ドリーム小説
遠呂智と名乗る謎の人物による突然の襲撃。
蜀軍はなす術もなく敗北を喫してしまう。
劉備は趙雲の目の前で倒れ、趙雲も牢獄にいられてしまった。
上田城の地下牢に。
他の仲間達はどうしただろか?
劉備の生存を絶望する趙雲の元に意外な人物が助けに来た。
星彩、島津義弘と言う人物。そして左慈だ。
仙人である左慈の力を借りて星彩達はやって来たそうだ。
元々仲間達が散り散りになってしまったとき、星彩は反遠呂智勢力に加わって居たが。
今回今まで居た軍が遠呂智軍の攻撃で壊滅してしまった。
新たに動き出す為に趙雲の力が必要だとなり、こうして助けにきたそうだ。
聞けば遠呂智は自分達の世界だけでなく、島津義弘の居た世界をも強引に結びつけ新たな世界を作ったそうだ。
だから、三國だけでなく、彼らの仲間もあちこちで共に戦っているらしい。
逆に遠呂智勢力の中には遠呂智に人質を取られて屈服している者達も多くいるそうだ。

「劉備様は生きています」

その言葉に趙雲の目に光が戻った。
今はその劉備を救い出すために今一度立ち上がろうと決意を新たにした。





【寂しい×寂しい=触れ合いたい 】





劉備や散り散りになった仲間達のことも気にかかるが、もう一人趙雲は気になっている人がいた。
上田城から無事に脱出し、新たな仲間を得て進軍していた最中、趙雲は星彩にその人物の事を尋ねた。

は…私にもわかりません」

「そうか…」

。劉備が娘のように可愛がっている少女だ。
遠呂智軍に襲撃される直前までは彼女は成都城に居たはずだが。
星彩だけでなく後から合流した月英や姜維に聞いても彼女の行方は判明しなかった。
義弘達にもこう言う少女を見かけなかったか?と聞いても帰ってくる返事は同じだった。

殿…あなたもご無事であると信じております」

いつも一緒に居た少女。
三國が天下を争う世ではあったが、彼女といると不思議とそんな殺伐した事を感じさせない。
何気ない日常生活に幸せを感じてしまうほどで。
趙雲は劉備を捜す旅でもあるが、同時に彼女も捜す旅になっていた。

「生真面目一本。そんなあんたが熱心に捜し続けるなんてさぞかしいい女なんだろうなぁ」

「孫市殿。あまり変な言い方はしないでください」

「一応褒め言葉だぜ?気にするなよ」

女と見れば声をかけまくる雑賀孫市。
狙撃の腕前は中々のモノなのに、発言がその腕前を隠してしまっているように思えた。

「早く会って見たいものだな。他の奴らもあんたの熱心さに興味津々なんだぜ」

「え!?」

孫市は笑う。
星彩たちは元々の存在を知っている。
だがその他の者はあの誠実の塊とも言える趙子龍が、一人の女性を想い続けているなどと噂しているそうだ。
まだ軍としてはそんなに大きくないから、余計に話が広まるのが早い。

「か、からかわないでください。私は本気で彼女を心配しているんです」

「わかってるって。俺も偵察に出た時、それらしき子がいないか捜してやるからさ」

「そ、それはありがとうございます」

劉備を捜す為に進軍中、その目的地を決める決め手となっているのは、孫市の偵察だ。
空振りしてしまう事もあるが、そのお蔭で新たな仲間を得てもいた。





次の目的地は成都だった。
自分達の本拠地でもあるここに早くに戻ってこれるとは思わなかった。
ただ遠呂智領となっており警備が厳重だった。
孫市が持ってきた情報に成都に劉備がいるとあったのだ。
もしかすればも一緒に居るかもしれない。
趙雲は期待を胸に込めた。

「どう言う事だ?」

趙雲たちには違う情報が入って来た。
遠呂智に対抗していると言う真田幸村と言う武将が、成都城に猛攻を仕掛けていると言うのだ。
調べれば、成都城内の軍は遠呂智の術で蘇り、その手先にされてしまった亡者の群れだと。
幸村は信じ込まされてしまったらしい。
このままでは成都軍の壊滅も時間の問題だろう。
趙雲たちは城内にいると思われる劉備を守るべく、幸村達と戦う事にした。





