男の子だったら。




ドリーム小説
あ、また笑った。

いいもん見ちゃった。

趙雲さんの笑顔っていいよね。

あの笑顔は男女共に有効なのが少し怖いけどね。

でもさ、落ち込んでいた時にあの笑顔を見たら元気になるよね。

声までかけてもらったら最高だな。

うふふ。

皆が幸せにな気分になれるって思うけど、間違いではないよね?

少なくとも私は趙雲さんの笑顔を見ると幸せになるよ。



は欄干に肘をつけて上からある場所を見下ろしていた。
そこは兵士たちが日頃から訓練している場所。
兵卒の少年たちが主に使用している所。

そんな場所で趙雲が少年兵たちに熱心に指導していた。

はそれを見ていた。

「よし、いいぞ。中々筋が良いぞ、湧珪」

「は、はい!ありがとうございます!」

湧珪少年は憧れの武将が自分の名前を呼んでくれたことが嬉しいらしい。
目を輝かせている。

「では、次は央伎。君の番だ」

「はい!」

どうやら趙雲は少年兵たちの名を一通り覚えているらしい。
そんな所が彼らしいとは微笑ましく思った。
下っ端になればなるほど目をかけることも少ないのだが。

趙雲に見てもらえるだけでも少年たちは嬉しいのに、丁寧に指導までしてくれる。

「うん、上手くなったな」

なんて笑顔で褒めてもらえるのだから。
それは夢心地だろう。

「趙雲さんも自分のことみたいに喜んでるし…らしいなぁ」

普段なら他人の訓練など見ていても正直、楽しいとは感じない。
向こうも見られて良い思いはしないかもしれないし。
でも、趙雲がいると思わず立ち止まってみてしまう。

辛いはずの訓練も楽しそうだし。

少年たちの上達振りがよくわかる。

「私が男の子だったらそばで教えてもらえたのかな?」

ちょっと少年たちが羨ましい。
女性でも武器を手にする人はいる。
でもの住む世界では習い事程度の事しかないし、
自身、武道には無縁の生活を送っていたから。

「いいなぁ。あんな間近で笑ってもらえて」

欄干に頬をつけてちょっと口を尖らせてしまう。

「男の子としてこの世界に来てたらどうなってたかな?…怖いけど戦場に出てたかな?」

少しでも趙雲のそばにいたいと思ったから考えてしまったこと。
もし、が男性ならば今の生活とはまったく違うものになっていただろうに。
そうすると、趙雲を見る目も変わると思うのだが?
でもさん、少し考えてる方向違いませんか?

「お前が男だったとしてもひょろっとしてて戦場なんぞでれねぇぞ」

パコンと軽く頭を叩かれた。

「むっ、その声は馬超だなぁ」

振り返ると馬超が呆れた顔をしている。

「お前、くだらねェこと考えてるのな」

「くだらなくて悪かったわね。だって、そう思ったんだもん」

「悪いことは言わないから、今思ったこと趙雲には言うなよ」

「なんで?」

「………」

は思いっきり首を傾げる。
馬超はおもいっきり嫌な顔をした。

「いや、別にいい。言いたきゃ、言え。俺は知らん」

「なによ〜馬超のケチ!あ!わかった馬超みたいに呆れた顔されちゃうから?」

「ま、そう言うこともあるな」

「でも、でも〜男の子だったとしても私がひょろっとしてるってのは納得いかないぞ!」

「急に話を戻すなよ」

ころころ変わるの表情に馬超は笑ってしまう。
同じようにこの男も表情が変わっているのだが。

「だって、馬超ってば酷いんだもん。男の私は、馬超より背も高くてがっしりしてて顔も良いかもしれないぞ」

「ほぅ、俺よりいい男ねぇ…それはないだろう」

「ぬ…わかんないもんね。馬超より武勲挙げて、大将軍になってこき使ってやる!」

ビシッと馬超に指を指す
馬超も笑って答えている。

「逆だな、俺がこき使ってやるさ」

「絶対負けないもんね」

「ま、逃げ出さないように頑張ればって…なんでありもしない話でムキになるんだよ、お前は」

「あ、そっか。馬超だってそうじゃん」

「えェい、口答えするとは生意気な奴め!こうしてくれる!」

馬超はそう言っての髪をわしわしと掻き乱す。

「うぎゃあ、お代官様お許し下さいませ〜」

「許さんぞ、わしに逆らう不届き者めぇ〜」

馬超とはどこぞの時代劇でやってそうなことをやっている。
馬超もノリがいい。
キャー、キャー言いながらも、も楽しそうに笑っている。
仲の良い兄と妹って感じだろう。
基本的に兄貴肌の馬超だから。

