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檜佐木家に限って言えば…。 【親子条件に血縁は必要?】 「必要ねぇだろ。血縁なんぞにこだわってる方がアホらしいぜ」 恋次がそのアホらしいと思った代物を軽く摘んでいた。 必要ないのか、それ、一枚の紙を折りたたみ始めた。 「元々尸魂界、特に流魂街じゃそうだよね」 恋次の行動にそこまでせずとも。とイヅルは苦笑する。 「逆に血縁じゃねぇって言われる方が驚きだけどなー」 「顔は似ていなくても、普通に親子だしね」 「周りが呆れるくらいに構うもんな、檜佐木先輩は…っと!」 恋次は紙飛行機になったそれを飛ばした。 紙飛行機は優雅に線を描き窓から飛び出していった。 「阿散井君、怒られるよ。外に飛ばして」 「意外に飛んでったんだよ」 「もう、仕方ないなぁ…」 イヅルが席を立ち開いた窓から身を乗り出す。 紙飛行機はどこに行ったか辺りを見回す。 「そんなに遠くに飛ぶものかなぁ」 紙飛行機はすでに落ちているだろう。 「あ。君!それ」 イヅルはが通りかかったので声をかけた。 彼の手には運良く探していた紙飛行機があった。 「吉良副隊長。紙飛行機ですか?」 死神となり、十三番隊に身を置くは畏まった態度でよってくる。 窓越しに久しぶりの再会となった。 「なんだよ、ー。堅苦しいなぁ」 恋次がの姿を見てイヅルの隣に立った。 「……そう言われても、お二人は「恋次でいいって、なんも畏まる必要はねぇって」 の言葉を遮り、彼の頭をくしゃくしゃに恋次は撫でる。 「……皆、そう言うんだけど…」 「ならいいじゃねぇか」 は面白くなさそうに二人を見る。 「まぁ、君の言いたい事はわかるよ。でも、僕らとすれば君に距離を置かれると寂しいんだよ」 「大勢の前とか、任務中以外なら今まで通りでいいだろ?」 大きく成長はしたもののは子どもみたいに唇を尖らせた。 「それは…」 彼なりのケジメというものがあるらしい。 決して甘やかされているわけではないが、どことなく特別視されるのが嫌なのだろう。 「ほら、いいもんやるよ。口開けてみ」 恋次がニッと笑う。 「へ?」 「飴玉。さっき貰ったんだよ、草鹿副隊長に。お前にも分けてやるって」 やちるに?がそう聞き返す前に恋次は彼の口に飴玉を放り込んだ。 「っつ…恋次、ひどいよ…」 思わず口にした昔のような言葉遣い。 恋次もイヅルもそれに満足してしまう。 「やちるに貰った飴って…なんかろくな思い出がないんだけど……」 は一度口に入れたものを吐き出すのを躊躇う。 味は悪くない、リンゴ味のようだ。 「はぁ?ただの飴だって。お前、どんな飴食わされてんだよ。つーかそれ貰った俺はなんだ?」 レンちゃんあげるー。と笑顔で飴を分けてくれたやちる。 昔は自分だけ頬張るようなお子様だったのに。 恋次が甘いものを好んでいるのを知ってて、たまに菓子をくれるのだ。 「俺は、過去に数回、可笑しな体験しているから」 「なんか…大変だね。君は…あ、そうだ。その手にある紙飛行機なんだけど」 イヅルが最初に彼を呼んだ理由を思い出す。 いまだ紙飛行機はが持っていた。 「はい。どうしたんだ。それ」 は紙飛行機をイヅルに返す。 「阿散井君が飛ばしたんだよ。ゴミにしちゃ困るし」 室内で飛ばす分にはいいが、外に放置は困るだろう。 「副隊長がポイ捨てはダメだよなー。悪いんだー恋次ー」 「別に捨てたつもりはねぇよ。だいたい、くだらねぇんだよ、内容が」 イヅルから紙飛行機を取上げる恋次。 お互いの間に堅苦しさが取れていたのが、なんだか嬉しくてしょうがない。 「なに?どんな内容」 「ん?別に話すほどのことでもねぇよ」 恋次は紙飛行機をくしゃくしゃにしてゴミ箱に放り込んだ。 「なんだよ、それ…教えてくれても…ヒッ」 「君?」 はしゃっくりが出た。 口元を手で押さえる。 「な……なぁ……これ、やちるから貰った飴って言ったよな?」 「そうだけど?」 「どこの飴?…!?」 「んなの知らねぇよ…おいおい、大丈夫か?」 しゃっくりが出たくらいで驚きはしないが、の顔色が良くない。 水を持ってこようとイヅルが移動しようした時、爆発に似たものが起きた。 *** 「先輩!先輩!檜佐木せんぱーーーい!!」 九番隊副官室に恋次が慌てて駆け込んで来た。 