お父さんの企み?




ドリーム小説
そんな話をしたのは12月の始めごろだった。

「さんたくろーす?何それ」

「現世にな、クリスマスになると子どもにプレゼントを贈るじいさんがいるんだよ」

「ふーん。いい人だな、そのじいさん」

夕飯を食べている時に修兵がに現世のクリスマスについて語った。
は興味があるわけでもなく一応聞いていると言う感じ。

「そうだな、いいじいさんだな。も欲しいだろ?プレゼント」

「は?俺?…別に」

「別にって。お前だってもらえるかもしれねーじゃねーか」

「今までもらったことないし」

修兵の養子となってようやく一年。
去年はそんな話などでもしなかった。

「今年はもらえるかもしれねーぞ?」

ニコニコ笑う修兵。
正直、胡散臭い。
そう思った。

「今年ね…」

は一般的な子どもたちより大人びている。
だから、なんとなくわかる。

「欲しいもの言ってみ。きっとサンタがお前に届けてくれるぞ」

(俺、そこまで子どもじゃないんだけどな…)

欲しいものと言われても、修兵の養子となってから不自由することなく暮らしているので
特にない。

「参考までに聞いといてやる。言ってみろ」

「えー」

サンタクロースのためにじゃなくてそれは修兵自身が聞きたいのだろうなとは思った。

「今欲しいもの…お金かな…」

「は!?」

しっかりしていると言うか夢がないというか。
から出た答えに修兵は口をポカンと開けてしまう。

「な、なんだよ。今の小遣いじゃ足りないってのか?」

「違うよ。小遣いは十分だよ。ただね、そのクリスマスの前に冬獅郎の誕生日があるから」

「日番谷隊長の誕生日…」

「冬獅郎に誕生日プレゼントをあげるんだ。だからその為の資金」

よくできた息子だなぁと少しばかり親馬鹿根性が出てしまう修兵。
でも欲しいものがお金と言われた時は少しショックだった。

「でもそれはお前のためつーより、日番谷隊長のためだからサンタは金など置いていかないな」

「ふーん」

「他に欲しいものはないか?」

「ないよ」

「なんでもいいんだよ」

「なんでも?……味噌と醤油かな。もうすぐきれるから買いだめしたいんだよな」

肩を落とす修兵。
欲しいもの、味噌と醤油。
そんな子どもにしてしまったのは俺の所為なのだろうか?
家事を任せっぱなしにしていたもんなぁ…。

「修兵?」

「いや、まぁまだ日があるから考えておけよ」





「それってさ、多分修兵が用意してくれるってことだろ?」

「だろうな」

「あー勘のいい、嫌な子どもだなぁ、俺って」

日番谷が檜佐木家に来ていた。
コタツでミカンを食べている。
日番谷にサンタクロースの話をした
彼もまた特に信じていないようだ。

「冬獅郎は現世のサンタの話知ってた?」

「少し」

「本当にいるのか?」

「知らね。この時期はすげー頭痛くなる」

「なんで?」

「そのクリスマス気分を味わいたいのか現世行きを志望する奴らが多いからな」

年々増えているので煩い。
逆に年末年始を避けるのが余計に腹立たしい。

「ふーん。大変だ、隊長さんも」

ミカンの皮をむき、白いすじのようなものまで丁寧にとる
日番谷はお茶を飲み、がむいたミカンを勝手に食べてしまう。

「あーなんで食っちまうんだよ!」

「食べられそうなのが置いてあるから」

「食べたきゃ自分でむけよ〜」

「面倒臭い」

「にゃろ〜あ!また……冬獅郎、結構のんびりしているけど、仕事平気か?」

皮をむくごと、ひょいと日番谷にとられてしまう。

「平気。松本に任せた」

「菊ちゃん、冬獅郎がいないからってサボるかもよ?」

「そりゃありえるな。でも俺の分の仕事はもうねーし」

「ふーん。じゃあウチで晩飯食ってく?」

「いいのか?檜佐木はどうした?」

「修兵、今日は遅いから先に食えって」

「なら食ってやるよ」

「うわ、すげー偉そう」

それでも友達がいてくれるのは嬉しいから笑った。




あれから、サンタクロースの話など出ず日にちだけが過ぎて行った。
修兵自身も忙しいのだろう。
日番谷の誕生日プレゼント購入のために金が欲しいなんて言ったが。
元々やちると二人で選んで買ったものを彼に渡したので金の心配など最初からなかった。
ただ、彼の家に等身大の人形(?)みたいなものが置いてあったのには驚いた。
なんでも他の隊の隊長さんが置いていったそうだ。

そして…

「おいおいおい、もうクリスマスまで日がねーぞ?欲しいもの決まったか?」

「あ、すっかり忘れてた」

「すっかりって言うな」

「だってさぁ」

今までなかったものだし、これと言って欲しい物などない。
だが、修兵としては何でもいいからと言う気持ちが強いのだろう。

「でも、もうすぐそのクリスマスなんだから今ごろ言っても遅いだろ」

「遅くはない。言うのはタダだ。言うだけ言ってみろ」

「なんでそこまで強要させるかなぁ」

欲しいもの、欲しいもの。
この前言った味噌と醤油ではダメらしい。
あの後自分で買いに行ったし。
なんだろう?
別に玩具で遊ぶ年でもない。
着物だって、今あるもので十分だし。
そう言えば自分は趣味って言えるものがない、子どもらしくないと改めて認識してしまう。

(うーん…あ、あった)

物じゃないけど、欲しいもの。

「あるよ、欲しいもの」

「お、なんだ?」

半分身体を前に乗り出している修兵。
その顔は嬉しそうだ。

「年越しは修兵と一緒ってのがいい」

「年越し?…俺と?」

「うん。修兵は年末年始忙しいのかなとか、恋次たちとどこか行くのかなとか思ったし」

家族で年越し。
いつもより遅くまで起きて、一緒に年越し蕎麦を食べたりして。

修兵は少し照れながらもの頭をくしゃくしゃと撫でた。

「な、なんだよ」

「俺が息子置いて遊びに行くような薄情な奴に見えるか?」

「み、見えないけど」

「俺は最初っからそのつもりだ」

でも、言ってもらえたことは嬉しい。
滅多にそんな風に言わない子だから。
自分との親子関係を隠したがる息子だから。
とりあえず、クリスマスは素通りだけど、年越しは好きにさせてあげよう。


今年一年ありがとう。
そして来年もよろしく。








番外編は本編との時間軸は深く考えなくてもいいですよー。
05/12/28UP
12/07/16再UP