ドリーム小説
いつもの日常。いつもの公園。
一緒にいるのは仲良しの友達。

「………よし」

思わず出た呟きに友達のカツシロウが小首を傾げた。

「どうした?

「あ。なんでもないよ」

へらっと笑いながら後頭部を掻く

「そうか?なんか考え事していたみたいだし…なんかあったなら言えよ」

「ありがとう、かっちゃん」

より少しだけ歳が上らしいカツシロウ。
仲間内でもリーダーのような感じで皆を引っ張ってくれる存在だ。
この公園で出会ったきっかけもカツシロウだったと思う。
よく浮竹と会っていた場所で、一人で浮竹を待っているに声をかけてきたのだ。
あまり同世代の子達と遊ぶことのなかったにとってはカツシロウ達との出会いは良いものだった。
日番谷ややちると言った子もいたが、彼らは死神としての顔の方が大きかったから。

「で。何を考えていたんだ?」

「たいしたことじゃないよ。今日の晩飯だよ。何にしようかなって考えていただけ」

「決まったんだ。それが」

「うん。うちはさ、お客さんが来ること多いからさ、それに対応できるようなものにしてんだ」

「大変だな、は」

「そうかな?」

子供はそこまでしないだろう。とカツシロウは言いたいらしい。
確かに一般的な家庭ならばあまりない光景だ。

「修兵に家事押し付ける気ないし、俺は嫌いじゃないんだ、こういうの」

ちゃんと教えてくれた先生がいたから。
あの頃の事があったから。

「親子二人だけなら必然的にやる事になると思うよ」

「ふーん。そんなものか?」

カツシロウにはよくわからないものらしい。
だけど、カツシロウは笑った。

「最近のはちゃんと親子だって口にするんだな。いい事だと思うな」

「か、かっちゃん」

「だって前は親戚の兄ちゃん。だったもんな」」

思い出すだけで恥ずかしい。
最初は修兵との親子関係を知られたくなくて、嫌だったからではなく。
修兵に面倒をかけてしまうのが嫌で、会う人皆に「檜佐木の親戚」だと言いまわっていた。
カツシロウ達にでもそうで、親戚の兄ちゃんの家にいる。みたいな事を言っていた。
だが、今では義理とはいえ、ちゃんと親子であることを伝えてある。

「かっちゃん。もういいよ、恥ずかしいよ」

が羨ましいな。カッコイイ父さんでいいじゃん」

「う……うん」

素直に修兵を褒められると照れ臭いけど、やっぱり嬉しいものだ。
だけど、ちょっとだけ天邪鬼な自分がいる。

「でも家じゃだらしないところあるよ」

なんて言ってみてしまう。





「………」

「あ。。あからさまに嫌そうな顔しないでくださいよ、先輩」

食堂で昼飯を食べていた修兵。
いつもと変わらず、恋次とイヅルも一緒だ。

「わかってんなら言うな」

「いいじゃないっすか。いつもの事なんすから」

「って言うか、昼飯食っている時にする話か?まだ昼だぞ、昼」

修兵はうんざりした顔をする。
イヅルも確かに同意し頷く。

「気が早すぎるよ、阿散井君」

「そうかぁ?早い方がいいと思って。だって大変だろうし」

「なら来るな」

今夜お邪魔していいですか?
夕飯食わしてくださいよ。
そんな話を恋次は修兵にしたのだ。
確かにいつもの事だ。

「あ。ひでぇ、先輩ひでぇっすよ!自分ばっかり美味い飯毎日食って」

「作ってくれる嫁さんでも貰えばいいだろうが」

ご飯をかっ込む修兵。

「先輩。君は先輩の奥さんではないですよ」

「うるせー」

やっている事は嫁みたいな事だ。

「とにかく。今晩お邪魔します。ちゃんと手土産ぐらいは持っていきますんで」

恋次はニッと笑う。

「じゃあ僕も。阿散井君ばかりはずるいですから」

ちゃっかりイヅルも便乗する。
便乗と言っても、これもいつも通りなんだ。

「楽しみだよなぁ、吉良」

「そうだね。君の料理は美味しいから」

それだけじゃない。ちゃんと修兵の事を考えてバランスよく作っている。
どこかで弁当を買うより健康的だと思うから恋次達はいつもお呼ばれしてしまうのだ。

「先輩の奥さんになる人は大変だよな。より家事能力が低いと」

修兵は思わず吹いてしまう。

「な、なんだ。急に…」

「二人の関係が親子って言うより夫婦に見える時があるんで、奥さんになる人は大変だろうなって話っすよ」

恋次が言うように、二人の会話は親子に聞こえない時がある。
それだけに家事を任せてしまっているようだ。

「やっぱりお前ら来るな」

「「えー」」





秋刀魚が安いと言うのでつい多めに買ってしまった。
多分恋次とイヅルが来るだろうなと思って。

「大根…なかったよな確か」

焼いた秋刀魚は醤油をかけた大根おろしで食べたい。
けど。

「お腹の部分は正直好きじゃないんだけどな…俺は」

子供にしてみるとただ苦味があるだけだ。
けど、修兵に言わせるとそこが美味いんだと言う。
自分はまだまだお子様なのだろう。

「あ!姉ちゃん!」

買い物先で見かけた女性には駆けよる。

「あら君。お買い物?」

「うん。姉ちゃんは?」

「私も買い物よ。けど、すぐに隊舎に戻るけどね」

いつかこの人がお母さんになってくれたら嬉しいなと思う人。
けど、それはあくまでの願いであって、修兵の気持ちはわからない。

「今日の献立はなんですか?君」

「秋刀魚を焼いて、味噌汁はキノコたっぷりにしようかなって思っているんだ。最初はカレーにしようかと考えていたんだけどさ」

カツシロウ達と遊んでいた時は無難にカレーがいいかなと考えていた。
カレーならおかずはいらないし、作るのも簡単だから楽だ。
だけど、魚屋の前を通って秋刀魚の安さを知ってしまったら献立を急遽変更してしまった。

