空がきれいで心も晴れる。




ドリーム小説
夢だ。
きっとこれは夢なのだ。
目が覚めて、いつものように餐室へと行けば笑って出迎えてくれる。

『趙雲様、おはようございます』

そう笑ってくれるに違いないのだ…





【6】





の姿が消失してしまって一夜が明けた。
趙雲は夢だと思い込んだ。
いつものようにが出迎えてくれる、そう思って餐室の扉を開ける。

「………」

けど、いない。

用意された二人分の朝餉。
けど、はいない。

席に着くも、食べる気が起きず椅子にもたれ目を閉じた。


『帰りたい、帰りたい、帰りたい、元の世界に帰りたいです。もう嫌です!』


泣きじゃくるの姿を思い出し胸が痛くなる。
は元の世界に帰ってしまったのだろうか?
だとすれば、もう二度とと会うことはないのだろうか。

「義務か……なんでそんな風に言ってしまったのだろうな」

自分の言ってしまった愚かな言葉。
人を守るのに義務なんてものはないだろう。
大切だと思う人ならば尚更だ。

「あの…趙雲様?具合でも悪いのですか?」

食事もしないで動かない趙雲に使用人は心配して声をかけた。

「いや……すまない、悪いが下げてくれ」

「はい」

趙雲は席を立ち、餐室をでる。
もう登城の時間なので仕方なく屋敷を出る。

「………」

しかし、趙雲は城へと向わず別の方向へと馬を走らせた。

城にも行かず、思いだせる場所すべてを探しまわった。
自分の下から走り去ったわけでもない。
目の前で消えた

なのに、趙雲はもしかしたら、まだどこかにいるのでは?

そんな気がして、いやそう思いたくてと行ったことのある場所へ馬を走らせた。

「消えてしまったのに…私はなにをしてるのだ…」

最後に訪れた場所で趙雲は座り込んでしまった。

が元の世界に帰ったのなら探してもしょうがないではないか…」

趙雲は地面を何度も何度も叩きつけた。
やり場のない気持ちを払うかのように。



***



「---。---。おーい、ってば」

「え?」

「なんか最近のアンタ変だよ?気づけばボーっとしてるし」

は学校の屋上にいた。
友だちの美咲と授業をサボって。

「…変?…そうかも」

は溜息を吐く。
は願ったとおりに元の世界へと戻っていた。
ただ、日付は進んでおらず一年以上あそこで暮らしたのが嘘みたいだった。
火事で無くしたはずの制服を着て気がつけば学校にいたのだ。

「なんかあったんでしょ?」

美咲は様子のおかしいを心配して連れ出したのだ。
授業は自習の為、他の教師に見つからなければ大丈夫だろう。

「…あのね…振られちゃった、私」

がぼんやりした様子で口を開いた。

「え!いつの間に」

「説明しても信じてもらえるかどうか…とても素敵な優しい人に出会ったんだ。
一緒に過ごすだけでどんどん好きになってった。ずっとこの人のそばにいたいなって思えるくらいに…」

「………」

美咲はの切なそうに笑う顔を見て何も言えなかった。
確かは初めて付き合った男に振られて、以来恋愛に対して臆病になっていたのに。
ここ最近好きな人ができたなんて一言も言わなかったのに。

に何があったのだろうか?

でも、今のの顔を見れば、が嘘をついているとは思えなかった。

「アイツよりも好きになった?」

アイツとはと初めて付き合った人。
傷を作った原因。
美咲はあえて名前は出さずに尋ねる。

「…うん。その人ね、私の傷を癒してくれた。私の事は妹扱いだったけど、私はそんなのどうでもいいと思えるくらいで…」

「そっか」

「自分から帰りたいって言った…けど…けどね。やっぱり会いたいよ…」

はいつの間にか涙を流していた。

「せめて、ちゃんと気持ちを伝えたかったよ。中途半端なままで別れちゃったから…」

「よくわからないけどさ。向こうもに会いたいって思ってるかもね」

「美咲ちゃん」

「会えるでしょ、きっと。が会いたいって思ってるならさ」

美咲はの背中をポンポンと叩く。
は美咲に抱きついた。

「でも駄目なの!もう会えないの!だって、だって…!」

…」

は泣き続けたのだった。



***



成都では冬になり雪が降り始めていた。
が消えてしまった事に、姜維も雲緑も趙雲に色々訊ねるが趙雲は何も答えなかった。
いつしか、の名前を出す事もなくなっていた。
忘れてしまったわけではない。
二人の間に何があったのかはわからないが、趙雲が何も言わない限り自分たちにはどうすることもできなくて。

