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「あ。凌統殿!がどこに行ったか知りませんか?」 孫呉の若き都督陸遜が凌統を呼び止めた。 「?…つーか、そんなに慌ててどうしたのさ」 「あ。いえ…慌てるほどでもないのですが」 陸遜は後頭部を掻きながら嘆息する。 「逃げたんですよ、また」 「また?」 「はい。まったく…自分から言いだしておいて…あ、それでの居場所わかりますか?」 「そうだねぇ…大方甘寧辺りと遊んでいそうだね。だとすると、城下に遊びに行った可能性が高いね」 「城下ですね!ありがとうございます!」 陸遜は律儀に頭を下げて礼を言い走りだした。 恐ろしいと言うか、その直後に配下の者に1個中隊を捕縛の命を出していた。 捕縛命令を出すほどの事だろうか? が単に逃げ出したのは、陸遜との勉強会からなのだから。 また別の日。 「うーむ…」 凌統が庭院を通りかかると、その場には似つかわしくない風貌の大男が立っていた。 「どうかしたのかい?丁奉殿」 「ん…おぉこれは凌統殿。良いところに」 凌統が呼び止めたことにより、丁奉はニッと笑うが。 知らぬ者が見ればその姿に恐怖を覚えるだろう。 本人の気持ちとは裏腹に、見た目で大分損をしている男だから。 「実は…少々悩んでおりまして…」 「悩み?へぇ、どんな?」 「殿に花を差し上げる約束をしたのですが…どの花がお気に召すか某にはわからず…」 どういった経緯で丁奉がに花を?と思ったが。 庭院の場所を見て気付いた。 この辺りは丁奉が自分で育てた植物でいっぱいだったことに。 大方、が気に入って欲しいとでも思ったのだろう。 生真面目な丁奉は、どれが一番彼女の喜ぶものか考えていたのだろう。 「どの花でもは喜ぶと思うよ。ここの花が綺麗だとは思ったから欲しいと願ったのでしょう?」 「そうだろうか?」 「ま。迷う気持ちもわかるよ、どれもいい花じゃないの。それでも強いて言うならば、そうだねぇ…この桃色の花なんてどうだい?大輪の花ってのも好きだろうけど、はこう言う小さな花の方が好きだよ」 丁奉は凌統の答えに満足したのか、迷わずそれを選んだ。 「もう。ったら…子供じゃないんだから…」 悩ましげにため息を吐く女性を凌統は見かけた。 尚香付の女官だったが、今では孫権の補佐をしている錬師だ。 「どうかしたんですか?」 その悩ましげな顔もいいですね。と普通なら口説てしまいそうになるのだが。 生憎自分はそんなに軽いとは思わないし、孫権付きの女性にそんな事ができるはずもない。 それに彼女の口からの名前が聞こえから声をかけたのだ。 「あら。凌統殿」 錬師は小さく微笑む。 「がどうとかって、聞こえたんですがね」 「えぇ。実はったら昼餉に出されたもので、食べ残したものがあって」 「あぁ…好き嫌いの話ですか」 「孫権様もには甘いから、嫌いならば無理に食べなくてもいいとおっしゃって」 けど、それでは孫権、。二人の為にならないような気がする。 は孫権に可愛がられているが、娘、妹ではないのだから。 実の…のように。と言うのは悪くないだろう。 だって、見知らぬ世界に一人で来てしまったのだから。 だけど、甘やかしすぎるのが問題なのだ。 食べ物の好き嫌いなど、子供じゃないのだから。 「そうですねぇ。の場合無理強いをするとかえって逆効果ですしね。 その嫌いなものだと判別できないように調理するか、それを食べることで喜べることがあるとか…ってした方がいいんじゃないですかね?」 「できるかしら?」 「子供っぽいには、子供っぽい方法の方が簡単ですよ」 「うふふ。そんな風に子供扱いしたら後で大変よ?けど、そうね。試してみるわ。