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いつも、いつも忙しそうな孫権様。 それは仕方ない。 早くにお父上様と兄上様を亡くされて、二人に変わって孫呉を治めているのだから。 立派なお二人の名に恥じぬよう、日々努力されていて。 そんな孫権様のことを、多くの臣下も民も慕っている。 いい君主様だとみんな思っている。 十分立派だと思うけど。 私はそう思う! …あー…私なんぞが偉そうに言える立場でもないんですけど。 私、ただの居候だし。 あれ?ちょっと拗ね気味かな?私…。 最近、孫権様とあまりお話していないからなぁ。 一緒に食事をする時間もないし…。 三食共には無理でも、今までは必ず一回は一緒に食事をしていたのに。 それすらもなくなっちゃった。 朝から夜遅くまで政で忙しいから、孫権様は。 食事中の他愛のない話をするのが好きなんだけど…。 「だから、寂しいって顔をしているんだね、は」 「へ!?り、陸遜!?」 目の前に現れた可愛らしい笑顔に驚く。 男の子なのに可愛らしいって失礼かな? でも、可愛らしい男の子なんだよ、陸遜は。 まぁ…中身結構えぐいところがあるけど。 そんなの口が裂けても言えやしない。 「さ、寂しい顔って?」 「こっちがしょうがないなぁ〜って思う顔?」 「わ。凌統君!?」 「いつもいつも黙って見ていても、なんも変わらねぇぞ?」 「甘寧まで!?」 凌統君と甘寧まで出てきて、二人にわしわし頭を撫でられた。 「大体しおらしいって玉でもねぇだろ?お前は」 「柄じゃないよね、本当」 あれ?慰めてくれているのか、貶されているのかわからないんですけど? 「知っているかな?孫権様は昔から我慢ばかりされている方だから。 あまりご自分の望みとか願いを言わないんだよ」 「自分が口にしちゃいけないって思うようだしね」 「君主だって人の子なのにな」 「「「だから」」」 3人が笑う。 「の出番」 「あんたの出番」 「お前の出番」 「わわっ!」 そう言って3人に背中を強く押された。 要は孫権様の所に行け。ってことなんだろう。 3人とも孫権様をとても心配に思っているんだ。 孫呉は昔から家族のような繋がりを持っている聞いた。 それは、私も納得できる。 ただの君主と部下ってだけの繋がりじゃないんだ、きっと。 だから、私も孫権様が心配なんだ。 そして、孫権様に何かしてさしあげたいんだ。 「あ。孫権様!」 「ん?か、どうした?」 どこかに向かう途中だったらしい孫権様。 けど、伴も連れずに一人だ。 いつもならば周泰さんが一緒なのに。 「どうしたって言う用件でもないんですけど…えと」 寂しくて拗ねていました。 なんて言えるわけがない!! 「そうか?」 「…えーと…」 会話が続かない。 前もこんなだったかな? なんとなく、孫権様が忙しくなってから距離ができたような…。 仕方がないとわかっているつもりなんだけど。 でも、陸遜達から見てさ…私って、孫権様に寂しそうな目を向けているって言うし…。 あれこれ、考えてしまうも、よくわからない。 わからないけど、陸遜達は言っていたじゃない。 私の出番だと。 あー…まぁ、何ができるかわからないけどね。 孫権様に何かしてあげたいって思うのは変わらないし、それは陸遜達も同じだから。 「孫権様!」 「ん?」 「私じゃ頼りにならないと思いますが、どかんとなんでも言ってください!」 「どかん。と?」 「はい!あ…ババンと?どーん…かな?…とにかく!孫権様がみんなの事を思って 毎日頑張られているのは知っています。私だけではなく、みんなも。 だけど、その孫権様にも願いとか望みとかありますよね?」 お金とか、欲しいものとか、君主さまに言うことじゃないけど。 何か、何かあると思うし、私にできればと思うのだけど…。 「私の願いは民の安寧「それは君主である孫権様です!」 ずいっと孫権様に迫ってしまった。 「孫仲謀様個人の願いです!」 「私、個人…そうか」 孫権様が優しく笑った。 「最近のはどうだ?」 「…へ?私…ですか?」 「あぁ。元気か?」 向けられる優しい眼差しに、私の方が返事に詰まってしまう。 元気ではあるけど、元気じゃない。 孫権様とあまり会う時間がないから。 「そ、孫権様がお元気ならば、私も元気です!」 「そうか…じゃあ、私は元気にならねばならぬな」 「あぁ、そういうんじゃないくて。えと」 「が元気でないと、私も寂しい。最近中々顔を合わせることがなくてな…」 すっと孫権様が手を差し出してきた。 「少しでいいから、と居られる時間が欲しいな」 ほんのりと胸のあたりが温かくなった。 孫権様が出してくれた手が嬉しくて。 孫権様が柔らかく笑われるのが嬉しくて。 私と一緒にと言ってくれることが嬉しくて。 「わ、私もです!孫権様ともっとお話ししたいです」 「ならばちょうどよかった。少しでかけるとしよう」 「は、はい!」 孫権様の手を取った。 優しくて大きな手。 普段は多くの民のものだけど、今だけはいいよね。 「どこに行きましょうか?孫権様」 「うむ。できれば静かな場所がいい。あぁ、にだけ内緒の場所を教えてやろう」 「内緒の場所?」 お兄ちゃんみたい。って思うけど。 孫権様に笑いかけられると胸のあたりがほんのり温かくなる。 これって何かな? なんとなく「これ」って気がするけど。 今はまだ、「何か」には気づきたくないかなぁ。 「私も兄上から教えてもらった秘密の場所だ」 「楽しみですね、それ」 そして、また一緒にそこに行くことができたらいいな。 こうして孫権様と手を繋いで…。 【一日一回、手を繋ごう。】 お題で孫権。彼はシリーズが進むにつれて好きになるw
多分無双5仕様。
10/10/10
13/01/03再UP
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