|
「。ー」 「大好き」 朝、人の顔を見るなり、突然そう言ってきた。 「ジ、ジローちゃん?あ、あの」 「えへへ。言っちゃった〜」 少し離れた場所から彼の部活仲間の声がする。 「ジロー!早く来い!」と待たせているのだろう、少し怒っているような感じで。 「ありゃ。呼ばれちゃったー。じゃあ俺、行くねー」 「ちょっと!ジローちゃん!」 「返事とか気にしなくていいよー」 「はあ?」 テニスラケットをブンブン振りながら彼は仲間の下へ走っていった。 「なんだぁ?その顔、どうした?」 同じクラスで、さっきの告白してきたジローちゃんと同じテニス部の宍戸が声をかけてきた。 宍戸が驚くくらいなのだ、そりゃあ酷い顔なのだろう。 「どうしたって言われてもねー。ちょっとびっくりしたから」 「へぇ」 宍戸は私の前の席なので、荷物を置くと話を聞いてくれるのだろう。 席についても体をこちらに向けてくれる。 宍戸は本当頼れるよなー。カッコいいな、その男らしい所。 「で?びっくりしたことって?」 「あーうんー。言ってもいいのかな?」 「じゃあ俺が先に言ってやる。ジローだろ?」 思わず後ろに身を引いてしまう。 ガタンと椅子をずらしてまで。 「し、宍戸サン。なぜ、それを」 「朝練前に見かけたから。ジローの奴珍しく機嫌いいしよ」 何よりも、眠って朝練をサボることなく嬉々として動いていたそうだ。 それに、あの時ジローちゃんに声をかけていたのは宍戸だったそうだ。 あーなるほど。 「当たり?」 「当たり」 宍戸はくっと笑う。 「実は昨日の部活のときから、いつものジローじゃなかったぜ?」 「へ?」 「昨日、あることに意気込んでいるを見てから様子が変わってさ」 「……あることに、といいますと…」 「あることだよ」 あることが何か私にはすぐにわかる。当然だ、本人なのだから。 なので、恥かしい。 顔は今、思いっきり赤いだろうな。うん。 「ジローちゃんは勘違いしたというわけでしょうか?」 「そうらしいな」 「……返事は気にするなって言われたのだけど」 「カッコつけてるだけだろ?多分今頃気にして寝ていられねーだろうし」 「だったらあれですな」 「ああ。あれだ」 「返事。ちゃんとしないとね」 「それがいいな」 ニッと笑った宍戸。 あーやっぱり君は男前ですなー。 それでも時間を置いて放課後まで待った。 宍戸に聞けば、今日のテニス部はコートで練習なんだと。 逃げられる心配はないというわけで。 「ジローちゃん」 「あー!なになに?どうしたの?」 部室から着替えて出てきたジローちゃんを捕まえてみた。 「俺になんか用事?」 「そう。用事」 ニッコリ笑って、一言言ってしまえ。 それを元々狙っていたのだから。 「ジローちゃん。大好き」 昨日、あることに意気込んでいた私。 それを今成し遂げてやったぞ。 「よーし。私も言ってやったぞ」 思わず両手で拳を握ってしまう。 「え。……あれ?俺?」 ジローちゃんは珍しく動揺しているようだ。 「ってかさ。マジ?ねぇ、マジで?、俺のこと好きなの!?」 「うん。好きだよ」 「えーマジ!俺、超嬉C!!」 「それは何より」 「でも、なんで?だって、の好きな奴って宍戸だと思ってた」 宍戸か。 まあカッコイ奴で好きですよ?好きだけど、それはちょっと違うなぁ。 ジローちゃんにしてみれば、クラスも一緒で仲良しな間柄を見て焦ってくれたのかな? 「宍戸?好きだけど。その好きとは違うよ。私の好きな人はジローちゃんだしね」 「うっわ。マジで!やったー!!」 そう言って、ジローちゃんは私に抱き着いてきた。 「つ、潰れるよ。ジローちゃん」 「だって。俺、今すごく嬉C−からさ!」 私も嬉しいですよ、すごく。 元々ジローちゃんに告白しようと思っていたのだから。 「おい、ジロー。邪魔だ、早く練習行け」 部室から出てきたのは跡部君だ。 「なあなあ、跡部、跡部!が俺のこと大好きだって!超嬉C」 ジローちゃんはパッと離れて跡部君にわざわざ報告している。 なんだろう、嬉しさよりも恥かしさが増すのですが。 「そうか。わかったから練習しろ」 「するするー!じゃあ……えーとどうしようかなー」 「練習見学しててもいい?終わるまで待っていていいなら」 「いいに決まってんじゃん!!な、跡部」 「好きにしろ」 「やったー!、見ててな!俺頑張るから!」 「うん。頑張ってね」 ご機嫌なジローちゃんはテニスコートに向かって走っていった。 残されたのは私と跡部君。あ、後ろに樺地君もいたけど。 跡部君は貫禄ある笑みを浮かべてコートに向かった。 その去り際に。 「ジローの面倒ちゃんと見ろよ」 って言われた。 面倒って……。 「。ー!!だーーい好き!」 うん。私もだよ、ジローちゃん。 08/01/21UP
11/11/20再UP
|