いつもと変わらず執務を行う趙雲。
だが、気づけば彼は笑わなくなっていた。

屋敷や執務室で、一人でいる時の趙雲は何をするわけでもなく目を閉じている。
と過ごした日々を思い出しているのだろう。
もう、数ヶ月経っても現れない
望みはないのだろうか。



『私が会いたかったのは趙雲様なんですよ?』



あの日、微かに聞こえたの呟き。

「私もだ…もう一度に会いたかった…」

目を閉じたままそう呟く趙雲。

「なんだよ、過去形かよ」

「え!?」

目を開けると不機嫌な顔した馬超が立っている。

「ほらよ。借りていた書簡、返すぜ」

「あぁ、どうも」

「…過去形でいいのか?」

は私の目の前で消えてしまった。どうすることもできないじゃないですか…彼女は帰りたいと言ったのです。ならばいいじゃないですか」

趙雲は受け取った書簡を元の場所にしまう。

「そんなの一時的な感情で言ったまでだろ。アイツの本心とは限らない」

「だから、今更言った所で、…っ!?何をするのですか!」

馬超は思いっきり趙雲を殴った。
突然の事で驚くも、趙雲は馬超を睨む。

「今更とか、どうすることもできないとか言っておきならが、ずっとのことを想ってるじゃねーか。
女々しく思い出なんかに浸るな!アイツのいる世界まで追いかけるくらいの勢い見せてみろ!」

「馬超殿…」

「うだうだ言ってるともう一発殴るぞ。
本当は話を聞いた時点で殴り飛ばそうと思ってたんだからな。これでも手加減してたんだぞ」

「すみません。でもなんだかすっきりしましたよ」

本当に少しは気が晴れたようだ。でも少し痛むのか、殴られた頬を摩りながら。

「でも」

「なんだよ、まだうじうじ言うつもりか?」

「いえ!実際、この先どうすればいいのでしょうね。は消えてしまったのですから」

「会いたいって強く願えば、また会えるんじゃねーの」

「貴方の口からそんな言葉が聞けるとは思いませんでしたよ」

「悪かったな」

馬超の頬に少し赤みが出ている。

「そうですね。願い続けましょうか。再び会えた時に…」

「ん?」

「いえ」

趙雲は小さく笑みを浮かべる。
久しぶりに笑った。



 ―再び、に会えた時に…ちゃんと話そう。私の気持ちを…だから、早く戻っておいで、



***



恋愛に臆病だった私。
きっかけは些細な事。
でも、私には大きな傷として残った。
そんな傷を癒す事ができたのは趙雲様に出会えたから。
貴方の言葉に私は救われました。



***



「おぉーい、。今度の日曜日に祭り行こう」

「祭?」

美咲がに一枚の紙を見せる。

「そそっ、今年始めの夏祭り。七夕祭りだよ」

「あぁ、七夕かぁ」

の住む街では毎年、七夕を祭りとして楽しまれていた。
街中七夕飾りで溢れ、夜には出店もでて、花火まで上がる。
他の街ではどうかは知らないが、の住む街では昔から豪勢だった。

