|
私たちだけが知っている内緒の恋。 内緒なのは二人の立場の所為だ。 応援してあげたいと思うけど、それは許されない事なのだろうか? 「フフッ」 「なんだ?、どうかしたか?」 馬超が執務の休憩だと言ってを外へ連れ出した。 彼の愛馬で少し走らせ、のどかな雰囲気と言う野原に着きそこでのんびり休んでいた。 「ん〜?まぁね」 などと言いながら拳で口元を隠しながらも笑っている。 隠している意味はあるのかわからないが声まで漏らして。 の隣で寝転んでいた馬超は気になるではないかと身体を起こす。 「え、知りたいの?」 「お前な・・・・意味ありげな態度をすれば誰でも気になるだろ?」 「まぁ・・・そうだけど・・・・っふふふ」 教える気が最初からなくわざとなのか、は笑っている。 馬超は面白くなくてを押し倒してしまう。 「わっ」 「教えろ」 影が出来ているが見上げて目に入るのは馬超の綺麗な顔。 でも教えてもらえないのが悔しいのか面白くなさそうな表情をしている。 それがまたには可笑しく見えてしまう。 「」 「馬超は気が短いなぁ」 「お前が暢気すぎるんだ」 「そんなに知りたい?馬超から見るとくだらないって吐き捨てるようなことかもよ?」 「言わねーと、このままどかねーぞ?」 ニヤッと口の端をあげる馬超。 だがは動じる様子もない。 「別にいいよ〜いい日よけになっているし」 「あのな・・・もう少し意識してくれないわけ?」 「あははは」 馬超は仕方なくから離れ再び寝転んでしまう。 は身体を起こす。 「あれ、聞いてくれないの?」 「話す気あるのかよ・・・・」 「んーじゃあよそうかな」 「あぁそうかよ」 馬超はに背を向けてしまう。 「いや〜馬超さん相手してよ」 は馬超の身体を揺らす。 「お前の方が俺の相手をする気ねーだろ」 「そんな事ないよー・・・・うりゃー」 「うぉ・・・。重てぇ、どけ」 は馬超の上に圧し掛かる。 馬超が右手でを掃おうとする。 「馬超、冷たい」 「どっちがだよ」 それでもは馬超からどこうとはしない。 仕方なく馬超は掃っていた右手での頭を撫でる。 「愛しのちゃんが俺のことからかうからなぁ」 「普段は馬超が人のことからかうくせに」 「そうだっけか?」 「そうだよ」 はくすりと笑う。 「ねぇ、馬超。馬超は私のことどのくらい好き?」 「は?」 「どのくらいって・・・」 「ふふふっ、それがさっきの馬超がくだらないって言うかもなぁ〜って話」 「が笑うほどのか?」 「そそ。正確にはそれを言った人と言われてた人の話」 「言った人と言われた人?・・・・・・・誰だ、それ」 「馬超、わからない?」 は馬超の答えはどうでもいいらしい。 馬超はしばらく考えるが思い当たる人物など浮かばない。 馬超は再び身体を起こし、はすぐ側にて座る。 「誰だ?」 「馬超もよく知っている人だよ?」 「・・・・?いや、わからん」 「はぁ。駄目だなぁ・・・・星彩と趙雲だよ」 「星彩殿と子龍?・・・・・想像つかねーぞ」 なぜならば『私のこと、どのくらい好き?』などと二人が口にしそうにないから。 「あはは。まぁね。私も驚いた」 「って事は、はその現場にいたのか?」 「一応。と言うかばっちり」 「益々想像つかん」 「あははは」 趙雲と星彩。 星彩は張飛の娘。 父と同じように戦場に立つ。 そんな彼女に武芸を教えたのは趙雲。 彼女に戦場で生き残る術を残したくて。 最初は武の師と弟子だけの関係だった。 だが、いつの頃からか違う想いが間に生まれた。 その事を知っているのは馬超とのみ。 張飛ですら知らないこと。 知られてはないないこと。 なぜならば二人が決して結ばれない事だと決定されているモノがあるから。 「午前中にね、趙雲の執務室にいたんだ」 「が?なんで・・・・」 他の野郎と二人きりなのはいくら親友でも許さないぞと馬超は眉を顰め思う。 まぁ趙雲が星彩を好いているのに他の子に手を出すなんて事は間違ってもないだろうが。 「怖い顔しないの。最初は他の人もいたしね。借りた本を返しに行ったんだよ」 「そ、そうか」 「で、星彩が来て。皆普通に稽古の時間かな〜って思ったからそれぞれの持ち場に戻ったんだよ」 周りは二人の関係など知らない。 「私もね、邪魔しちゃ悪いと思ったし、行こうかな〜って思ったら・・・・星彩がいきなり趙雲にそう言ったの」 「せ、星彩殿がか!?・・・・想像がつかないとは言ったが恐らく子龍の方ではないかと思ったのだが」 「え、趙雲ってそう言うの口にする人なの?」 「星彩殿が口にするような方ではないだろう?どちらかと言えば・・・・」 「まぁね」 そう思われていた星彩が口にしたのだ、よほど思いつめていたのではないか? 