|
私がお嬢様にお仕えして、もう5年になる。 執事としてはまだまだ未熟ではあるが、私より年若い者もいて先輩執事という立場にはある。 とはいえ、お嬢様と出会っての5年は、間近でお嬢様の成長を見ることができて嬉しい。 子どもだなと思っていたのが、いつの間にか一人の女性になっているのだから。 日中お嬢様は学校に通われている。 送り迎えはするが、学校に止まるわけにはいかない。 執事としての仕事を屋敷内でしなくてはならない。 執事は所謂何でも屋だから。 「真田。後は任せる。私は予定通り旦那様のお供で出るので」 「はい」 執事長の張遼殿は執事長と言うだけあってのお方。 やることすべて完璧な執事。 私も見習いたいものだ、近くで学べることに感謝せねば。 庭というより庭園という言葉が似合う。 庭師たちによって、色とりどり綺麗な季節の花が咲き誇っている。 そんな花たちを眺め、東屋でお嬢様がお茶を楽しんでおられる。 今日は天気もいいし、シェフがお嬢様にと作ったケーキをお出したしたばかりだ。 「お代わりはいかがですか?」 「あ、うん。お願いします」 カップに紅茶を注ぐ。 今日はお嬢様のご希望でアッサムを用意した。 ミルクティーで飲むのが一般的にオススメだが、お嬢様はストレートで飲まれるのがお好きだ。 「変かな?それって」 お嬢様は微苦笑する。 たまにご自分がお嬢様らしくないとお悩みのようだが。 私から見てもお嬢様は立派なお嬢様だと思う。 だけど、私が言っても、説得力がないようにも感じてしまう。 そう言うのは張遼殿が言われた方がお嬢様も納得するような気がする。 「いえ。そのようなことはございません。アッサムはストレートでも美味しいです。 何よりお嬢様が楽しんで飲まれるのが一番かと思います」 「本当?なら良かった。でも、幸村さんが淹れてくれるお茶はどれでも美味しいから好きなんだ」 自然に笑顔でお礼を言いたかったが、一瞬戸惑ってしまった。 いや、恥かしいのか。 「ありがとうございます。お嬢様に喜んでいただけるよう、これからも精進いたします」 お嬢様にお仕えしている身なのだから、余計なことは考えずに行かねば。 ・・・・。 と思っても、お嬢様に微笑まれると、欲が出てしまう。 うぅ・・・こんなことを張遼殿に知られれば、どんなお叱りを受けることか。 きっと口元が緩んでいるのではないかと思う。 だが単純にお嬢様はその場にいたのが私で、お茶を淹れたのが私だったからそう言ってくださったのだろう。 張遼殿や他の者たちの淹れる茶は美味いのだから。 「この後はどうなさいますか?まだ夕食には時間がありますが」 「ん?そうね・・・散歩でもしようかな?少し動かないとね。幸村さん着いてきてくれる?」 「はい」 敷地内とは言え、お嬢様をお一人になさるなどもってのほかだ。 「綺麗に咲いてるねー」 「そうでございますね」 お嬢様の後をついて歩く。 天気が良く、風はほぼ無風。過ごしやすいと思うが・・・。 でもお嬢様に変化は見られないから問題ないだろう。 「どれかお部屋に飾りますか?」 どの花もいいなと目を細めておられるお嬢様に、そう申しあげてみた。 「それもいいな。うん、そうしようかな」 「では、あとで庭師に「あ、幸村さんならどの花が良いと思う?」 「え?私でございますか?」 「そう。幸村さん」 咲いている花へと目をやる。 ここの庭には本当に沢山のものがあるから。 どれがいいかと問われても、私の趣味になってしまうし。 私の趣味がお嬢様の趣味に合うとも限らないし・・・・。 「幸村さんが選んで、部屋に持ってきてね」 「え。お、お嬢様」 「幸村さんがいいなと思った花なら、なんでもいいよ」 そこへ同じ執事のブランがやってくる。 「お嬢様。こちらでしたか、奥様がお帰りになり、お嬢様とお茶をとのことですが」 「わかったわ。今行く。じゃあ幸村さん、頼んだわね」 軽やかに去ってしまうお嬢様。 これは軽い苛めなのだろうか? いやいや、お嬢様に限ってそのようなことはなさらないだろう。 お嬢様の部屋へ飾るのに、何が相応しいのか、それを一任されたならばしっかりと選ばねば。 「幸村さん?どうしたんですか?」 「いや。あぁ、私はお嬢様に頼まれた事を済ませるから、お嬢様のことを任せる」 「わかりました」 本当はお嬢様のお世話は自分でしたいのだが、仕方あるまい。 さて、どの花を選ぼうか? あまり香りのキツイものは避けたいところだ。 色的に落ち着いた感じにしようか、それとも華やかにしようか。 いざ、選び出すと迷ってしまうものだ。 だけど、少しだけイメージは決まっていた。 お嬢様が好きそうな花もいいが、私が思うお嬢様のイメージならばどうだろうか?と。 お気に召すかわからぬが、喜んでもらいたい気持ちはあるから手は抜かない。 お嬢様。少しだけお待ちくださいね。 お嬢様に喜んでいただける花を、すぐにお持ちしますから。 【好きな花だけを束ねて。】 元ネタが某アプリゲームで、当時バトンが流行っていて回って来たので書いたって感じw
自分の好きキャラを執事に仕立てたパラレルです。
でもって幸村がメインだったつーことで。
09/08/14
19/12/27再UP
|