「あはははは、くすっぐたいってば!馬超。あははは」

今度はの身体をくすぐって遊んでますね。
は笑いすぎて目に涙を浮かべてます。

「はははっ、思い知ったか〜って…マズいやりすぎた」

馬超は顔を引きつらせながら、パッとを解放した。

「あ〜お腹痛いよぉ…え?何がやりすぎたの?」

「おぉ怖いね、すげー顔で睨んでら」

馬超はそんなことを言いながらもニヤニヤ笑っている。
はまったくわからない。

「あいつが来るまでに髪をちゃんと梳かしておけよな」

「はぁ?」

「じゃ、そう言うことで。上手くいったらなんか奢れよな」

馬超はひらひらと手を振って行ってしまった。
残されたは意味がわからないが、ポケットからくしを出して髪を梳かす。

「うわぁ、馬超ってばやりすぎ〜髪からまってるじゃん」

ぶつぶつ言いながら髪を梳かす。

殿!」

「あ、趙雲さん」

すっかり忘れていたが、さっきまではずっと趙雲を見ていたのだ。
どうやら訓練は終了したらしい。
だが、趙雲は不機嫌な顔をしている。

「馬超殿は?」

「馬超はどっか行っちゃいましたよ。でも追いかければ間に合いますよ?」

「え、いや…いいです」

ぷいっと横を向いてしまう趙雲。
さっきまで見ていた笑顔はどこへ行ったのやら。

「あぁ、もう…ひっかかっちゃうよ」

はくしゃくしゃの髪と格闘している。
趙雲はちらっとを見て、息を吐く。

「私がやりますよ、殿」

「い、いいですよ。自分でできますよ」

「やらせてください、殿」

少し強引な感じがするが、趙雲はの手からくしを取っての髪を梳かし始めた。
にすれば恥ずかしすぎて困ってしまう。

顔が見えないのが幸いだ。
今の自分はきっと物凄く真っ赤になってるに違いない。
趙雲の手が自分の髪に触れている、それだけで心臓が早鐘を打っている。

「馬超殿といつもあんなことしているのですか?」

「え?あんなことって?」

「その…貴女が楽しそうに笑っていたので、つい」

「あは、ちょっと二人でありもしないことでムキになっていただけで」

「ありもしない事ですか?なんですか、それは」

趙雲には言うなと馬超は言っていた。
素直に言うべきか、黙っているべきか?
趙雲も馬超にみたいに呆れてしまうだろうか。
そんなことを頭の中で繰り返し考えてしまう
逆に一向に答えないに趙雲は少し面白くない。

殿」

「は、はい?」

「教えてもらえないような事なんですか?」

「ち、違いますよ〜言ったら趙雲さん呆れるかなぁって。えーとですね。私が男の子だったらって話を…」

趙雲の手が止まっていた。
振り返ると趙雲が変な顔をしている。

「あの、趙雲さん?」

「貴女が…男性だったらですか…」

「そうすれば、一緒に戦場に出て戦えたのかな?って。馬超には無理だって言われたけど。
もしかすると、男の私は馬超よりも顔が良くて身体つきもがっしりしてて、大将軍の地位まで昇って」

「………」

「(やっぱり呆れれるのかな?)馬超をこき使ってやる!って話をしていたのですよ」

殿が男…」

「趙雲さん?」

「あ、いえなんでもないです。さ、終わりましたよ」

「ありがとうございます」

趙雲からくしを受け取る。
本当に丁寧に梳かしてくれたようで、なんかいつもと違う感じがした。
趙雲に梳かしてもらえただけでもそう感じるのだろうか?

