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ドリーム小説
「へぇ、じゃあ宴みたいのを開くんだ」

「うん、そうみたい。ほら、騒ぐの好きな人たちだし」

「みたいだね。あと少しでお正月なのに、そこでも騒ぐのでしょう?結局さ」

「あはは、ものすごく騒ぐよ」

「だったら、別にやらなくてもいいのにね…まぁお客さんもいるからかな?」

「だね」

12月24日。
世間ではクリスマスイブ。
この国ではそのようなイベントはない。

だが、そのイベントの存在を知った劉備が頼子とのためにと軽い宴を開いてくれると言う。

「去年はやらなかったの?」

「去年は色々大変だったから。劉備様がこの国を治めるようになってようやく落ち着いたし」

「ふーん」

「結構、私は楽しみなんだよ?改めてちゃんや子龍と一緒に過ごせるクリスマスなんだなって思うから」

「私と〜?趙雲さんだけでしょ?別にいいって」

「ち、違うよ!本当だよ〜」

顔を真っ赤にして反論する頼子。
はそれが面白くてしょうがない。

「なんかちゃん、馬超さんに似てきたね」

「え!止めてよね〜なんであんな性格の悪い奴に似なきゃならないのよ!」

「だって、さっきのちゃんの顔そっくりだったもん。子龍をからかってる時の馬超さんに」

「…や、やだなぁ、それって」

「本当は嬉しいくせに」

「頼子〜?」

「でも馬超さんと約束してたでしょ?」

「な、何で知ってるのよ」

「馬超さんが子龍に話してたよ〜」

「頼子だって趙雲さんと約束してたでしょ?宴が終わった後にって」

「「あははは」」


羽山頼子と
二人はもともとこの国のこの世界の住人ではない。
神濃と言う自称神様が頼子を最初にこの世界へ召喚した。
そこで頼子は趙雲と出会い互いに惹かれて、今では仲睦まじく過ごしている。

頼子には皇帝の証とも言われる【玉璽】の力が備わっており、彼女は【玉璽の姫】と呼ばれている。

は頼子の親友で、失踪してしまった頼子を連れ戻すために神濃に召喚された。
だが、頼子はこの世界で暮らす方が彼女のためだと思い帰ることを望むが馬超に邪魔されてしまう。
遠回りをしたのだが、と馬超は今では恋人同士だ。

頼子は劉備とともに城に住んでいるが、は孔明夫妻の養子に入り彼らの屋敷に住んでいる。

そこそこ平穏に暮らしている今。
そんなある日の話…



***



今現在、蜀と同盟を結んでいる呉から客人が来ている。
孫策や甘寧と言った武将たちだ。
孫策の妹の尚香が劉備に嫁いだことで、訪れているらしい。
頼子やには政治上のことはあまりわからない。