戦い始めて、この戦が仕組まれた事だと気付かされた。
成都城内には同じ蜀将の魏延がおり、彼も劉備を捜していた。
劉備が居ない事に落胆しそうになるもの、今はこの戦をなんとかせねばと
魏延と共に幸村達へ攻撃を仕掛ける。
本当は戦いたくもないのだが、聞けば真田幸村とは主に忠誠を誓う好青年だと言う。
話し合えば分かり合えそうなものだが、真っ直ぐな性格が禍して聞く耳を持ちそうにない。
趙雲たちまでもが伝令兵によって亡者扱いされて苦戦を強いられていた。

「さすがは音に聞く真田幸村!」

趙雲は幸村と槍を合わせる。

「その槍さばき…とても亡者とは思えぬ」

趙雲の動きに幸村は驚いている。

「ふっ…この趙子龍の槍が死者の槍か生者の槍か得心いくまで受けてもらおう!」

そうは口にしたものの、武人として彼とは心行くまで戦ってみたい。
そんな風に感じたのかもしれない。
だが。

「待ってください!幸村さん!皆亡者じゃないです!!」

「え?」

殿!ここは危険です!!」

少女の声が割って入った。

「城の中に居た人も、今幸村さんが戦おうとしている人も私の大事な人達なんです!」

自分の体を張って幸村を止めに入った少女。

「では、この方が殿は話されていた…」

「そうです。私が居た蜀の、劉備様に仕える方々です」

あれほど頑なに信じ込まれていたのに、幸村はあっさりと引いてしまう。

「良かった。わかってもらえました?」

「はい」

幸村は趙雲と向かいあう。

「数々のご無礼お許しください。あんな噂に惑わされるとは…私も共に戦います」

あっさりしたものだが趙雲はわかってもらえればいいとそれ以上は追求しなかった。
それよりも幸村と共に居る少女の方が趙雲には重要だった。

殿、今はまだ危険です。お下がりください」

「うん。幸村さんも気をつけてね……趙雲さんも…」

幸村に言われて彼女は護衛兵らしき者達と去っていく。

殿……」

ようやく会えた。
こんな戦場ではあるが。
嬉しさがこみ上げて来るかと思えば、何故だろう。
寂しさの方が上だった。





この戦を仕組んだのは遠呂智の参謀でもある妲己だった。
趙雲たちは幸村たちと力を合わせ、妲己を退かせる事に成功する。
そして劉備を捜すために魏延も仲間に加わり、幸村も共に加えて欲しいと願い出てきた。
幸村ほどの武人が仲間になってくれれば心強い事はないと趙雲は認めた。
そして、次の進路として劉備の行方を知っている妲己が南中へ向かったとわかり。
趙雲たちの進路は南中へと決まった。

。無事だったんだね」

「うん。幸村さん達に助けられてね。しばらくずっと一緒に居たんだ。その方が皆に会えると思って」

は姜維や星彩たちと再会を喜んでいた。

「でもびっくりした。見なれた旗があったし、目を凝らしてみれば趙雲さんや姜維の姿があったでしょ?
それに城内には魏延ちゃんも居たし。亡者って話も嘘だと思って、幸村さんに知らせるために無理しちゃった」