『趙雲殿。私のこと・・・・好きですか?それはどのくらいですか』 『せ、星彩。急に何を・・・』 それはもう趙雲の慌てようは凄かった。 顔を真っ赤にして、星彩が一歩近づくたびに一歩引いて最終的には机に腰をぶつけていた。 彼は、はともかく、他の誰かに聞かれては困ると思ったのだろう。 まして、この現状を見られては更に困ると。 『星彩、その話は』 『今。今答えを聞かせてください』 珍しく押しの強い友だちの姿に一瞬呆けただが、今この場に自分がいての良いのか迷う。 もしかしたら、が去れば答えるかもしれないと思って、は部屋から出ようとするが星彩に止められる。 『。そこにいて』 『え・・・じゃ、邪魔でしょ?』 『趙雲殿。の前ではっきり仰ってください』 『は?・・・なんで私の前で?』 普通聞かれると嫌じゃないの?そう思うが。 星彩は逆ににいて欲しいと言う。 趙雲も困った様子を見せるがも困った。 もしや、星彩は自分と趙雲の仲を疑っているのか?とか。 でもそうではないらしく、星彩は強気でいた態度を一変させ悲しそうな顔を見せる。 『誰かに・・・聞いて欲しくて』 『星彩・・・』 二人の仲は内緒だ。 内緒にしなくてはならないのならば、別れてしまおうと何度も思ったができなかった。 「それでどうした?」 「うふふ〜趙雲は星彩にちゃんとどのくらい好きかって伝えていたよ」 聞いているこっちは恥ずかしいし、見せ付けられているようだったが。 「そうか・・・・」 「二人の仲を知っているのは私と馬超だけだし、星彩は堂々と出来なくて辛いのかなって思うし」 「そうだな」 「本当は二人で幸せになってもらいたいけどね」 「・・・あぁ」 だが、それはきっと無理だろうと馬超は思う。 趙雲が義に厚い人だから、主君を裏切る真似はしないはずだ。 だから今だけなのだろうな、悲しい事だが。 「馬超・・・・」 「あ、悪い」 「ううん。私にもなんとなくわかる。わかるし、私には何も出来ないのもわかる」 「それは俺も同じだ。今を黙っていてやることしかな」 馬超はの頭を優しく撫でる。 自分たちは二人とは違って遮るモノがない。 よほどの事がない限りこうして一緒にいられる。 「それで?子龍はなんて伝えたんだ?」 「えーそれは教えないよ」 「俺にも聞く権利あるんじゃねーの?」 「聞きたければ、自分で趙雲に聞いてよ」 「アイツが素直に言うかよ。だからに聞いているんだろ?」 「駄目」 「ケチ」 「ケチですよ〜」 は軽く舌を出して笑う。 『私は星彩が好きだよ。君の事を他の誰よりも一番に好いていると自信があるくらいに』 『趙雲殿・・・』 『誰にも言えない。堂々とできないことだが・・・私の想いは君だけにあるんだ』 本当。 誰の目も気にせずできたら良かったのにね。 でも、星彩はにとって一番の友だちだから、いつでも力になってあげたいとは思う。 それは馬超も同じ気持ちだろう。 「?」 「へ?なに?」 「何考えていた?」 「さぁ、なんだろうね」 は馬超に微笑みかける。 悩んでもしょうがない。 力になってあげようとは思うのだから。 「・・・・・答え」 馬超もに微笑みかける。 優しくの手を握る。 「俺の答え、聞きたくないか?」 「答えってなんの?」 「俺がどのくらいを好きだという答え」 先ほどの問いかけだ。 は目を丸くする。 あれは趙雲たちの話を出すためのきっかけにすぎないのだから。 改めて聞かされると思うと恥ずかしくなる。 「ど、どのくらい?」 それでもは問いかけずにはいられなかった。 馬超は自分の顔を覗きこむようにして聞くに向かって軽く笑い 「さぁな。内緒だ」 「な!何それ!聞きたくないかって言ったの馬超でしょ」 「あははははは」 「馬超のバーカ」 プイッと顔を背けるに馬超は繋いでいた手を引き自分の腕の中に閉じ込める。 「怒るなよ」 馬超はの耳元で囁く。 「が俺のことを好きだと言う気持ちと同じくらい、俺はが好きだ」 からかって怒らせてしまう事も。 他愛のないことで笑いあう事も。 こうして触れていられる事も。 どれもこれも、彼女だから、だから良いと言うもの。 「・・・・私の気持ちと同じくらい?へー私がこれっぽっちって言ったらどうするわけ?」 「そんなことはないと自信があるからな、俺は」 「な、なによぉ」 「は俺に惚れている。俺もに惚れている」 少し嫌味を言ってみたのに、まったく動じないで馬超は言いきった。 馬超の言葉が夢に終わらず、ずっと続くと良いな。 趙雲×星彩での馬超話でした。
05/09/11
19/12/22再UP
|