なかまはずれに。




ドリーム小説
最近の馬超との仲は順調そのもの。
義父母の孔明と月英(主に孔明だが)の邪魔にもめげず馬超は穏やかにと過ごしていた。

「だんだん美味くなってきてるな、

「本当?」

「あぁ、美味いぞ」

今は二人で仲良くランチタイムのようだ。
週に数える程度だが、は馬超と自分の分のお弁当を用意してくる。
一応も孔明の仕事を手伝っているので、普段は城で働いている。
なので、たまに二人で一緒に昼を過ごすのだ。

「私がいた所と台所用品とかが微妙に違うし火力の調整とか難しいからね」

たまに変な失敗をしてしまう。
だが最近ではコツを覚えてきて慣れてきた。
お弁当の見栄えもよくなってきている。

「ダシ巻き卵だっけ?これも美味い」

馬超はいつも残さず食べてくれるのでとしては作り甲斐があって嬉しい。

「もっと色々作れればいいけど。その点お母さんはすごいんだよ〜」

点心とか軽く作ってしまうし、家事以外もちゃんとこなし軍に関しての開発なども行っている。
はそんな月英がすごいといって憧れてしまうらしいが、馬超は頼むからそうはなるなと思っているらしい。

だって、庭に地雷を埋めるような人だぞ?って。

口にするとが怒るので今の所は黙っている。


とりあえず、今の二人の仲は周りが心配するようなことはない。


今はね。





が休憩中に何かを探しているようでキョロキョロしている馬岱の姿を見つけた。
また馬超が仕事を放り出して逃げ出したのだろうと思い、彼に声をかける。

「どうしたの?岱君。また孟起が逃げ出したの?」

「あ!えっと、あはは」

声をかけられて肩をびくりと震わせた馬岱。
彼にしては珍しいことだ。

「?」

「な、なんでもないですよ」

「そうかな?なんか変だよ?困った事があるなら話ぐらい聴くよ?」

馬超と付き合うようになってから、馬岱との交流も増えた
馬超にとって馬岱は唯一残された家族なので二人の絆は強い。
とも気軽に話す仲になっていた。

「えっと…なんと言うか…」

「孟起がなんかしたの?」

「いえ、従兄上は関係ないです」

「ん〜?」

馬岱は辺りを何度か見回してから意を決したようでの両手をギュッと握った。

「あの、誰にも話さないって約束してもらえますか!?」

「う、うん」

「従兄上にもですよ!」

「う、うん約束する」

一体何事だろうかと思う。
馬超にも黙っていて欲しいだなんて。
でもは馬岱から話を聞いて納得した。

「わかった。私が手伝ってあげる!」

「え、いいですよ、悪いですから」

「いいの、いいの。私が手伝いたいと思ったんだもん。ね?」

馬岱が迷って、困っているのならば助けてやりたいとは思ったから。

「でも従兄上が知ったら、多分煩いですよ?」

「平気、平気。つーかやましい事なんもないし〜」

まぁ確かにと馬岱は思った。
“この事”に関しては馬超は無関係なのだから。

「じゃ、じゃあお願いします、殿」

馬岱は恥ずかしそうにに頼んだ。

「うん。任せておいて!」

は笑顔で答えるのだった。



数日後。

「岱君、た〜い君」

馬岱が沢山の荷物を抱えて移動中にが孔明の執務室から顔を出して自分を呼んだ。
こっち、こっちと手招きして。

殿」

小走りでの下に駆け寄る馬岱。
その顔はどこか嬉しそうで少し頬が赤く染まっている。

「あのね、この前のことだけど…」

小声で馬岱に耳打ちをする