「本当すみませんでした」

幸村がに謝る。

「ううん。すぐにわかってくれたから別にいいよ」

は幸村に笑いかける。
幸村は後頭部を掻きながら照れ臭そうにしている。

「いいのかい?ようやく愛しい彼女との再会できたんだろ?放っておいて」

少し離れた場所で真面目にこれからの事を話していた趙雲。
孫市が突っつくような事を言う。

「ま、孫市殿!変な風に言わないでください」

「だって本当のことだろ?あれか?幸村に盗られて面白くないとか?」

「孫市殿!」

孫市は少しも悪びれる様子もなくカラカラと笑う。
からかわれているとわかっていても、孫市のその言葉が趙雲の胸を締め付けた。

「無事だっただけでも、私は嬉しいですよ」

「………」

「孫市殿?」

「あんた…嬉しいって言う割に顔は喜んじゃいないぜ?我慢しないで会いに行けって」

ポンと肩を叩かれた。

「話し合いはその後。きっと向こうも待っていると思うぜ」

さっさと行けと孫市に背中を押されてしまった。





孫市に言われたものの趙雲は中々に会いに行けないでいた。
の周りには常に人がいたから。
居た所で問題はないはずだが、変に噂されていたから会いに行きづらかった。

「…情けないな…」

設置した天幕。寝床にため息を吐きながら座り込んだ。
本当は真っ先に会いに行きたい。
話したい事だって沢山あるのに。
妙な矜持が邪魔して会いに行けないでいる。
我慢するなと孫市には言われる。
顔に出てしまうほど寂しそうな顔をしていたのだ。
寂しい。
いつも隣にが居ただけに。
急に隣が寂しくなって、劉備と一緒に彼女も無事だと願って捜し続けた。
突然再会できたと思ったのに。
彼女は別の男と一緒に居て・・・。

(うっ…待て待て。それでは幸村殿に失礼ではないか。幸村殿が居たから殿は無事だったんだ)

頭を抱える趙雲。
自分はこんなに度量の狭い男だっただろうか?

「あの…趙雲さん。起きていますか?」

「え?は、はい!」

外から聞こえた声。
趙雲は急いで幕を上げる。
声から解る。そこに居たのはだ。

殿…どうかされましたか?」

「どうかって……趙雲さんあっさりしすぎー」

が頬を膨らます。

「え?」

「中に入ってもいい?」

「えぇ、どうぞ」

が中へ入る。
そして椅子代わりになっている木箱の上に座ってもらった。

「「………」」

趙雲もその隣に腰を下ろすものの、お互い黙ったままだ。
話したい事は沢山あるのに、中々言葉が出ない。
先ほどまで自己嫌悪に陥っていただけに余計に。
でも、黙っているとも困るだろうから何か話さないと。

「え?殿?」

話そうと思ったのに、は徐に立ち上がった。

「あ……」

そのまま歩いてどこに行くのかと思えば、は趙雲の後ろに回り。
趙雲を後ろから抱きしめていた。

殿?」

趙雲の言葉にの腕の力が強くなる。

「やっと趙雲さんに会えた……だけど趙雲さん忙しそうだし、喜んでいるの私だけなのかなーって」

「そんな事は」

「皆と急に離れ離れになって怖かった。けど幸村さん達に助けてもらえて安心できるようになって…。
幸村さんがね、なんか趙雲さんに似てるの。だから趙雲さんが居るみたいに思えて安心できたのかも」

「そうですか?似ていますか?」

自分と幸村が似ているなど、会ったばかりでは趙雲にはよくわからない。

「似ているの。マジメな所とか、主君に忠実とか、からかうと反応が可愛い所とか」

「えぇ?」

がくすくすと笑う。

「けどね。やっぱり幸村さんは幸村さんで。趙雲さんは趙雲さんなんだよね」

殿……」

「趙雲さんとまた会えて良かった。こうして触れることができてもっと安心できる」

やっぱり寂しかったんだ。
の呟きが耳と胸に強く響く。

「それは。私も同じです」

趙雲は体を反転させる。

「わっ」

趙雲が動いたからはそのまますっぽりと趙雲の腕の中に納まってしまう。

「あなたが無事で、こうしてまた再会できたことに安心します」

趙雲は自分の腕の中にいる存在がとても大きくなっていることに気付く。

「会えただけで嬉しいはずなのに。欲が出る」

「趙雲さん?」

「隣にいるだけでは……もう満足できないようです」

会えない間、ずっと捜している間に想いが大きくなって形作られていったようだ。

「あなたが好きです。殿……」

「私も…趙雲さんが好きです」

その言葉に耳をくすぐられたような感じがする。
だけど、今まであった寂しさが触れ合った事で解かされていったようだ。









お題。オロチ設定の趙雲。
09/11/05UP
12/01/09再UP