初恋




ドリーム小説
初めてのデートって覚えていますか?


それは勿論。
ドキドキしたものです。
だって、大好きな人と二人っきりなのですよ?

ちょっと手が触れただけで顔中真っ赤になって恥ずかしくって。

その相手とは長く続かなかったけど、初めてづくしで毎日胸がドキドキしてました。


「皆同じだね。僕もそうだったなぁ」

姜維とが茶を飲みながらそんな会話を楽しんでいた。
ネタは初めてのデート。
なんでそんな会話になったのかは不明だけど、姜維と二人恥ずかしながらもキャーキャー騒いでいた。
普通は同性でそういう風になるものだが、不思議と姜維には話してしまうものだ。
これが馬超なら、からかわれるだろうと言う警戒心が働いてお口にチャックだ。
では、趙雲なら?

趙雲には・・・

(恥ずかしくって言えないよねぇ)

なんだと。

「姜維はどんな人が最初のデートの相手だった?」

「え・・・言わなきゃ駄目?恥ずかしいじゃないか」

「駄目〜私のだって聞いたじゃん」

「しょうがないなぁ。内緒だよ?本当に恥ずかしいんだからね」

まだ言ってもないのに、照れている姜維には微苦笑する。

「近所に住んでいた、お姉さん」

「ほぅ年上ですか」

「なんだよ、その笑いは〜」

「いやいや、なんか可愛らしい少年時代だったようでと想像しちゃったのさ」

「可愛くないよ、全然」

とは言うものの、今現在の彼を見てるとそうは思えない。
はきっと、姜維の言う近所のお姉さんも満更ではなかっただろうと思う。

「でもね、君が思ってるようなものではないよ?
 ちょっと買い物にって感覚だよ。向こうにしてみれば、親に頼まれて世話をしてやったって感じだろうし」

「へぇ。ってことは相当幼い時の話だね。で、その後お姉さんは?」

「良くあることだよ。さっさと結婚してしまいました」

「大分年の差あるみたいだね、それって。でも初恋だったってことでしょう?」

「え・・・そうだね。初恋なのかもね」

「うきゃー可愛い姜維少年の初恋は近所のお姉さん!痛っ」

タンタンと卓を軽く叩いて騒ぐ
姜維は真っ赤になりの額を指で弾く。
は弾かれた額をさすりながら姜維を軽く睨む。

「もう、痛いっての〜」

「君がからかうからだろう?まったく・・・なんか馬超殿に似てきたね」

「えー馬超に?あんな性格悪くないよ〜」

はブーっと頬を膨らませ、再び卓を叩く。
抗議のつもりだろう。
姜維は拳で口元に隠しながら笑うも、すぐさま表情を戻した。

「あ、馬超の初恋ってどんなだろうね?」

「え?・・・そ、そうだね。どんなだろうね・・・あは」

「なんとなく、人妻とかぁ・・・友人のお母さんとか、なんか訳アリっぽい人とか」

「へ、へぇー。ね、

「でね、やっぱり上手くいかなくて苦い思い出なんだよ、きっと、あははは」

「そ、その辺にさ」

は楽しそうに笑い何度も卓を叩く。
逆に姜維の顔は青ざめていく。
それもそのはず。

「人を話のネタにして楽しそうだな、お前ら」

馬超がこめかみをピクピクさせ拱手して立っている。
その隣で趙雲が笑いを堪えている。

「あ、あらまぁ、馬超さん。今日も良い天気ですなぁ」

は馬超に向けて軽く手を振る。
馬超はの頭を掴みこめかみに拳でぐりぐりする。

「わ、ちょ、ちょっと痛い、馬超、マジ痛いってば」

「うっせ!俺は性格悪いんだろ?気にするな」

「ば、馬超殿〜それくらいに」

「そうですよ。そこまでする必要はないでしょうが」

馬超は趙雲と姜維に止められてようやくを解放する。
