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もう一人の天然色男。
「天然色男って何?」 「?」 少女のぼやきとも取れる呟きを耳にした関平。 思わず鍛錬だと振っていた得物を下ろした。 「それは拙者に問うているのか?」 「まぁ…平ちゃんにって言うか、独り言って言うか…」 少女、は鍛錬中の関平のそばに、と言っても彼の邪魔にならぬ位置に腰を下ろした。 距離が少々あるにも関わらず耳に呟きが届いたのだから、それはもう呟きではないかもしれない。 「はっきりしないな」 「じゃあ、平ちゃんに改めて聞くね。天然色男って何?」 何と聞かれてもこれには関平も参る。 意味が分からないと言うのが本音だ。 それが顔にでも出ていたのか、が小さく笑った。 「何って聞き方も悪かったかも。あのね、平ちゃんの弟君」 「索?」 「そ。索ちゃん。人が彼の事をそう呼んでいたのよね。あと花関索とか」 花関索とは、彼が頭に花飾りを挿していることからの呼び名だ。 「天然…ってのは拙者にもよくわからないが。色男と言うのはわかるな」 「あらま」 「索は女子の好みそうな面構えだしな」 「そう?…まぁ…人気はあるようだけど」 と話始めてしまったことで、関平の集中力は途切れたようで。 本人も鍛錬をする気がないのか、得物を完全に置いてしまった。 「は納得できないみたいだ」 石段に腰を下ろしているの前に立つ関平。 「んー…女の子に優しい人だとは思うけどねー。天然色男の意味がわからない」 「気にするほどの事か?」 「だって、だってー。色男って言うなら趙雲や馬超がそう呼ばれてもいいじゃない?」 「確かにあのお二人も女子に人気はあるな」 人気はある。どころではないだろう。 大袈裟に言えば、蜀に住む女性たちの人気を二分するほどで…。 「特に。天然…と言うなら趙雲の方がぴったりだと思うのだけど?あの人も相当天然入っていると思うし」 「…それは…褒め言葉に聞こえないんだが…」 そもそも関索に対する天然色男の天然がどういう意味なのかを関平は知らない。 「天然って何?天然って…天然の反対は人口だよね?自然のままの色男?」 「ふ、深く考えるものなのか?それは…」 「考えなくてもいいものだけど…なんか気になる」 「索のことがか?」 「ち・が・う!」 そんなに力強く否定しても、そうは思えないと関平には感じる。 「天然色男ってのは。無意識に女性の心を捉える事から呼ばれているらしいぞ?」 突然の答えにも関平も驚き、声のする方を見た。 馬超が面白そうだと口角を緩めて笑っている。 「馬超殿」 「何?そう言う意味なの?」 暇つぶしに来たのか、馬超は自然と二人の会話に混ざる。 「らしいぞ。…なんだ、納得できない面だな。なんだかんだで、お前も関索殿が気になっているように見えるのだが?」 「違うって言っているでしょ?ただ、やっぱり…それは趙雲の方がぴったりじゃない?」 「俺はどっちでもいいけどな」 「私もどっちでもいい」 「なんだ、そりゃ」 馬超はくっと喉の奥で笑った。 関平にはの考えていることなどさっぱりだ。 「結局…は何をどうしたいんだ?索に用があるならば索を捜せばいいだろう」 「索ちゃんには用はないよ?」 「じゃあなんだ?」 鍛錬を中断してまで話すことだったか?と関平には思える。 正直関平の方がどうでもいいとも取れる話だ。 「なんだ。ここにも天然色男がいたな」 馬超がそう言うと、関平は首を傾げる。 「馬超殿のことですか?」 「なんで、俺だよ…俺は関索殿やお前とは違うぞ」 馬超に呆れられ額を軽く叩かれた関平。 関平は更に意味がわからず、を見る。 は口先を軽く尖らせ、馬超を睨んでいるようにも見えた。 「?」 「…別に…」 「ま。こっちの天然はただの鈍感とも言えるけどな」 「???」 「大変だな。」 「煩い、馬超」 怖い怖いと馬超は大げさに肩を竦める。 は小さくため息を吐きつつも、馬超に笑いかける。 「でも。その鈍さで助かっている場合もあるけどね、私の場合」 「そうか?」 「な、なんの話だ?」 馬超とにはわかっており、自分にはわからないと少々焦る関平。 