「ね?行こう。浴衣着てさ」

「別にいいけど。浴衣かぁ…あ、美咲ちゃん新しいの買ったんでしょ?」

「もちろん。じゃないと着る機会ないっしょ。も着ていくのよ」

「いいけどね…七夕かぁ…」

友達のはしゃぎっぷりに苦笑しつつも、思い出されるのは趙雲と過ごした星祭り。
あれも七夕だ。

「パーっと騒ぐぞ!遊ぶぞ!」

美咲なりに、落ち込んでいるを励ましてくれているらしい。
はすべて美咲に話した。
美咲には信じられない事だが、が嘘をつく子ではないし。
嘘にしてはでき過ぎている。

自分の知らない時間をはすごしたのだ。

(ちょっと羨ましいかもね)

そう思うも、の気持ちはまだ続いている。
できることなら、その男に会わせたいものだが、美咲にはどうにもできない。

「早く元気出せよな!」

パーンとの背中を叩く美咲。

「い、痛いー美咲ちゃんってば!」

「あはは、悪い、悪い」

(とりあえず、どんな結果になっても見守るつもりだよ)

二人は日曜日の七夕祭りの事で大いに盛り上がるのだった。



***



「くそっ、寒ぃなぁ〜早く終わらせてあったかい茶が飲みてぇ〜」

「馬超殿、なら早く終わらせてください」

趙雲と馬超は魏との国境付近にいた。
ちょっとしたいざこざが起き、両軍が国境付近で睨みあいをしていたのだ。

「終わらせるだけなら、俺は好きにやるぞ」

「はいはい、穏便にすませましょうね。穏便に」

「どっちが悪いかなんて、もうどうでもいいよな。きっと向こうもそう思ってるな」

「まったく、馬超殿は…」

魏は家族の敵の曹操の国だ。
いつもなら、噛み付く勢いの馬超だが、向こうの陣には曹操はいないらしく。
馬超はいたって普段と変わらない。

ま、馬超だって、戦を広めるような事は好まないのだ。

「雪まで降ったら、最悪だな」

「この分じゃ降りそうですよ」

「早く引いて欲しいな」

「多分向こうも意地になってますよ。それに貴方と同じことを言ってるでしょうね」

「軍師殿と司馬懿がいたら、終わるのが春になりそうだよな」

「まったくですね」

できれば、早く屋敷へ帰りたいと思っている趙雲。
がいた、自分の家に。
今はいないが、がいつ戻ってきても良いようにとしてある。
趙雲自身、待つなら家で待っていたいのだ。

「なんだ、またか?」

「また、とは酷いですね。強く願えばと言ったのは貴方ですよ」

「悪い。アイツがいなくなってからもう一年経つか?早いな、お前をぶん殴ってから一年経つのか」

「変な思い出し方しないで下さい…でも一年も経っちゃいましたね」

少し淋しそうに目を細める趙雲。
馬超は横目で見て。

「もう諦めるか?」

と言った。
その言葉に一瞬大きく目を見開く趙雲だが、すぐにいつもの自信ある笑みを浮かべた。

「いえ、諦めませんよ」

「なら、まだ一年だ」

「そうですね、まだ一年ですね」


-----、今どうしているのだ?もう一度、私にちゃんと言わせてくれ。


雪がちらほら降り始めてきた。
趙雲は空を見上げながらを想うのだった。



***



「良かった、晴れてさ。ね、!」

「うん、そうだね。この分なら夜は星が綺麗に見られそうだね」

美咲と二人では七夕祭りを楽しんでいた。
昔に比べ、出店の数は減ったが、それでも十分に楽しめるものだった。
美咲は新しい浴衣ではしゃいでいる。
も母の着ていた古いものだが、それがまたいい味を出している。

「あーちゃんに平松ちゃん〜」

たちもおいでよ〜」

クラスの友だちも集まっていたようだ。
二人は呼ばれる。

「おしっ、遊ぶか!