娘の後姿に面倒が起きなきゃいいかと、思ってみている孔明。

「どうしたんでしょうね、殿は」

馬岱となにやら、楽しげに話をしているので姜維が孔明に尋ねる。

「さぁ?どうしたのでしょうね?子どもの悪戯みたいな顔して」

「馬超殿が見たらなんか煩そうですね」

ケラケラ笑いながら姜維はさらりと言う。

「そうですね、あの方はのこととなると人が変わりますから」

孔明は筆を動かしながら娘の行動を見ている。
器用な奴だ。

「でもが楽しそうならいいのですがね」

「丞相、それは親バカです」

「ふふふっそうかもしれませんね〜でも、今は執務中なので後でお説教ですね」

「ははは」

この数分後には孔明に軽いお小言を貰うのだった。



このような光景はちょこちょこ見られた。
趙雲も見たし、頼子も見た。
馬超も1,2回ほどだが、話をしている二人の姿を目撃した。
ただ、この時は別になんとも思わなかったのだ。

「ねぇ、ちゃん。最近馬岱さんと何話してるの?」

頼子の部屋でくつろいでいる時に聞かれた。

「秘密〜」

「えーなにそれ。隠すようなこと話してるの?」

「だって岱君との約束だもん〜誰にも言わないって」

二人きりの秘密だなんて馬超が知ったらどうするのだろうかとか頼子は少し思った。
大変なことにならなきゃいいけどと思いつつ、なんかしでかしたら面白いとか思ったりもする。

「馬超さんも知らないの?」

「知らないよ。だって孟起には関係ないもん」

ちゃん…」

これを聞いたら馬超が思いっきり不機嫌になるよ、絶対とか思った頼子だった。



「最近よ」

「はい?」

兵士たちの訓練を見ている時に馬超が隣にいた趙雲に呟いた。

と岱がなんかコソコソしてるとか思ったんだが」

「は、はぁ」

それは馬超が思わずとも趙雲も知っている。
頼子から馬超には内緒で何かしてるらしいよって聞かされていたから。

「二人が仲良くしてくれるのはいいんだが、なんかな」

「馬岱殿に嫉妬ですか?いや、この場合は殿にもと言っても可笑しくないですね」

「なんでだよ」

馬岱は一気に顔を真っ赤にさせる、趙雲にからかわれたからなのと、図星だからだろう。
二人が仲が良いのはいいことだ。
二人とも大事な人だから。
でも、そんな二人が自分をのけ者にして何をしているのかと思うとつまらない。

「理由。聞きたいですか?」

「いい。言うな」

「はいはい」

と趙雲は隣でくすくす笑う。
そんな趙雲にちょっと腹が立つが何かすると当たっているだけに恥ずかしいから
口を結んで拱手した。

(本当…なにやってるだんだよ、あいつら)

でも、ちゃんと理由はあるのだろうから黙っておこうと思った。
それに、ちゃんと二人から説明されるかもしれないしと。



「岱君。これ、これ」

また別の日、は馬岱の姿を見つけて彼に駆け寄った。
それを見かけた馬超。
馬岱に何か手紙の様な物を手渡している。

殿、ありがとうございます」

「ううん、何てことないって」

それを受け取った馬岱の顔が少しいつもの従兄弟と違って見えた。
嬉しそうにから受け取ったものを持っている。
なんかそれを見たら、カッとなった。

二人が少し話した後別れたので、馬超は急いでの後を追い、彼女を捕まえる。

!」

「ん?」

勢いよく腕を引っ張られてる。

「孟起?何?」

馬超の口元が震えているのがわかる。
どうしたのだろうか?