ありがとう、凌統殿」 錬師が結果どのようにしたのかはわからないが、後日上機嫌だったのを見ると、嫌いなものを食べさせることに成功したようだ。 「皆が皆、私に何かあると、凌統君に聞くよね」 「そうかい?たまたまだと思うけどねぇ」 今日の凌統はと一緒に居た。 は常日頃から思っていたことを凌統にぶつけてみた。 「たまたま?そうは思えないけど。だって、陸遜は他の誰かに聞くより凌統殿に尋ねた方がすぐに君は見つかるよ!…って」 案の定、甘寧と共に城下に居たところを陸遜の部隊に捕縛されたそうだ。 「それくらいはわかりやすいって意味じゃないのかねぇ」 「もー!何それ」 「あははは。怒らない、怒らない。じゃあサンのご機嫌が直るように美味しいものでも食べに行こうか?」 その方が一番手っ取り早いと凌統は思う。 「何が食べたい?の好きなものならなんでもいいよ」 「……じゃあ…城下で、あんまん食べたい」 「よし。じゃあ行こうか」 「うん」 ほら。すぐに機嫌が直った。 はそのくらい単純なんだ。 そのくらいならば、誰だってわかると言うもの。 いや、いつもの面倒を見ていた、世話していた自分だからわかるんだ。 そう凌統は思っていた。 考えていることが顔に出やすい、行動がわかりやすい。とも言うが…でもちょっとだけ、そんな自分だからわかるって話かもしれない。 「凌統君にはね。私の行動、考え方がお見通しなんだと思うの」 「へぇ」 は甘寧に先の出来事を話していた。 「その割には面白くねーって面だな」 「わかるでしょ?甘寧」 「そうだなぁ。今のお前にゃ、そんな凌統に対して苛つくだろうさ」 「そう。苛つくのだよ」 ぷくーっと頬を膨らます。 甘寧はそれを見て笑う。 「私の事をなんでもわかります。って顔してんのに、肝心な私の気持ちが届いていーなーいー!」 あまつさえ凌統はを子供扱いする。 「ま。今は保護者面してんのが、楽しいんだろう。しばらくは我慢しな」 「しばらくっていつまで?」 「さぁな?俺ぁ凌統じゃねぇからわかんねぇよ」 喉の奥で笑う甘寧。 それを見ては余計に面白くないと頬は膨らませたままだ。 「まぁまぁ。そんなに膨れんな。なんだっけ?こういう場合のお前には食い物が有効なんだっけか?」 「そんなに食いしん坊じゃありませんー」 あれは凌統が誘ってくれたから嬉しいと言うのに。 ま、甘寧が奢ってくれると言うならば、現金な自分は喜ぶだろうが。 「なに?どうしたのさ、。機嫌悪そうだねぇ」 凌統が通りかかった。 「お。来たな、専用本」 甘寧は助かった。と口角を緩ませる。 「は?何?専用本?」 「おう。専用本。の事はなんでもお前に聞きゃあわかるんだとさ」 凌統の肩を軽く叩く甘寧。 「別に専用ってほどでもないと思うけど。どうしたのさ?」 「なんでもない!」 言えるはずもないし、気付いてもらえるはずもない。 だから、余計な事を言った甘寧を恨めしく思う。 「甘寧。さっきの取り消し!」 「あ?」 「凌統君は私専用本じゃないってこと!凌統君は一番重要な部分をわかっていないんだから!」 「一番、重要?」 凌統は首を傾げる。 それだけじゃわからないだろう。と甘寧は笑いを耐えている。 あぁ、腹立たしい。 本当にわかっていないのだと思うと。 「一番重要って」 「もういい!」 「が俺に惚れているってことかい?」 「…………は?」 「わかるだろう。だって、俺もずっとを見ていたんだからさ」 勝ち誇ったように笑う凌統に、甘寧は唖然とし、は赤面し慌てていた。 「つーことで、専用は俺。他の誰にも譲らないよ、これは」 甘寧の居る前で、凌統は固まるの頬に軽く口づけた。 【貴方専用攻略本。】 お題で凌統君。無双6仕様でした。
11/05/29
13/01/03再UP
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