私が見たものは。




ドリーム小説
ほぉら、今日も見ちゃった。

すごっく渋い大人な人だと思っていたのに、実は違うんだよ?

ちょっと抜けた所がある可愛い人なんだ。

でも、秘密。

皆には教えてあげないよ。

だって、そんなことしたら私だけの楽しみがなくなっちゃうよ。





「がっあ!!」

はまたもそれを目撃した。
夏侯惇が階段を一段踏み外し、こけた所を…。

夏侯惇は辺りを見回し、誰もいないことを確認する。
には見られていたのだが、本人は気づいていない。

立ち上がってパンパンと服を払う。
そして何事もなかったように歩き出した。

「ふっ、ふふふっ…可愛いぞ、夏侯惇さんってば」

柱の影からこっそり見ていた
実は最近の楽しみは夏侯惇を観察することだった。

豪胆の勇将として敵からは恐れられ、仲間たちからは尊敬される武人夏侯惇。

城の女性たちはそんな彼を『渋い』と言って騒いでいる。
あの声で囁かれたら腰砕けだとか(笑)
確かに夏侯惇は渋くて素敵だとも思っている。
けど、時折見せる夏侯惇の姿の方がは気に入っていた。

「さっき階段でこけて、一昨日も何もないところで転んでたよね…マントを釘に引っ掛けて穴あけちゃったし」

普段からは想像がつかないヘタレっぷりだ。
これだけのことをしているのに、以外は気がつかないのが不思議だ。
運良く誰にも見られていないらしい。

最初は彼が片目だってことで不自由な部分が出ているのかと思った。
だから、そんなことを訊ねれば夏侯惇の気を悪くするかもと思い黙っていた。
だが、実はそうではなかった。
片目だとかは関係ないドジっぷりだったのだ。

「柱に頭をぶつけた時はすごった…」

物凄い音と、涙を堪えながらぶつけた場所を摩っている夏侯惇の姿が思い浮かぶ。

「ふ、うふふふふっ」

「どうした、

「わぁ!か、夏侯惇さん」

いつの間にいたのだろうか?
振り返れば夏侯惇が立っているではないか。

「ん?どうした?」

「な、なんでもないです。急に声をかけられて驚いただけです」

まさか、貴方のことで思い出し笑いしてました。なんて言えやしない。
は悟られないように笑ってみせる。
だが、ふと目に付いたある場所…。

「あ」

さっきこけた時にできたらしい切り傷。
彼の大きな手の甲にできた切り傷。
は咄嗟にその手をとってしまう。

、平気だ。このくらい」

引っ込めようとする手をぎゅっと握ってしまう。



「夏侯惇さんってば、戦以外でも怪我してどうするんですか…あ」

思わず出た言葉に慌てて口を噤む
これではあの場面を見ていたと言っているようなものだ。

深く追求される前に持っていた絆創膏をぺたりと貼り付ける。

「私の所ではこうやって処置するんで変なものじゃないですから」

パッと手を離し、夏侯惇の表情を窺う。
彼はなんとも言えない顔をしていた。



「さぁて、お昼でも食べてこようかな」

「こら、

ニシシと悪戯っぽく笑みを浮かべは聞く耳をもたんと言う感じで後ろを向いてしまう。

「渋い夏侯惇さんもいいけど、可愛い夏侯惇さんもいいですね」

「は?」

「クマの○ーさんの絆創膏似合ってます」

そう言って走り去って行く
残された夏侯惇は自分の手に貼られたものを見て首を傾げるのだった。

「○ーさんとはこの黄色いののことか?俺に似合う?」

しかも黄色の熊とは、益々の国の事がわからなく感じる夏侯惇だった。

「…と。そんなことはいい。あいつめ…見ていたな」

あの口ぶりからすると、大分前から見られていたらしい。
少しぐらい弁解ぐらいしないと。
そう思いの後を追いかける夏侯惇だった。





戦場ではないこの平穏な場所で気を張り詰めていても仕方ないだろう?

たまに気を抜くとこの有様だ。

まったく、お前に見られていたとは。

しかし、大の大人を捕まえて可愛いとは何だ。

俺が可愛くてどうするんだ。

可愛いのはお前で十分だ、








可愛いんだってさw
03/04/14
13/03/24再UP