今宵はその客人をもてなす意味も込めて宴が開かれている。
先も言ったとおり、頼子たちの世界では今日はクリスマスイブ。
劉備はその意味も込めているらしい。

どっちにしても楽しめればいいのだろう。

「私なんかも参加しちゃっていいのですか?」

は月英の隣に座り訊ねる。

「孔明様もぜひにもと仰ったでしょう?」

「そうですけど…なんか場違いだなぁって」

軽くこめかみの辺りを掻く
辺りはすでに酒の勢いで大騒ぎになっている。

「大丈夫ですよ。私もいますし、ほら頼子殿も来たようですよ」

「本当だ」

趙雲と一緒にやってきた頼子、を見つけ軽く手を振る。
一応お姫様って立場なのだろう。

「私は気が楽でいいかな?」

以前のような嫉妬は今のにはない。
今では自分には馬超がいるわけだし。

その馬超だが…

「彼女放って飲みまくってるし」

客人を相手に飲んでいるようだ。
彼も一応将軍様だ、仕方ないと言えば仕方ないだろう。

しかし、飲めない自分としてはあまり面白くないものだ。

「せっかくのイブなのに…馬超の馬鹿〜」

その馬超がこっちを見たのだが、なんだが癪に障って目をそらしてしまう

「…なんだよ、の奴…」

視線をそらされてしまった馬超も少し眉を顰める。

「なんだ?飲んでねーじゃん。ほら飲めって」

「あ、あぁ」

馬超の隣に座っているのは甘寧。
甘寧は次々と馬超の杯に酒を注ぐ。

時間も経てば、酒の影響もあって一人の人間として皆、楽しく騒いでいる。
同盟国といってもどこかで一線を引いていたようだし。

「ね、子龍」

「ん?」

ちゃんがね、そろそろキレるかもしれない…」

「はぁ?」

頼子は劉備の近くに席を設けていたため、騒いでいる武将たちより少し離れていた。
頼子のそばには趙雲がちゃんといるわけで、彼は特に飲んではいない。

殿が、なんだって?」

「だから、ちゃん静かに怒ってるんだよ…馬超さんのこと」

「馬超殿は何かしたのか?」

「かまってもらえてないから…多分」

「あぁ、そう言う事か。馬超殿も気づけばいいが、無理そうだな」

とか言いつつも趙雲は助けてあげるつもりはないらしい。
あの場に行けば下手に酒を勧められて自分も同じことになりそうだったから。

頼子の予想通り、の苛々は頂点に達していたようだった。
静かに食事をしつつ月英と談笑しつつも、目の前で飲んで騒いでいる馬超が気に食わない。
趙雲のようにとは言わないが、少しは彼女に気を使えと思っている。

(馬鹿、馬鹿、馬超の馬鹿。あと少し待ってもほっといたら口きかないからね)

「馬超様、甘寧様、お注ぎいたします」

「あ、あぁすまない」

「さぁどうぞ」

女官たちが馬超たちの周りに集まってきてそれぞれにお酌をしている。
綺麗なお姉ちゃんに囲まれて満更でもない様子。

「さ、甘寧様も」

「おっ、悪いなぁ」

「馬超様〜私のお酌も受けてくださいますか?」

「あ、あぁ」

彼女がいる馬超でも、女官たちからすれば自分たちを売り込むチャンスなのだろう。
上手い具合にお近づきになりたいらしい。

そんな様子には余計に苛々が募る。

(ホステスかっての!あんたらは…馬超もデレデレするなっての!)

は辺りを見回す。
頼子たちがいる上座では孫策が劉備や尚香たちと談笑している。

(よしっ)

?どうかしましたか?」

は置いてあった酒を持って立ち上がったので、月英が不審に思い声をかける。

「劉備様たちに挨拶してこようと思って。お父さんもいるし」

「そう。それはいいことですわ。でも酔っ払いに絡まれないようにね」

「はーい」

はご機嫌な様子で劉備たちに近づいていく。
その様子が馬超の目にも映る。

「…?…」

「あ、ちゃん……怖い、あの笑顔が」

「何かやる気なのだな」

頼子と趙雲は少し緊張してしまう。
は孔明の隣にちょこんと座る。

「お父さん」

「おや、どうしました。

「うふふ。劉備様たちにご挨拶をと思って」

「そうですか」

殿、楽しんでいるかな?」

劉備が訊ねてきたので、は笑顔で頷く。

「はい、とても。でも、私なんかが参加しても良かったでのすか?」

「かまわぬよ。殿は良く働いてもくれるそうだしな」

「いえ、そんなことはないですよ?少しお父さんのお手伝いが出来ればと思っているだけですから」

「へー諸葛亮殿の娘か?」

劉備の隣に座っていた孫策が話に混ざってきた。
はすかさず、孫策の隣に移動する。

「はい。娘のです。よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくな」

「孫策様、どうぞ」

「おっ、悪ぃな」

笑顔で孫策にお酌する
しばらく皆で話に花を咲かせている。

「いいなぁ。諸葛亮殿は、俺にもこんな娘が欲しいぜ」

「そんな。私なんて全然ですよ、孫策様」

「いや、気に入ったぜ、

孫策はの肩を軽く叩く。
すでに殿からへと呼び捨てになっている。
本当に気に入ったらしい。

上座でも楽しんでいる様子が馬超にも映る。
しかもの肩に孫策の手が置かれたままだ。
は嫌そうな顔もしてないし。

(なんだよ、の奴…俺って男がいるだろうが、他の野郎に触らせてるんじゃねーよ)

