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「惇兄ー」 とてとてと走ってきたが、俺に抱きついた。 「追いついたー」 背中から感じるぬくもり。 「ん?どうした?」 「惇兄歩くのはやいよ」 「そうか?お前が遅いんじゃないのか?」 なにせ、走ってきたと例えるとしても「とてとて」などと表現できてしまう。 背中に腕を回し、我ながら器用だと思うほどの頭をわしわし撫でた。 「何か用があるのか?」 「ないとダメ?」 「そういうわけではないが…用があるからと呼び止めたのだろう?」 「これと言ってないよ。ただ惇兄を見つけたら嬉しくなったから」 わしわし。 もう一度の頭を撫でる。 「えへへー」 いったいいくつなのだと問いただしたくなる。 もういい大人だろうと言われても可笑しくないのに。 それでも俺もやめずに、幼子相手にしているみたいに、の頭を撫でてしまうのだ。 「じゃあ俺は行くぞ」 「えー」 「暇じゃないんだ」 「それはわかっているけど…もう少し一緒に居たいなぁ…って思うわけで」 背中のぬくもりが段々熱を増してくる。 こんな所、孟徳や張遼あたりに見られたら何を言われるか…。 想像するだけ頭痛がする。 孟徳にはからかいの籠もった皮肉を。 張遼には呆れの籠もった嫌味だろうな。 「だが、ここでは俺の仕事にならん。突っ立っているだけではな」 「あー…」 残念そうな声が聞こえる。 仕方ないともう一度わしわしの頭を撫でた。 「着いて来る分には文句は言わん。室で大人しく待っていられるならばな」 「うん!邪魔しないで待ってる!」 「そうか」 背中の熱が消える。 は俺から離れる。 少し名残惜しいと思うのは、俺もどうしようもなくが愛おしいと思うからだろうから? 「行こう。惇兄」 背中から右腕にぬくもりが移動する。 あぁ。本当甘い。 甘すぎる。 あとで張遼に嫌味を言われるだろうな。 だが、悪くないと思う自分が居て。 が隣に居るのが当たり前と考えている自分も居るのは確かだ。 ああ…一緒に居たいと思うのは、俺も一緒だったと言うわけだ。 *** 子供って年齢じゃないんだけど、惇兄に頭を撫でられるのは好き。 大きな手でわしわし私の頭を撫でる。 あと、大きいと言えば、その背中も好き。 だから、惇兄が歩いている姿を見つけると、その背中に抱き着いてしまうんだ。 今日もその背中を見つけて抱き着いてしまった。 「お前はどこの子供だ」 惇兄が立ち止まる。 「えー。そんな子供じゃないよ?私」 「やっていることは子供のように見えるのだがな」 惇兄が苦笑するのがわかる。 そして惇兄は手を伸ばして、そのまま私の頭をわしわし撫でてくれるんだ。 「でも惇兄の前じゃ子供になっちゃうのかもね」 「そろそろ卒業しろ」 「えー…それ、なんか一生無理」 惇兄が軽く吹いた。 「一生なのか?お前、それはどうかと思うぞ?爺と婆になってもこんなことをやるのはな」 そんな想像したんだ、惇兄。 意外と可愛いな。 でも、それはそれでいいな。 おじいちゃんとおばあちゃんになっても、惇兄と一緒に居られるのならば。 「いいじゃん。ずっと惇兄の後を着いて行くから」 「俺の後か…」 惇兄と一緒に居たいもの、私。 「俺は勘弁だな」 「………え………」 ツキンと胸に痛みが走った。 ずっと。って惇兄は思ってくれないんだ。 まぁ…そりゃあ…子供じみたことをずっとされたら惇兄だって嫌なのかも…。 もっと大人になれってことかな? 「泣きそうな顔をしていそうだな、」 わしわしと惇兄が私の頭を撫でた。 「えと…それは、さ…」 「俺が言いたいのはだな…俺の後を着いてくるより、俺の隣を歩いて欲しいと言うことだ」 「え!?」 「共に行こう。そういうわけだ」 私は腕の力が緩んでしまう。 惇兄が歩き出すから、惇兄と距離ができる。 ぼけっと突っ立ったままの私。 惇兄は少し歩いた先で振り返った。 「何をしておる。行かぬのか?」 惇兄が優し目で私を見ている。 「う、うん!」 惇兄の背中を追うのも好きだけど。 その隣を歩くのも好きだ。 これからもずっと、私は惇兄の隣を歩くんだ。 【恥ずかしさよりも愛しさを胸に。 】 お題で惇兄。
10/08/15
13/01/03再UP
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