ともだち。




ドリーム小説
が白哉に稽古を、修行の相手をしてもらってもう一月経つ。
かなり力はついた。
だがまだまだ時間はある。
時間がある限り毎日修行は続く。
あまりにも付っきりで白哉に相手をしてもらっているので、彼の仕事に問題はないのか
心配になってくる。
六番隊は副隊長が現世へ赴いていると言うのに。
一度その事を訊ねみるが、白哉は静かに。

「問題ない」

それだけの返事が返ってきた。
白哉が良いならば別にいいのだが。

「くっ…ったあ〜」

「一瞬の隙が負けを意味する。集中しろ」

「は、はい」

「行くぞ」

白哉は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
は一つ一つ白哉の教えを胸に刻み修行に励む。



少し前のことだ。ルキアと織姫とゆっくり話ができた。

「どうだ、兄様との修行は」

「キツイよ。厳しい…けど、私にはちょうどいい。容赦なく叩き込んでくれるから」

それが身になるのが嬉しい。
確実に強くなっていると思えるから。

「二人の方は?十三番隊の修行場でやってるんでしょ?」

「うん。私も頑張ってるよ!ちゃんの一生懸命な姿を見て負けていられないもの!」

織姫がに向けて軽くパンチを向けてくる。
お互い、自分が冬の決戦で足手まといになりたくないと、強くなりたいと願っていたから。

「へぇ。それはそれは逞しくなったね、織姫」

「えへへ。ちゃんもね」

毎日霊力が空になるまでよくやり続けているものだ。
しかも最近では白哉の容赦ない攻撃で気絶することも度々あった。
最初の頃はやはり手加減をされていたようだ。

「生傷、ここに来てまた増えたしね」

でも四番隊という治療専門の人たちによって、翌日にはすっきり治ってしまう。
今では修行しているのそばで常に待機している状態だ。

「痕残っちゃわない?」

「平気。四番隊の人たちのおかげでね」

「だがあまり無茶はするな。せっかく鍛えても体を壊したら元も子もない」

「だね。一応今の所そんな気配はないからいいけど…っていうより、よく壊れないなって思うよ」

はくすくすと笑った。
頑丈なものだなとルキアも笑う。

「冬の決戦までまだ時間はある」

「うん。まだまだ強くなれるって気がするしね。きっちりやるよ」

「わ、私も!それまで朽木さんに頼りっぱなしになるけど」

「案ずるな。私もいい修業になっている」

織姫の言葉にルキアが小さく笑う。
ルキアの作られたものでない、自然の笑み。
ようやく見ることができた気がする。

「なら、今度は朽木さんと手合わせしてもらおうかな、私も」

「うむ。それは私も願いたいものだ。兄様との修行の成果を見せてもらおう」

「皆頑張っているもんね。早く全てが片づくといいな」

織姫は激化する戦いを早く終わらせたいと願っているようだ。

「そうしたら、皆でどこかに遊びに行こうね!ね、ちゃん、朽木さん」

「いいね。そういや、朽木さんと遊園地に行く約束がまだ果たされていないしね」

「おお。遊園地とな。夢のような国だと聞いたぞ」

ルキアの目が輝く。

「夢かなぁ。まあ行ってみればわかると思うし」

「楽しみだな〜黒崎君に石田君、茶渡君も誘って、あ、恋次君や乱菊さん、冬獅郎君も行くかも誘おうよ!」

「日番谷君、子ども料金だよね、どう見ても」

好き勝手に想像しまくる面々。

「そうだ、

「ん?」

「遊園地には浮竹隊長も行きたいと言っていたぞ。たちと約束をしたと隊長にお話したら、ずるい。俺も誘ってくれと言われた。あんな隊長を見たのは初めてだ」

「浮竹さんは〜」

三人顔を見合わせて笑ってしまう。
浮竹から貰った手紙にそんなことが書いてあったのを思い出す。

「そうだね、皆で行けるといいね。本当……」

「行けるよ。死神さんご一行様遊園地ツアーとか計画して」

「纏め役が大変そうだな」

「黒崎に押し付けちゃえば?結構面倒見いいし、ツッコミ役だし」

その分好き勝手にやるだろう死神たちを見て神経磨り減りそうだが。

「それが一護の性格だろう」

そんなのんびりとした一時を三人で過ごした。
それからまた修行の日々だ。
同じ場所にいても、中々顔を合わす事がない。
だが次に会った時に自分がどれだけ成長したのかを見てもらいたい。



「はぁぁぁぁっ!」

は白哉に向かって刃を振り下ろす。
自分のこれが一番だと思う刃を。
毎回全ての霊力を空にするほど全力でいくが、これが通常の力、ある程度制限した状態で繰り出せればたいしたものだろう。
その辺も考えて行動しないとぶっ倒れるだけだ。