「お前、岱とこそこそなにやってるんだよ」

「別にこそこそなんてしてないよ」

「嘘つくな」

「嘘じゃないよ」

にしてみればこそこそしているつもりはない。

「じゃあ、岱と何話してた」

「…別に」

「言えよ」

「…話すこと、ないもん」

何かがプチッと切れた。
馬超はを壁に押し付ける。

「痛い、孟起!」

「なんで俺に隠すんだよ」

「隠してなんか」

はスッと目をそらす。
なんだが全てが馬超には苛立たせるようなことに見えてくる。

「目、見て言えよ」

「………」

元々鋭い目つきの馬超に睨まれて、少し怖くなる
喧嘩は今までだって何度もあったが、こんなのは初めてだ。

「孟起には関係ないことだもん」

「っ!」

それは言ってはいけないと言った後に気づいた。
馬超が手を振り上げたので『殴られる!』と思った。
いつだって馬超は女性に手を上げるようなマネはしない。
だが馬超だってそれだけは避けたかったのでの頬ではなく、壁に向かって拳をぶつけた。

「も、孟起」

馬超はずるりとの肩に顔を埋める。
今、どんな顔をしているのかはわからないが、彼の呟きがポツリと聴こえた。



「俺より岱の方がいいのかよ…」



って。
と馬岱が仲良くしてくれるのは良いことで嬉しいのだが、やっぱり面白くないわけで。

「も、孟起。あのね」

はこんなに人に愛されるのって初めてだと改めて気づく。
ただの嫉妬かもしれないが、馬超が自分のことをこんなにも想っていてくれるのだから。
はそのまま腕を馬超の背に回す。

「ごめん、孟起。孟起が思ってるような事ないから」

「………」

「私の口からは言えないんだ。でも、本当やましい事はないから、信じて…ね?」

「…

馬超は顔を上げ答えようとしたが、口に出すのが面倒だと思ったので無言でに口づけた。

「んっ、孟起、…人がくるって」

いつ誰かに見られるかもわからないような場所で…
こんな所、孔明に見られたらビームの嵐が振ってくるだろう、さらに月英ならば虎戦車に追われるかもしれない。

それでも構わず馬超は貪り続ける。
ようやくを解放した時に、お互いなんか妙に恥ずかしかった。
なのでにゲンコツを思いっきりいただいてしまうのだった。

「孟起の馬鹿!」

「……悪い」




それからしばらくして、が馬岱の了承を得たので話してくれた。

「……あ?なんだって?」

「だから、あれは岱君と岱君の好きな子の橋渡しをしてたの」

「………」

話を聞いて少々面食らった様子の馬超。

「岱君ね、好きな子がいたけど上手く自分から話しかけられなくてさ。
話聞いたら、その子のこと私知ってたから色々協力してたわけ…ね?やましい事なんてないでしょ?」

「こ、こそこそしてたのは」

「だって他の人に聞かれたら困るでしょうが。岱君、恥ずかしいから孟起にも内緒だッて言うから」

まぁ、こそこそしたつもりはにはないが、周囲にはそう見えたのだろう。

「岱の奴……」

お前の所為で俺は恥じ掻きまくりだ!と拳を強く握る。
後で一発殴るとか思っている。

「で、そいつと岱どうしたんだ?」

「上手くいったよ〜孟起が私に怒鳴りつけたあの時にね」

「ぅ……」

はその相手が書いた返事を馬岱に渡しのだ。
から見れば初々しいねと思う。

「お互い恥ずかしがり屋で大変だったよ〜でも上手くいったからね。良かったでしょ?」

「あぁ、そうですか、良かったじゃねーか」

半分ふて腐れたように馬超は言う。
は面白そうに馬超に頬を指で突っつく。

「孟起ったらヤキモチ妬いて〜『俺より岱の方がいいのかよ…』だって。孟起可愛い〜」

ケラケラ笑う

「お、お前な!俺だって最初は別になんとも思ってなかったんだよ。それが、なんだ…あれだよ、あれ」

「なんですか〜?」

「もういい!」

「あははは、孟起の照れ屋さーん」

いつも強気な馬超だが、今回は中身が中身なだけにいい笑いのネタにされてしまったようだ。
ぷいっとそっぽをむいた馬超には言った。

「でも嬉しかったよ、孟起」








従兄弟も彼女も両方大事だから、両方に嫉妬しちゃったようなものです。
04/12/16
12/11/04再UP