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【おわり】 最初はのことは本当に異性の中では仲の良い女の子ぐらいにしか思わなかった。 馬超殿たちにからかわれてムキになったり否定したり意地を張ったり。 本当子どもだよと、今では思う。 二人から見ればガキだなんて思われるのは十分なわけで。 でも、今はそれも気にしなくなった。 馬超殿から見れば僕って人間でも完璧に見えたりすると言った。 自分はまだまだだと思っていたのにね。 雲の上の存在に思えた馬超殿に趙雲殿。 それが案外面白みのある人でその人たちにも子どもっぽい一面があったりした。 いーな、それって。 おかげで(?)のことに関しても素直になれた気がするんだ。 「きょーいー。こっち!こっち!」 「待ってよ、。迷子になるよ」 「ならないって〜」 姜維の非番の日に約会の約束をした二人。 ちょうどその日、街ではちょっとした祭りがあるとのことなので二人でそれを見に来た。 いつもよりはしゃいで見えるのは気のせいか? 「あ」 「どうしたの?」 「ほら、あそこ」 「ん?」 は立ち止まり指差した所には長蛇の列ができてる。 「あれがどうかした?」 「あそこね。私が前に尚香と一緒に行った占い館に続いてる列だよ」 「あぁ、あれね」 の恋愛運最悪って占った占い師。 どうやら祭りに乗じて占い料半額でやっているらしい。 「料金、半額って…なんか笑えるね」 姜維は微苦笑する。 「最近は中らないじゃないの?だって、私は姜維と仲良しさんだし〜」 「そうだね。相性最悪なら付き合わないよね。ま、言われたからって別に気にならないし」 「うん。よくないなら、良くなるほうに頑張るもんね」 は姜維の手を握りにっこり笑う。 「ま、信じる信じないは自分次第ってね」 「あはは。姜維、それじゃあ世の占い師さん困っちゃうよ?」 「そう?占い師が道しるべになるかもしれないけど、最終決断は自分だからね」 「まぁそうなんだけど」 「だって、あの人に悪く言われたけどそのまま諦めなかったでしょ?」 「うん。姜維に言われたってのもあるけど」 「だったら、いいじゃないか。終わり良ければ全てよしってね」 「すごい前向きだね、姜維」 「と付き合いだしてから、そうなったのかもね」 「じゃあ、私のおかげ?」 「うん、君のおかげ…あと」 姜維はと喧嘩中にあったことを思い出す。 「馬岱殿のおかげでもあるかな」 「馬岱君?」 「そ。馬岱殿が結構話を聞いてくれてすっきりしたこともあったから。あの人すごいよね」 「馬超のお世話してることだけでもすごいのに?」 「あは、酷いなぁ」 姜維はここで馬超が聞いていたら怒るだろうなと思う。 馬岱のおかげで気分が変われた気がする。 のことを好きだと気づいても、諦め切れてない自分にそれでもいいと言ってくれ背中を押してくれた。 馬超や趙雲とは違った場所から姜維を励ましてくれた人。 彼に話をしなかったら、もしかしたらここでと一緒にいることもなかった気がする。 ずっと擦れてて、ずっと気持ちを押し殺したままで。 「馬岱殿にお土産でも買って行こうかな」 「いいんじゃないの?」 「甘めもお菓子なんかがいいかな?」 「なんで?」 「馬超殿のことで疲れているだろうから。疲れている時は甘いものがいいんだろ?」 「姜維も言うね」 時間が経つにつれて通りに人の姿が増えていった。 あっちを見たり、こっちを見たり。 寺院でお参りなんかしたり。 昼餉は屋台で麺を食べた。 「ところでさ、姜維」 「なに?」 「この祭りってどんな意味があるの?」 「え…祭りの意味?」 「ほら、例えばなんかの儀式とかお祝い事とかあるでしょ」 「そう言えばなんだっけ?」 今日祭りがあると知ったのは実は昨日のことだった。 馬超と趙雲がいつものように姜維の仕事場に来て教えてくれたのだ。 「なに?明日と?ならちょうどいいじゃん、なぁ?」 「そうですね。姜維、明日は城下で祭りがあるんだ、二人で行ってくるといいよ」 「祭りですか…」 「はにぎやかな場所好きだろ?楽しめるんじゃないの?」 「そうですね。じゃあ行ってみようかな」 「こいつ、最近幸せ面してて面白くないよなぁ」 馬超は姜維の頭をぐりぐり撫でる。 