酔いのせいで少し愚痴っぽくなっている。
そうでなくても結構嫉妬深いのだこの男(笑)

はさ、今誰かいい奴でもいるのか?」

「私ですか?」

「あぁ。どうだ、権。俺の弟の嫁にならねぇか?兄の俺が言うのもなんだが結構いい奴だぜ?」

「孫権様ですかぁ?」

いつものならそ即座に断るだろうが、今はわざとじらしている。

「私なんかが孫権様の奥さんなんて務まりませんよ、きっと」

「んな事ねぇって。尚香ですら奥さんやってるから平気だって」

「策兄様〜?」

「そうだ、俺らが帰るとき一緒に来ねぇか?そうすれば直接、権にも会えるしよ」

「私が呉へですか?…行ってみたい気はしますけど」

「じゃあ、決まりな。いいだろ?諸葛亮殿」

勝手に話を進める孫策。
でも孔明も別に断ろうとはしてない。

「私はかまいませんが、あの方がどうと言うか…ねぇ?

「あ?あの方って?」

「さぁ?私には何のことだがわかりませんよ、孫策様」

ニコニコ笑顔で答える

「じゃあいいじゃん。俺らの国も中々いいところだぞ〜絶対気に入るって」

「そうですかぁ?楽しみですね」

バキッ

「?」

「どしたぁ?馬超さんよ」

「………」

甘寧が隣を見ると、馬超は握っていた箸を折っていた。
すくっと立ち上がると、そのまま劉備らの下へやってくる。

「孫策殿」

「どした?」

「申し訳ありませんが、こいつは俺のものなんで。孫権殿には渡せませんよ」

「うわぁ!」

馬超はひょいっとを抱き上げる。

「それに、こんなじゃじゃ馬を嫁なんかに出来るの俺ぐらいですよ」

「じゃ、じゃじゃ馬〜?」

「それでは、俺らはこれで失礼します」

軽く頭を下げて馬超は宴会場から出て行くのだった。
を抱えて。

「なんだ、にはちゃんと相手がいたのか、残念だなぁ」

「申し訳ありませんでした、孫策殿」

孔明が頭を下げる。

「ん?別にいいって」

呆けている一同に孫策は声をかける。

「ほらほら、飲むぞ。まだまだ行けるぞ俺は!」

まだ飲む気満々なようだ。
再び宴会場は笑い声に包まれていくのだった。



***



馬超はを抱き上げたまま歩いている。

「降ろしてよ、馬超」

「………」

「ちょっと〜」

馬超はむすっとしたまま歩いている。

(ちょっとやりすぎたかなぁ〜ちょっと馬超がヤキモチやくだけで良かったのだけど)