「阿散井。煩い……」 申請中の書類に目を通していた所に邪魔が入ったと、修兵は恋次を睨みつける。 「んな仕事している場合じゃないっすよ!が大変なんです!!」 「が?」 恋次が飛び込んでくるくらいだ。 ちょっとした知らせくらいならば、人を使うか、地獄蝶を使えば済むほどなのに。 が大変だと聞かされ修兵の腰が浮く。 「大変ってなんだ?まさか…」 悪い知らせか? 現世に派遣されているとは聞いていない。 もしや虚との戦闘で怪我でもしたのか? 軽い怪我ならまだしも、重傷とか言うのか? 大事な可愛い愛息子に何が起こったと言うのだ。 「やられたわけじゃないだろうな…」 だとしても、知らせに来るのが恋次と言うのはどうだろうか? 普通は十三番隊の者になるだろうが。 「その…会ってもらえれば、一番早いっす…」 恋次が口を濁す。 見ればわかるなんて言い方、最悪な展開しか思い浮かばないじゃないか。 四番隊かと修兵は副官室を出る。 「待ってください、先輩!そっちじゃないっすよ!」 「そっちじゃないって、四番隊じゃないのか?」 「いや、それはまだどうしようかと…」 「阿散井、はっきりしろ」 「ウチに居ます。吉良がついているんで大丈夫だと思いますが」 六番隊か。怪我をしたわけじゃなのか。 最悪なことにもなっていないのか。 それだけでも安堵する。 そして、恋次と共に副官室へ行ってみると。 「……修兵……」 「……お……」 を見て思わず頬が朱に染まる修兵。 「お、お前、か!」 「……うん……」 「ー!」 修兵はに抱きついた。 「昔に戻ったみてぇだな、おい。なんだ、お前チビになって〜」 可愛い、可愛いと修兵はの頭を撫でる。 「う、うるさい!俺はショックを受けてるんだぞ!なんだよ、可愛いって!!」 「だってよー・・・昔のお前が居るんだぜー」 そう。は子どもの姿になっていた。 やちるから貰ったと言う飴玉。やはりと言うか、怪しいものだったらしい。 爆発が起きたと思えば、白煙の中から子どものが出てきたから。 「俺、食わないで良かったー」 他人事で済んだと恋次はには悪いが安心してしまった。 「今、草鹿副隊長に連絡したんで、彼女も来る頃だと思いますけど…聞いてます?先輩」 イヅルが修兵に説明しようにも、彼は息子の姿に親馬鹿丸出しだった。 「聞いてねぇだろ。あの姿嫁さんが見たら絶対引くよな」 「どうだろう。範疇内じゃないかな?先輩の親馬鹿を知ってて結婚した人だし」 「すげー人だな、マジで・・・」 今の修兵を見てきっと「息子が一番大事ですもんねー」と呆れていそうだ。 「でも、ちょっと病気なんじゃないかって心配になるね」 「誰が病気だ馬鹿野郎」 そこは聞こえていたのか、修兵に軽く殴られたイヅル。 修兵はの前にしゃがみこんだ。 「やっぱ、お前大きくなったよなぁ。当時はこのくらいだったもんなぁ」 「普通に成長してんだ。大きくなって当然だろう、馬鹿修兵」 拗ね気味でそっぽを向いて。昔もこんな風だったと思い出す。 「ねぇ。飴玉がなんなの?」 やちるがようやくやってきたようだ。 は思わず修兵の後ろに隠れてしまう。 「さっき俺にくれた飴玉のことっすよ。あれ、どこの物なんすか?」 「えー?どこって、ネムちゃんに貰ったんだよー」 「やっぱり十二番隊が絡んでいるじゃないか!!」 子ども特有の声が室内に響いた。 修兵の後ろに隠れた意味もなく飛び出してしまった。 「え……あれ?……?」 「う……」 「ちっちゃくなってる〜え?なんで?なんで?可愛い〜」 やちるが先ほどの修兵と同じ事をしようとするも、は逃げ出してしまう。 「可愛いなんて言われても嬉しくねーよ!」 「あ。」 修兵の後ろに隠れてしまう。 「ま。しょうがねぇか」 修兵は苦笑しながら手を伸ばし、の頭を撫でた。 好きな子の前でみっともないと思ったのだろう。 それと、可愛いと言う反応に情けなく感じて。 子どもの姿になったとはいえ、中身はそうではないのだから。 *** 十二番隊。と言うより、技術開発局へと行き、事の経緯を話した修兵達。 当然、の体を調査させろと言ってきたが、調査以前にあの飴玉に何を仕込んだのか説明を求めた。 まぁ、よくある話で。 ちょっとした遊び心で作った代物らしい。 効果がどうとかまだ結果が出る前に人様に渡ってしまったようだ。 