「索ちゃんと同じで、平ちゃんにも視線は向けられているんだけどね。あちこちから」 「がっちり向けている奴もいるな」 「あ、あの。本当…二人で話されても…」 馬超とは顔を見合わせ。 「平ちゃんも天然色男だよ。って話」 「は、はあ?拙者が?天然…てのはわからないが、色男ではないと思うんだが…」 「十分色男ですよ?平ちゃんは。かっこいいじゃん」 「そ、そう言われても…」 周りには納得できるような人が多くいるから、関平自身はそうは思えないらしい。 「平ちゃんが他の子たちの視線に気づいちゃったら困るもん」 「は?」 「もう。本当しょうがないなぁ、平ちゃんは。武芸馬鹿なのもいいけど、ほどほどにしてよね!」 は立ち上がり、関平に背を向けた。 「お、おい。!?」 「バカンペイ」 イーッと歯を見せは駆け出し去ってしまう。 「あ、あの…馬超殿…あ、あれは…」 「いや、気付けよ。の精一杯を無駄にするなよ」 馬超は呆れつつ関平の肩を何度も叩く。 「え?」 「はずっとお前を見てたってことだろ?」 俺に言わせるなと、馬超は盛大にため息まで吐いてしまう。 だけど、それで関平にはようやく通じたみたいで、彼の顔が赤くなる。 「い、今の話でどうしたらそう言う流れになるんですか!?」 「…まぁ…強引っちゃ強引だけど…」 馬超は頭を掻く。 全てを聞いたわけではないが、なんとなくが考えているのは。 関索が関平より女性に人気があるのが面白くないようだ。 だけど、それはそれで安心して、自分だけが見ていればいいと言う想いもある。 関平は武芸一筋だから、そう簡単にその視線に気づかないだろうと。 でも、結果的に自分が向けるものもこの男は気づいちゃいないと言うわけだ。 「女ってのは難しいな」 「そ、そうですね…えと…」 「の所に行ってやれよ。今頃落ち込んでいるぞ、あいつ」 「え!?」 「お前。ちっとも気づいちゃいねぇんだもん。友達止まりだと思って落ち込むだろ。 しかも、お前は星彩殿と言う幼馴染がそばにいるからな」 「せ、星彩は関係ないです!し、失礼します。馬超殿!」 関平は馬超に軽く一礼し駆け出す。 を追いかけに行ったのだろう。 「しょうがない奴らだ」 馬超はくつくつと笑い、見送った。 「!」 関平がたどり着いた先で、が膝を抱えていた。 「あ、えと…その…」 少し鼻先が赤くなっているのは泣いたからだろうか? それでも悟られたくないのか、は余計な事は言うなとばかりに関平に強めの視線を向ける。 「えと…」 「………」 「か、甘味でも食いに行こう!」 「は?」 何をどうすればいいのかわからなかった。 だってしょうがないじゃないか。 馬超の話し方では、が自分を好いているように聞こえる。 けど、から直接言われたわけでもないし。断片的で曖昧で…。 いや、そう思っているのは自分だけかもしれない。 「す、好きだろう?甘いもの。拙者が好きなだけにご馳走する!」 「………」 ダメだろうか? ただ、あのままにしておくのが嫌で。 「ぷっ…あはははは」 「?」 は立ち上がる。 軽く目じりを拭って。 「平ちゃん。破産しちゃうぞ?」 「な、何!?」 「好きなだけご馳走してくれるんでしょ?今日だけじゃなく、明日も明後日も、ずっと」 「そ、それは」 物の捉え方だろうが、関平が望んだ事とは違う。 けど…。 「い、いいぞ。明日も明後日も好きなだけご馳走する」 男に二言はない。と関平は言い切る。 「じゃあ早速行こう。平ちゃん」 「お、おう」 が関平の腕に自分の腕を絡めてきた。 ふわりと掠める菓子とは違う甘い香りになんだか照れ臭くなる。 「本当…ずっとだからね。平ちゃん」 そこまで甘味が好きか?と問い返そうかと思ったが、自分を見るの視線に言えなくなった。 どこか寂しそうだったから。 「あぁ。ずっとだ…ずっと一緒にいるから」 それが、関平の答えだ。 無双6仕様の関平たんでした。
索に対して失礼だと思いつつ、私は平ちゃんの方が好きなんですよねw
11/04/03
13/03/03再UP
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