ドリーム小説
「趙雲さん」

「はい。なんでしょうか」

「今、お忙しいですか?」

柱の影から顔を出すあなた。
何故隠れているのか?と思うが、その姿がとても愛しいと思えてしまう。
子犬のような可愛さがあると。
恥かしくて、まずそのようには言えぬが。
これが馬超殿ならば、スッと口に出るのだろう。
いや、馬超殿と自分を比べても仕方ないのだが…
何分、馬超殿からは言いたい事ははっきり言えと叱られている。

こと…彼女、殿に関してだ。

殿に嫌われたくないから、無難に過ごしてしまうのかもしれない。
あとは現状で満足してしまっているからだろう。

「先ほど調練を終えましたので、少し休憩に入ろうと思っていましたが」

「そっか。じゃあちょうど良かった」

「?」

彼女は私の前で軽く跳ねた。

「じゃあ、良かったらこれ食べてください」

スッと差し出されたもの。
小さな包み。

「さっき、月英さんに教わって作ったんです。味は月英さんの保証つきなので大丈夫です」

「私に。ですか?…ありがとうございます」

包みを受け取る私を見て、殿は照れ臭そうに笑う。
彼女に微笑まれると、気持ちが優しくなれる。

「えーと、じゃあ…そういうことで」

「え」

逃げるように去ってしまった殿。
急に一人になると少し寂しいものだが、差し入れを頂けたと思うだけで十分だろうか?
けど、馬超殿がここに居れば。

「バカだな、アンタ。そういう時は一緒にどうだ?ぐらい言えないのかよ」

そう言われてしまいそうだ。
まだまだだな、私も。
それでも一緒には無理でも、食べ終えた後に、お礼を言わねば。
その時、少しだけ勇気を出して伝えてみようか。
いつも見せてくれる笑顔を曇らせないよう、努力はするべきだ。

あなたはどんな反応を示すだろうか?
私が伝えたいと思う事を聞いて。



***



趙雲さんに渡せたよ。良かった。
恥かしいな、今どんな顔をしているのかな、私。
室に戻って鏡を見たら、笑顔だった。
まぁそうだよね。趙雲さんに会った後だもん。
趙雲さんと一緒にいると、自然と口元が緩む。
ふにゃんって気持ちになる。
だって、趙雲さんは素敵に笑うんだ。
優しいんだよ、その目も。

私だけじゃないのが、残念だけど。

いつか、趙雲さんにとって特別な子になりたいなと思う。
趙雲さんの好きな人というか、好みのタイプがどんな人かわからないけど。
きっと素敵な女性なんだと思う。
何が素敵とかはわからないけど、いつか私も素敵な女性になりたい。
なって趙雲さんの隣に並びたい。
今はまだ何をどうすればいいのかわからないけど。
趙雲さんが笑顔を向けてくれるから、私も笑顔を絶やさないようにするんだ。

ほら、やっぱり人と会うときしかめっ面でいるよりはいいでしょ?
変な顔をして、「あなた怒っているの?」って言われるよりは絶対いい。
ヘラヘラ笑うとは違うと思うので、場所はちゃんと弁えることは忘れずにね。

趙雲さん、喜んでくれるといいな。
味は本当、月英さんに味見もしてもらったから問題はないはず。
ちゃんと人様に出せるように頑張ったもの、私。
私が居た所とは大分食生活が違うからね、なれるのに時間はかかったけど。

「美味しかったです」

そう趙雲さんに笑顔付きで言ってもらえたら、きっと天にも昇る気持ちだろうね。





【大好きな笑顔】








お題で趙雲。
10/03/04
12/11/04再UP