「まだ遅い」

鍔迫り合いになることもなく、白哉はの刃をかわす。

!」

相棒の名を呼び、己の力を更に解放する。
白哉相手に手加減などしていられない。
手加減するほどの余裕はない。

「これでどうだ!」

左手に風をイメージした霊力の塊を作り出す。
それと刃を組み合わせ、白哉へと放つ。
何発も何十発も放つ。
あたりにはその衝撃で白煙が立ち上る。

「威力と鋭さはまあまあ。だが、命中率が悪すぎる」

「あ!」

「確実に相手を仕留めねば、どんなに威力があろうが意味がない」

白哉は斬魄刀をすっと目の前に構える。

「散れ、千本桜」

「ちょ!ちょっと!」

刀身が消え、辺りに桜の花びらのようなものが舞う。
あれを食らえばタダではすまない。気絶ではすまないだろう。
攻撃に回していた霊力を全て防御の力へと換える。
刃が大量に降ってくる。
これが目に見えるようになっただけ進歩だろうが、そんなことを考えている余裕はない。
全方向から来る刃を防ぐために防御壁を作り壊れないよう集中する。

「くっ……重いぃ」

全て防ぎきれたと思った同時に作った防御壁は音を立てて壊れた。

「あ、あと少しでヤバかったんじゃ…」

どっと疲れが訪れ膝から崩れてしまう

「いきなり、なんて、心臓に悪い…ですよ」

「予告しての攻撃など意味がない」

「はは、そうですね…」

乾いた笑みしかでない。
今度卍解されたらどうしようか、防げる自信は今の所ない。
の意識がぶっ飛びそうな所へ地獄蝶が現れ白哉に何かを告げる。

「……そうか」

それは空座北部に十刃と見られる破面が出現したとのこと。
すでに日番谷先遣部隊とは交戦中。

「お前は……無理か」

白哉がその事をに告げようとするが、はその場に倒れこんでいた。

「霊力が空ではな」

力を全て使い切って眠ってしまった。
は出撃できないと白哉は告げる。
待機していた四番隊の隊士にのことを頼み白哉は修行場を後にした。



***



十三番隊、隊舎前に穿界門にて待機している織姫と浮竹。
ルキアは先に現世と向かった。
織姫は地獄蝶を持たないので、自動的に断界へと送られてしまうために、界壁固定をしてもらっていると言う。
織姫はその作業をじっと待っている。

「あの、浮竹さん。ちゃんは…」

彼女も恐らく行くだろうと織姫は思ったのだ。

「それが…」

浮竹が苦笑する。

「さっき白哉から連絡があった。君、力の使いすぎで行けないそうだよ」

「え、だ、大丈夫なんですか!?」

「寝れば霊力は回復するさ。それに四番隊に頼んであるようだし」

ちゃん…」

「まったく、君は一生懸命すぎるな」

浮竹に甘えてしまうのは嫌だと頼ってくることもない。
そんな彼女に自分は心穏やかに体を休ませることしかできない。
仮初だとしても、今しばらく平穏が続けばいいと願っていたのに。

「井上織姫さま。断界界壁固定終了いたしました!!お通り下さい!!」

鬼道衆から声がかかる。

「はい!」

織姫は穿界門へと一歩踏み入れようと足を進める。

「ありがとうございます!」

準備してくれた者たちへ礼を言う。

「気をつけて」

浮竹が言葉をかけると織姫は頷く。

「はい!……あの、浮竹さん!」

「ん?」

ちゃんのこと。お願いします!目が覚めた時、色々考えこんでしまいそうだから…
ちゃん。浮竹さんの話をしてる時、すごく楽しそうで、嬉しそうで…だから、えっと…」

浮竹は目を細め笑った。

「ああ。わかった」

「いってきます!」

織姫は駆け出し穿界門を潜った。
友だちのこと大事に思う織姫。
その彼女の後姿を見たのが最後だった。



***



「……え?今、なんて?」

白哉が不在とのことで修行をしようかどうか迷っていた
目覚めた時、浮竹がそばにいて驚いた。
そして十刃の出現など聞かされた更に驚き、肝心な時に使えなかった自分に腹がたった。
だが、なんとか十刃は撤退したとのことだ。
は落ち込むが、織姫の言ったとおりだと浮竹は苦笑しを慰めた。
納得したかどうかわからないが、は次に向けて頑張ると笑ったのだ。
それから一日経った時、は衝撃の事実を耳にした。

「井上織姫は破面側に拉致もしくは殺害された可能性が高い」

「え、いや……何を……」

意味がまったくわからない。

「詳しい話は向こうで。君も立ち会って欲しい」

浮竹に言われてとある場所へ向かった。
大きな画面がある部屋。そこに山本総隊長がいた。
画面の向こうには一護たちがいる。
そして話は織姫のことになる。
彼女が穿界門を潜ったあと、護衛につけた二人が生存して戻った。
彼ら二人の話によると、織姫が破面側に拉致、殺害されたかもしれないと言うのだ。
自分達も深い傷を負った、いや、死んでしまったと思ったのに織姫の力で回復されたそうだ。
信じられないと一護が噛み付く。
織姫が自分の傷を治してくれたと。
だが却ってそれが織姫に新たな疑惑を決定付けることになった。