「思いっきり遊ぼう、美咲ちゃん!」

顔を見合わせ笑いながら、友だちの下へと走っていくのだった。


半日かけて、は思いっきり遊んだ。
綿雨やら、焼きソバを買って食べたり、金魚すくいをしたり、普段なら遊びもしないことを大いに楽しんだ。
辺りは暗くなり始め、大勢の人が川の方へ歩いていく。

「花火、どこで見る?」

「あそこの神社からでも見られるよ」

「行こう、行こう」

友だちに連れられ、歩き出す。
友だちが言っていた神社に着くも、そこにもすでに多くの人が集まっている。
場所探しをするため再び歩き出す。
だが、美咲が足を止める。

「あ、ちょっと待ってて」

「美咲ちゃん?」

美咲は早足でどこかに行ったかと思うとすぐに戻ってきた。

「どしたの?平松ちゃん」

「ん?飾りをね。ま、いいから行こうよ」

それからすぐにいい場所が見つかり、皆で腰を下ろして花火が上がるのを待った。

、これ」

美咲はに紙細工の人形を手渡した。
どうやら美咲は先ほどこれを取りに行ったらしい。

「後で川に流そう。そして願いを叶えてもらおう」

「美咲ちゃん、それって」

「アンタが、えっと…趙雲様とかに会えるようにさ。私も一緒にお願いするから」

この街ででは、竹飾りなどを川に流す古い習慣もあった。
願いを籠めた竹飾りや織姫・牽牛を模った髪細工の人形を川に流すのだ。
短冊に願い事を書いて吊るすのと同じことだろう。

「…叶うと思う?美咲ちゃん」

「叶う!強く願えばきっと叶う。だって今日は七夕だよ。恋愛ごとに関すればきっと織姫と彦星が叶えてくれる!」

いつもなら現実的なことしか言わない美咲。
のことをそこまで想ってくれているのだ。
は友達の優しさに嬉しくなる。でも…

「でもさ、趙雲様にもう一度会えるってことは、今度は美咲ちゃんと会えなくなるよ」

「その時は、その時だよ。寂しいけどさ、また会えるでしょ、きっとね」

「うん」

その時、花火が打ち上げられた。
お腹に響く轟音に色鮮やかな光。
二人はしばらく花火に見惚れたのだった。

花火も終わり、友だちと川まで行き、さっきの紙細工の人形を流した。
友だちは特にそれを楽しんでいるわけでなく、他愛もない話をしている。
と美咲だけはじっと手をあわせ願いを籠めて川に人形を流した。

の願い叶えてください!お願いします!)

隣で真剣に手を合わせてくれる美咲には心から礼を言いたくなる。
いい友だちを持って、美咲に出会えてよかったなと。

でも、今一番に想うのは


 -----趙雲様にもう一度会いたいです。会って、今度は私の気持ちを伝えたいです。
     どんな結果になろうとも、私は趙雲様に会って伝えたいです……


心を籠めて趙雲への想いを伝える。


「じゃあ、また明日ね、

「うん、またね」

時間も時間なだけに、皆家路に急ぐ。
明日からはまた、学校だ。もうすぐ試験もある。
大変だと思いつつ、すっきりした気分になるだった。

美咲たちに手を振り別れる
角を曲がった時に、美咲は思い出してを呼び止めようとした。

「そうだ、!明日………?」

別れてそんなに時間経ってない。
でもその場に姿はなかった。

「もしかして…会いに行ったのかな?…」

美咲は軽く息を吐いて友達の下へ戻ったのだった。



***



趙雲たちが成都へ帰還したのはあれから数日後だった。
戦にならないだけマシだったのだが、あのまま睨み合いが続けば、きっと凍死者がでたかもしれない。
だから早くに決着がついて良かったと思う。

「趙雲様、明日のご予定は」

「あぁ、明日は休みだ。いつも通りゆっくりしてるさ」

どこへ行くわけでもなく休日はゆっくり屋敷で過ごす。
それはを家で待つ為の意味もある。
たまに誘われて馬超らと出かけることもある。
だが、この雪の降る寒い冬は皆が自宅でゆっくりのんびりすごすものだ。

「皆ももう休んでくれ」

それぞれが奥へと戻っていく。
趙雲は一人で外を眺めていた。

馬超には諦めないと言ったが、たまにはその気持ちが揺らぐ時もある。
もう一度に会いたいと言う気持ちだけが空ぶる。
会いたいと思えど、実際は願うだけで自分ではどうにもできないのだ。

「あ…いかんな。こんな弱気でどうするのだ…」

雪がちらつく外。
庭の一面が白で埋まっている。
夜も更けているので、そろそろ自分も寝ようとする。

ドサリ。

庭の木からか、屋根からか雪が落ちたらしい。
雪は嫌いではないが、あまり積もると執務に支障をきたすので困ってしまう。

「明日は雪かきかな…」

………
………
………

「くしゅん!」

「ん?」

外から小さなくしゃみが聞こえた。
こんな夜更けに誰が?