「やめてくださいよ〜なんですか、幸せ面って」 馬超の手を必死でのけようとするが馬超は笑ってぐりぐりする。 趙雲が隣で暢気に笑っている。 「馬超殿は姜維が殿べったりでつまらないのでしょう?」 「なんだよ、それじゃあ俺がに嫉妬しているみたいじゃないか。気色わりぃ」 馬超は姜維の頭から趙雲に拳を向ける。 趙雲はその拳を軽く受け止める。その笑顔がまた気にいらない馬超。 「でも馬超殿は馬超殿でお付き合いしている人沢山いるでしょう?」 「沢山ってなんだよ」 「なら寂しくないですよ、ね?趙雲殿」 「あはは。そうだな」 「なんだよ、お前ら〜つーか、アンタはどうなんだよ、趙雲」 馬超はからかわれたお返しにと話を趙雲に振るが、彼はさらりとかわす。 「姜維は余裕が出てきたみたいだな」 「え、そうですか?」 「話そらすなよ…」 「余裕って言うか、無理するのをやめたというか〜」 「いいんじゃねーの、それで」 馬超は腕を組み笑う。 趙雲も隣で頷く。 「無理して考えることもないさ。今できることをすればいいってことだな」 「姜維君も大人になっていくんだなぁ、お兄さんは寂しいね〜」 「な、なんですか!馬超殿」 なんてことを話した。 つまり祭りはあるがなんの祭りかは知らないってことだ。 「お二人が祭りがあるからと教えてくれたけど、意味までは教えてくれなかったから」 「ふーん。帰ったら孔明先生にでも聞こうか」 「そうだね」 でも、知らないのですか?って眉を顰められて、勉強不足ですと言われてしまいそうだ。 「あ、馬岱君にお土産買うなら、私は尚香にでも買って行こうかな〜」 装飾品を扱う店も客の呼び込みをしているし。 「尚香とおそろいのとかさ。いいよね」 「その場合、どこからお金は出るの?」 「んーどうしようかな〜」 「悩んでいるってことは僕にたかる気だね。別にいいけど…と、その必要ないみたいだよ」 「え?」 姜維はくすくす笑う。 は姜維の顔を見て、彼が見ているほうへ視線を移す。 すると、趙雲と馬超をお供につけた尚香の姿を見つけた。 「奥方様。お待ちください」 「二人とも早く。あ、これもいいわね〜おじさーん。これとこれ包んでちょうだい」 「へい」 「おいおい、まだ買うのかよ…勘弁してくれよ」 尚香は金を払い、店員から物を受け取りそれを馬超に渡す。 「はい、ちゃんと持っててね」 「………」 「馬超殿、我慢ですよ」 「わ、わかってるさ。くそー誰だよ、奥方様に祭りの話なんかした奴はよ」 「多分、殿じゃないですか?姜維から聴いたのを教えたとか」 すでに二人の腕には沢山の荷物が抱えられている。 祭りに行くと言い出した尚香。 劉備と一緒に行きたかったのだが、彼は今日の政務が忙しく無理だと言われた。 行くのを我慢しようかと思ったのが、劉備が楽しんできなさいと言って二人を護衛につけてくれた。 「玄徳様にお土産沢山買ってくるからね」 と尚香はあれもこれもと選んで買ってしまっているのだ。 「かよ…ってことはさ、姜維にそれを教えたのは俺らだから」 「そうですね。しょうがないですね。でもこれは護衛って言うより」 「ただの荷物持ちだ」 「ほぉら〜置いていくわよ、二人とも」 「待って下さい」 軽やかに進む尚香の後を趙雲と馬超は慌てて追いかけるのだった。 「…あらま。尚香ったら」 「馬超殿たちも大変だね」 「だね。ってことは尚香にお土産は必要ないと」 「みたいだね。はどうする?あの店に入ってみるかい?」 尚香とおそろいのモノをを言っていたから。 も欲しいものがあるのだろう。 「見てもいいの?」 「いいよ、別に。見るのはタダだし」 「えー」 「あはは。ほら、行くよ」 お店では姜維に可愛らしい歩揺を買ってもらった。 ちょうどつけていたものを外して、新たにそれをつけて。 「ありがとうね、姜維」 「どういたしまして」 「どうする?まだ見ていく?」 祭りは夜も行われるらしい。 「姜維は時間大丈夫?」 「大丈夫だよ。今日は非番だからね」 「なら、まだ遊んでいこうよ」 「そうだね」 明日も、明後日もずーっと一緒ならばいいね。 と二人で並んで歩くことは楽しいから。 ずっと君と一緒にいたいよ。 05/01/31
12/05/13再UP
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