「それでもすぐに対応できる君は偉いわね…でも、量多くない?」

秋刀魚の入った袋を見ては言う。
修兵と二人にしては多いと。

「うん。多分恋次とイヅルが来ると思うから」

「思うから?来るって話じゃないんだ」

「うん。勘。なんとなく来るかなぁ?って」

というより、来るものと考えて献立を考えている。

「はぁ…そういうものかな…来なかったらどうするの?」

「来なかった事ないから。あ。早く帰らないと洗濯物取り込むんだ、俺」

「あ。ごめんね。立ち話しちゃって」

「ううん。じゃ、姉ちゃんも夜うち来てな」

「え?」

「秋刀魚。姉ちゃんの分もあるし。じゃあな、あとでな〜」

有無を言わさずを引きずり込んだ。
の返事も待たずに。
恋次とイヅルは絶対来るだろうという自信はあるが、は微妙だ。
にはの仕事、予定があるだろうし。
だけど、こうでもしないとうちに来てくれないから。
少しでも修兵と一緒に居てほしいなと子供心に願ってしまうから。





「ほ…本当にお邪魔していいんでしょうか?私…」

が檜佐木家を訪れるのは初めてではない。
だけど、いまだに気おくれしてしまうというか、緊張の対象ではあるようだ。

「いいだろ、別に。が来いって言うなら」

偉いぞ、息子よ!と内心ガッツポーズを決めてしまう修兵。

「でも。折角家族水入らずの所に…」

「それを言ったら、毎度邪魔するあいつらはなんだろうな」

遠慮をする気はないのだろうと修兵は恋次を指さす。
ちなみにイヅルは台所での手伝いをしている。
も手伝おうとしたのだが、に座っていてと言われてしまった。

「相変わらずひでぇっすよ。先輩」

「うるせーよ、阿散井」

手土産を持参すると言っておきながら、その持参した手土産の饅頭を食べている恋次。
ご飯を食べに来たのに今食うのか?と修兵は呆れる。

「お待ちどうさまー」

とイヅルが出来上がった料理を運んでくる。
ちゃぶ台の上に乗せられるそれらに恋次が声を上げる。

「よっしゃ!食おうぜ、早く」

焼いた秋刀魚に、キノコの味噌汁。それにハムとおからのサラダにナスのみそ炒め。
食べ始めるとみんな笑顔になる。

「本当…君はなんでもできるね」

「先輩、マジでヤバいっすね。嫁さん来ないっすよ、これじゃあ」

「阿散井黙れ。その前にお前自身の嫁探せ」

昼間の話をここでもするかと修兵は後輩達を恨む。
今はもいるのであまり聞かせたい話じゃない。
だけど。意外にもが反応した。

「何で俺がなんでもできると修兵にお嫁さんが来ないの?」

キョトンとしている

「聞くな、

けど、恋次は話してしまう。

がしっかりしているから、先輩の嫁さんになる人が大変だって話だ。お前が嫁さんの仕事を取っちゃうわけだし」

「まぁ、いつまでも君が先輩の世話をしているわけじゃないと思うけどね」

「ふーん」

修兵は余計な事を言うなと後輩達を睨むも、は淡々と食べている。

「じゃあ、お嫁さんが修兵と同じ死神だったら問題ないよ。お嫁さんが働いて俺が家事をするから」

「専業主夫になるのか、…しかし、その言い方じゃ先輩の嫁さんって言うより、お前の嫁さんの話だぞ?」

「え?そうかな?」

「それだと結果的に今までと変わらないんだね」

恋次は呆れ、イヅルは苦笑する。

「でもなぁ。修兵にそんな人いないだろ?」

「ぐっ…お前…」

「とりあえず、姉ちゃん。修兵のお嫁さんに立候補してみる?大丈夫、俺が色々教えてやるから!」

「え、え?ええっ!?」

、お前!」

と修兵の顔が真っ赤になったのは言うまでもない。





「昨日は楽しかったなぁ。本当…修兵のお嫁さんに姉ちゃんがなってくれればいいのになぁ」

今日もお買い物。今日の夕飯は何にしようかなと考えながら、昨日を思い出す。
自分の何気ない発言に修兵とは慌てていたが、あれはどうとっていいのかにはわからなかった。

「今日こそは…カレーでいいかな?」

少し多めに作っても問題はないだろう。
残ってもカレーは色々アレンジして別のおかずになるから。



「修兵。あれ?もう仕事終わったの?」

「あぁ、今日は早く終わった。なんだ?まだ買い物途中か?」

「うん。でもカレーにするって決めたからすぐだよ。肉を買うぐらいかな。野菜は家にあるから…あ」

「どうした?」

「お米買っていないや」

修兵は笑っての頭を撫でた。

「荷物持ちぐらいしてやるよ。米なんて軽い、軽い」

「よし。じゃあ他のも買おうっと。修兵は荷物持ち決定!」

早く行こうと修兵の手を引き駆け出す
に修兵のお嫁さんになってほしいけど、今はまだ父子二人だけでもいいかと思ってしまう。
周りは大変だね。とか言うけど、別にこれが普通だからそんなに苦に思わない。
割と楽しんでいるから。

さて、今夜は誰が来るだろうか?





【買い物に引き摺られる日常。】








お題に沿っていないですなw引き摺られてはいないです。
というか、リハビリのようなものです、今回は。
13/09/28