|
女の子としては両手いっぱいの大きな花束を一度は貰ってみたいと思う。 くれる相手が好きな人、恋人とかならもっと嬉しいんじゃないだろうか? そんな思いを似合わないと自分で苦笑しつつ、私も憧れていた。 「・・・・・・」 だから思わず、その好きな人を凝視してしまった。 「なんだ?」 私の視線にその人、志波は気付いた。 今日は志波と植物園に来ていた。 なんで植物園なのかはわからないけど。 どっちから誘ったんだっけ?志波?私? まぁそんな事はおいといて。 色んなものを見ていたらあんな事を考えてしまったのだ。 「んー。別に」 花束なんてそうそうプレゼントされるものじゃない。 ま。期待するのは酷だ。 高校生のお小遣い、アルバイト代でそんなすごいことできるわけがない。 それに、あくまで、私の片想いだ。 志波と付き合っているわけじゃない。 もし、贈られるのならば、もっと大人になってからかな? でも、夢を見たッていいわけで。 この前花屋さんで見たスズランの花束。すごく可愛かった〜 小さな白いその名の通り鈴みたいで。 なんでも、花言葉は「幸福が訪れる」とか「純愛」とか「純潔」って言うんだって〜 清楚な花だよね、まさに。 その可愛さとは裏腹に、お値段高くてびっくりしたけどね。 今時期だと、ヒマワリがいいみたい。 いいっていうか、アレンジが結構多くあった。 ヒマワリの花束ってのもいいよねー。 ヒマワリ自体が好きな花だから。 太陽の光を浴びてどこまでの伸びて行きそうな野性的なものも好きだけど。 小ぶりなものもいいよ。 花屋さんだと、こっちの方が主流なのかな? 「おい」 「え?なに?」 志波が眉を顰めている。 何かしたか?私。 「どうした?急に黙り込んで」 「いや、別に・・・・」 「かと思えばヘラヘラ笑い出すし・・・・」 くっ・・・・顔に出ていたんだ、私。 恥かしい・・・・。 阿呆な女って思われただろうな、志波に・・・・。 「どうしたってわけでもないよ?ちょっと・・・・」 想像していましたって言ったら、完全にひかれるよね。 想像ならまだいいけど、うっかり妄想していました。なんてね・・・。 「言ってみろ、気になる」 「え?えー・・・・・花っていいよねって」 「まぁ悪いものじゃないだろうな・・・・けど、ここ花より緑の方が多いぞ」 そりゃごもっともですよ。 今、いる所熱帯植物のコーナーだもん。 「っていうか・・・・両手いっぱいの花束を一度でもいいからプレゼントされたいって思っただけ」 「くれる相手いるのか?」 拳を握りたくなるよ。 えぇいませんとも、そんな相手は。 「いいじゃん。夢見るのは自由だもん。いつかプレゼントしてくれる人がいるかもしれないじゃんか」 志波には「自分が」とは思ってもらえないんだ。 本当、望み薄いなぁ、私・・・。 「花束の話はもういいよ。次、行こう。次」 私は歩き出す。 どうやら私と志波は友だちのラインを超える事はなさそうだ。 ま。今どうしようって気はないんだけど。 元々半分以上は諦めているのかもしれない。 志波が私以外の子を見ている時があるから。 私だって思う。 その子は表情豊かな子で、優しいし、可愛いし、一緒に居て守ってやりたいと思えてしまうし。 男の子が放っておかないだろうし。 その後植物園を出たけど、楽しくなかったわけではないのにしっくり来ない。 私が勝手に拗ねているんだ。 あーあーせっかく志波と一緒なのに。 駅まで戻ってきて、今日はここでお別れかな? また今度どこか行こうね。って約束ができればいいけど。 なのに。 「ちょっと待ってろ」 そう言って志波はどっかに行ってしまった。 いや、用事なら私と別れた後で済ませてくれよ。 数分後、戻ってきた志波。 「今はこれが精一杯だ」 「え?」 バラだ。 志波が手にしていたのは3本のバラ。 「え?なに?なんで?」 「にやる。両手いっぱいじゃねぇけど・・・・いつか、夢じゃなくしてやるから」 ん。と渡されたバラ。 バラって単品で売ってくれるのかな?最低でも10本からじゃないと売ってくれないと思ったけど。 お店の人に頼み込んだのかな? バラって結構高いと思うけど。 「ありがとう」 すごく嬉しかった。 両手いっぱいじゃないけど、志波がプレゼントしてくれたのが嬉しくて。 志波は単に拗ねた私に気を使ったのかもしれない。 ううん。どんな理由でもいい。 志波は私の憧れを叶えてくれたから。 「あ。すごくいい香りする」 それに色もピンク色で可愛い。 「あぁ。香りが売りだって言ってた」 バラッて香りがきつそうなイメージがあったけど。 このバラは違う。すごくふわりと優しく香る。 なんだか笑顔になっちゃう。 「ありがとう」 何度言ってもお礼はいい足りない気がする。 けど、言いたいんだ。 何度も、何度も。 だって・・・。 【きもちいっぱいむねいっぱい。】 またまた志波君でした。
09/08/14
19/12/27再UP
|