はよほど痛かったのだろう、少し涙目である。

「う〜馬超の馬鹿〜だいたい、人の話を立ち聞きするなんてさぁ」

「なんだと?俺が声をかけようとしたら、お前が人のこと好き放題言い出したからだろ」

「むぅ〜姜維、気づいてたでしょう」

「え、一応」

「ずるい、自分ばっか逃げた〜」

「一応、それぐらいにって注意はしたけど、君の耳に入らなかったようだよ」

「もう〜」

「お二人は何か用でもあったのですか?」

姜維はを軽く無視して趙雲と馬超に訊ねる。

「一応な。結局さ、何の話してたわけ?」

「初恋の話〜」

「は、初恋ですか」

よくもまぁ、そんな話をこの二人はしてるものだと、趙雲は少し引いてしまう。
馬超は逆に食いつきがいいようで、混ざってきた。

「初恋ね、それで俺の初恋は人妻とか好き勝手想像しやがったのか」

「あはは、馬超殿、実はその通りとか?」

「残念ながら違うなぁ」

「じゃあ、近所のお姉さん!」

馬超はニヤニヤ笑いながら拱手する。

「ってのは姜維なんだろ?」

「ば、馬超殿」

「馬超、どんな人だったの?教えてよ〜」

に言うと、俺の淡い思い出が汚されそうで嫌だな」

「しないって!」

タンタンと卓をたたく
本日何回目だろうか?

「ま、可愛いもんだぜ?舞姫だったな。俺より、少し上って感じかな」

「舞姫って踊り子さん?」

「あぁ。各地を旅しながらってな」

馬超少年の初恋は舞姫ですか。
なんとなく、趙雲以外の者は自分の初恋を思い出しているのだろう。
表情が明るい。

趙雲一人だけ、蚊帳の外だ。

「ま、初恋なんてのは実らないからいいのかもな」

「初恋だもんねぇ」

「初恋は実らないって言いますしね」

などと3人が言い出したので、趙雲は「え?」と小声だが、声を出した。
それを目ざとく聞きつけたのは馬超。
面白そうに趙雲の顔を覗く。

「なに?知らなかった?よく言うじゃん」

「わ、私は何も言ってませんよ」

「ふーん。ま、頑張れば?案外上手くいくかもよ?」

「ば、馬超殿!何を言われるか!」

「どしたの?二人とも」

「な、なんでもありません!」

「おぅ、なんでもねぇよ。あ、そうだ、用件忘れる所だった。姜維、軍師殿がお呼びだぜ」

「え!なんでもっと早く言ってくださらないのですか!」

「そうだな。俺も一緒に行ってやるから怒るなよ」

「じゃあ、僕は丞相のところに行くから」

姜維はに言って、席を立つ。
馬超も姜維とともに行ってしまった。
残されたのはと趙雲。

「・・・・じゃ、じゃあ私もこれで」

「え、趙雲も行っちゃうの?」

「あ、その・・・」

「はい、座って、座って〜お話しましょ」

に促されて趙雲は姜維が座っていた席につく。
は新しく趙雲にお茶を淹れる。

「ね?趙雲の初恋の人ってどんな人?」

「え!?」

は卓に腕を乗せ乗り出すように聞いてくる。

「え、あの・・・私は・・・」

「最初はね、初デートの時の事覚えてる?って姜維と話してたんだ」

「そ、そうですか・・・」

趙雲は咽喉が渇いていたのでぐいっと茶を飲む。
淹れたばかりなので、熱くて少し下を火傷してしまう。

「趙雲のも聞いてみたいなぁ」

(そ、そんな事聞かないでくださいよ・・・)

の目はどこか輝いて見える。
やはり女の子だなぁと思う。
よく、女官や女性兵たちがそう言った話をキャーキャー騒ぎながら話しているのを見かけるから。
たまに、自分の名前が出たりして恥ずかしくって急いでその場を離れた事もある。