ネムがやちるにあげたとなると、なんとなく何か起こるのだろうと確信犯のような気がしてならなかったが。 「話によれば、霊圧に変化を及ぼしたんだろうってさ。様子見ってところだな」 十三番隊にこのまま戻るわけにも行かず、実家へと帰ることになってしまった。 いつ戻るのか、どうすれば戻るのかもわからない。 以前、似たようなこともあったが、あれは夢のような出来事で済んでしまった。 今回は違う、夢ではないのだ。 「んなにしょげるなって。明日の朝には戻ってるかもしれないだろう?」 修兵と二人で実家まで歩いて帰る。 十三番隊に戻れぬ事情を浮竹には私用で戻れないとだけ修兵の方から連絡をした。 子どもの姿になりましたとはあまり言いたくないようだ。 恐らく浮竹の反応も似たようなものだろうから。 「…戻れなかったからどうすればいいんだ、俺…」 見た目のまんま、子どもが泣きそうな顔をしている。 「どうもしねぇだろ、別に。そのまんまでも問題ないと思うが?」 「なんだよ、修兵の馬鹿!!」 ダンと思い切り修兵の足を踏みつけた。 「いっ!お前!何をするんだ!」 自分はこんなにも悩んでいると言うのに、修兵は面白がっているだけに過ぎないと。 は腹が立ってしょうがない。 「折角、死神になれたのに!子どものまんまでなんかいられるか!」 念願だった死神にようやくなれたのに。 一時期馬鹿みたいな反抗期をして、修兵に嫌な思いまでさせてしまったと言うのに。 それでも死神になれて、大変ではあるが毎日が楽しくて。 早く一人前になりたくて頑張っているのに。 それを急に取上げられたみたいで嫌だ。 「、お前…馬鹿だなぁ」 「な、なんだよ!」 馬鹿にするのか!?とは修兵を睨みつける。 子どもにすごまれても少しも怖くないだろうが。 「ガキだって、すごい奴は死神やってただろうが。お前の身近に二人も居たじゃねぇか」 「……あ」 「年齢、見た目は関係ない。力がある奴が死神になれるんだ」 日番谷にやちるがそうであった。 は二人を思い出し、実力を再認識する。 「けどさ…」 「ま。お前が落ち込む気持ちもわかるって、混乱もしてんだろ?しっかしあれだなー」 「?」 「お前がその姿だと、俺まで若くなった気がする」 「はぁ?」 過去に戻ったような感覚になるようだと修兵は言う。 修兵は過去と比べても死神特有のものなのか、そんなに老けたようには見えない。 でも家族の大黒柱、九番隊副隊長としての貫禄、威厳は感じられる。 「あの頃はこうして家に帰ったものだよなぁ」 「考え方が年寄り臭い」 「なにおー!」 夕食の買物帰りのと、その荷物を修兵が抱えて歩く。 親子と言っても血の繋がりはないけど、そんなのは関係ないと思っていた。 自身にはこの頃だろう、傷つき成長してからも心に残ってしまった出来事があったようだが。 どこから見ても、親子だなと周りには見えていたようだ。 「早く帰るぞ。がどんな反応するか楽しみだよな〜」 「楽しむな、阿呆」 あの頃と違うのは、二人が帰る家には自分達以外の家族が居る事だ。 案の定、お子様を見たは黄色い悲鳴をあげた。 可愛い可愛いと実にわかりやすい反応で抱きつかれた。 弟妹たちには説明のしようがないので、同年代の子どもを装った。 子どもの姿も、一晩経つと元に戻った。 は安堵するものの、周囲が妙にがっかりしていたのが腹立たしかった。 「ほらな。やっぱり、血縁関係なんてそんなに重要じゃねぇだろ?」 翌日の恋次とイヅル。 「まぁね。そんなの確認するまでもないよね」 くしゃくしゃになった紙飛行機。 そこにはとある貴族の提案した貴族による古いしきたりについて書かれていたらしい。 貴族は血筋を大事にするものらしい。 恋次はに聞かれた時に、くだらない事だと一蹴したのだ。 なんでもない、もう大丈夫。 などと平気な顔をしているでも、いまだにこう言うことには過敏になりやすいから。 「結局俺達もに甘いよなー」 「任務中は甘やかしはしないけどね」 「今晩あたり、連れ出してメシでも食いに行こうぜ」 「そうだね。そうしようか」 その為には残業にしないよう仕事を進めなくては。 修兵がよく結婚できたと思いますw
09/09/03UP
12/07/16再UP
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