などと、考えている
すると馬超は急に立ち止まってを放り投げた。

「うぎゃ!」

放り投げられたと言っても、庭園の雪が積もった所だ。
そんなに痛くはないが。

「馬超!」

「降ろしてやったんじゃねぇか」

「……(こいつ)」

自分を放り投げておいてそっぽ向いてる馬超。
元はと言えばを放っておいた馬超が悪いのではないか?
そう思う
なので、雪玉を作って馬超に投げつけた。

「ぶっ」

見事、馬超の顔にヒットした。

「お前な」

「私が悪いわけ?元は言えば、馬超が悪いんでしょ、約束破ってさ」

「はぁ?約束なんか破ってねぇよ。まだ宴の途中だろ、勝手に抜け出せれるかよ」

「普段は抜け出すくせに」

「それより、さっきのなんだよ」

「あ、話逸らした」

もう一度は雪玉を馬超にぶつける。
だが、今度は避けられてしまう。

「孫策殿の前でデレデレしてんじゃねーよ」

「は?私が?それは自分でしょ?綺麗なお姉さんたちに囲まれてデレデレしてたくせに」

「してねぇよ!」

「してた!」

しばらく続く睨み合い。
せっかくのクリスマスイブなのに。
初めて二人で過ごせると思っていたのに、これでは…

だが、先にの方が視線をそらし俯いてしまう。

「私のことなんかどうでもいいみたいな気がした」

「んな事あるかよ」

「馬超がこの国の将軍様で色々お付き合いってものがあるってのもわかってるけどさ」

「だから」

「でも同じ将軍様でも趙雲さんは頼子にべったりだし…」

「なんだ羨ましいのか?」

いつものなら、真っ赤になって反論するであろう。
『馬鹿じゃないの!』って…そう馬超は返されるのを予想するも

「うん…少し羨ましいかなぁって思う」

「お、おい」

馬超は慌てて庭へと下りる。
そして、の前で片膝をつく。

「俺はあいつじゃねーから、あいつみたいなことは出来ねぇよ。けどな、を大事にしたいって思う気持ちは誰にも負けない」

「馬超」

「俺も悪かったよ、ほっといてよ…まだ時間は沢山あるだろ?」

「うん…」

「じゃあ、今度は二人で楽しもうぜ、な?」

「うん」

の機嫌が良くなったらしい。
馬超は胸を撫で下ろす。
ここで彼女を泣かせた、怒らせたという事が孔明らに知られればきっと後で酷い目に遭うだろう。

まぁ、泣かせるつもりはないが。

「お前のいた所じゃ、今日は大切な人と過ごす日なんだろ?じゃあ当然俺と過ごす日だな」

「…その大切な人を放り投げたのは誰?」

「ちょっとしたお仕置きだ。俺以外の野郎に触らせたからな」

ニッと笑む馬超。

「お仕置きって…」

馬超はを立たせて着物についた雪を軽く払う。

「あ、忘れる所だった」

「なに?」

「ほら、やるよ」

馬超は懐から白い包みに入ったものを取り出しに渡す。

「なに?」

「大した物じゃねぇけどな」

は包みを開けると、中から金色の耳飾が出てきた。

「これ」

「前に、尚香様がしているのを見て気になってたみたいだからな。アレに比べたら全然だけど、まぁ、お前に似合うかな…と思ってな」

「ありがとう…」

は早速耳飾をつけてみる。

「どうかな?」

「似合う」

本当に一言だが、それが馬超らしいと感じは素直に喜ぶ。

「本当?でも馬超がそう言ってくれるなら嬉しい…」

だが、すぐにの顔は曇る。

「どうした?」

「私、何もお礼できる物用意してなかった」

肝心なクリスマスプレゼントを忘れてしまった。
ただ一緒に入れらればと思うが、馬超はこうして用意してくれたわけだし。

「なんだ、気にするなよ」

「でも」

「俺は今から貰うからいいさ」

「は?」

「お前と過ごす時間と…自身な」

「な!」

瞬時に熱を帯びていくのが自分でわかった。
恥ずかしい、とても恥ずかしい。
照れもなくそんなことを言われてしまうと。

でも。

「ちょっと嬉しいかも…」

と呟いてしまう
それを見て馬超はニヤッと笑う。

「ま、ゆっくり楽しもうぜ。

の腰に腕を回し歩き始める。
初めて二人で過ごすクリスマスイブはどんなものになったのでしょうか?

それは二人だけの秘密だったりする…








クリスマスアンケの1位だった馬超さんでした。
03/12/24
12/11/04再UP