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「・・・・・・よっと」 「・・・・・・」 「これはこっち」 「・・・・・・・・」 「んー・・・っと、大殿、すみません!」 ひょいとは横になって寝ている元就の上を跨いだ。 「さん?・・・・どうかしたのかい?」 寝ぼけ眼でぐっすり熟睡していた様子の元就。 本来ならば殿様の上を跨いで通るなど重罪にも等しいのに。 いや、人として失礼だろう、やってはいけないことだ。 寝ていたならば黙っていても問題はないのだが、は正直すぎた。 「ごめんなさい。寝ている大殿の上跨いじゃいました」 「あぁ、それは寝ていた私も悪いしね。いいよ、別に」 家臣が見れば憤慨しそうなものだが、元就はにっこり笑うだけだ。 「で、何をそんなに忙しなく働いているのかな?・・・あ、それは」 自分で聞いてみて元就はしまったとバツが悪そうな顔をした。 聞かれたはニシシと笑う。 は両腕に沢山の書物を抱えていた。 それは元就のものだ。 「いつも言ってますよね?ちゃんと片付けてくださいって」 「あー・・・うん。わかっているんだけどね・・・」 元就は困惑気味に髪を掻く。 一回り以上も歳の離れた年下の子に、しっかりしてください。 などと毎度毎度言われてしまう。 言われても結局ちゃんと片づけもしないで部屋に積み上げてしまうのだ。 は苦笑しつつ、それを毎度毎度片付ける。 「手伝う気がないなら、どっか行っててくださいよ、大殿」 「あー・・・それは私が邪魔ってことかな?」 「大きな図体で横になられていれば、邪魔、ですかね」 「うん。それはもっともだ」 元就は苦笑いし、体を起こす。 そしてめいっぱい伸びをする。 「じゃあ・・・あ!」 「え?」 元就は両手を咄嗟に出す。 それはの体がぐらりと揺れたのが目に入ったからだ。 「った!!」 バサリと畳に散らばる書物。 「おっと」 後ろに倒れそうになったを背後から受け止める元就。 の両腕を掴んで。 「大丈夫かい?」 「は、はい。ありがとうございます」 トンとが元就に背を預けた。 「さんもしっかり足元を見ていないとね」 「そうなんですけど・・・・滑ったのって、大殿の書物が放置してあったからじゃないですか〜」 恨めしそうに言う。 唇を少しだけ尖らせ拗ねた様子で。 「あ、あははは。それはだねぇ〜・・・・・・以後気をつけます」 「本当ですよ?もう」 片付けの続きをしないと。そう言っては元就から離れる。 落としてしまった書物を拾い上げている。 いくつも積んで持ち上げる。 「よいしょっと」 「そんなにいっぺんに運ばなくてもいいんじゃないかな?重いだろ?」 「平気ですよ。こう見えても力持ちなんです、私」 ほら、力こぶ。とぐっと腕に力を入れる。 「女の子らしくないかもしれないですけどね」 ふと立ち止まって小さく笑う。 そして再び忙しなく働き始めた。 「・・・・・・やれやれ」 元就は今一度、髪を掻くも、すぐにその手を下げてじっと見つめる。 「・・・・・・感触は悪くなかったけどねぇ・・・・・おっと」 慌てて口を噤む。 後ろに倒れこみそうになったを支えた時に触れた彼女の腕。 うん、柔らかい。 なんてオジサン臭い考えをしてしまった。 に聞かれなくて良かったなーと苦笑して。 【二の腕の柔らかさ。】 10/09/11
19/12/27再UP
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