「おぬしの傷を治して消えたということは、井上織姫は自らの足で破面の許へ向かったということじゃ」

だったら、織姫の目を覚まさせると言う名目で連れ戻しの任務を恋次が申し立てるがあえなく却下される。
日番谷先遣隊には即時帰還、尸魂界の守備についてもらうと山本に言われる。
ルキアは従えないと言うが、山本は先手を打っていた。
十一番隊隊長更木と白哉に彼らを連れ戻す命を下していたのだ。
一護はだったら尸魂界の手は借りず、自分だけで虚圏へ行くと告げるが、それも却下された。
一護の力はこれからの戦いに必要だからと…。
そうしているうちに画面は途切れた。

「…ぬしもわかっておるな。勝手な行動は許さぬよ」

山本はにも釘を打つ。

「でも、織姫が裏切るなんてことないです!きっとなにか事情があって…っ!!」

山本の強い眼差しには怯む。

君」

浮竹はの肩にそっと手を置く。
は強く唇を噛む、拳も傷つくのではないかというくらい握り締めて。

「織姫が、裏切るなんてこと…ないです、絶対…」

その言葉を聞き流しながら山本は退出する。
残されたと浮竹。

君。だからって自分を傷つけてはダメだよ」

の手を取る。
は浮竹の胸に飛び込む。
悔しくて泣きたいが、涙を流すことなく堪えている。

君…」

浮竹にも織姫が仲間を裏切るような子ではないとわかっている。
わかっていても、一護やのように全てそうだと思えない。
山本が語ったように冷静な部分が、織姫の裏切りをそうだと認めてしまっていた。

(すまん、君)

そんな浮竹の腕の中ではジッと堪えてあることを考えていた。



***



「お前も行くのか?

「当然。だって朽木さんもそのつもりでしょ?」

「…まあな」

ルキアと、それに恋次は密かに織姫奪還を企てていた。
だが、一護も必ずそうするだろうと予想して。
待っていてくれればいいが、残念なことに彼は石田と茶渡と共に先に向かってしまったようだ。
白哉が現世に来れるよう手配してくれ、虚圏には浦原の協力で来ることができた。

「だが、いいのか?お前は…」

「あれ、朽木さんにもバレちゃった?」

恥かしいとは軽く舌をだす。

「でも、しょうがないよ。浮竹さんに迷惑をかけるつもりはないから」

「…そうか」

「お前ら、そろそろ行くぞ」

恋次に言われて先を急いだ。
虚圏は暗く月が出ていて辺りは砂漠のようだ。
砂埃が酷いが、白哉が持たせてくれたマントが役に立っている。

「あそこみたいだぜ」

何やら静かな世界の中で似つかわしくない音が聞こえる。

「すぐ騒ぎ起こすからこっちは助かるけど」

笑いながら一護たちがいるらしい場所を目指す。

「会ったらどうする?」

「決まってらぁ。抜け駆けしたんだ、一発殴る」

「そうだ。ガツンと言ってやらんと私の気も治まらん」

「だよねー。一発かましましょうか」

砂で出来た巨人と戦っているようだが手も足も出ない一護たち。
それをルキアがあっさり倒し、彼らに自分たちの姿を見せた。

「ルキア…恋次…も!」

よくわからないものに乗っていた一護はそこから飛び降り、こちらに駆けてくる。

「お前ら……はぶ!!!」

ルキアは一護の顎に向かって一発ドつく。
交代だと次は恋次によって一発殴られる。

「ぶお!!!」

さらに。

ローリングアターック!!」

「ぐはっ!!!」

高速回転をしたが一護の腹に激突し一護はその場に倒れこんだ。

「……無事か、黒崎…」

見事な連続攻撃を受けた一護を居た堪れなく思う石田と茶渡。

「たわけっ!!!」

そこにルキアが一喝し、なぜ自分達を待たずに勝手に虚圏へ来たのか追求する。
どんな手を使ってでも、何が何でも必ず戻るつもりだったのだ。

「我々は…仲間だろう、一護」

「……ああ、そうだな」

行くぞと一護を立ち上がらせる。
織姫を助けるためにと。

も、同じか?」

「当然。私のこと置いてけぼりにした罪は重いぞ?覚悟しておいてよね」

「確かに、あのの攻撃が一番キタんですけど…」

ふと一護はの霊圧が以前の物と違うことに気づく。
はフッと笑う。

「私だってこの一月、頑張ったんだからね。織姫は絶対助けるよ」

「ああ」

一護とはコツンと拳を合わせた。





その頃、尸魂界では…

「申し上げます!六番隊副隊長阿散井恋次殿、十三番隊朽木ルキア殿及び殿。
三名の霊圧が隊舎から消えた模様です!現在我が隠密機動第二分隊・警邏隊が瀞霊廷全域に捜査範囲を広げ---」

各隊長にたちが消えたことを告げられた。

「……君」

当然浮竹の耳にもだ。
浮竹は雨乾堂を出て外を眺める。
微かに感じていた。彼女の霊圧が遠くに行くことを。
追いかけて止めることもできただろうが、そうはしなかった。
織姫はを気にかけ、は織姫を大事に思っている。
何も止める事はできないだろう。

「せめて無事で戻れよ、君……」

そう願うしか浮竹にはできないのだった。








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07/11/03
12/05/05再UP