「あ、あの・・・・」

「趙雲?」

は趙雲からそう言った話を一度も聞いたことないのでの興味津々だ。

「わ、私のことはいいですよ。殿はどうなのですか?」

「え?私?・・・あは、あはは〜私はねぇ〜」

急に顔を赤くする
さっきも言ったとおり、姜維には素直に話せても、馬超にはからかわれるから言えなくて。
趙雲には恥ずかしくて言えない。

その差はなんなのかは、にはわかってはいない。

「姜維には話せたのでしょう?私には教えてもらえないのですか?」

「えっとぉ〜私より、先に趙雲のを教えてよ」

「い、嫌ですよ。教えれませんよ」

「なんで?」

「か、語れるような思い出なんてまだないですから・・・」

その言葉にきょとんとしてしまう

「あ、いや、その・・・あの!初恋は実らないって本当なのですか?」

「初恋が?うーん、本当って言うか、大体の人はそうじゃないの?結構、小さい頃の話だったりするから」

「そう、ですか・・・殿もそうなのですか?」

「私?・・・・・うん、そうだねって、うわぁー恥ずかしい〜」

相手がどんなだなんて言ってないのに、ただそれだけで恥ずかしいと騒ぐ
逆に趙雲はなにか落ち込んでいるようで、力なく笑っている。

「え?なに?趙雲、どうしたの?なんか元気ないよ?」

「あは、あーその」

「ん?」

「初恋ってのは実らないものなのだと思うと、なんか・・・・落ち込むなぁと思って」

「え・・・それってさ」

なんとなーくだけど、そう思った。

「趙雲って、今が初恋?」

恥ずかしそうに後頭部を掻く趙雲。
うわぁ〜すっごい意外。
今、今が初恋だとは。

と言うことは、彼には今、好きな人がいるのか。

チクリ

(あ・・・なんか)

ちょっとつまらないとか思ってみたりして。

初恋が実らないってことを趙雲は気にしている。
ってことは、相当その相手の事が好きなのだなと思い知らされる。

「あ、あのさ。別にそんなに落ち込む事ないよ?全員が全員初恋が実らないってわけじゃないよ?」

「そうでしょうか?」

恥ずかしそうに前髪を掻き揚げながら目線を下に移す趙雲。

「そうだよ。趙雲が頑張れば、相手の人振り向いてくれるよ。
 と言うか、趙雲が想ってくれてるなんて知ったら、その人嬉しいと思うけど?」

自分だったら、大喜びなんだけど・・・
でも、趙雲が上手くいくように応援してあげたいとは思う。

うん。

「ね?私も応援するし」

「え」

趙雲は驚いて顔を上げる。

「応援・・・ですか?」

「あ、なんかマズイ?邪魔とかはしないからさ。大丈夫だよ?」

「・・・・応援されると困るのですが・・・」

「そ、そうなんだ。あ〜ごめん」

困るまで言われてしまった。
なにがいけないのだろうか?でも、趙雲がそう言うなら仕方ない。
まぁ、恋愛ごとだし。
第三者がしゃしゃり出るのはどうかと思うし。

は楽しく話をしていたのに、気分が段々落ちてくる。
なんとなく泣きたい気分である。

けれど、次に趙雲の口から出た言葉は・・・・


殿に応援されたら、実らないじゃないですか・・・だって、その相手はあなたなのですから」


って。

「へ?」

「・・・・だから、私の初恋の相手は殿です」

二人して、向かい合って顔を真っ赤にする。

趙雲の初恋はなんだと。

「やっぱり、初恋は実らないのですか?」

趙雲は心配そうにを見る。
はブンブンと首を横に振る。

「さっき、私言ったよ。趙雲に想ってもらえたら嬉しいって・・・・私、嬉しいし」

殿」

「えへっへへ・・・なんか照れる」

「私も嬉しいです」

「実っちゃたね、初恋」

「はい、実りました」

と趙雲は嬉しそうに笑った。
つられても微笑んだのは言うまでもない。








キリ番リクでした。
04/05/05
19/12/22再UP