心にかかった鍵。




ドリーム小説
「…ん…寒い…」

はぶるっと身震いをした。
なんだが、辺りがスースーして寒い。
だるさを感じながら被子を引き寄せようとすると隣に何かを感じた。

「…?」

ゆっくりと上体を起こし辺りを見回す。
そして隣を見て声にならない衝撃が訪れる。

「ひっ!!」

自分の隣で趙雲が寝息を立てていた。
何故にこの人と一緒に寝てるのだろうか?
と、再び身震いをした。

「寒い…って、はぅ!!」

自分の今の状況を見て動きが止まる。
は口が引きつってしまう。
何故って?


だって、今のさん


服を着ていないのだから。


「な!」

「ん…」

寝ている趙雲が少し動いたので慌てて自分の口を自分の手で塞ぐ。

(な、なんで私は服を着てないのですか!?)

あぁ、アニメや漫画などで例えると、滝のような汗がザーッとでてしまうのだろう。

どうやらここは趙雲の執務室にある仮眠室。
床に散らばった自分と趙雲の服。
隣で寝ている趙雲。
これだけで大体の想像がに出来てしまう。

(え…っと、嘘だ…いや、その…)

冷静に思い出してみる。
夕べは長期に亘った戦に勝利し、兵士たちが帰ってきた。
勿論その中には趙雲もいた。
劉備は祝宴を開いた。

そこまでは普通。

祝宴には豪華な食事に沢山の酒類。
みんな飲めや歌えの大騒ぎだった。

はまだ未成年だから酒は駄目でも食事は楽しんだ。
本来ならが参加する必要はないのだが、を娘、妹同様に可愛がっている三兄弟が場に呼んだのだ。
は月英の隣に座っておしゃべりをしながら楽しんだ。
元々月英も酒を飲むほうではなかったのでにとってはいいポジションだった。

これもまだまだ普通。

なんとなくだけど、張飛が飲んでいた酒瓶を奪って飲んだような気がする。

そして、その後…からの記憶がぷっつり切れている。
でも、憶えているのは優しそうに笑った趙雲の顔と言葉。



『        』



なはずなのに…
趙雲が言った言葉が思い出せない。

(なんだっけ…なんか言ってた、趙雲さん…)

隣で寝ている趙雲の顔を見る。
初めて見る趙雲の寝顔を思わずまじまじと見てしまう。

(はぁ〜睫毛長いなぁ…寝てると少し幼く見えるかも…って、おい)

それよりか、今のこの状況をどうしようか考える。
辺りはまだ薄暗く陽は昇ってないようだ。
だとすれば、趙雲を起こさず自分の部屋に戻るなら今のうち。

はそう思って静かに寝台から抜けだし、散らばった服を集め着用する。
黙って部屋を抜け出すのは心苦しい、逃げたのと同じだから。
静かに扉の前まで行く。
部屋を出る時、見えた趙雲の寝顔に胸が痛むのだった。

自室へ駆け戻り寝台にそのまま寝転んだ。

「………」

どっと疲れが押し寄せる。

「はぁ…なんで泣くかなぁ」

ため息と共に零れた涙。
泣く理由はないはずだ。
は趙雲が好きだったし、あの趙雲のことだから無理やりではないし。
憶えている優しい顔が物語っているだろう。

「違う、私はいいけど…趙雲さんは」

なんとなく、自分の想像だけど、『酔った勢い』って奴ではないだろうか。
ドラマや漫画の話みたいに。

「馬鹿だ、私は」



***



あれから数日、は思いっきり趙雲から逃げていた。
元々趙雲は忙しい身分なので多少のすれ違いはあるのだが、少し露骨過ぎるかもと、は悩んでしまう。
かと言って、趙雲からは何も言われない。

「どうしようかな…」

「お、どうした

「あ、あぁ馬超さん」

「なんだぁ?辛気臭ぇ顔してよ」

あまり人に話すことでもない事なのでやり過ごせばよかったのだが、生憎はそこまで大人ではなかった。

「好きでもない人と寝れますか?」

「は?」

直球すぎるの質問に馬超は呆気に取られた。

「寝るって添い寝か…あぁ、違うかそっちか…うーんそうだなぁ」

真面目に答える気か錦馬超。
腕を組んで考える馬超。

「男性って好きでもない人とできるの?」

「…お前ね」

もそれは直球すぎるだろう。
馬超としては真面目に答えるべきか悩んでしまう。

「そう言う奴もいるとは思うぞ。けど普通は違うだろ」

「…かな?…じゃあ、哀れみとかさ」

何をこの少女は言っているのだろう。
馬超は頭が痛くなってくる。
答えるのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

「なんだ、お前哀れみで抱かれたのか?」

「…わかんない」

「はぁ?…あ゛…俺、ちょっと用事を思い出したから」

馬超は慌ててくるりと背を向け走り去っていく。

「え…馬超さん…?」

取り残されたは首を傾げる。
仕方なく自分も部屋に戻ろうかと回れ右をすれば

「………」

さーっと血の気が引いていく。
趙雲が立っているではないか。
しかもその表情から静かな怒りが窺える。
どうやら馬超はこれを見て逃げたらしい。

「私はそんな馬鹿な男じゃないですよ」

「え、えっと」

「まして、好きでもない人を抱くと思われていたなんて」

「だって」

「だって、なんですか?」

本気で怒っているようで、こんな趙雲を見るのは初めてだった。
だから上手く言葉が出ない。

殿」

「だって、私憶えてないから。お酒飲んだ以降の記憶がなくて」

「…確かにあの晩の貴女は酷く酔ってましたね」

やっぱりと思ってしまう

「じゃあ…」

言いかけた時、ぽろっとの頬を涙を伝った。

「泣きたいのは私のほうですよ。目が覚めたら貴女はいないし、この所避けられているし」

趙雲は自分の髪を少し乱暴に掻く。

殿」

『       』

趙雲がに向って言った。

「あ…思い出した」

それはがあの晩に趙雲に言われた言葉。
何故か思い出せなかった言葉だった。

思い出したと同時に急に自分が情けなくなって、恥ずかしくなってくる。
おかげで涙が止まらなかった。

殿、あの、泣かないで下さい」

さっきまで強気でいた趙雲が一転して困っている。

「ごめ、ごめんなさい。私、子ども過ぎて」

「いえ、私もいけなかったのですよ。こう言うものはその…気持ちが大切なものですし」

趙雲はそっとを抱きしめる。
も趙雲の背に腕を回す。

殿のこと、好きですからね」

「私も趙雲さんが好きですよ」

これで本当に気持ちも身体も繋がったであろう二人。
傍から見れ馬鹿馬鹿しいの一言で済んでしまうだろうが、本人たちが幸せなら良いだろう。

趙雲がに言った言葉、それは本人のみしか知らないのですよ。








リクでした。色々あり得ない部分多いですなw
趙雲が言った『    』部分はご想像にお任せします。…手抜きじゃないですよ?…多分w
03/04/07
13/03/16再UP