戻るのかな、それって」

「正常に戻るのは、幸村さまのことを諦めちゃった時かもね」

「ふーん。そうだよねえ」

それって魔法が解けたみたいなものなのかな。

「でもでも。そんなに簡単に諦めちゃうわけないでしょ?」

「へ?」

は完全に、幸村さまに麻痺しているんだからね」

うっ・・・。
くのちゃんに諦めちゃダメだって念を押されてしまったような気がする。
本当・・・くのちゃんに勝てないなぁ。

「ふぅ・・・・私の神経も相当鈍いのかもね」

「にゃはは。何を今更言っているのかな、は」

それぐらいお互い幸村さんにハマってるわけだ。
よし。もう少し私を見てもらえるように頑張ろうか。
ね。くのちゃん。





【鈍感神経を持ったあの人に。】









10/04/07
19/12/27再UP