ドリーム小説
前々から思ってはいたが、こいつ、は絶対鈍い。



「お。!ちょうど良いところに来た。暇か?暇なら釣りにでも行くか?前にやってみてぇって言ったろ?」

「甘寧。うん、言ったね。どうしようかなぁ、私でもできる?」

「この俺が一緒なんだぜ。できるに決まってんだろ。大物だって簡単に釣れるぜ!」

俺がニシシと笑えば、も笑う。

「わぁすごい甘寧!流石!」

まだ釣れてもいねぇ。それどころかでかけてもいねぇのに、は喜ぶ。
俺を見る目が英雄でも見るかのようで、照れ臭い気もするが。
ちょっと悪ぃ気はしねぇ。
を見ていると、なんつーか…あったかくなるよな。
そばに置いておきてぇ、俺の大事なもんだ。

けどよ。
鈍いんだ、
なんで、俺がこんなに声をかけているのかちっともわかってねぇ!

俺はお前が好きなんだ。
ただの世話好きな兄ちゃんなんかじゃねぇんだぞ?
お前を俺のもんにして、こうしてぇとか、あーしてぇとか。
こうすりゃお前は俺のもんになるんじゃねぇのかとない脳みそ使って考えてんだ。
それなのに、お前はよ…。

「甘寧ってみんなからアニキ!って慕われるだけあるね!」

なんて邪気のねぇ笑み向けやがって…。
本当呆れる。
けど、諦める気はねぇんだ。そう簡単にな。





以前からつーか…出会ってすぐに気づいたよ。って鈍いにもほどがあるってさ。



「あぁ!この前約束していた遠乗りにでも行ってみるかい?」

「凌統君。いいの?忙しくないの?」

「俺から誘ってんだ。暇だからに決まっているつーの」

軽くその額を指で弾けば、照れ臭そうに小さく笑う。
本当可愛いよ、その笑顔。
悲しい顔をしているよりはよっぽどいい。
の笑顔を見ていると、俺も釣られて笑顔になる。

「だって、いつも凌統君忙しいから…暇ならさ、体休めてもいいわけで…」

の相手をしなくてもいいって?
まったく。暇だから声をかけているだけじゃないんだよ、俺は。
本当鈍いよね。
俺が親切だけで気にかけているわけじゃないんだよ?
俺はが好きなの。
まったく気づいていないでしょ?
それなのに。

「あ、ほらほら。凌統君のこと見てるよ、あのお姉さん。凌統君モテモテだね」

他の誰かなんてどうでもいいわけ。
俺が見ているのはあんた。
俺が好きなのはあんた。
どうしたら振り向いてくれるかとか、気づいてくれるとか色々手を回しているってのに。
連戦連敗。
鈍すぎるに脱力するよ。
けど、そう簡単に諦めるわけにはいかないね。





「「あ」」

機嫌よく歩く彼女を見つけた男どもは、声をかけようとした。
だけど、同時に同じ事をしようとしている者を見つけた。

「甘寧…」
「凌統…」

目的は同じだと簡単に気づく。
好きになった女が同じだと気づいたのも随分前。
甘寧が孫呉に降ってから、湧いた因縁により険悪だった二人だが。
月日が流れ、互いの事を知り、仲間達のおかげもあり解消された。
まぁ、気安い友人関係を築けた一方で、を好きだという事が発覚した。
それからは一歩も譲らずを振り向かせる為に競っているのは言うまでもない。

「何、に用事?けど、俺の方が早くなかったかな?」

「馬鹿言え。たいして変わらねぇだろうが」

お互いの動向を探る。
因縁、わだかまりが消えたとはいえ、この件に関しては引く事などできない。

「あれ?二人共どうしたの?」

が二人に近づいてきた。

「あ。いや、別に…」

「別になんでもねぇけど」

さてこれからどうしようか?
どうやって相手を出し抜くか策を巡らせる。
だが。

「なんか嬉しいなぁ。二人が仲良くしているのを見ると」

「「は?」」

ニコニコと笑顔を向ける

「ほら、最初は二人共色々あったから…けど、今は一緒に居るほど仲良くなったし。
二人が漫才みたいなやり取りしているの見るの、好きだよ、私」

本当に邪気のない笑みを向けられ、に対してあれこれ思っている身としてはそれが眩しすぎて居た堪れない。

「あー…まぁ、それはなぁ…」

「俺達もガキじゃないし…」

今は互いにどう出し抜こうか考えていたなど口が裂けても言えやしない。

「あ」

先の回廊を歩く黒い影。
影と言うには物騒すぎるが、その影を見ての頬が緩む。

「周泰さんだ」

「「………」」

あぁこれはまずい。
咄嗟に二人は気づく。
が自分達の想いに気づかないもう一つの要因。
それは周泰に憧れを持っているから。
が言うには、周泰はとても優しくて、頼りになる人だと。
ちょっと近寄り難い雰囲気があるが、それは周囲が勝手に思っているだけで。
本当は一緒に居ると安心できる存在だと。

(おい、甘寧。ここは一つ手を組もうじゃないか)
(おう。旦那には悪ぃが・・・流石に連れて行かれるのは癪だ)

ライバルは手を組んだ。

「なぁ。メシでも食いに行かねぇか。さっき凌統とその話をしてたんだよ」

「え?」

「そうそう。美味しい店を見つけたからさ。良かったら行かないかい?きっと気に入ると思うんだよねぇ」

「ちょうどいい時間だしな」

食い物で釣るのもどうかと思ったが、ここは手段を選んでなどいられない。

「そうだね。うん、お腹空いたかも」

「よし。決まりだ。行こうぜ」

「たっくさん食べさせてやるからさ」

二人はの背中を押す。
出し抜くのいいが、ここは協力してとの距離を縮めるのも悪くないだろうと思って。
なぜなら、二人共この「恋」というものを諦める気はさらさらないから。
の周泰へのものも「恋」とうよりまだ「憧れ」に過ぎない。
憧れが本格的な恋に変わる前にを自分に向けさせたい。
それは容易ではないが、簡単に諦めない。
そして甘寧、凌統。ライバルが諦めない以上、自分もと言う意地もあるのかもしれない。





「なんだか、あそこだけ嵐ですね」

陸遜は小さく笑う。
勿論その中心、目はだ。
見ている自分がすぐに気づいたと言うのに。
は甘寧と凌統の想いにまったく気づいていない。
それどころか、彼女は周泰に憧れているとのこと。
肝心の周泰の方は3人とは違い、何を思っているのか、考えているのかはまったくわからない。
そうそう人にわからせる真似はしないだろう。

「ですが、凌統殿と甘寧殿が仲良くやってくれる分には助かりますけどね」

さてさて、この先どうなることか。
二人の想いには気づくのか?
気づかせる前に行動を起こすのか?
はたまた、周泰への想いを実らせるか?
それを観察するのは実に楽しいことだなと思い、陸遜は3人の後を追った。
どうせならそこに加わって間近で見た方がいいだろうと思って。





【興味深い恋愛模様。】









お題で甘寧&凌統君。彼女は周泰君よりですがw
10/07/07
13/01/03再UP