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やさしいひと。
「どうかしましたか?殿」 「・・・・」 趙雲がに声をかけるもはぷいっと顔を横に向けてしまう。 「え?殿?」 あからさまに無視されて趙雲は焦ってしまう。 自分は何か悪い事でもしただろうか? 少し考えるも思い当たることは何もない。 「殿、本当にどうしました?」 「・・・むかつく」 「は?」 「今、ものすごく苛々するの!だから、あっち行ってて」 の言葉から刺々しさを感じる。 だからと言って、素直に離れる気にはなれなかった。 「話ぐらい聞きますよ?」 「言わない」 「でも、貴女がそんなだと皆が心配します」 「しなくてもいい」 「殿〜」 「趙雲、放っておいて欲しいって言ったでしょ」 「言いましたけど、心配ですよ。いつも笑っている貴女ではありませんか」 「年中笑ってるわけじゃないもん・・・あ〜もう、いい!」 は立ち上がって歩き出す。 慌てて趙雲はその後を追いかける。 「殿」 「もう!ついてこないでよ!趙雲に八つ当たりしちゃうから嫌なの」 「それでも良いですよ。貴女の気が晴れるなら」 一瞬唖然としてしまう。 だが、すぐに不機嫌そうな顔に戻る。 「・・・馬鹿じゃないの。そんなのが良いなんて」 「あはは、そうですね。可笑しいですね、でも殿がそれで笑ってくれるなら私は良いと思ったのですよ」 「・・・・」 「どうしました?殿」 「・・・・」 「殿?」 「・・・・」 「あ〜どうしました?本当に」 「ごめん」 「え?」 「ありがとう」 「・・・いえ。私は何もしてませんよ」 「話、聞いてくれる?」 「はい、いいですよ」 趙雲はにっこり笑ってを見た。 やはりと言うか、趙雲の笑顔はとてもいい。 少しだけど、苛々は薄れた気がする。 二人は庭園で並んで座った。 「あのね、理由は言えないけど。すごく嫌な事があったの」 「そうですか」 「なんか思っていたより良い方向へ向かわなくてね・・・すごく苛々してね、なんか何かも放り出したいって思った」 「・・・」 「でも、放り出す事もできなくてさ。苛々だけ溜まってた。趙雲は心配してくれたのに邪険にしちゃった、ごめん」 「いえ。誰にだって上手くいかない出来事はありますよ」 「趙雲にも?」 「それはありますよ。でも・・・そうですね。 今は駄目でも、この先は上手くいくかもしれませんよ?焦らず行くのが良いですよ」 「この先ね・・・この先も駄目だったら?」 「あはは、そんなに悪い事ばかり起きませんよ。良い事もあれば悪い事もあるのですよ」 「ふーん。そんなものかな」 「殿。少し肩の力を抜いた方がいいですよ」 「少し?」 「少しですよ。深呼吸して落ち着いてみましょう、そうすれば少しは変わった目線で見れるかもしれません」 「距離を置くって事?」 「それでもいいと思いますよ。急いで結果を出す必要はありませんよ。ね?」 「・・・うん。そうする」 にとって趙雲と話した事で満足いく結果に繋がったかはわからないが、少なくとも今は気分がいいので良しとしよう。 「いつも趙雲に甘えてばかりだなぁ」 「あはは、いくらでも構いませんよ」 「本当に?そんなこと言うと、これからも趙雲にうんと甘えちゃうよ?」 「えぇ、いいですとも。私がお役に立つならばいつでも甘えてください」 どこまで本気なのだろうか、趙雲の態度には少し照れてしまう。 甘えるって事自体、は上手くできないでいるのだから。 「じゃあ、殿」 「ん?」 「何かやりたい事はありますか?言ってくださればなんでもしますよ」 「え、いいよ、別に」 「先ほども言ったじゃないですか。いつでも甘えてくださいと」 「あ、あ〜まぁ」 「食事でもご馳走しますし、行きたい場所があれば連れて行ってあげますよ」 趙雲のその言葉だけでもは良かったのだが、ここは一つ甘えてしまおう。 は少し考えて言った。 「・・・馬」 「はい?」 「馬、乗りたい・・・駄目?」 チラッと上目で自分を覗いてくるに趙雲は笑む。 「遠乗りですか?いいですよ、どこまでもお付き合いしますよ」 そう言って趙雲はに手を差し伸べる。 もその手をとって立ち上がる。 にとって有意義な時間を過ごす事ができたらしい。 03/10/12
19/12/22再UP
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