殿、なぜ男性になどと考えたのですか?」

「…それは…趙雲さんが…」

「私が?」

「さっき、男の子たちに熱心に訓練してたでしょう?それが楽しそうに見えたし。なんか、羨ましいなぁって…少しでも趙雲さんのそばにいたいなぁって…」

最後の方は小さな声で辛うじて聞こえるか程度だ。
でもちゃんと趙雲には聞こえたようで。
視線を逸らし、前髪を掻きあげている。

「彼らには戦でちゃんと帰ってこれるようにしたいですから。
そう簡単に命を落として欲しくないのですよ。彼らにも大事なものはあるでしょうし。
私がしてやれるのは鍛えてやれることぐらいですから」

「そうですね。私ってばちょっと不謹慎でしたね」

彼らが無事に帰ってこれるように。
その手助けをしたげたいとは、趙雲らしい考えだ。
は自分の我が侭な考えを恥じた。

「いえ、そんなことはないですよ。それに…」

趙雲は辺りを見回す。
周囲に誰もいないことを確認するとを抱きしめ、そっと口付けた。

殿が男性だったらこんなことできないですよ。だから今のままの貴女で十分ですよ」

そう言ってにっこり笑った。
趙雲も少し恥ずかしそうだったが、それはの大好きな笑顔でだった。

「趙雲さん」

「貴女が好きです、殿」

「わ、私も趙雲さんが好きです」

「本当ですか?嬉しいです」

より強く抱きしめてくれる趙雲。
もその広い背中いに手を回し、二人はしばらくそうして幸せをかみ締めているのだった。



後日。

「上手くいって良かったじゃん。なんか奢れよ」

「奢れといわれてもなぁ…私お金もってないよ」

「なんでもいいって」

珍しく二人でお茶を飲んでいた、馬超と

馬超にあの後のことを聞かれ素直に答えた
馬超は自分のお蔭でもあるぞ!とに言った。

「そうかな?」

「そうだって、あいつは俺に嫉妬してたんだぞ。俺は遊んでいただけなのによ」

「嫉妬?趙雲さんが?」

「そうだって」

「マジで?」

「マジだ」

は今頃気づいたらしいが、それはそれですごく嬉しく感じた。

「すごい嬉しいってば〜!!もうどうしよう〜馬超、奢っちゃる!何がいい?ねぇ?」

嬉しさの余りはしゃぐ
は勢いよく馬超の背中に飛びつく。
思わず、馬超は湯飲みを落としそうになるが、何とか堪える。

「おい、危ねぇな!」

「だって、嬉しいじゃん!ね、なんでもいいよv馬超に感謝、感謝!」

「別に良いって。冗談だから」

「えーなんでもいいよぉ〜じゃあ、劉備様になんかお願いしようか?馬超に休暇とか」

「げ、止せって」

劉備はを実の妹、娘のように可愛がっていたのでの願い事を何でも叶えてくれようとする。
きっと、馬超に休暇でもなんて言えば、簡単に聞き入れられてしまうだろう。

「それより、そろそろどけって」

「いいじゃん。馬超はお兄ちゃんって感じがして好きだもん」

「俺の妹はもっと淑やかだ!」

「ひどい〜そりゃあ、雲緑ちゃんみたいに美人じゃないけどさ」

「頼むからどいてくれ…そろそろ」

馬超がを引き離そうとすると、そこへ。

「馬超殿、何をしているのですか?」

とニコニコ笑顔の趙雲が立っている。
両腕には沢山の書物やらを抱えて。
きっと仕事中だったのだろう。

「趙雲…俺は何もしてねぇぞ」

「趙雲さん、お仕事終わりました?」

殿。あと少しですが、馬超殿が変わりに引き受けてくれるらしいですから」

「何で俺が!」

「私が殿の変わりに貴方に奢りますよ。はい、どうぞ」

バン!と馬超の前に沢山の書物を置く。
どうやらこれが奢りの品らしい。

「さ、殿。行きましょうか?」

「はーい!じゃあ、またね、馬超」

「お、おう…」

ひょいと馬超から離れて嬉しそうに趙雲に駆け寄る
にとっては好きな笑顔でも馬超にとっては恐ろしいものであるらしい。

泣く泣く趙雲の仕事を変わりにこなした馬超だった。








アンケ結果からだったのですが、この頃当サイトでは趙雲が何をやっても1位だったような気がします。
だから、若干趙雲ばっかり書いて飽きていた頃だとも思いますw
でも、書きやすいんだよね、趙雲って。
03/04/26
13/03/20再UP