ドリーム小説

「たぁ!」

金属と金属が擦り合わさり、キーンと音が鳴る。
だが、一方は太く大きな刃に一方は細く短い刃。
パッと見、力がある大きな刃の持ち主に軍配があがるかと思えたのだが・・・

「うわ!」

スッと力を抜かれて体勢が崩れた所で刃を目の前に突きつけられてお終い。

「・・・・参りました」

「力に頼りすぎだ、関平」

「はい・・・そのようで」

欠点をつかれて髪を掻きながら苦笑してしまう関平。
相手は関平に手を差し出し彼を立たせた。

「やはり、拙者などではまだまだあなたに追いつくことも無理なようです」

「馬鹿を言うな。そう卑下するものではないよ。君は確実に一歩一歩進んでいる」

「そうでしょうか?」

「あぁ、自信を持て」

ポンと関平の肩に手を置く。
相手のその余裕のある顔がまだまだ自分を低く見てしまう。
まぁ相手は本当に関平を心配してくれているのだろう、温かく見守ってくれていると言う感じだ。

「でも、本当まだまだで・・・・もっと強くなりたいんです」

「関平。それは彼女を見てそう思うのかい?」

「あ・・・・負けられないじゃないですか」

「まぁそうだな」

相手は腕を組み微苦笑した。

「あなたの目か見て、彼女はどうなのですか?」

「筋はいいよ。彼女も最近伸びてきている」

「師匠がいいから」

「あはは、褒めてくれてありがとう」

そう。
負けられない相手は星彩。
その彼女の師匠とも言える人で、今関平の相手をしてくれていたのは趙雲。

関平は関羽の養子となった子だが、血の繋がりなど関係なく親子らしい親子だった。
父を尊敬し、日々その父の役に立ちたい、追い越してみたいと武芸に励んでいた。
星彩は張飛の娘で年も関平と変わらない。
彼女も父親の影響、いや、幼い頃から多くの武将に囲まれ育った所為か武芸をたしなむ様になっていた。

「蜀は人材不足とは言われているが、いい資質を持った者たちが揃っていると私は思うよ」

これからが楽しみだと趙雲は笑う。

「その為にはまだまだ修行をしないと。趙雲殿!もう一本お願いします」

「え・・・今日はこの辺にしておいた方が」

「星彩にばかり稽古をつけているではないですが、拙者にもお願いします」

「そういうわけじゃないが・・・・では、もう一本だけお相手しよう」

趙雲が自分の得物を手にし構えたので関平は嬉しさを顔に出し自分も得物を構えた。




「っ〜痛い・・・・やはり趙雲殿はすごいお方だな。
その方が父をさらに凄いと言うのだ。すごい方の息子になってしまったな」

関平はあちこちにできた擦り傷を見て反省をしている。
その場に腰を下ろしあーでもない、こーでもない。ここはこうするべきだとかブツブツ言いながら。

「平君」

・・・なんだよ」

なんだよ。と眉を顰めてしまうのは彼女が自分の頭に手刀をかましてきたからだ。

「怖い顔しないでよ。そんなに痛くもないくせに」

「わ、悪い」

は関平の態度にくすりと笑いながら彼の隣に腰を下ろした。

「わ、平君。擦り傷だらけ、すぐに手当てしないと」

「いい。このくらい平気だ」

「でもばい菌が入ったら大変だよ?傷口が感染して病気になっちゃうかも?」

「こ、怖いこと言うな」

「いやいや、放っておいたらそうなっちゃうよ?」

は関平の顔を覗きこむ。
その顔はどこか楽しそうである。

「からかっていないか?拙者のことを」

「全然。心配してるだけ」

「そうは見えない」

「むぅ、愛が足りないね」

「な、何を言い出すんだよ!」

「あははは、平君照れてる〜」

やーいと関平の頬を指で突っつく
その仕草に余計に恥ずかしくなる関平。

「からかうな。はいつもそうだ。少しは星彩を見習って」

そこまで言うと、の顔が曇る。

「平君はいつもそう。何かあると星彩、星彩って」

「そ、そんなことはない」

「ある。星彩のこと、私は嫌いじゃないよ、いい友だちだもん。でも、平君が言う時のことは嫌い」

は曇らせた顔を怒りを混ぜ立ち上がり、その場から走り去ってしまった。

!」

呼び止めても聞いては貰えず、関平は溜め息を吐く。

「そんなつもりはないんだけど・・・・」

でも彼女を傷つけていた言葉だったらしい。
にはそんなことないなどと答えたが、思い返してみればに対して『星彩を見習え、星彩を・・・』
みたいな事を連呼していた気がする。
にはのいいところだってあるのに、少し冗談交じりだが、こうして自分が傷を負えば心配してくれる。

「あ〜くそっ!」

関平は逃げられてしまったことで気づいた自分に何度も髪を掻いた。



***



!昨日はごめん」

朝一でに謝りに行った。
丁寧に頭を下げて。

「・・・・別にいい」

許してくれたと関平は喜び顔を上げるが、の顔を見てそれも失せてしまう。

・・・・」

別にいいってのはもうどうでもいい。ってことらしく、許す許さないとか関係ないようだ。

「平君が星彩びいきなのは前から知っていたことだから」

「だから、そんなんじゃないって」

「二人とも武芸の話になると楽しそうだもん。私じゃ聞いてても意味わからないし」

「はぁ?」

「二人仲良く戦場で頑張ってくださいな〜私は成都でお留守番してますから〜」

その言い方には関平もカチンときた。
自分らは別に遊びで戦に出ているのではないのだから。

。そういう言い方はよせ。拙者たちは遊びではないのだぞ」

「・・・・」

たちのこと、蜀という国を守りたいから」

関平はの頭に手を置く。

「確かに拙者も余計な一言ばかり言ってしまった。謝る」

「・・・・」

にはの良い所もあるとわかっていたはずなのにな」

ポンポンとニ、三頭を軽く叩く。

「私の良い所ってどこ?」

「え?心配してくれるとか」

「なんで心配するんだと思う?」

「そりゃぁ友だちだろうし」

「・・・・・平君って本当馬鹿だよね」

「な、なんだ、いきなり。失礼じゃないか」

「武芸馬鹿」

「うっ」

「星彩馬鹿」

「ちょ、ちょっと待て。それはなんでも」

「私はずっと友だち以上だったんだけどね・・・気づかれないってのも寂しいものだね」

「痛っ」

は関平の頬をギュッとつねる。

「友だち以上って?は?なんだよ、それ・・・・」

つねられた頬を摩りながら首を傾げる関平にはキツイ視線を送る。

「馬鹿、馬鹿、バーカ。平君のお馬鹿。もう知らない」

は関平に背を向ける。

、待てって」

「激鈍関平。趙雲さん以下だよね」

「は?」

ベーッと舌を出してはまたも走り去っていく。

「ち、違う!そうじゃない!。待て!」

関平はハッと我に返りを追いかけていく。




違う。が拙者に対して友だち以上って意味がわからなかったんだ!
だって、のほうこそ、趙雲殿や馬超殿、姜維殿たちと仲が良いではないか。
あの方たちにまだまだ敵わない拙者なのだぞ?

激鈍とは失礼な。

拙者はず、ずっと・・・・・その、のことが・・・・



あ〜だから、拙者の話を聞いてくれ、







05/03/16
19/12/22再UP