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君は君。
「!その…えと…き、今日も可憐だな!」 朝。関平と会って開口一番。 関平の言った言葉に、は唖然とした。 「………」 「あ、あの…?」 「………」 「そ、その。き、君はわ、笑うと太陽みたいで…」 なんだ、一体? 関平は何を言っているのだ? そして、その関平の口角が微かに引きつっている。 「平ちゃん…」 「な、なんだ?」 関平はが反応を見せたことに表情を明るくさせた。 だが、は逆だ。 「なんの嫌がらせ?」 「…え?」 「何意味の分からない事を言っているわけ?」 「わ、わからないか?」 「わからないか?って…だから、嫌味にしか聞こえないし、なんか腹が立つ」 「え!そ、そうなのか!?だが拙者は」 関平が酷く慌てる。 の反応が関平にとって予想外だったようで。 はそんな関平を見て、深く息を吐き、彼を置いて歩き出した。 「あ……」 去ってしまうを呼び止めようとするも、関平も深くため息を吐いた。 「何、いったい…なんなわけ?」 は何度もかぶりを振る。 今朝の関平の態度はなんだ?と。 「今日も可憐だとか、君は太陽だとか…何あれ…さむっ!」 思わず身震いをして己の身体を抱く。 「平ちゃん…なんか変なものでも食べた?」 そうとしか思えない。 それとも…。 「なんかの罰ゲーム?あーそれが一番ぽいよね…にしても…あの台詞回しは…」 の脳裏に誰かが思い浮かぶ。 「やあ。おはよう、」 「…おはよう…索ちゃん」 その思い浮かんだ誰か。関平の弟関索がに声をかけた。 「ん?どうかした?」 「どうもしない…」 小さく首を傾げて笑いかける関索。 女官がその姿を見れば、「キャー素敵!」と悲鳴を上げる代物らしいが。 生憎には通用しない。 「ねぇ。索ちゃん」 「うん?」 「平ちゃんに変な事教えた?」 「兄上に?別に何も教えないよ?」 「そう?」 は関索を疑ってしまう。 あの臭い台詞はどう考えても関索が普段言うようなことじゃないか。と…。 この男。無意識なのか知らぬが平然と素で恥ずかしい台詞を口にする。 にしてみれば、遠慮したい台詞であり、もし万が一自分に向けて言おうものならば、その頭の花飾りを毟ってしまうだろう。 (世の中の女の子が全員、君の虜じゃないんだよ?) 言われて喜ぶ子は居る。だがその逆も居るのだ。 「何か、私は君の気に障るような事をしてしまったのかな?」 「君、言うな…」 は軽く咳払いをする。 「あ、えと。なんか平ちゃんの様子が変だったからさ」 「兄上?」 「索ちゃんじゃないのならいいよ、別に。ちょっと驚いたけどさ」 「兄上に一体何を言われたんだい?」 そんなの言いたくもない。 言いたくもないが、まぁ、軽くさらりと言ってみた。 そしたら。 「それは。兄上が君に対して真実そう思うから言葉にしたのだろう?」 「な…」 の口角が引きつる。 「兄上も素敵な事をおっしゃるじゃないか。もう少し素直になって喜んだ方がいいよ」 「そこは違うでしょ?普段の、君の兄上を思い返してみなさいよ!」 「そうかな?私も兄上のおっしゃるように思うよ。君は可憐で、太陽のように輝いて笑う、それでいて一緒に居ると心が穏やかになって…そう。癒されるんだ」 の指がわなわなと動く。 (臭い!臭いんだってば!つーか、ムズムズする、この辺!) 首を思いっきり掻き毟りたい衝動に駆られる。 「想いを素直に言葉に出せるというのは、とても素敵な事だよ。兄上は「やめんか!」 は思わず関索の言葉を聞かないように耳をふさいだ。 「?それは酷くないかい?」 「だ、だって」 だが関索はの態度に気分を害するどころか、さらに笑顔で言い切る。 「そっか。は照れているんだね?」 「はあ?」 「照れるその顔を可愛いと思うけど、兄上には笑顔を見せてあげた方がいいと私は思う。 兄上もきっとその方が喜ばれると思うんだ」 「よ、喜ぶって…平ちゃんが…あのだから…」 が言いたいのは別の事で。 この男は笑顔でさらりと何を言ってくれているのだろうか? 段々との顔が赤くなる。 「女の子は素直が一番だよ、」 「さ、索ちゃん。お願いだから、これ以上は…」 「うん?」 耳をふさいでいた手が、下がって、頬を覆ってしまう。 「索??」 背後からした声には肩をびくつかせた。 「兄上」 恐る恐る振り返る。 関平が立っていて、どこか所在な下げな顔をしている。 はなんとなく関平と目を合わせる事ができず、目が泳いでしまっている。 「その…、さっきは…」 「き、聞きたくない」 関平に背を向ける。 両手は頬を覆ったままだ。 「だけど…拙者は…」 「いや」 「…あ……」 の態度に関平は俯いてしまう。 「。兄上を困らせてはダメだよ?」 「索ちゃん。黙ってて」 「でも。