誰がって…
普通ならば、怪しいと思うが…
でも、もしかしたら…

趙雲は急いで外に飛び出した。

灯りがない為にすぐにはよくわからない。
だが、小さな人影が見える。

「……か?」

鼓動が早くなる。
もしかしてと言う気持ちが強くなり、段々と確信へと変わって行った。

「…趙雲様…」

!!」

雪の中震えていた人影。
それはまさしく、今日まで忘れずに想っていた少女だった。

趙雲は駆け寄りを抱きしめる。

、本当にだな」

「ほ、本当に願いが叶ったんだ…」

の方はボーっとしている。
趙雲の腕の中はとても温かく感じ目を閉じる。

「ずっと、謝りたかった、ずっと、言いたい事があった…もう一度に会いたいと願っていた」

「趙雲様」

「あの日、義務だなどと言ってすまなかった。私の言葉が足りなかった…
私はそんな事は関係なくを守りたいと思っている。ずっと、ずっとが私の傍に居てくれればと思う」

一言言葉を吐くたびに、もう、2度と腕の中の少女を離したくないと言う思いに駆られる。

「頼むから、もう消えないでくれ。ずっと、ずっと私の傍に居てくれ、…」

ただただ、愛しいんだ。腕の中の彼女が。

「私はが好きだ・・・」

趙雲の言葉にの身体が固まった。

「…す…き?」

「あぁ、が好きだ」

抱きしめられている事に、急に想いを告げられた事には慌ててしまう。
急に恥ずかしくなって趙雲の腕の中でバタバタ暴れてしまう。

?」

「あ、えっと、わ、私も好きです…趙雲様が」

微かに聞こえる程度だったか、趙雲の耳にはちゃんと届いた。



趙雲は強くを抱きしめる。
自然とその目からは涙が零れていた。

「趙雲様、泣いてる」

「嬉しいからさ。にまた会えて、に想いが伝わったから」

「そんな…私だって。趙雲様に告白されると思いませんでした」

「なぜだ?」

「なぜって…趙雲様、最初は私の好きな人を姜ちゃんだって思ったり、私のこと妹扱いだったし…義務だって言うし…えっと、それから…」

自分はそんなんだったのかと、趙雲は落胆してしまう。

「でも、私ももう一度趙雲様に会いたいと思ってました。会って気持ちを伝えようって」

「もう一度って、また帰ってしまうのか?」

折角会えたのに、また別れるとかと思うと、目を瞑り自然に手に力が入る。


 -----離したくはない……でも、同じ時を過ごすことはできないのか…


は趙雲の頬に触れる。
柔らかい笑みを浮かべて言った。

「帰りません。趙雲様の傍にいたいです、駄目ですか?」

触れられた手を取り趙雲も笑った。

「駄目なわけないだろう。がいてくれると私は嬉しい」

「趙雲様…くしゅん!…」

趙雲は今になって気づく、の着ている衣服がとても薄いものであることに。
触れた手も冷たいし、素足でもある。

、なんだその薄着は風邪を引いてしまうじゃないか」

「あ…だって、私のいた場所は夏だったんで…」

「じゃあ、急いで中へ入ろう。もっとゆっくり話がしたいからな」

「はい、趙雲様」

趙雲はに自分の衣をかけ、肩を抱いて歩き出す。





失ってから気づいた、彼女の存在。
離れてから気づいた自分の居場所。

きっと、これからが二人の始まりなのだ。






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11/12/24再UP