私は今の二人を放っておけないよ」 だから、関索の一言が余計なのだが。 その兄思いが却って、にしてみると邪魔なのだ。 「天邪鬼な態度は時には可愛らしく映るかもしれないけど、今は素直になった方がいいと思う」 「あ、天邪鬼?私が?ち、違うでしょ!?私が言いたいのは」 は一呼吸おいて、関索ではなく、関平に顔を向け、指を突き付けた。 「平ちゃんが急に変な態度をとるからでしょ?」 「せ、拙者は…って、変、か?あれは…」 「変よ!」 「。失礼だぞ。兄上は素直に「素直じゃないじゃない!」 半ば怒ったかのような。 「あんなのいつもの平ちゃんじゃないもの!私が知っている平ちゃんの素直ってのは違うわよ!」 「「………」」 「あれは索ちゃんだから通用するのよ。平ちゃんが無理して使うことじゃないの。 私は、いつもの平ちゃんの方がいいの!平ちゃんは平ちゃん!索ちゃんは索ちゃん!」 飾らない言葉と態度なのが関平じゃないか。 無理して気障な台詞など言わないでほしい。 「…」 「何の罰ゲームかと思ったわよ」 「ば、罰?ち、違うぞ!拙者は、単に、が喜ぶかと思って…」 実際、関索がそう言葉にすれば喜ぶ人がいる。 関平はそれを見習ったようだ。 「それで私が喜んだ?」 「…喜ばない…」 「けど…兄上は君を思って、喜ばせたくてやったのならば」 「…手本が間違っているわね…」 「だが、索の…」 「さっきも言った。平ちゃんは平ちゃん。索ちゃんは索ちゃん。二人ともキャラ違うし…」 武芸馬鹿なところは二人とも似ているが、それ以外はまったく似ていないし、被ってもいない。 「無理しないで欲しいけど…」 「でも、兄上は君に喜んでほしかった。なぜかな?」 「あのね、話をぶり返さなくても…」 なんだろう?関索は急にニコニコし始めた。 「兄上。の要望通りに、ここは兄上らしい素直さで伝えた方がいいですよ」 「さ、索!?」 「じゃないと。次からは遠慮などせずに行きますが?」 「う……」 「じゃあ、頑張ってください。兄上」 関索は兄の背中を軽く押し、自分はその場を立ち去った。 「索ちゃん?」 言われた関平は拳を強く握り。 大きく息を吸い込んだ。 「拙者はが好きだ!だから、喜ばせたくて、言ってみた!索の言葉を手本にすればいいと思って。だけど、が喜んでくれなくて…」 「だから、あれだと平ちゃんが………ん?好き?」 「好きだ。が」 「平ちゃんが、私を?」 「好きだ」 短時間で3度も好きと言われた。 関平はの目の前に立っている。 「拙者の言葉で、素直に言う。それでに伝わるならば…」 「…………」 「が好きだ」 「あ、あの、平ちゃん…」 「好きだ」 直球すぎるものに、は上手く反応できない。 「が好きだ」 「は、恥ずかしいよ…平ちゃん…」 関平はムッとし、唇を尖らせる。 「は文句が多い」 「だ、だって…あの…そんな風に告白されると思わなくて…」 「嬉しくないか?」 「………嬉しい…」 関平は破顔する。 「良かった。嬉しいと言うならば、も拙者と同じ気持ち、想いなのか?」 関平はの手を取る。 少しだけひやりとする指先に、驚く。 「うん」 ここは関索の言うとおり、素直が一番だ。 「私も平ちゃんが好きです」 「ありがとう」 軽くその手を引き、関平はを抱きしめた。 「確かに回りくどい言い方は拙者には無理だ。それでに嫌われるかと思ったら苦しかった」 「だ、だって…私の知っている平ちゃんは…」 「あぁ。だから、もう辞める。あれは索だからいいんだよな?」 「そ。索ちゃんだからいいの。平ちゃんには似合わないよ」 関平には今のままで居て欲しいのだ。 「って…まさか、急に告白されるとは思わなかったけど…」 「そ、それはだな…の周りには色々な方がおられるから…」 趙雲、馬超、姜維に、関索…。 どの人も侮れないと関平には映ったらしい。 だけど、にしてみれば。 「別にあの人達と何かあるわけでもないし…私が好きなのは平ちゃんだし…」 「拙者にしてみれば気が気ではないんだ。手強いんだぞ、中々」 「そんな事ないと思うけどな〜」 「いいや。ある」 現に関索は去り際に恐ろしい事を言ってのけた。 『次からは遠慮などせず』 と。 関索もを狙っているような言葉だ。 単に兄をたきつける為だけなのかは関平には判断のしようもないが。 「けど、もうは拙者のものだ」 「それはそれで…なんか恥ずかしい台詞だね」 「む…だからは文句が多い」 どうしろと言うのだ。と膨れる関平を見ては笑った。 索を見ているとその頭の花を毟りたくなるんです。
でも毟ると可哀相なので、その分平ちゃんに愛情を注ぐことにしましたw
11/04/10
13/03/03再UP
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